2024年07月30日

心情伝達制度に救いはあるのか

 「心情等伝達制度に救いはあるのか」というテーマで7月28日の読売が「広角多角」というタイトルの紙面で社会部の石浜友理記者が願望の実現について書いている。

 日頃書いている記事で知らず知らずのうちに文体が願望調になっていることに気づいた石浜記者。
 願望といえば、犯罪被害者遺族に心情伝達制度が設けられ、遺族は刑務所に収容されている加害者に対し、被害者遺族の心情を伝達できる制度が始まり、取材していた犯罪被害者遺族が実践し、加害者から回答が届いたことを伝えてくれた。

 24年前に横浜市で起きた殺人事件で、当時22歳の長女・美保さんを亡くした渡辺保さん(75)が実践した心情伝達制度は満足のいくものだったのであろうか。

 犯罪被害者や遺族の思いを刑務所職員を通じて加害者に伝える「心情等伝達制度」が2023年12月に始まり、制度を利用した渡辺さん。
 殺人罪などで無期懲役が確定した受刑者の男(46)は、事件後に自首したが裁判では無罪を主張し、これまで謝罪の言葉は一切ない。渡辺さんは6月、男への積年の思いを刑務所職員にこう託した。

 「お前の身勝手な犯行で、大事な大事な娘が殺害され、家族の未来を壊された。どのような謝罪があろうと絶対に許さない。謝罪の気持ちは持っていないのか。許されなくても謝罪し続けるのが人間ではないのか」

 「過去のことは忘れて、今できることをやりたい。人生をやり直すことを考えている。美保さん、その家族に申し訳ないと思っている。5500万円の賠償金は金額が多すぎるので、払わない」

 娘の人生を奪っておきながら、自分だけ過去を帳消しにして新しい人生を歩むつもりなのか。全然反省していないじゃないか――。「『申し訳ない』など、形だけの謝罪でしかない。もしかしたら謝罪の気持ちを持っているかもしれないと、ほんの少しの期待を持った自分がバカだった」と、渡辺さんは深いため息をついた。救いは感じられなかった。


 まず、犯罪の加害者に性善説みたいなことを期待するのは愚かであると断言できる。
 加害者には本当のワルと言われる矯正などありえない、極刑にするか、終身刑(無期懲役)で一生刑務所で暮らしてもらうよりない悪魔がいる。

 具体的には名古屋アベック殺人、女子高生コンクリート詰め殺人事件、郡山集団女性性暴行事件、北九州監禁殺人などの加害者がこれにあたる。
 生かしておいてはいけない人間だとは被害者遺族の気持ちを忖度すれば出てくる結論である。
 しかし、刑罰が軽くて、もう出所して世の中を跋扈している人間もいる。

 対して、事件後反省し、遺族に謝罪をしている加害者がいるから、矯正ができないわけではない。

 後期高齢者になってしまった自分と同世代の被害者遺族である父親がいくら嘆いても、横浜の事件は加害者なんてこんなもので、加害者の典型は自分は他人の命を奪いながら、自らは死にたくないというのが加害者の本音である。

 わが国最大の暴力団組織山口組の顧問弁護士だった山之内幸夫さんは現在、ユ―チューバーだとご本人の弁である。
 その山之内さんが自らの幼少の時代を振り返って貧しかったけれど、親の愛情をたっぷり受けて育ったから道を踏み外すことがなかったと発言しているのを耳にしたことがある。
 然るに、暴力団の構成員になる人は、在日、部落など同じ貧しく育っても、親の愛情をきちんと受けた人などまずいない。
 親の愛情を受けたか受けなかったかで犯罪で残酷なことが平気でできるか、できないかに分かれるというのだ。

 コンクリート詰めにして女子高生を殺害した加害者の中には家庭を持っている人がいると耳にしたことがあるが、仮に事実だとして、女子高生をあれほどの残虐な仕打ちで殺害しておきながら、幸せな家庭を築いているなんてことが許されるわけがない。
 同様に、横浜事件で加害者が人生をやり直したいと発言しているのを耳にすれば、被害者遺族は怒り心頭であろう。

 人を殺害しておきながら、自分だけのうのうと生きている。
 天罰が下らないなら、神なんて存在しないのではないか。

 被害者遺族の立場にもっと寄り添った判決が必要な所以である。

2024年07月28日

恐怖や苦痛で日常生活に支障の被害女児、刑罰が6年6か月

 2023年11月、福岡県内の路上で、登校中の当時12歳の女子児童に性的暴行を加えた男の裁判で、「多大な恐怖や苦痛を味わい日常の生活にも支障」「人格を踏みにじる卑劣で悪質な犯行」であると宗像市に住む20歳の無職男に懲役6年6か月の判決が福岡地方裁判所(今泉裕登裁判長)であった。と7月19日のRKB毎日のWEBが伝えている。


 12歳の女児といえば、小学校6年生であろう。朝自宅を出て、通学路で20歳の屑男に性的暴行された被害者は父親とも2人きりになれないほどのダメージ、PTSDを発症しているとも伝えられている。

 一方で、加害者の男は被害者に一生の傷をつけてやると犯行動機を語っていると報じられている。

 「自由のために」発信している立場であるから、被害女児とその家族が受けたダメージのことを考えるとわずか懲役6年6か月の判決を出した裁判長とその程度の求刑しか求めなかった検事に対する怒り心頭である。

 性暴力は、被害者の魂、心を殺す「魂の殺人」であると被害者と支援者が訴えることで、刑法の名称が、強姦罪、強制性交罪を経て、不同意性交罪へと変わり、同意のない性行為は犯罪であるということが社会に浸透し始めた矢先のことである。

 通学中の小学6年生に一生の傷をつけてやるという悪質さをむき出しにした20歳の男は6年6か月後には、刑務所から出て、また性犯罪を起こすだろう。

 この男を生かしておいては社会が成立しないので、極刑を願うが、罪刑法定主義である以上、性暴力だけでは極刑にできないので、できるだけ長く塀の中に入れておく必要があり、こちらは検察がやる気があれば、もっと長く刑務所に入れておくようにすることは可能なはずである。

 とりあえず、性暴力の厳罰化を求めている被害者と家族、支援者が立ち上がり、今回の事件の加害者を念頭に無期懲役で刑務所から出さないことができるように刑法を改正する運動を始めるように訴えたい。

 さらに、検事と裁判官には、適正な刑罰ということをもっと事案の凶悪さに見合ったものにするように意識改革してもらいたい。

 自分たちは司法試験に合格した特別な存在だという意識があるのかもしれないが、加害者の悪質さ、被害者の受けたダメージ、家族の苦しみを考えれば、刑罰は犯罪の名称だけで刑法の条文で見るだけでは、不十分で、被害者の声、家族の声によく耳を傾け、性暴力の場合は厳罰化することが求められている。

 小学生が一生苦しめられることがあっていいわけがない。
 極刑にできないなら、無期懲役にしなければ、被害者と家族の復讐を認める社会にしろという声がでてくる。

 それでは、社会は成立しないので、性暴力取り分け、子どもに対する性暴力は極刑化無期懲役のどちらかにしなければならない。

 語り継ぐ戦争、米兵の性犯罪を糾弾してきたが、いずれにしても、子ども狙った性暴力は極刑か無期懲役にすることが安全な社会の第一歩である。

2024年07月21日

公益通報者を死なせた兵庫県知事は万死に値する

 兵庫県の斎藤元彦知事を内部告発し、処分された元県西播磨県民局長の男性(60)が亡くなった。自殺とみられる。
 2022年に施行された改正公益通報者保護法は、企業や官公庁で不正を通報した人の保護を定めるが、十分に機能しているとは言い難い。通報者を確実に保護するための法改正を急ぐべきだ。と7月19日の東京新聞が社説で訴えている。

 元局長は3月、匿名で知事らのパワハラや企業からの贈答品受け取りなどの疑惑を記した文書を一部の県議や報道機関に送った。
 知事は内容を「うそ八百」と非難。県は元局長を特定して解任した。元局長は4月、県の公益通報窓口に通報したが、県は5月、停職3カ月の懲戒処分とした。
 しかし、県による内部調査の中立性に疑問が生じたため、県議会は6月、調査特別委員会(百条委員会)を設置。元局長の証人喚問も決めたが、元局長は今月7日に音声データを残して死亡した。

 同法は、組織内部での通報が困難な場合、報道機関など外部への通報も認める。知事は県の公益内部通報制度では受理していないことを理由に公益通報に当たらないと断じたが、誤った判断だ。
 鹿児島県警でも5月、内部文書を漏らしたとして前生活安全部長が国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕、起訴された。

 前部長は「県警職員の盗撮事件を本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」ことの告発だと主張する。
 警察職員が絡む事件の捜査は本部長指揮が通例にもかかわらず所轄署に任せ、逮捕まで5カ月もかかるなど県警捜査の不自然さは否定できない。前部長の告発を公益通報とみなす余地は十分ある。

 和歌山市では20年、公金の不正使用を内部告発した男性職員が自殺した。公益通報の秘密が守られなかった疑いがあり、市は外部有識者を含む審査会を設けた。
 公益通報者保護法は通報者の不利益となることを禁じるが、通報者の約3割が不利益な扱いなどを受け、後悔しているという調査結果もある。

 権力や権限を持つ人や組織の不正を正す人がいなくなれば、社会の自浄機能は失われる。消費者庁は制度改善に向けた有識者検討会を設けた。告発者保護の強化に向けた議論を急ぐよう求める。
 以上が社説である。


 自民党の北海道選出の議員がパワハラで飛行機のCAさんを虐めたと知り、こいつだけは許せないと怒り心頭だった。
 弱い者いじめばかりする男で普段から威張り腐っていたので、落選運動で次の選挙では何としても当選を阻止しなければならないと書いた。

 しかし、兵庫県知事は公益通報者にパワハラしただけでなく、自死に追い込んだからには、殺人と言いたいところだが、殺人の構成要件では殺す意思を問われるので、そこまでは言わないが、万死に値すると声高に訴えている。

 その兵庫県知事に対し、自民党県連会長が辞職勧告をしているが、維新は懸命に支えていると知り、もともと維新が嫌いだったのが、大嫌いになった。

 維新はその体質から、公益通報者を保護するつもりなどないのであろう。
 パワハラで自殺に追い込まれても、知事を擁護するなら、同罪であり、擁護する維新の人間も万死に値する。

 元東京地検特捜部の若狭弁護士がYOUTUBEで兵庫県知事は公益通報に反発し、部下を死に追いやったのだから、万死に値すると自分と同じ考え発信していた。
 自分の場合、語り継ぐ戦争だから、軍人たちは責任の重大さを万死に値するという言葉で表現することがあったから、使わせてもらっている。
 特捜部には公益通報があり、そこが糸口となって捜査が始まることだってあるからだとのこと。

 兵庫県知事がどうしても辞職しないなら、スポーツの全国大会などで兵庫県チームを応援しないし、災害があっても関知しない。

 人を死なせて、自らは自決せず生き残るというのでは、県民だってついて行かれない。
 やめさせられない維新の責任は重大だ。

 日本の政治を担う人は腐りきっている。

 公益通報者が守られない国なんて最低だ。

2024年07月17日

保護司殺害 求められる対策

 5月に起きた大津市保護司殺害事件では、保護観察中の男が逮捕された。保護司の高齢化やなり手不足が課題となる中、求められる対策を3氏に聞いた。と7月11日の読売(石浜友里・虎走亮介記者)が解説の紙面で「論点スペシャル」として取り上げている。

 中央大学客員教授今福章二さんが法務省保護局長だったことや現在、保護司として活動している経験から「複数で面接、心理的負担減」、龍谷大学矯正・保護総合センター長浜井浩一さんが保護観察官や刑務官の経験から「事前調査 再犯リスク評価」、全国保護司連盟事務局長吉田研一郎さんが保護司としての活動の経験から「就労支援 安全につながる」とそれぞれの立場から対策について論じている。


 大津市で起きた保護司殺害事件のときに書いているが、叔父が保護司をしていたからか、亡くなった後、その息子で自分の従弟が保護司を引き受けていることから他人事とは思えない。

 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援についても訴えてきたのは「自由のために」である。
 戦争が一番先に市民の自由を奪うことで、次いで、犯罪においても、殺されたり、傷つけられたり、奪われたり、性的な暴行を受けたりと、被害者になってしまえば、人生がそこでストップしたり、立ち直ることができないほどのダメージを受けてしまうことになる。

 対して、犯罪の加害者に目を向けると、生まれつきのワル、この世の中に存在することが悪、更生など絶対不可能という一握りの犯罪者を除けば、更生させることができれば、社会としても、犯罪を減らせることに通じる人がほとんどで、この更生に貢献しているのが保護司であろう。

 3氏の中で、全国保護司連盟事務局長の吉田さんが大津の事件で亡くなった新庄博志と面識があったということから、ここでは吉田さんのコメントに注目してみた。

 大津の事件の容疑者は、職場に馴染めず転々と仕事を変えていたとされる。
 更生にあたって重要なのは就労支援だ。安定した職が再犯防止につながるのは確かだ。不満の矛先を他者に向けるような事態を防ぎ、安全対策にもなり得る。
 ために、対象者の就労継続につなげられるように保護観察所とハローワークの連携を強める必要がある。
 
 「民間企業や福祉、教育、医療機関などが連携して対象者の更生を支えるネットワークづくりに力を尽くした。新庄さん。その遺志に応えるためにも、就労支援を含め、社会全体で彼らをどう受け入れていくか改めて真剣に議論すべきだ」と吉田さんは願う。

 「保護司はやりがいを心の支えに、善意でボランティアに力を尽くしている。こうした人たちを守るためにも安全対策は不可欠だ。」という吉田さんは、保護司と対象者との間に一定の信頼関係あるかどうかが重要だとも。

 世の中で、立派だと敬意を表せるのはカネ儲けではなく、善意で他者のために尽くせることである。
 保護司は立派な仕事である。

2024年07月16日

冤罪 甲山事件 法と奪われた年月

 事件のニュースをとかく流しっぱなしのメディアを代表する新聞。
 記者が過去の事件のその後を取材し、当事者の今を伝える読売の優れた連載「あれから」そのVol.48甲山事件「法ってなんですか」「22歳 3度目無罪まで25年」という見出しで、7月14日の読売(渡辺嘉久記者)が伝えてくれたのは国家権力の犯罪である冤罪事件の被害者になることの怖さであった。

 兵庫県西宮市の知的障がい児施設「甲山学園」で1974年3月17日、12歳の女児と男児が園内の浄化槽から遺体で見つかった。兵庫県警は職員による犯行と見込み、当時22歳だった保母の山田悦子さん(72)(旧姓沢崎)を4月7日逮捕した。

 1日12時間前後の取り調べを受ける「代用監獄」の日々は、全てが支配されていると感じた。逮捕10日後の17日、嘘の自白をしてしまう。
 しかし、無実を訴え自殺を図り、その後は否認を貫いた。物証はない。処分保留で釈放、不起訴となる。
 神戸検察審査会の不起訴不当議決で起訴され、85年10月17日、神戸地裁角谷三千夫裁判長が無罪を言い渡し、大阪高裁の差し戻し判決を経て、99年9月29日、大阪高裁が検察側の控訴を棄却、3度目の無罪判決。10月8日、検察が上告断念、無罪確定。となる。

 歴史家の奈良本辰也さんが「歴史は現代社会の幸せと結びつく紐解き方をしないと生きた学問にならない」という言葉に触発され、冤罪体験をどう紐解くか。考えた結果、山田さんは若者への法教育に取り組む。
「闘わずして人権は守れない」と次世代へ託す。


 甲山事件のことは知っていたが、当時、メディアがほとんど警察がリークする情報を垂れ流していたので、未熟だった自分は疑いもしなかったことを思い出す。

 1審の非公開尋問で、元園児が女児を浄化槽に転落させて蓋を閉めた。と述べていることで事件の真犯人はわかっているはずだ。

 話題になった「天城越え」でも、似たような構図だった。
 ヒロインと一緒にいた少年が被疑者だったはずだが、少年には人を殺すなんてことができるはずがない。という思い込みが捜査する側にはありがちだ。

 浄化槽の重い蓋を子どもには開けられないというのも思い込みにしか過ぎない。

 名張の毒ぶどう酒事件の奥西勝さんの無実を信じ、再審請求が認められるように支援活動をするようになって初めて、冤罪事件のことがわかってきた。

 冤罪事件かどうか。事件のニュースが流れたときはよくわからない。

 警察は自分たちに都合のよいニュースをリークというのかメディアに教えると、警察担当の記者がいるメディアはそのまま垂れ流すことで警察は自分たちが正しいのだと世論に思い込ませることに成功してしまう。

 「学び 伝える「法は温かい」」「法の精神は人間の心から生まれる」と訴える山田さん。
 「法を司る人間の心の有りようにかかっている。自白を強いる代用監獄が続く限りはなくせない」というのが冤罪はなくせるのかという問いに対する山田さんの答えである。 

2024年07月13日

権力者が倒され、反日、反社の旧統一教会が敗訴

 2022年7月8日、奈良で安倍元首相が襲撃されてから2年。仏教でいうところの三回忌。
 襲撃したのは、旧統一教会に母親が洗脳され、度重なる献金で家庭が崩壊し、恨みを抱いた息子の犯行だった。

 旧統一教会の日本の市民に対する献金、集団結婚などの悪事をやめさせるべく、被告は旧統一教会の幹部を標的にしたが、果たせず、反日、反社の教団であるにもかかわらず、親密な関係であった安倍首相を襲撃することで、旧統一教会の悪事に対し、注目を集め、日本社会が毅然とした態度で彼らの活動ができないようにしてもらいたいと願ったやむにやまれぬ凶行だった。

 警察、公安警察がしっかりガードしていれば、事件など未然に防げたものを彼らがたるんでいたため、結果は思いがけない展開となってしまった。


 被告は、安倍首相を襲撃することで、旧統一教会の悪事をメディアが取り上げてもらいたいということで、安倍首相を殺害することが目的ではなかったのだから、警察が何としても止めるべきだった。

 一人の権力者が理由はともあれ、倒れた後、被告の願っていたとおり、それまで、メディアが全く取り上げようともしなかった反日、反社の旧統一教会の献金などの悪事が連日のように報道され、擁護していた自民党の国会議員が責任を問われることとなったのである。

 旧統一教会には国から解散命令が出されるかどうかというところまで追及の手は伸びているが、まだ予断を許さない。
 旧統一教会の元信者や家族が教団に支払った献金を返すよう求めた裁判で、最高裁判所は11日、高齢の元信者が書いた「教団に返金を求めない」という念書は無効だとする判断を示した。とメディアが伝えていることもまた注目される。

 保守派、右寄りだとされていた元首相とその支持勢力が反日、反社の旧統一教会とズブズブの関係だと聞いては黙っていられない。

 民族派ということになるのかわからないが、自分は朝鮮半島の反日反社が大嫌いである。
 旧統一教会とズブズブの関係だというなら、日本大好き人間の一人である自分から見れば、売国奴にしかすぎない。

 日本の市民の家庭を崩壊させた旧統一教会が憎い。国外追放させたい。

 一人の権力者が倒され、自民党の政治資金が裏金とされ、脱税まで問われている事実が明るみにされた。ところが、強い奴の味方である検察はつかまえようともしない。
 その検察人事にまで手を出した権力者が期待した人物がマージャン好きが高じて失脚したが、その時の文書の開示に関しても報道されている・

 一人の権力が倒され、少しは日本が良い方向に向かう兆候がみられたが、まだまだどうなるかわからない。

2024年07月08日

娘殺された父親の怒り 受刑者の思いを伝える伝達制度

 昨日、七夕にもかかわらず、気温上昇で七夕史上過去記憶にない蒸し暑さだった。
 例年は梅雨時で、七夕伝説のおりひめとひこぼしが逢えないことが多かった。
 夜、あまりにも熱いので開けて寝たら、のどを痛め、これから医者に行く。

 都知事選挙については、書く気持ちなど全くなかった。偏向メディアが取り上げていた3人は応援する気持ちなど持ち合わせていなかったが、お医者の先生がYOUTUBEにアップされていたのでよく視聴した。
 利権の自民党が応援する利権の人、消費税を上げないと言いながら上げた民主党のうそつきの残党立憲が応援する人でなく、若い人にと思ったがヒロシマから出張ってきた上から目線の生意気そうな候補より、お医者の先生に当選してもらいたいと思ったが、結果はメディアの力に影響される人が多いということがよくわかった。

 さて、本日のテーマは犯罪被害者支援の「心情伝達制度」である。

 横浜市で2000年、当時22歳の長女を殺害された渡辺保さん(75)が5日、殺人罪などで無期懲役が確定した受刑者の男(46)の心境などを記した書面を受け取った。被害者や遺族の思いを刑務所職員を通じて加害者に伝える「心情等伝達制度」を利用し、男に初めて気持ちをぶつけた渡辺さんは「思いを言えたのはよかった」とする一方、「過去のことは忘れたい」という男の言葉に憤った。

 渡辺さんの長女は00年10月、同市内の路上で、勤め先から帰宅途中に車にはねられた上、包丁で首を刺されて殺害された。3年後、美保さんの中学時代の同級生だった男が自首し、逮捕された。

 05年3月、地裁で無期懲役の判決が言い渡されると、男は傍聴席の渡辺さんに向かって、「お前が迎えに行かなかったから娘は死んだんだよ」と暴言を吐いた。06年8月、精神的に不安定になっていた連れ合いは、電車にはねられて53歳で亡くなった。

 犯罪被害者らでつくる「にじの会」代表を務める渡辺さん。2023年12月に始まった心情等伝達制度により、07年に最高裁で無期懲役が確定していた男に初めて思いを伝える機会を得た。6月18日、刑務所職員に心情を伝えた。


 「想像力を磨け」というのは、毎日、書いている中で、いつの間にか身についてしまった口癖である。
 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えてきた原動力は「自由のために」である。

 ために、本を読み、映画を観て想像力を磨いてきた。
 戦争と犯罪、いずれにしても、殺す側と殺される側に大別できそうな中で、もし、自分が、家族がと考えたことがあれば、戦争や犯罪で傷つき、斃れ、あるいは倒れた時に何を思うだろうか。

 娘を殺されたら、許されるものなら、加害者を殺してやりたいと思っても当然のことである。
 遺族である父親が団塊の世代で同世代だから、連れ合いまでもが天に召されてしまったことで、ダメージは倍加なんてものではないだろう。

 無期懲役で服役中の娘の同級生の加害者に限らず、反省などしないだろうし、仮に反省したとしても、娘が帰ってこられるわけでもない。
 それでも、心に空いた穴をふさごうと刑務所に収容されている加害者に手紙を送ってしまったのであろう。

 そのやむにやまれぬ行動は、加害者の気持ちがわかってよかったということで理解する。

 悪い奴は死刑にすべきであるが、無期懲役でも反省はできるだろうから、反省を求めたい遺族の気持ちが伝わってきて涙がこぼれそうになった。

2024年07月07日

法医学解剖と検視 冤罪を減らせ

 NHKスペシャル「法医学者たちの告白」を一部視聴することができたので書いておく。
 
 「警察や検察から解剖の依頼を受け、死因を判定する法医学者。判断を間違えば、犯罪を見逃したり、えん罪を作り出したりすることにつながる。彼らの仕事は科学的で中立性が高いと信じられてきたが、検察側と弁護側の鑑定結果が対立するケースも少なくない。裁判のやり直し=再審において争点になることも多い。法医学者になる医師も減っている。一体何が起きているのか。法医学者たちの初めての告白から日本の司法制度の課題に迫る。」と㏋にある。

 年間400体もの解剖を行う千葉大学法医学教室岩瀬博太郎教授。日本でも有数の規模を誇る法医学教室であるが、丁寧な解剖で定評がある反面解剖数の増加で警察からは効率化を求められ、岩瀬教授は困惑している。
 国立大学だから、国からの予算措置を求めているのだが、検視官が3倍に増えている反面、法医学者は増えていない。
 次いで、年間250体の解剖を行い、これまで4000体もの解剖に携わってきた北海道旭川医科大学の女性法医学者が紹介される。
 「祈ることによる癒やしがないと、法医学は続けられない」と教会で折々祈りをささげる。

 年間20万人の異状死のうち、犯罪の疑いがあり、死因が不明の遺体は年間1万体にも及ぶ。
 その1万体の遺体に対して司法解剖は行われる。

 
 犯罪被害者支援を訴えてきたくらいだから、犯罪学、被害者学、法医学に大いに興味、関心を持っている。

 法医学者といえば、東京大学の上野正吉博士が『法医学』の著作を刊行されていて、自分も買い求めたくらいだから、あまりにも有名だが、次いで、東京監察医務院で監察医だった上野正彦さんもTVに出演したりされていたから知られているだろう。
 西丸與一『法医学教室の午後』(朝日文庫)も読んだことがあるような記憶がある。
 視聴したことはないが、『法医学教室の事件ファイル」というTVドラマもあったから、視聴者も関心が高いと言ってもいいのではないか。
 法医学者が犯罪の疑いがある異状死の解剖をする一方で、TVドラマ『臨場』では警察の検視官の活躍が描かれていた。

 犯罪の可能性があれば、すべからく遺体を解剖するのが望ましいだろうが、法医学教室の人手不足もあるし、検視官の検視で済ませることも現実としてはあるということか。

 近年の犯罪では、女性に酒を飲ませ、或いはクスリを盛って抵抗できなくして性的暴行をするという卑劣な犯罪が増えている。
 ところが、法医学的に言えば、睡眠導入剤などを盛られれば、事件後、調べれば、盛られたことがわかってしまうのだ。
 和歌山の毒カレー事件があったが、確かヒ素が使われたと記憶する。個人的に持つような物質ではないのに自宅にあったことが驚きだった。

 トリカブトを使うとか、犯罪者と犯罪を見抜く法医学者のバトルは外野席から見ていると興味津々であるが、当事者はたいへんである。
 見落としがあれば、冤罪につながるし、犯人を見逃してしまうことにもなる。
 TVドラマ、『相棒』でも取り上げていたが、検視と遺体解剖が行政の区域で違った扱いがあると指摘していた。

 国は法治国家だというなら、解剖することで、犯罪の有無をチェックする法医学教室にもっと、予算措置すべきである。

2024年07月02日

重大犯罪 国負担で弁護士

 殺人や不同意性交など性犯罪の被害者や遺族が原則国の負担で弁護士の支援を受けられる制度の創設が、この4月に改正総合法律支援法が成立して決まった。早い段階から同じ弁護士が着き、助言や手続き代行にあたる。今後詳細な制度設計に入るが、真に被害者の助けとなるには、質の高い弁護士の確保や警察との連携などが肝要となると6月27日の読売(小松夏樹編集委員)が解説の紙面で伝えている。

 費用は国の負担だが、「生活の維持が困難となる恐れがある」との条件がある。

 警察庁のアンケートでは、加害者との交渉や訴訟にあたり弁護士らに頼んだ人は1・3%に過ぎず、訴訟、交渉をしなかった人は88%に及んだ。33%が手続きがわからなかったことを理由にあげた。

 国は、全国各地域での「途切れのない犯罪被害者支援」を打ち出している。
 新全国犯罪被害者の会(新あすの会)などは、欧州の制度を参考に、支援施策を一元的に担う被害者庁の設立を求めている。


 紙面では2020年5月、長野県で自宅に押し入ってきた男に長女(当時22歳)と次男(同16歳)を殺害された男性(59)のことが取り上げられている。
 加害者は自殺し、賠償を求める相手はいない。
 ローンのある自宅を出て、エアコンのない部屋に移り、体調不良となった連れ合いの介護をし、自らも体調不良で仕事ができず、弁護士に相談できたのは生活に困窮してからだという。

 現実には、誰がいつどこで犯罪被害者、あるいはその遺族になってしまうかわからない。
 ところが、人というものは、自分はそうなりたくないという願望から、自分だけは大丈夫だと思い込みたくなるものなのだ。
 だから、被害者は一般に支援や加害者対応に明るくない。
 被害者に対する一貫支援は、早さと質がカギとなる所以である。

 現在、被害者支援の経験や理解のある「精通弁護士」が4000人近く、内、性犯罪被害者が希望することの多い女性は1000人弱いるという。

 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えてきたが、殺人、性暴力犯罪などは自由と尊厳を奪われる重大な犯罪であり、被害者、遺族が受けるダメージは想像をはるかに越える。
 誰かの助けがなければ、自分だけではどうすることもできない。

 そうなると、支援を一元的にしてもらえるワンストップ支援センターが必要であり、究極は犯罪被害者庁みたいな窓口が設けられる時代がやってくるかもしれない。

2024年07月01日

松本サリン事件30年 冤罪で謝罪しない県警とメディア

 1994年6月27日、オウム真理教教祖で元死刑囚によって起こされた「松本サリン事件」で、警察やメディアは発生当初から第1通報者の河野義行さんを犯人視し、批判を受けた。事件から30年が過ぎた今も、メディアの責任や役割を厳しく問う声がある。と6月3日の朝日のDIGITAL(高木文子記者)が伝えている。


 連れ合いの澄子さんがサリンで倒れ、自らもサリンを吸って体調が悪くなり、救急車を呼んだ河野義行さん。
 事件当時は、噴霧されたのが猛毒のサリンだとは無論わからなかったことがあったにしても、思想的に河野さんのことを体制側だと思っていなかった長野県警は、河野さんを犯人とするべく第一発見者の河野さんの自宅を家宅捜索したところ、青酸化合物などの薬品が出てきたことから嫌疑を深めた。
 警察が河野さんが犯人であるとの見立てで、自分たちに都合の良い情報を流し、そのままたれ流し続けたメディアは、河野さんのことをきちんと取材もせず、犯人扱いを続け、1995年3月20日、オウム真理教の教祖が起こした地下鉄サリン事件で、明確に冤罪だったことが証明されるまで続いた。

 連れ合い澄子さんが事件後、意識不明の状態が回復しないまま、14年後の2008年8月、60歳で亡くなるまで、懸命の介護を続けた河野さん。

 その後は、鹿児島に移住したことまでは報道で伝えられているが、現在のことは詳しいことはわかっていない。

 オウム真理教にとって不都合な存在だった坂本弁護士一家を殺害するように指示したオウム真理教教祖。教祖の指示で、1989年11月、坂本弁護士一家が突然、住居から姿を消したとき、捜査したのは神奈川県警だったが、坂本弁護士が体制側ではなかったことから、真剣に現場検証に取り組むことなく、オウム真理教のバッジが現場に落ちていたにもかかわらず、真剣に事件と向き合わなかった。

 さらに、警察は創価学会が政治の世界で自民党と自公政権を構成していることもあって、宗教団体に対し、捜査が及び腰となってきた事実もある。

 オウム真理教の教祖によって引き起こされたサリン事件での被害者は気の毒である。殺された被害者、後遺症で苦しみが続く被害者。大事な人を奪われた家族、遺族の苦しみ。さらには、河野さんのようにまるで犯人であるかのように報道をされ続けてたにもかかわらず、捜査員や記者たちはきちんと謝罪したということを耳にしていない。
 警察官と記者はこの点厳しく反省すべきである。
 捕まったオウム真理教の信者のうち、死刑判決を受けた元死刑囚はすでに刑を執行されたが、偶々、事件に遭遇してしまった人たちの哀しみが30年経っても癒えることがないことに思いやる必要がある。

2024年06月27日

大阪地検トップによる性暴力犯罪

 【独自】女性検事を性的暴行か「大阪地検トップ逮捕」の衝撃…定年前の退職は「女性問題」だった《部下への準強制性交、女性新聞記者との親密すぎる関係》という信じられないような報道を6月26日のWEBの「現代ビジネス」でみつけた。

 大阪地検の元検事正で弁護士の容疑者(64歳)が、準強制性交の疑いで6月25日大阪高検に逮捕された。元検事正の容疑者は2018年2月から2019年11月に大阪地検のトップ・検事正を務めていた。

 逮捕容疑は「2019年に起こった事件のもので、被害者は当時の部下だ」と検察幹部は現代ビジネスの取材にそう答えた。

 大阪高検は時期、犯行の内容など詳細を「プライバシー」を理由に明らかにしていない。だが現代ビジネスが取材したところ、被害者は女性の検事の模様だ。

 容疑者は、那覇地検検事正、大阪高検次席検事など、検察の出世コースを歩み、要職を務めてきた。2018年、森友学園事件に絡む、財務省の公文書改ざん事件では検事正として捜査を指揮。佐川宣寿前国税庁長官ら財務省幹部を全員不起訴として批判を浴びた。


 「自由のために」という信念で、語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援も訴えてきた立場である。
 自由を奪われるのが戦争なら、犯罪の被害者も同じ立場である。
 だから、自由を奪われた人間の典型として、遊女や女郎と呼ばれた女性たちの供養の旅もしてきた。
 特に、性暴力犯罪は、被害者の女性や支援者が「魂の殺人」だいうほど自由と尊厳を著しく奪われたということを強く訴えてきた。

 大阪地検のトップがこともあろうに自分の部下の女性検事に性暴力をしたということは絶対に許せない。
 取材で出入りしている女性記者とも親密な関係だったみられていたというから、性暴力常習者の可能性が高い。

 森友事件で財務省の公文書の改竄を指示した局長など関係者を不起訴にしたのがこの男だとは気づかなかったが、冤罪をでっち上げてきた大阪地方検察がついにまともな仕事をしてくれたことになる。

 しかし、在職中の出来事で、不祥事があったとして、退職を認め、退職金も支払っているということで、検察のやってきたことには納得できない点もある。

 犯罪名が強姦罪から強制性交罪を経て、不同意性交罪へと刑法改正で変わっていくなかで、準強制性交罪というのは、実刑になる可能性が高いということだから、本当のワルに刑務所暮らしを体験させてもらうように願っている。

 「鬼平犯科帳」の池波正太郎さんの多大なる影響を受けてきた人間の一人だから、「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。 善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。 悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。」という至言のことを思えば、大阪地検のトップだって、女性に性暴力するということになる。

 大阪地検のトップだった男は自宅に伴侶がいたであろうが、自らは官舎に一人暮らしだったと伝えられる。
 女性に性暴力をするために官舎に一人暮らしだったのかと勘ぐるのは週刊誌の記者の影響か。

 伴侶がいれば、子どもだっているかもしれない。もし、自分がこの男の家族だったら、恥ずかしくって街を歩けない。
 検察のお偉いさんだと、家族もそれなりに自慢だったかもしれない。
 森友事件で、公文書改竄という絶対やってはいけない犯罪に対し、不起訴にしたのは、自分が女性に性暴力を加えるような下種な人間だったからだろうとみている。

 父親がいくら偉くとも、性暴力犯罪で、捕まるようじゃ親のことを二度と口にできない。
 大阪地検のトップが女性に対する性暴力男だから、大阪地検の検事が村木厚子さん冤罪事件をでっち上げたのだろうとみている。

 恥を知れといいたい。

2024年06月20日

高さ11bの橋から激流へ 女子高生殺害 またしても旭川

 政府は11日、犯罪被害者の遺族に支払われる給付金の最低額引き上げを柱とする改正犯罪被害者給付金支給法施行令を閣議決定した。14日に交付し、15日に施行される。と6月11日の読売が夕刊で伝えている。

 しかし、殺害されてしまってはどうにもならないということで、犯罪被害者支援の立場から、悪質な加害者に厳罰を科すことを提唱したい。

 1996年12月、北海道旭川市立北都中学校で、女子生徒が悪ガキたちに集団で性的暴行されるという凄惨な旭川女子中学生集団性的暴行事件が起きた。
2021年 2月、北海道 旭川市立北星中学校の女子生徒に対するいじめ、集団性的暴行により被害者の女子生徒が凍てつく公園で凍死させられた旭川女子中学生いじめ凍死事件が起きている。
 2024年4月、旭川の景勝地・神居古潭の神居大橋(高さ11b)から、留萌市の女子高校生(17歳)を川に転落させ、殺害したとして旭川市の女の容疑者(21)と19歳の少女が殺人の疑いで逮捕された。とメディアが伝えている。


 旭川で立て続けに起きている女子中学生に対する性暴力が絡む二つの事件、そして、今回起きた被害者は旭川から少し離れた留萌の女子高校生が旭川でも札付きのワルだと悪名高き女に高さ11bの橋の上から激流の石狩川に転落させられ、5月になってようやく遺体が見つかったことから、犯行が明らかになったというのだ。
 容疑者は、取り調べに対し、女子高校生を橋に残して、帰ったから、後のことは知らないと供述しているそうな。
 神居大橋に連れていくとき、コンビニに立ち寄り、助けを求めた被害者に対し、コンビニ店員が警察に連絡をしなかったことが明らかになっているが、東京ならあり得ないことだ。
 コンビニ店員を言いくるめた容疑者は、抵抗する女子高校生を無理やり神居大橋に連れて行ったのは突き落とすためであることは明白で、平然と嘘の供述をする容疑者の悪質さが推察される。
 この事件でも加害者たちが被害者の女子高校生にわいせつと報道にあるから、性的暴行があったとみている。

 2022年3月、木野工『襤褸』(新潮社)を買い求めて読んだことを書いた。
 5・15事件を時代背景に旭川の中島遊廓に売られた女性がそれこそ襤褸のような扱いで楼主に搾取され、死んでいく話である。
 読んだとき、旭川では女子中学生が学校内で悪ガキたちに集団性的暴行され、いじめで性暴力を受けた女子中学生が凍てつく公園で凍死させられた事件があったことが頭から離れなかった。
 だから、加害者たちは悪辣な廓の楼主の末裔ではないかということを書いた。

 語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚だから、日本全国を周ってきたので、北は北海道稚内から南は沖縄までかなりの都市を訪れたが、街のイメージとしては、旭川は最悪、ワーストナンバーワンということになる、

 個人的には、学生時代最後の京都旅行に次いで、社会人になって北海道を旅行したとき、旭川で駅前の呼び込みで泊った旅館が人生で最悪だったことも大いに影響しているとは思う。
 騙された方が悪いとはいうものの、恨みは消えない。

 襤褸を読み終えたとき、ヒロインがあまりにもかわいそうで、旭川に遊女や女郎と呼ばれし女性たちの墓があれば、供養に訪れたいと書いた。

 しかし、今回の女子高校生転落殺人事件の顛末を知ればしるほど尻込みする自分がいる。
 加害者が跋扈している旭川でカネを使いたくないなと思った次第である。

2024年06月17日

「よそ行きの服がいるやろ」と父親のような保護司

 大津市で保護司新庄博志さん(60)が自宅で殺害された事件を受け、新庄さんが担当保護司だった男性(27)が読売新聞の取材に応じ、やりきれない胸の内を明かした。「以前は社会でまっとうに生きることを諦めていたが、新庄さんが居場所を作ってくれた。恩返ししたかったのに、悔しい」と語った。

 男性が新庄さんと出会ったのは18歳だった16年。保護観察処分を受け、担当保護司となったのが新庄さんだった。父親のいない家庭で育ち、家での食事はいつも一人。さみしさから非行に走った。当初は「更生への意欲を持てずに新庄さんを敵対視し、うそをついたこともあった」と振り返る。

 21年、収容先の刑務所に届いた手紙では「保護観察期間中に再犯に至った事は私もいろいろ考える機会となりました。それも一度ではなく二度も」とし、「ダメな事はダメとしっかり伝えるべきだと思っています。社会の門を叩き、門をくぐって来てください」と記されていた。自分と真剣に向き合おうとする姿勢に、「この人の意見は聞いた方がいいし、何を話しても大丈夫」と思えた。

 男性は、「よそ行きの服がいるやろ」と新庄さんから7年前に譲り受けた紺色のジャケットを今も着続けている。「新庄さんは決して相手を否定せず、寄り添ってくれる父親のような存在だった。僕ができる生き方をして新庄さんに喜んでもらいたい」と話している。


 昨日、6月の第三日曜日は父の日だった。
 生まれる前から読売新聞を購読してきたわが家に毎朝、夕新聞を届けてくれる配達員にはいつも感謝している。
 その読売の配達を担当している読売センター所長、スタッフ一同名でご愛読の皆様「きょうは父の日」というB41枚のメッセージが手許に届いている。

 父の日に届くくらいだから、当然、母の日には毎年届く。
 中学生と父親が散歩の道すがら「人は何のために生きるんだろうね?」問いかける息子に「人のために何かを一所懸命する。人間って人の役に立つために生きているんじゃないかな」と答える父。息子は父の姿が大きく見えたという一節があった。

 恩を仇で返す輩に殺害されてしまった保護司の新庄博志さんに世話になったという27歳の青年が取材に応じ、「よそ行きの服がいるやろ」と新庄さんから譲り受けた紺色のジャケットを身につけていたそうな。
 所謂シングルというか父親がいない家庭で育ち、寂しかったことから道を過った青年を諭す新庄さんはまるで青年にとっては父親のような存在であったのだろう。
 訃報を知り、自宅の前に花を手向け、冥福祈るとともに、前を向いて生きていくと決心するのだ。

 自分の父親は召集され戦地に送られるも、無事に帰国を果たしたが、16歳になったばかりの夏に病死した。
 滅茶苦茶厳しい親で世の中で自分の父親ほど怖い存在はなかったが、小学生の時から畑を手伝わされたことが役立ち、有機無農薬での野菜作りを実践することができているのは父親の指導のお陰である。

 青年には父親がいなかったが、早くに亡くなったとはいうものの自分には父親がいた。その差は大きいだろう。
 その父親代わりのような保護司の新庄さんを殺害された青年には二度と保護司のお世話になることがないように願っている。

 「誰かのために」人のために役立つことを実践して恩を仇で返されて殺害されてしまったが、新庄さんと保護司たちが残した財産は社会的に大変意義深いものがある。

 新庄さんのご冥福を祈る。

2024年06月14日

保護司殺害 安全対策が必要

 大津市の保護司新庄博志さん(60)を殺害したとして8日に逮捕されたのは、担当していた保護観察中の無職の容疑者(35)だった。保護司制度を揺るがしかねない事態に衝撃が広がった。事件はなぜ起きたのか。保護司の安全対策は十分なのか。6月9日の読売が「保護司殺害」上というタイトルで事件を取り上げている。

 保護司は罪を犯した人らと向き合い、立ち直りを支援する非常勤の国家公務員で、給与は支給されない。全国に約4万6000人いる。自らも保護司で、全国保護司連盟の吉田研一郎・事務局長(66)は「本当にショッキングで、あってはならないこと。保護司として活動することに不安を感じる人が増えるのでないかと心配している」と述べた。

 容疑者は2018年10月にコンビニ強盗事件を起こし、19年6月に大津地裁で懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を言い渡された。同年7月に確定し、新庄さんの指導を受けながら更生の道を歩むことになった。

 更生の柱となるのは就労だ。しかし、飯塚容疑者は、職場になじめず転々と仕事を変えていた。

 法務省は8日、全国の保護観察所に対し、▽保護司に危険が及ぶようなケースがないか点検する▽保護司から不安に感じていることなどを電話で聞き取る――ことを指示すると明らかにした。


 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えてきた立場から、犯罪を減らすためには、出所者の更生が大事で、更生を支援する保護司が如何に大事であるか理解している。
 出所者、無論出院者者も、就労が最も大事で、これに家族の支えがあれば、更生がうまくいく可能性が一段と高まる。
 自分の亡くなった叔父や従弟、連れ合いの姉の嫁ぎ先の亡くなった義父、先年亡くなった地域の有力者など保護司だったり、現在保護司という人が身近にいるから、保護司が殺害されたとなれば、他人事などと放っておくわけにはいかない。

 容疑者の男は職を転々、xに不満投稿し、「保護観察 保護しない」などと見当違いな不平をいっていたという「典型的な犯罪者で、デ保護司制度を崩壊させるような重大事件を起こした以上、極刑をもって償わせるよりないだろう。

 冷静に考えれば、保護司が自分たち出所者或いは保護観察中の人間の味方であることは断言できる。
 にもかかわらず、勝手に誤解し、保護観察、保護しないなどと身勝手なことを理由に恩を仇で返すという自分の一番嫌いな所業をなしたことが許せない。

 アフガンで灌漑用水路を作り、農作物が作れるようにしてくれた中村哲医師をアフガンのテロリストが殺害したことで、恩を仇で返したと怒り心頭になった自分はイスラムの人間に明らかに距離をおくようになった。

 保護司が危険な仕事であることはわかっていたので、よく怖くないなと感心していた。
 ただし、出所者や保護観察中という立場であれば、保護司に手をかけたら自分がどうなるか、よほどのおバカでない限りわかっているはずだった。

 自立の手助けをしている人間を殺害するというのだから、生かしておいてはいけないということになろうか。
 世のため他人のためにがんばってきた新庄博志さんのご冥福を祈りたい。
 保護司の安全対策がなされるように願っている。

2024年06月12日

生活道路 法定速度60`→30` 遺族「やっと国動かせた」

 地域住民が利用する「生活道路」の法定速度が2026年9月から、時速60キロから30キロに引き下げられる見通しとなった。歩行者や自転車のリスクを減らす狙いがあり、生活道路で起きた交通事故の遺族らは評価する一方、より安全な交通環境の整備を願っている。と6月6日の読売(村上喬亮、狩野洋平記者)が伝えている。

 現在の道路交通法施行令は、速度規制の標識などがない一般道の法定速度を時速60キロと定めている。5月30日に警察庁が示した改正案は、一般道のうち中央線や分離帯、道路中央のポールなどがない1車線の道路を時速30キロに引き下げた。

 対象となるのは、主に幅員が5・5メートル未満の道路になるとみられる。全国に約122万㌖ある一般道のうち、約87万㌖全体の約7割に当たる。

 警察庁が09年にまとめた報告書では、30キロまでは運転手が飛び出しなどの突発事象に対応でき、30キロを超えると歩行者らが致命傷を負う確率が急激に高まることもわかっている。
 馬車の利用が進んだ欧州は「歩車分離」が進み、遅れている日本は歩行者の死亡が突出して多い。


 わが家の前は、その昔、○○街道なんて呼ばれたらしいが、子どもの頃、道幅4b足らずの砂利道で、東京五輪後の1960年代後半に6bに拡幅、舗装された。

 法定制限速度は40`の看板がある。今では生活道路にしか過ぎないが、歩車分離されていないので、歩いていると怖い。町会が異なる区域は資産家ばかりが道路に面しているにもかかわらず、道幅5bとさらに狭くなっているので、駅へと続くこの道を歩くのは命がけと言っても過言ではない。
 この生活道路に脇道から自転車がよく飛び出す。幸い運がよかったのであろう、何とか事故に巻き込まれずに来ているが、いつか事故が起こるだろう。この道路を法定速度をオーバーして通過する車が少なくない。

 ついでに書くと、毎日、夕方、30分程度散歩しているが、歩車分離の歩道を歩いていると、自転車に何回となくぶつけられそうになって危なくてかなわない。
 歩道を自転車の通行を許可することを見直してもらいたい。
 自転車は歩行者より強いから、歩行者のための道路である歩道で大きな顔して通行することが絶対許せない。
 
 車の速度は生活道路だから、40`が法定速度とされている。
 毎日、運転している車は軽トラで生活道路を30`で走行していると、後ろから、事実上あおられる。

 幹線道路が60`は当然としても、生活道路は30`走行にして困ることなどありえない。
 歩車分離されていないから、小学生の集団登校で児童が車に殺されてしまう。各地で現実に児童が殺されている。

 以前から書いているが、人間の命を大事にする考えをもっと徹底していくことを社会の目標にしていきたい。

2024年06月10日

飯塚事件 再審認めず 福岡地裁

 福岡県飯塚市で1992年、小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で略取誘拐や殺人罪に問われて死刑が確定し、2008年に執行された久間三千年元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求審で、福岡地裁は5日、裁判のやり直し(再審)を認めない決定を出した。とメディアが伝えている。

 6月5日の読売や毎日新聞によれば、弁護側が「新証拠」として提出した2人の事件当日の目撃証言について、鈴嶋晋一裁判長は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠とは認められない。再審請求は理由がない」と述べた。

 死刑執行後に再審開始決定が出た例はなく、地裁の判断が注目されていた。弁護側は決定を不服として10日までに即時抗告する方針。


 事件発生から30年後、2022年4月、「正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜」をNHKが放送し、視聴したとき書いているが、捜査関係者など立場の異なる当事者のそれぞれの証言をもとに三部で構成された内容によれば、確たる証拠がなく死刑を執行された元死刑囚は冤罪だった可能性が高いことを知ることができた。

 「正義が行方不明となっている―」事件というタイトルで書いているが、米国で起きた冤罪での死刑執行事件のことも取り上げ、飯塚事件で死刑を執行したのは国家権力の犯罪ではないかとみている。

 裁判の原則である「疑わしきは罰せず」という高邁な理想を司法関係者は実現すべく、任務に努めてもらいたい。

 冤罪事件に目覚めたのは「名張の毒ぶどう酒事件」で、そのきっかけは東海TVが制作したドキュメンタリー作品を映画化した『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』だった。

 被告人に確たる証拠がない場合、司法が「疑わしきは罰せず」を実現させない以上、市民を守るためにジャーナリストが応援しなければ、被告人だけでは国家権力に立ち向かうことなどできるわけがない。

 東海TVのお陰で冤罪事件に目覚めることができた。
 NHKが放送した「正義の行方〜飯塚事件 30年後の迷宮〜」もまたジャーナリストの矜持みたいなものが伝わってくるような優れた放送だった。

 再審を認めると、すでに死刑を執行してしまった国家権力の立場がなくなってしまうということは理解できる。
 しかし、裁判官も人の子である。
 生まれてきた以上、必ず死ぬ。

 死ぬときに、自分の人生を振り返ることがあるのではないか。
 仮に、自分のことで言えば、穴を掘ってでも入らなければならないほどの出来事などいくらでもある。
 しかし、誰かを陥れるようなことをした覚えはない。
 つまり、死の宣告を受けたとき、冤罪事件で再審請求を認めないような理不尽なことはした覚えがないということ。

 自分は地獄に堕ちるようなことはした覚えがないが、冤罪を訴える元死刑囚を救済しようとしなかった罪は万死にあたり、当然、地獄に堕ちるだろう。裁判官と検察官は。

 再審を認めて、もう一度裁判すればいいだけのことではないか。

2024年06月09日

秋葉原殺傷事件から16年 元死刑囚の友人が保護司に

 東京・秋葉原の歩行者天国で2008年6月、17人が殺傷された事件は8日で発生から16年となった。

 22年7月、死刑が執行された元死刑囚(執行時39歳)の友人大友秀逸さん(47)が2023年秋、保護司になり、罪を犯した人の立ち直りを支えている。と6月7日の読売(尾藤泰平記者)が夕刊で伝えている。

 19年6月にx(旧ツイッタ―)を開設し、事件の遺族から「なんでもっと早く殺してくれなかったんだ」と泣き叫びながら訴えられ、強い処罰感情を感じた。「被害者を減らすために事件を未然に防ぐことができれば」と考え、昨年、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支援する保護司となった。

 同じ紙面で、大津市で5月、その保護司が観察対象の35歳に殺害され加害者が、殺害容疑で逮捕されたことを伝えている。
 1964年以来のことらしい。


 古希を過ぎてから、一日があっという間に過ぎ、後期高齢者を目前にするようになると一層拍車がかかり、時々、時間よ止まれ、止まってくれと言いたくなることがある。
 若いうちはそんなことはなかったような気がするが、お迎えが来るのが早くなるだけだから、覚悟はそれなりにしていても嬉しくはない。
 秋葉原の事件も早や16年経つ。

 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えて発信しているから、秋葉原無差別殺傷事件に関しても、加害者、被害者双方の立場から大いに関心がある。

 すでに死刑が執行された青年が事件当初、前科もなく、真面目に働いていたことを知り、道連れ殺人と呼ぶような自暴自棄による犯行に至るまでに、どこかで、誰かが相談相手というか孤立させないようにしてやることはできなかったかものかと考えさせられた。

 犯罪学を勉強すると、犯罪者と一括りにしても、様々で立ち直れる人間もいれば、もう生かしておいては社会が成立しないサイコパスのようなのもいる。

 東名高速であおり運転で夫婦を死なせた男などは、後者の典型だろうが、秋葉原の死刑囚は、そもそも家庭環境が原因しているし、警備会社、自動車工場と真面目に働いていたのだから、事件を防ぐことは可能だったと思えてならない。

 一方、被害者学を勉強すると、これだけ道連れ殺人が多発するようになると、歩道を歩くときも、スマホなどいじっていると事件事故に巻き込まれてしまうことを肝に命じるべきだ。

 加害者に寄り添う保護司のことは書いたばかりであるが、その保護司がよりによって観察対象の35歳に殺害されたというのだから、自分たちの味方を殺害してしまうこの加害者こそは、死刑にすべきであるし、塀の外には出してはならない。

 元死刑囚の友人だった男性が後悔と決意を語っていることに他人事とせず、受け止めていることは高く評価したい。

 「未来の事件 防ぐ砦に」「元死刑囚の友人 後悔と決意」と見出しで事件後、16年経ち、道連れ殺人のような理不尽というか、自暴自棄になった者の巻き添えになった被害者のことを考え、自ら保護司を志願し、事件を起こそうとしている、あるいは居場所がなくて、犯罪に走ってしまいそうな人の抑止力たらんとする高邁な精神にエールをおくりたくなった。

 暴発ともいえるような形で、自らの生を終わらせるだけでとどまれば問題はないが、他者が幸せそうに見えたと報道では伝えられたが、秋葉原にいる人間が幸せとは限らないことくらいわかりそうなものであるが、暴走してしまったことが残念でならない。 

2024年06月08日

あぶないところって どんなところ?

 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えているのは、すべからく「自由のために」である。

 1989年6月4日、隣国の中国で天安門事件が起きた。独裁政権の中国共産党が戦車を出動させ、民主化と自由を求めて立ちはだかる市民を轢き殺すという光景が世界に流れた。

 戦車が女性と子ども、年寄りを轢き殺したのは、1945年8月9日未明、満州に侵攻したソ連軍である。ソ連軍から必死で逃げ惑う満蒙開拓団の人が辿り着いた葛根廟で惨劇は起こった。
 この事実を語り継ぐ戦争で知り、発信してきた。爾来、ソ連、ロシアが大嫌いでこの国が滅亡することを願ってきたし、中国共産党、ついでに言うなら、北朝鮮を三代にわたって支配する金一族などが滅亡することも祈ってきた。

 「自由のために」を実践する場として、女性の自由と尊厳を奪う性暴力犯罪の被害者を支援する東京・強姦救援センターのサポート会員になったことから会報(センターニュース)が送られてくるようになった。

 6月1日発行の98が手許に届いているので、紹介しておく。
 「包括的反差別法がなぜ必要なのか?」というテーマでセンターのアドバイザー弁護士の林陽子さんが寄稿している。
 そこに、世界人権宣言が採択されてから2024年で76年目を迎える。宣言の中核には「人は皆、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について平等である」その上で、「平等」すなわち「差別を受けない」権利こそがあらゆる人権の基底にあり、その理念こそが国際人権条約として成文化されてきた歴史がある。と書かれていることを取り上げておきたかった。

 「自由のために」書き続けてきた自分の主張は世界人権宣言の中核をなしていることとは知らなかったが、とにかく自由が大事だとは常々考えていることだ。

 身近で自由を奪われるのが犯罪被害者だから、犯罪被害者支援を訴えてきたが、会報に同封されたチラシに6月29日のpⅯ13時30分から港区芝浦のリープラ学習室で「みんなで防犯 あぶないところってどんなところ?」をテーマに学習会が開催されるとあった。
 講師は防犯デザイン研究所代表西拓哉さんである。

 自分も参加を呼び掛けられているが、行かれるかどうかわからない。一応関心がある向きに紹介しておく。


 犯罪に関して、大学では犯罪学(刑事政策と呼んでいることもある)、被害者学と呼んで学問として研究したり、学ぶ学生がいる。

 犯罪被害者支援を訴えて発信してきたくらいだから、街を歩いていて、あぶないところってすぐにわかるし、
 近年、ストーカーなどに殺害されてしまった女性の事件を知り、犯罪被害者になりやすい人と、なりにくい人がいるのではないかと自分なりに考えている。
 犯罪加害者に目を向ければ、無職の人間は犯罪予備軍みたいな人が少なくないことも理解している。
 一番怖い加害者は道連れ殺人犯で、自分の思い通りにならないと女性を殺害して、自分も死ぬという輩ではないか。

 防犯のための勉強会が開催されるということはあまり耳にしたことがないが、大事なことで、こうした啓発活動が間違いなく犯罪の被害者を減らしていくことにつながるはずだ。

 会報には2023年の電話相談件数やセンターの会計報告もあったが、性暴力被害者になった女性が未だにどこに相談したらいいかわからないということをコメントしているのを知り、せっかくの支援だから、もっとこうした機関の存在ネットワークが広く知られるようにしていく必要があるだろう。

2024年06月02日

「司法は直ちに再審開始をアピール行動」

 「えん罪・名張毒ぶどう酒事件・東京の会 ニュース」の5月22日発行分が手許に届いている。
 TVや新聞などマスメディアが取り扱ったかどうかわからないが、最高裁で闘う冤罪5事件(名張事件、大崎事件、日野町事件、三鷹事件、豊川幼児殺人事件)の支援者が共同して、3月3日、JR新宿駅東南口で「司法は直ちに再審開始をアピール行動」と題して宣伝活動を行った。参加者は120名以上。との報告があった。

 名張事件は発生から63年。冤罪を獄中から訴え続けてきた奥西勝さんは八王子の医療刑務所で亡くなった。第10次再審請求は認められなかったが、最高裁で5人の裁判官のうち学者出身の宇賀克也裁判官は「封かん紙に異なるのりの成分が付いているとした鑑定結果は高い信用性があり、犯人性に合理的な疑いが生じる。自白の信用性にも多大な疑問が生じる」として、再審を開始すべきだとする反対意見を述べた。 
 10回にわたる「名張毒ぶどう酒事件」の再審請求で、最高裁判所の裁判官が再審を開始すべきだとする反対意見を付けたのは初めてのことだ。と1月30日NHKが伝えていた
 再審開始に向けては一歩前進である。

 意思を引き継ぐ妹の岡美代子さんは94歳となっており、もう、時間がないということで、弁護団は第11次再審請求をするべく、名古屋高裁への署名が同封されていたので、連れ合いにもお願いして署名し、事務局に送った。

 3月28日の大須観音での宣伝行動で、5都府県110名を集めアピール行動を行ったとのこと。 
 参加者一同 シュプレヒコール。
 「司法は白鳥決定を守れ」「検察の証拠隠しを許すな」「名古屋高裁は誤判を正せ」「岡さんの生きているうちに再審開始せよ」などと気勢をあげたことも報告されている。


 奥西さんが本件を犯したと認めるには合理的な疑いが生じ、また、事件本人の自白の信用性にも多大な疑問が生ずるのであり、確定判決の有罪認定には合理的な疑いが生じている」よって、再審を開始すべきである。と1月29日の最高裁第3小法廷で最高裁の宇賀克也裁判官は5人の裁判官の中でただひとり反対意見を述べている。

 10次にわたる再審開始請求で初めてのことである。

 自民党の裏金、脱税問題で検察には法の下の平等はなく、正義もなく、ただ、権力者のために働く機関であることが証明された。
 自白の信用性は広島の衆議院選挙の買収問題で、自白が如何に出鱈目であったか証明された。

 検察は証拠を平気で隠すし、検事は自白も自分たちの描いた筋書きのとおり平気で誘導する。
 宇賀克也裁判官だけが事実関係を冷静に見つめ、正しい判断をしてくれたことは歴史に残る快挙である。

 他の裁判官は己の仕事に恥ずべきことがあるかどうか自ら検証すべきだ。

 人間は誰でも生まれた以上必ず死ぬ。
 裁判官を務めるということは大変な激務であり、人の一生を左右する重大な仕事である。

 裁判官が冤罪の片棒を担ぐようなことがあっては、死んであの世に行くとき、過去を振り返り、自信をもって、正しいことをしたと言えるのか。

 冤罪の片棒を担いだ裁判官は極楽浄土には行かれないだろう。
 第11次再審開始請求は裁判官にとっても最後のチャンスである。
 過ちを正さず、知らん顔はできないだろう。死ぬときに悔やんでも遅い。

2024年05月30日

無給で働く価値 保護司という仕事

 「無給で働く4万人 保護司という仕事」という見出しで、保護司の仕事に目を向けた5月26日の読売が「広角 多角」というタイトルで保護司の仕事ぶりを紹介(石浜友理記者)していた、無給で働き、社会を支える保護司に世話になった男性の恩送りの話に心を揺さぶられたので書いておく。

 2023年10月3日の読売が、「罪を犯した人らの更生を支える保護司。高齢化が進み、担い手確保が喫緊の課題となる中、地元の保護司会と連携した取り組みを進めている自治体がある。荒川区では、区職員が保護司として保護観察を担当するなど、他自治体から注目を集める事例もあり、制度維持に向けた「切り札」として広がることが期待されている。」(松下聖記者)と伝えていた。

 保護司は明治期に実業家金原明善ら篤志家が設立した「静岡県出獄人保護会社」が原点とされる。
 崇高な社会貢献の精神が根底にあるがゆえに、非常勤の国家公務員と言えども給料はない。それでも全国で4万6584人(1月時点)が活動を続ける。

 紙面で紹介されていたのは少年時代保護司のお世話になった高坂朝人さん(40)。広島市で生まれ、14歳で暴走族に入り、逮捕歴15回、少年院に2度入り、20歳になるまでの約3年半は保護観察付きだった。
 彼を担当したのが保護司の山根五郎さんだった。
 山根さんは説教じみたことは言わず、ただ、優しく寄り添おうとしてくれたが、若かった彼は有難みがわからず、再非行に走ったりという状況は変わらなかった。
 更生のきっかけは23歳の時、後に結婚する彼女の妊娠がわかり、父親になる自覚が芽生えたこと。
 ようやく自らの過ちに気づいた20代後半、思い切って山根さんの自宅を訪ねたが、妻から「もう亡くなった」と告げられた。

 今、高坂さんは出所者や非行少年を受け入れる施設の運営に携わるようになり、2023年保護司になった。
 「山根さんに恩返しはできないが、目の前の少年たちに『恩送り』していきたい」と高坂さん。


 語り継ぐ戦争をメインに犯罪被害者支援を訴えてきた立場であるから、究極の被害者支援として、加害者の更生には関心が高く、更生を手助けする保護司の活動も何回かとりあげている。

 というのは、74歳だったかで亡くなった母方の叔父が保護司で、今、還暦くらいの従弟がまたその職を受け継いでいると耳にするから、保護司は身近な存在である。
 先年、80代でなくなった地域の有力者もまた保護司をしていたり、知人の不動産会社の社長もまた保護司だから、余計そんなことを思うのかもしれない。

 政府は叙勲だなどとお手盛りの勲章制度を維持してきたが、カネ貰ってやっている政治家、お上の人間が勲章もらっているのはおかしなことだと思っていた反面、無給の保護司がもっと社会的に評価されるべきだと考えてきた。

 経済的に富裕層というか、恵まれた身近な人たちが保護司だったが、それではなり手がいなくて、荒川区の職員が保護司を務めるということを知り、国や市など自治体の職員、退職者などは保護司としては成り手がいなければ、適任かもしれない。
 まあ、なんでもそうだが、適性といえば、人によってということにはなるだろうが。

 岡山四聖人の一人として知られる留岡幸助は感化院を作ったことで知られるが、保護司は施設から出所、出院した人たちにとっては身近な理解者、相談者として頼りになる存在である。

 紙面で紹介されていた保護司の奮闘を描いた映画『前科者』が公開された2020年は新型コロナ禍で映画館に行くことを自粛していたため観ていないので、どこかで上映したら是非とも観てみたい。