2024年12月12日

『正体』

 月に一度の映画館行き、12月は『海の沈黙』を観たばかりであるが、染井為人の同名小説を原作に、藤井道人監督、横浜流星主演『正体』を観てきた。
 10月、11月と行かれなかったので、その分として、師走で何かと忙しい時期であるが、冤罪がテーマだったから名張の毒ぶどう酒事件の再審開始請求を支援している立場上、観ないわけにはいかなかった。

 一言で佳い映画でまだ観ていない人たちにお薦めしたい作品である。
 買い求めたプログラムには「極上のサスペンスエンターテインメントが誕生」とあった。慢性的な睡眠不足で映画を鑑賞中にいつも居眠りが出てしまうが、最後まで飽きさせることがなかった。

 一家殺人事件の現場にいたことから、被疑者として逮捕されてしまった少年が、逮捕後、一貫して無実を訴えるも、死刑判決を受け、拘置所で拘束されているとき自傷し、病院への移送中、脱走してしまう。
 自分の無実を信じてくれる人を求めて、日本全国を彷徨する被疑者は、居ついた場所で関わる人々に見せる顔が異なり「正体不明」とみなされるも、人間としては佳い印象を与えて逃亡を続けるのだ。
 
 事件現場で生き残り、錯乱中の母親の証言で彼が被疑者であることを確信する警視庁捜査1課の刑事は執拗に被疑者を追いかけるも、逃げ回る被疑者に次第に事件をもう一度見つめ直す気持ちになっていく。
 しかし、上司の刑事部長は、真実の追求を求めるのではなく、少年が被疑者である方が少年法改正に都合がいいと少年を被疑者として断定してしまう。

 物語はフィナーレまで書いてしまうと興趣を削ぐことになるので、この辺でやめておく。

 主演の横浜流星という俳優は後期高齢者になってしまった自分から見ても、主役として姿が佳い。
 その横浜流星の名前を始めて知ったのは、数年前、連れ合いの弟が都内で営む飲食店に何と彼が客としてやってきたというのだ。
 自分は初めて耳にする名前だが、流星という芸名(後に本名だと知る)はインパクトがある名前だなと感心したが、所謂イケメンで爾来お店の自慢話で必ず登場することになる。
 客は客でも、石ちゃんこと石塚という太めのタレントと一緒で仕事だったとか。
 当時は、全く興味がなかったので、詳しいことは聞いたような気がするが、覚えていない。

 読売が毎週金曜日の夕刊に映画評を掲載しているが、その12月6日に『正体』を取り上げ、情けないことだが初めて、この映画のことを知ったというわけだ。
 そこに、袴田事件で無罪が確定し、福井の中学生殺人事件では再審開始請求が認められたというタイミングでの公開は偶然とは思えないと書いてあった。
 さらに、映画で殺人犯として死刑判決を言い渡された被告が逃亡中に使った偽名が過去の冤罪事件から借用しているとのことで、映画で使われていた那須、桜井、そして久間という名前で思い当たるのは、那須とは弘前大学教授夫人殺害事件の那須隆さん。桜井とは布川事件の桜井昌司さん。久間とは飯塚事件の久間三千年さんで、久間さんは死刑が執行されている。

 昨晩のNHKクローズアップ現代で、贋作のことを取り上げていたが、芸術作品と贋作、価値観をテーマにした『海と沈黙』を観ていたから、贋作でカネを設けたという人物に取材している場面で、映画のことを思い浮かべた。

 『正体』では無実を訴えながらも逮捕され、死刑判決を受けた主人公の無実を訴える女性記者の弁護士の父親がやはり、電車内の痴漢の犯人にされて冤罪を晴らそうとすることが描かれていたくらい、冤罪事件は多いということで、恐怖すら感じた。

 冤罪事件を他人事だと思ってはならない。

2024年12月11日

元検事正性的暴行被害検事調査申し立て

 元大阪地検トップの検事正だった被告(65)による準強制性交事件で、被害者の女性検事が3日、取材に応じ、職場で誹謗中傷され、二次被害を受けてきたとして、現在所属する大阪地検に調査を申し立てたことを明らかにした。女性は「検察に何度も殺され続けている」と語った。と12月4日の読売が伝えている。

 部下の女性検事に性的暴行を加えたとして準強制性交罪に問われ、初公判で起訴事実を認めた元大阪地検検事正の被告の弁護人が10日、大阪市内で記者会見し、今後の大阪地裁の公判で被告が一転して無罪を主張することを明らかにした。これに対し、女性検事は同日、「どこまで愚弄すれば気が済むのか」と被告側の対応を批判するコメントを出した。と12月11日の読売が伝えている。


 元大阪地検トップの検事正だった男が部下の女性検事に性的暴行した容疑で逮捕され、起訴され、地裁の初公判ではっきり起訴事実を認めておきながら、弁護士が交代したからか、一転して無罪を主張することになったとメディアが伝えている。

 検察のトップで法律に精通しているであろう元検事正が一度は起訴事実を認めておきながら、一転無罪を主張することになったことを知り、元TBSの記者だった男がジャーナリスト志望の女性に酒などを飲ませ性的暴行しておきながら、権力の力で事件を起訴させないようにしたとされている事件を思い出した。

 結果的に、刑事裁判はともかく、民事裁判で男の容疑は晴れるどころか責任を認められ、損害賠償を命じられた。

 両者ともに、被告が被害者女性に性的暴行をした事実があったことは間違いない。というのは、同意があったから犯罪ではないと主張しているだけである。

 しかも、元検事正の男は公判で一度は起訴事実を認めていることから、いくら何でも裁判では有罪になることが予想される。

 酒を散々飲ませて、抗拒不能の状態で、同意があったなどと、いかに何でも往生際が悪すぎる。
 厳罰にせよ!

 被害者の女性検事が職場で「何度も殺され続けている」と記者会見で訴えている。
 女性の社会進出を邪魔しているのは、件のジャーナリストや元検事正のような男たちだ。

 許せない。

 女性が活躍しなければ、社会はよくならない。
 被害者の女性検事にエールをおくる。権力を持った男に負けるな!

2024年12月05日

再審制度のほころび 検察が証拠を開示するルールを作れ!

 「再審制度のほころび」という見出しの囲み記事に「とれんど」というタイトルで11月30日の読売(足立大論説委員)が冤罪が繰り返される日本の司法に再審制度のルール作り、検察の証拠開示に関する規定を整備せよと訴えていることに賛同したので書いておく。

 人が裁判を司れば、間違いも起きる。無実の罪を着せられる冤罪は典型であり、誤った罪をすすぐのも司法の責任である。無辜の救済をうたう再審制度にほころびがあるとしか思えない。

 1966年に静岡で起きた一家4人殺害事件で、袴田巌さん(88)半世紀を獄中で過ごし、死刑執行の恐怖に苛まれ続けた。
 検察が、後に再審無罪につながる重要な証拠を開示した時、袴田さんが裁判のやり直しを申し立ててから30年経っていた。

 10月、1986年に福井で起きた女子中学生殺害事件の再審が決まった。検察が証拠を開示するまで20年かかっている。

 法律には再審手続きの規定がほとんどなく、進行は裁判官に委ねられている。検察が証拠を開示するルール作りが急務なのは明白である。

 作家石牟礼道子さんの句〈祈るべき天と思えど天の病む〉を取り上げている。


 名張の毒ぶどう酒事件で冤罪を訴え、再審開始請求を求めつつも、八王子の医療刑務所で亡くなった奥西勝さんの再審開始請求を妹の岡美代子さんが引き継ぎ、再審開始請求を支えるサポーターになっている。

 袴田巌さんの冤罪が晴れたことは大いに喜ばしいことだが、10月下旬に再審開始請求が認められた福井中3殺害事件の再審開始が確定したことに関し、11月27日の読売が「論点スペシャル」で元裁判官の水野智幸さんと甲南大学の笹倉香奈教授、神奈川県警鳴海達之捜査1課長がそれぞれの立場から再審に関して論じている。
 中で、元裁判官の水野さんがご自身の経験上から検察の証拠開示が重要だと指摘している。

 論説委員の足立さんも指摘しているが、再審手続きの規定の整備、検察の証拠開示に関するルール作りに政府が腰を上げないのは困ったことだ。

 物事が歪んでいないか見張るのが天網で、人間の社会に例えれば、司法がその役目を担うとは足立さんである。
 その司法が明らかにおかしくなっている。特に、警察、検察が真実の追求をないがしろにし、事件解決さえすればいいと、誰かをスケープゴートにし、事件が解決したかのように見せかける構図が怖ろしい冤罪を生む。

 水俣病で患者に寄り添い、『苦界浄土』等の著作などで患者の苦しみを訴えて来られた石牟礼道子さんの句は全くその通りで、国家権力も代行する人間によっては怖ろしい結果を招く。

 真実を追求するのが刑事ドラマ『相棒』の杉下右京だけでは本当に困ってしまう。

2024年12月02日

就活セクハラ防止義務 厚労省方針

 学生らが就職活動中に受ける性的な嫌がらせ「就活セクハラ」を巡り、厚生労働省は企業に防止対策を義務付ける方針を決めた。立場の弱い就活生の被害が相次いでおり、面談時のルール策定や相談窓口の設置を求める。26日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で了承を得た。と11月27日の読売が伝えている。

 職場のセクハラについては、男女雇用機会均等法に基づき、防止措置の実施が企業の義務となっている。だが、雇用関係にない就活生は対象外で、女子学生がOB訪問の際、わいせつな行為をされるなど深刻な被害も出ている。

 厚労省はこれまで、同法に基づく指針で企業に対策を求めていたが、被害が後を絶たないため強化が必要と判断。就活生を従業員に準ずる立場と位置付け、OB・OG訪問時の場所や時間などについてルールを設けることや、相談窓口を整備して就活生に周知することなどを義務化する。

 同省は、こうした方針を盛り込んだ同法改正案を来年の通常国会に提出する。


 セクハラは犯罪である。
 被害者を救済するため、悪質な加害者は逮捕しなければならない。
 殊に、就活生に対するセクハラは許されない。
 力関係の強い立場の人間が弱い立場の女子学生を相手にセクハラをするのは卑怯者のすることで、こんな輩は雇用している企業にとっても恥である。
 自分の娘、自分の付き合っている女性などがそんなに目に遭ったら怒るのが普通ではないか。
 雇用に関するチェックをするのは、昔なら労働省で現在なら厚生労働省だから、企業に防止を義務づけるのは当然のことである。
 元朝日新聞の鮫島さんの「SAMEJIMA TIMES」によれば、兵庫県知事選挙でマスコミ不信とアンチリベラルが公益通報者を血祭りにあげ、自殺に追い込んだ知事の勝因だったと指摘している。
 男女雇用機会均等法、女性活躍推進法などで、女性の社会進出を推し進める動き、あるいは女性管理職の登用など、国際社会から大きく後れを取っている後進国日本にあって、女性の昇進など面白くない男性社員がいる。 
 女性天皇に反対し、夫婦別姓に反対し、LGBTの人たちを差別することをなくす動きに反対する保守派、右寄り勢力がリベラルな女性候補を落選させようとする策略に扇動された人たちが多数いたと指摘している。

 男女平等でなければならない社会において、リベラルな女性に反感を持つ男たちが思ったより多いことが明らかになった。
 これでは、少子化対策といくらお題目を唱えてもどうにもならない。
 女性に子育てだけさせる時代などもうとっくの昔に終わっているにもかかわらず、子育ての大変さを理解しない勢力に限って、女性の社会進出や少子化を嘆いているように思えてならない。

 就活する女子学生に対し、セクハラする男たちを監督できない企業では女性の活躍する場所はないのではないか。
 カスハラは強要罪、脅迫罪に抵触する事例が少なくないが、パワハラはきちんと調べないと一概には断定できないことも少なくない。
 しかし、就活生へのセクハラは弁解の余地がない。
 絶対に許されない。

2024年11月26日

雪煙の歳月

 NHKスペシャル「雪冤の歳月 〜ひで子と巌 奪われた58年〜」を視聴することができ、冤罪の勉強に関して大いに役立ったので書いておく。
 「なぜこれほど長い時間がかかったのか―。58年前に一家4人殺害の犯人とされ,半世紀以上を死刑囚として生きた袴田巌さん(88)。ようやく開かれた再審で10月9日、無罪が確定した。
 弟の無実を信じ、裁判のやり直しを求め続けたのは姉のひで子さん(91)だった。長年にわたる拘禁で精神が蝕まれ、会話もままならない弟を支えながら、重い司法の扉を叩き続けた姉。長期にわたり2人に密着、無罪を勝ち取るまでを追った記録。


 全国判事被害者の会によれば、戦後の冤罪事件で、死刑判決が確定した後、再審で無罪が確定したのが1948年の免田事件、1950年財田川事件、1954年島田事件、1955年松山事件である。
 死刑判決事件は、帝銀事件、三鷹事件、牟礼事件、藤本事件、名張事件、波崎事件、袴田事件、見崎事件、晴山事件、道庁爆破事件。
 無期懲役確定後再審無罪となったのが梅田事件、足利事件。
 無期懲役判決事件は丸正事件、狭山事件、日産サニー事件。
 有期懲役確定後再審無罪となったのが榎井村事件、弘前大学教授婦人殺し事件、徳島ラジオ商殺し事件。
 有期懲役判決事件は白鳥事件。
 無罪確定事件が幸浦事件、松川事件、二俣事件、木間ケ瀬事件、八海事件、仁保事件、山中事件。
 その他として、甲山事件。
 袴田事件は分類すれば、死刑判決確定後、再審無罪が確定した事件に加わる。

 冤罪事件について、目覚めたのは名張の毒ぶどう酒事件を描いた『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』を観たときからである。
 爾来、「えん罪・名張毒ぶどう酒事件・東京の会」のサポート会員となり、再審開始請求を支援してきた。
 映画を観る前でも、松川事件、免田事件。近年では布川事件、足利事件。さらに、大崎事件、日野町事件、豊川幼児殺人事件。三鷹事件、狭山事件、飯塚事件などメディアで取り上げられた事件のことは関心を持っていた。

 袴田事件に関しては、NHKが番組制作にあたり「雪冤」ということで、冤罪を晴らす、身の潔白を認めてもらうということで名づけられたタイトルだと思料するが、この言葉は知らなかったので勉強になった。
 袴田事件といえば、当事者は長年の拘禁状態と認知症も関係するのか、精神を蝕まれているようでお気の毒であるが、姉のひで子さんの闘志あふれる姿に人として敬意を表したくなった。
 同時に国家権力の犯罪ともいうべき冤罪事件の底の深さを考えさせられた。

 名張の毒ぶどう酒事件は、一審で無罪判決が言い渡された事件である。その判決が2審で死刑判決になってしまい、最高裁で死刑が確定し、再審開始請求も第10次と回数が増えるばかりである。
 袴田事件の姉ひで子さんに対し、名張では、妹の岡美代子さんが頑張っているが、高齢であり、再審開始請求が認められることが急がれる所以である。

 袴田事件で冤罪が晴れたことを喜ぶと同時に上述のとおり、これほど多くの冤罪事件が起きていること、しかも、再審開始がなかなか認められないところに国家権力を全く信用しない人々が増えるばかりである。

 政府を信用できない。国家権力が市民を守らないのではどうにもならない。

2024年11月22日

現代の女衒 ホスト借金女性狙い 風俗紹介

 SNSで勧誘した女性を風俗店に紹介したとして、警視庁は19日、東京都新宿区西新宿、職業不詳の容疑者(33)ら男5人を職業安定法違反(有害業務への職業紹介)容疑で逮捕したと発表した。容疑者の男を中心とする違法スカウトグループが、ホストクラブにツケ払いの借金を抱えた女性らを全国の風俗店計約350店にあっせんし、数億円の紹介料などを得たとみている。と11月19日の読売が伝えている。

 発表によると、5人は2022年7月〜2024年4月頃、X(旧ツイッター)で知り合った20〜30歳代の女性4人に対し、大分県別府市の風俗店での仕事を紹介した疑い。逮捕は18日。

 容疑者は、「アクセス」というスカウトグループのリーダーで、約160人のスカウトが、借金を抱えてXに「出稼ぎ希望」などと投稿している女性らに連絡を取っていた。

 
 「忘八」という言葉がある。 “仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳目を失った者という意味だという。
 教えてくれたのは、元公儀介錯人拝一刀と一子大五郎の冥府魔道の人生を描いたTVドラマ『子連れ狼』である。
 「忘八」という言葉が使われるのは、徳目を失った者ということで、廓で遊ぶ人、廓の楼主、人身売買で貧農など貧しい家庭の娘を買い、廓に売り渡す女衒のことなどを表現するときだ。
 所謂人でなし、人非人だと思えばいいのではないか。

 火付け盗賊改め方の長官鬼平こと長谷川平蔵の活躍を描いた池波正太郎『鬼平犯科帳』で、中村吉右衛門演ずる鬼平が無宿人たちのために寄せ場という寄宿舎と働く場として加役方人足寄せ場を設けている。

 無宿人とは現在でいえば、住所不定、無職ということで、現代の女衒である風俗へのスカウトたちも全員とは言わないまでも当てはまるのではないか。

 小学生の頃から、厳父の指示で畑仕事を手伝い、学校を卒業してから、社会人として働き、50代半ばを前に退職はしたものの、畑で有機無農薬で野菜作りをしている。
 だからか、無職の人間、働く意思のない人間、己は何も生み出さず、口先でカネ儲けする人間が嫌いだった。

 口入れやというのか、手配師というのか、はたまたスカウトという現代の女衒の類は好かない。
 そもそも、ホストクラブでつけで飲食させられ、借金まみれにするやり方が汚い。
 そんな借金は違法のはず。
 その借金のために、風俗に堕とすというやり方が女衒の手口だし、借金がどんどん増える仕組みの廓の楼主みたいなホストクラブの借金にしても公序良俗に反するものだ。

 この手の犯罪は後を絶たないはずだから、当局もきちんと目を光らせていてもらいたい。

2024年11月18日

園児に性犯罪 懲役14年 元保育士 立場悪用

 東京都内の二つの保育所で計7人の女児に性的暴行などをしたとして、不同意性交や強制わいせつなどの罪に問われた元保育士 被告(27)に対し、東京地裁は14日、懲役14年(求刑・懲役15年)の判決を言い渡した。メディアが伝えている。
 11月15日の読売によれば、室橋秀紀裁判長は「被害者が抵抗もできない未熟な年齢であることにつけこんだ卑劣極まりない犯行だ」と述べた。

 判決などによると、被告は2021年9月〜23年12月、勤務していた東京都板橋区と墨田区の認可保育所で、3〜6歳の女児7人に性的暴行などをしたり、その様子を動画撮影したりした。


 学校などで子どもを性犯罪から守る所謂日本版DBSが2026年度を目途に施行されるはずだ。
 性犯罪を繰り返す男を子どもと接する職に就かせないことで、子どもを性暴力から守るためだが、今回の保育士は初犯のようだから、女児を性犯罪から守るためには、学校や保育園などで、1対1にならないような配慮がなされることが求められる。
 保育園はスタッフの配置で、工夫すれば1対1になることを防ぐことはできないことではない。
 人手不足を理由にしてはならない。
 子どもを守るためだから全力で取り組む必要がある。

 犯罪被害者支援だから、被害者のことを第一に考えるが、事件が起きれば当然、加害者のことだって考える。

 捕まった保育士は27歳だというから、懲役14年ということになれば、出所する頃は40くらいになろうか。
 当然、捕まればこうなることはわかっていて、欲望に負けたということだとしても、彼にだって、家族がいるはずだから、家族のことを思えば踏みとどまれなかったのかと思う。

 犯罪の抑止力をもっと社会が考えていくべき時が来ているのではないか。

2024年11月12日

闇バイト応募 3週間で46件保護 

 首都圏などで相次ぐSNSの「闇バイト」を実行役にした強盗事件を巡り、警察庁は8日、闇バイトに応募した人に保護を呼びかける動画を同庁が公開した先月中旬以降、今月7日までの約3週間で、応募者やその家族を保護したケースが全国で46件に上ったと発表した。と11月8日の読売が伝えている。

 事件の多発を受け、同庁は先月18日以降、阿波拓洋・生活安全企画課長が2度にわたり、闇バイト募集の手口などを解説した動画を公開。脅迫を受けて闇バイトに加担しようとしている人たちに対し、「確実に保護する」「今すぐ引き返して」などと呼びかけた。

 警察庁は全国の警察に対し、相談者らを避難させたり、関係先のパトロールを強化したりするよう指示している。同庁の担当者は、「脅されても勇気を出して相談してほしい」と語った。

 動画は、警察庁の 公式ユーチューブチャンネル で視聴できる。

 11月9日の読売(後藤陵平、小松大樹記者)が夕刊で、「防犯『他人事でない』」「関連商品売り上げ3倍」「強化ガラス関心高まる」「『井戸端会議』有効」という見出しで、相次ぐ住宅強盗に対策を急ぐ市民の様子を伝えている。


 団塊の世代の一員で後期高齢者になってしまったから、長いこと生きてきた、否生かされてきたと自覚しているが、かくも体感治安が悪化した時代を知らない。
 穏やかに暮らしている家族が住む住宅に、深夜、強盗が侵入し、家人を傷つけ、結果死に至らしめる。カネを奪う。自宅にカネがないと家族を拉致、監禁する。
 荒っぽい手口は、池波正太郎『鬼平犯科帳』で描かれている盗賊でも「急ぎ働き」という凶悪犯罪そのものである。
 一番のワルが指示役、実行役などを使い、自らは安全地帯にいて悪事をさせる構図は、一番のワルを捕まえ獄門に処する必要がある。

 さて、実行役がSNSで集められ、応募した多くの若者が送ってしまった個人情報を基に脅迫され、凶悪犯罪に手を染めてしまうことから、警察庁は、応募してしまった者に対し、身の安全を保障し、引き返すことを呼びかける動画を作成したところ、わずか3週間で46件もの保護をすることになったというのだ。

 大ヒットした『ゴッドファーザー』でもマフィアの内情を裁判で証言しようとする男性がマフィアの側が親族を裁判所に連れてきたことで、証言を断念してしまうシーンが印象に残っている。

 本人ばかりか親族まで脅迫の対象とされてしまえば、引き返すには相当な勇気がいる。
 そこで、警察が身の安全を保障してくれれば、引き返すことは可能だから、動画を作成した効果はあった。

 強盗をやる前なら、人生どうにでもやり直せるが、強盗、しかも殺人、あるいは強盗致死ともなれば、理由はともかく、刑務所に長く収容されることになる。
 後悔してもどうにもならない。

 小説、映画、TVなどで描かれてきた脅迫、恐喝などの手口で、一度たりとも脅迫に屈したら、ずっと死ぬまで脅迫され続ける。

 脅迫されたとき、死ぬ気になれば、断ることができる。
 自分の手を汚さない人間の脅迫に対し、警察を頼った方が賢い。
 ワルイ奴こそ、警察に捕まるのを嫌がるからだ。

2024年11月05日

少年院から通信制高校へ 再犯防止・就職後押し

 少年院にいながら自習が基本の通信制高校に入学して学べるようにする取り組みが広がっている。法務省は今年度から、取り組みの対象を全国すべての少年院43か所に拡大。少年らに「学びの場」を提供して高校卒業につなげることで、少年院を出た後の再犯や再非行を防ぐ狙いがある。と10月30日の読売が伝えている。

 非行少年らに学習の機会を与える必要性は大きい。法務省によると、2022年に少年院に入った1332人のうち、2割が中学卒業、4割が高校中退だった。

 仕事や学びの場があることは、再犯や再非行を防ぐ上でカギになる。少年院を出た後の保護観察期間中に再び保護処分や刑事処分を受けた割合は、無職が30%だったのに対し、職を得ていた場合は14%、学生・生徒は12%にとどまった。

 紙面では、東京八王子市にある多摩少年院で通信制高校で学ぶ若者に取材し、「退学したことを後悔した。自分で学んで、人生を変えたい」と、2024年4月から通信制高校に入学、卒業後は専門学校へと希望をふくらませる様子が伝えられている。


 首都圏で凶悪な強盗、殺人、拉致監禁事件が連続して発生して治安が急速に悪化している。
 いずれも、首謀者が自らは安全地帯にいて、SNSで実行役を集め、指示役に命令して凶悪犯罪を次々と犯させている。
 SNSでの実行役の募集に応じた若者たちは、身上書を渡してしまい、これを脅しの道具にされ、犯行を断れなかったと捕まった実行犯が話している由。

 鬼平犯科帳の火付け盗賊改め方の長官長谷川平蔵によれば、急ぎ働きということで犯行の悪質さ、市民を恐怖に陥れた罪として、首謀者はもとより実行犯も含めて獄門ということにしなければならないが、生憎、罪刑法定主義で、刑法の規定では首謀者や指示役は死刑に処せても、実行犯まで全て死刑にすることは難しい。

 ということで、この種の犯罪を根絶やしにするのは難しいが、警察は一番のワル、首謀者を逮捕できなければ、犯罪は繰り返される。

 実行犯にさせられてしまう人間の愚かさについて、書いておきたい。
 
 SNSでの募集で、ホワイト案件、高額のバイト、短時間で稼げるなどと勧誘する手口に騙されるのは愚か者である。というのも、上手い話があった例がないだけでなく、あるはずがないからだ。
 大概の者は、生活が苦しかったから一攫千金ではないが、危ない橋を渡るかもしれないと思いつつ、ワルの誘いに乗ってしまったのだろう。
 しかし、強殺をやれば、まず、人生が終わりで、やり直しはできないくらいのことがわからなくてはどうにもならない。
 振り込め詐欺と強殺では刑罰が雲泥の差であることくらいわかるはずだ。

 犯罪者に少年も青年もあるわけはないが、少年法があるくらいだから、道を踏み外した少年のうち、本人に立ち直る意思があれば、社会が応援してやらなければならない。
 ために、通信制高校に行き、専門学校に行きということで、安定した職業に就けるようになれば、立ち直りの近道であることは言を俟たない。

2024年10月31日

桶川ストーカー殺人事件から25年 犯罪撲滅を願って講演  

 埼玉県桶川市で1999年10月、大学生猪野詩織さん=当時(21)=がストーカー被害の末に殺害された事件から26日で25年となった。
 ストーカー被害の撲滅に向けて講演を続ける父憲一さん(74)は「一日一日が過ぎ去っていくことに変わりはないが、詩織の思いは私が引き継いでいく」と語る。と10月26日のJIJI・COMが伝えている。

 詩織さんは元交際相手の男らから半年以上にわたってストーカー行為を受け、自宅周辺には数百枚の中傷ビラが張られるなどした。名誉毀損(きそん)容疑で県警上尾署に告訴したものの、担当警察官は調書を「届け出」に改ざんした上、取り下げを要請。ほとんど放置されている間に、刺殺された。

 母京子さん(74)は2000年に結成された「全国犯罪被害者の会(あすの会)」(解散)に参加。切実な訴えは犯罪被害者基本法の制定や、刑事裁判への被害者参加制度導入につながった。

 22年に発足した「新あすの会」にも所属し、犯罪被害者の相談窓口となる「犯罪被害者庁」設立に向けて動いている。京子さんは「相談窓口ができると被害者も気持ち的に楽になる。犯罪被害者や遺族は、警察にとっての証拠品ではない」と語気を強める。

 憲一さんは事件の約半年後からストーカー被害に関する講演を始め、これまでに40都道府県で約120回に上った。
 7年ほど前からは警察学校などでも講演するように。12都府県警で自らの経験を語り、「最後のとりではあなたたち。被害者を出さないよう頑張ってくださいね」と語り掛けている。


 10月31日、今朝のNHKのTVで憲一さんの京都府警での講演が紹介されていた。
 偶々であるが、京子さんの講演を聴いたことがある。犯罪被害者支援を訴える立場から、この事件に関しては、上尾警察署の警察官の職務放棄ともいうべき警察官にあるまじき対応で、被害者が殺害されたと言っても過言ではない。

 どういう経緯があったかわからないが、上尾警察署の警察官の対応を厳しく批判してきた憲一さんに講演を依頼してきた警察の関係者は自分たちの使命が何であるかわかっている。
 警察官の使命は、何と言っても治安の維持、防犯である。

 現在、自分は捕まらない、手を汚さないという本当の意味でのワルによる指示で動く実行犯による強盗殺人、拉致監禁事件が起きている。
 実行犯はSNSで集めらられ、愚か者が犯罪に加担させられている事件が頻発し、首都圏の治安が悪化している。
 ここで、重要なのは、警察官は市民の命を守らなければならないということ。
 桶川事件に目を転ずれば、被害者を守る気持ちが担当警察官に全くなかったことが重要な問題であった。

 警察官の職務、使命がわからない警察官が対応したことが抑々殺人事件を引き起こしたのではなかったか。

 遺族ご夫妻が団塊の世代の一員である自分とほぼ同世代で大学生だった被害者が事件から25年経てば、孫も大きくなっていたかもしれない世代となっていたはずだ。

 悪いのは加害者兄弟であることは間違いないが、警察官が親身になって相談に乗ってくれていれば、遺族の怒り、嘆きも違ったものになっていたのではなかったか。

 国家権力の代行者である警察官は被害者遺族の話を聴き、犯罪被害者にもっと寄り添ってもらいたい。 

2024年10月29日

福井中3殺害 再審決定 証言うその疑い

 福井市で1986年に起きた女子中学生殺害事件を巡り、殺人罪で懲役7年が確定し、服役した前川彰司さん(59)の第2次再審請求審で、名古屋高裁金沢支部(山田耕司裁判長)は23日、再審開始を認める決定を出した。有罪の根拠となった目撃証言について「警察が不当な働きかけを行い、うその証言が形成された疑いが 払拭できない」と判断した。とメディアが伝えている。

 10月24日の読売によれば、前川さんは87年3月の逮捕後、一貫して否認。前川さんが殺害したことを示す直接的な証拠はなく、「事件後に着衣に血の付いた前川さんを見た」などとする知人6人の証言が有罪の根拠となった。第2次再審請求審では、6人のうち1人が「本当は前川さんを見ていない」と説明を覆し、弁護団は「無罪を言い渡すべき新証拠」と主張した。

 この日の決定は、今回の再審請求審で検察から開示された証拠287点のうち、テレビ番組に関する捜査報告書に着目した。

 この知人が確定審で「事件の日に見ていた」と述べた番組について、実際はその日に放送されていなかったことを踏まえ、「警察の誘導により、ありもしない体験を述べた供述が作り出された」と指摘。説明を覆した今回の再審請求審の証言と、捜査報告書を新証拠に位置付け、目撃証言の信用性を否定した。

 決定は、検察が確定審段階から捜査報告書の存在を把握していたのに明らかにしなかったとし、「罪深い不正行為だ」と非難。確定判決についても「虚偽供述の危険性をいいかげんに扱ったと批判されてもやむを得ない」と述べた。

 前川さんは確定審の福井地裁で無罪とされたが、高裁金沢支部で逆転有罪となった。心神耗弱状態で懲役7年とされ、97年に最高裁で確定した。服役後の第1次再審請求で、2011年に再審開始決定が出たが、その後、取り消され、22年、有罪とした同支部に第2次再審請求を申し立てていた。


 名張の毒ぶどう酒事件で冤罪を訴え、再審請求中に八王子市の医療刑務所で病死した奥西勝さんの再審請求を妹の岡美代子さんが引き継いでいる。
 しかし、再審開始は認めらず、今日に至る。
 「えん罪・名張毒ぶどう酒事件・東京の会」のサポート会員となって、再審開始が認められるように応援している立場としては、国家権力の代行者である検察、検事と裁判所の判事が真実の追求をしない人たちであるか世間に知れ渡っている。

 というのも、袴田事件の再審が認められ、結果、袴田さんの無罪が確定したばかりで、有無を言わせぬ証拠がなく、自白に頼ったり、状況証拠に頼った過去の、それも少し前の事件では、かなり冤罪が起きていることが証明されているからだ。

 読売は10月24日のスキャナーで「開示証拠 決め手」「捜査報告書 証言と矛盾」「把握しながら立証 検察を非難」「証拠隠せぬルールを」「制度見直し議論 影響も」という見出しで、開示させた証拠が再審開始の決め手となったことについて詳しく伝えている。

 10月29日の朝のマイあさラジオでは、福岡の飯塚事件の再審開始請求に関し、証拠を開示するようにということが求められたと伝えていた。

 警察は平気で証拠を隠すし、それを知っていながら検察は立証してしまう。ここに冤罪ができる構図がある。

 裁判所は名張事件では一審で無罪を言い渡しているし、福井事件でも一審無罪が言い渡されているように疑わしきは罰せずという裁判の原則に基づき、無罪判決を言い渡した裁判官もいる。

 名張事件では一審無罪が高裁で死刑判決となってしまったことを考えれば、誰でもが納得できる証拠がなければならない。そんな証拠はないが、あっても、警察、検察は証拠を開示してこなかった。
 自分たちが不利になるからだ。

 大阪の検察のトップだッた検事正が部下の検事の女性に性的暴行をし、「お前は俺の女だ」と言ったと伝えられている。

 検察のトップが部下の検事の女性に性的暴行する前、大阪の検察では証拠の捏造が行われた。

 これでは、警察、検察を信用できない。
 日本の司法、警察、検察は証拠に基づいて容疑者を逮捕すべきで、被疑者とするなら、その証拠の裏付けを取り、裁判では証拠を開示すべきだ。

 衆議院議員選挙と最高裁判所の裁判官の国民審査があったが、名張の毒ぶどう酒事件の再審を認めなかった人に✕をつけたことを書いておく。

2024年10月27日

被害者記者会見 元検事正 部下への性的暴行認める

 酒に酔って抵抗できない状態だった部下の女性検事に性的暴行を加えたとして、準強制性交罪に問われた元大阪地検検事正の被告(65)の初公判が25日、大阪地裁であった。元検事正の被告は起訴事実を認め、「被害者に深刻な被害を与えたことを深く反省し、謝罪したい」と述べた。とメディアが伝えている。

 10月26日の読売によれば、女性はこの日、被害者参加制度を利用して出廷。検察官席の近くに座り、元検事正の被告らから見えないよう、周りについたてが設置された。

 閉廷後、女性検事が大阪市内で記者会見し「被害から6年間、ずっと苦しんできた。犯罪者を処罰する検察庁のトップから被害を受け、全てを奪われた」と涙を流した。

 検察幹部に被害を申告したのは2024年2月。女性は会見で「被告から『他の検察職員に迷惑がかかる。公にすれば死ぬ』と脅され、申告できなかった」と打ち明けた。

 「女性として、検事としての尊厳を踏みにじられ、身も心もぼろぼろにされた」と強調。会見を開いた理由については「声を上げられない被害者はたくさんいる。私の経験を話すことで過酷な実態を正しく知ってもらい、性犯罪を撲滅したい」と話した。

 一方、女性は、副検事が元検事正の被告側に今回の事件の捜査情報を漏えいするなどしたとも訴え、10月1日、副検事を国家公務員法違反などの疑いで大阪高検に刑事告訴・告発したことも明らかにした。

 女性は、「検事正から性被害を受け、副検事から名誉 毀損の被害を受けているにもかかわらず、検察庁からは謝罪もなく、非常に孤立させられた」とし、「検察庁には、適正に処罰をしていただきたい」と訴えた。

 
 語り継ぐ戦争で、日本が戦争へと突き進む軍国主義が台頭したのは、5・15,2・26という軍人によるクーデター未遂事件だとされている。
 自分たちだけ武装している軍人には誰も勝てないから、政治家も次第に黙してしまうことになるのだ。
 高倉健の『動乱』で、青年将校の部下たちが、田舎の貧しい農村では娘たちの身売りが続き、貧富の格差が広がる政治に怒り立ち上がったことを知った。
 売られた娘たちは遊廓で女郎として、楼主に搾取されながら、逃げ出すこともできず、死ねば投げ込み寺と呼ばれた浄閑寺などに投げ捨てられた。

 このことを知ってから、浄閑寺にある新吉原総霊塔に行き、女郎と呼ばれた女性たちの供養をすることを始めた。
 同時に、女性に対する性暴力を糾弾することも発信するようになっていく。

 もともと、「自由のために」活動することを旨としてきたので、人身売買、性暴力共に女性の自由と尊厳が奪われることだから、当然、反対する立場に立つ。

 元検事正といえば、検察のトップで国家権力の代行を続けてきたから、勘違いして、自分が何をしても捕まらないと思ったということもなかったとは言わない。

 しかし、犯罪被害者支援を訴えてきた立場だから、男は女性に誰でも性暴力をすると思うのは大きな間違いで、性暴力をする男は魔がさしてやったというのではなく、常習者がほとんどで、性暴力志向が強かったとみている。

 元検事正の家族構成は知らないが、伴侶や娘がいたら、自分の夫、自分の父がしかも、社会的地位にある立場にありながら、部下の女性に性暴力をして捕まったとなれば、恥ずかしくて、知った人には会いたくないだろう。

 それだけに、被害者女性が職場の上下関係からすれば、泣き寝入りさせられてしまいそうだが、毅然として告発し、記者会見で、権力者の性暴力を糾弾したのだから、振り絞った勇気、これは応援しないわけにはいかない。

 元自衛官の五ノ井里奈さんの告発が何と言っても大きな影響を与えたのではないかと推察する。
 自衛隊と検察、国家そのものもみたいな組織で、性暴力、性的暴行の被害を受けたら、なかなか告発することができず、泣き寝入りということが多かったはずだ。

 時代は明らかに変わったのだ。
 人は見ただけでは性暴力をするかどうかわからない。
 少なくとも、酒席で無理に酒を飲ませるのは、魂胆があると考え、女性も積極的自衛する必要がある。

2024年10月23日

危険運転適用外 納得できない遺族 広がる署名

 飲酒運転や大幅な速度超過による死亡事故に対し、危険運転致死傷罪を適用する厳罰を求め、各地で署名運動が展開されている。と10月19日の読売(日野響子、古賀章太郎記者)が夕刊で伝えている。
 2024年5月、群馬県伊勢崎市で飲酒運転のトラックに追突され、夫や2歳の息子ら3人を失った遺族が「過失では済まされない」と署名活動に立ち上がった。

 危険運転の適用はハードルが高く、飲酒の影響で正常な運転が困難な状態だったか、慎重に判断されるため、明らかに事故を起こす予見性が高く、「過失で済まされることか」と納得できない遺族が署名活動を展開しているというわけ。

 2021年、大分県で発生した時速194キロの車による死亡事故。
 過失運転から危険運転へと検察の判断が変更されたこの事故などをきっかけに全国の遺族などによる被害者の会が立ち上がっている。

 伊勢崎の事故で、その後、地検は危険運転を適用する方針を決め、15日に前橋地裁も訴因変更を認めている。

 危険運転については、適用要件を見直すための議論が有識者検討会で行われている。
 危険運転致死傷の法定刑の上限は懲役20年。運転ミスに適用される過失運転致死傷は7年だから差がありすぎるということで「中間的な法定刑が必要だという識者の意見もある。


 犯罪をわかりやすく説明すると、殺人、強盗、不同意性交などは刑法が適用され裁かれる。
 対して、自動車の運転中に事故を起こせば原則的に過失ということで、道路交通法などが適用され、刑事事件における犯罪とは別の扱いとなる。
 大きく分けて、故意か過失かが問われることになる。
 同じ交通事故でも、あおり運転や飲酒、大幅な制限速度超過などの場合は、事故が予見できることから、単なる過失とは認められないというのが遺族の言い分である。

 検察の裁判所への訴因についても、現在、道路交通法のひき逃げから刑法の殺人罪への見直しが遺族から求められている事件がある。 
 2022年6月29日、大分の別府で起きた自動車によるバイクひき逃げ事件で逃亡中の加害者は、故意、殺意があって自動車でバイクに衝突させ、被害者を殺害しているにもかかわらず、道路交通法によるひき逃げとして指名手配されているが、懸賞金がつけられているほどの加害者はワルで再び殺人事件を起こす恐れがあることから、遺族は検察に対し、訴因を殺人罪とし、時効で逃げ得にならないように求めている。

 訴因の変更は当然できるはずだが、過失が対象である道路交通法と悪質な危険運転致死傷罪が対象で、刑罰が大きく異なるため、中間的な法定刑を設け、適用をもっと広く認めるようにするかになりそうだ。

 東名高速道路であおり運転を繰り返し、挙句走行車線上に停止させ、明らかに事故を誘因する原因を使った男のときも、危険運転とは運転中のことを指すので、停止中は危険運転ではないなどと言葉遊びみたいなことを言っていた識者がいたが、危険運転の構成要件として、事故を予見させる制限速度超過、飲酒、あおり運転は一様に危険運転であるという統一見解を出せば済むことではないか。

 車に乗ったら運転者は交通事故を起こさないということが大前提であるはずだ。
 法律の解釈も含め、被害者に寄り添ったものしていく必要があるはずだ。

2024年10月03日

再審無罪 証拠開示 ルール化必要

 「袴田さん再審無罪 評価は」というテーマで9月30日の読売が解説の紙面に「論点スペシャル」で3氏に聞いている。
 元東京高裁部総括判事門野博さん、米ハワイ大学教授デイビッド・ジョンソンさん、元最高検次長検事伊藤鉄男さんが「証拠開示 ルール化必要」、「過ち認め 検証する姿勢」、「判決の当否 冷静に分析」とそれぞれの立場から論じられている。

 大いに参考になったのが布川事件などの再審に関わった門野さんだった。
 冤罪を防ぐうえで証拠開示は極めて重要だが、裁判官の意識が高いとはいえない。証拠は捜査機関だけでなく、容疑者や被告、ひいては国民のためにあることを再認識する必要がある。
 冤罪事件が起きるたびに浮かんでは消える再審制度改正の議論を、今度こそ実現に向けて本格化させるべきだ。
 再審での証拠開示のルール化が不可欠であることに加え、長期化の要因である検察官の不服申し立て禁止や、審理期間など手続きの明確化も必要だ。
 裁判所においても職責を全うするために、最新心理のあり方について、現場の裁判官の意見をくみ上げ、運用の改善に生かしていくべきだろう。
 「冤罪被害者の救済」を目的とした再審制度を絵に描いた餅にしてはならない。


 「名張の毒ぶどう酒事件」で無実を訴え再審請求を繰り返していた奥西勝さんが、八王子の医療刑務所で亡くなった後、妹の岡美代子さんが遺志を引き継ぎ、再審請求をを続けている。
 再審請求を支援する会のサポーターの一員だから、再審が認められるように願ってきた。
 
 再審請求を認めない裁判所の裁判官は普段の仕事で忙しいから、再審請求は余計な仕事だと思っているのではないか。
 まして、奥西勝さんは八王子の医療刑務所で亡くなっていることだし、自分の成績に役立つというわけでもないからだ。

 再審請求を応援してきた立場だから、再審請求裁判にも関わった著名な裁判官だった門野博さんの名前は知っていたし、発言の内容は、袴田さんの再審無罪の判決を出した裁判官のことを評価している内容だったから、裁判官関係者にも良心的な人物はいたのだと嬉しくなってしまった。

 冤罪が続くと、わが国の警察、検察そして裁判官を信用、信頼できなくなってしまう。
 しかも、メンツというか自分たちの非を認めようとはしてこなかった。
 人間がやることだから、当然、間違いはある。裁判では間違いがあっては困るが、仮に間違いがあったら、素直に認め、改めることが間違えることよりも重要である。

 冤罪事件は、真犯人を跋扈させるばかりか、容疑者、被疑者の人生を棒に振らせることになる。

 何としても、再審のルールを確立し、冤罪事件をなくすようにしなければならない。

2024年10月02日

少年院の葡萄 寄り添う誰かと共に

 「少年院でブドウを育てた少年たち…外の世界で「寄り添う人」との出会いを願いたい」という趣旨の記事が9月29日の読売の「広角 多角」というタイトルで(石浜友里記者)掲載されていた。

 犯罪被害者支援を訴えてきたが、究極の犯罪被害者支援は出所者や出院者の更生だと気づかされて、彼ら、彼女らの支援を呼びかけてきた。

 2年前というから2022年の春、茨城県牛久市の少年院、「茨城農芸学院」で少年たちがブドウの苗を植える様子を取材した。
 そのうちの18歳の少年に話を聞くと、詐欺に加担し、保護観察処分を受けるも、その間に万引きをして少年院に入っていた。
 ブドウを育てる意味が分からなかった記者はこの取り組みに懐疑的であったという。
 「水や栄養をあげた分、ブドウは成長する。自分も努力した分、成長できるのかなと思って…」と照れ臭そうに話した。
 記者は子どもの頃、愛読していた有島武郎『一房の葡萄』(岩波文庫)の主人公が友達の絵の具を盗み、女教師に諭されたとき、窓からブドウをもぎ取って主人公の膝の上に置いて女教師が去って行ったシーンを思い出した。

 元少年院院長に取材すると「少年院は優しい人たち、少年の味方しかいない」が、社会に出るとそうはいかない。
 「そばで寄り添う人の存在が絶対に必要だ」と出院後の支援者が不可欠であることを訴えた。

 本の主人公に寄り添ってくれた女性教師のその後の不在を描いて物語は閉じられたが、現実には、ブドウを育てていた少年が出院後、寄り添ってくれる誰かに出会えたであろうか。と結ぶ。


 子どもの頃読んだ本に描かれていた光景と今、職業柄、取材した少年院での出来事を対比させ、少年の更生を願う気持ちがよく描かれていて、心が温まった。
 欲を言えば、更生を祈るだけでなく、一歩前に進め、少年のその後も取材することと、寄り添う誰かなんて簡単には見つからないから、手助けするくらいの気持ちがあればなお嬉しい。
 ただ、記者の仕事は伝えることで、支援するのは仕事ではないことは承知の上のことだ。

 犯罪被害者支援を訴え、出所者の更生を願っている自分は、受刑者が所内での作業で携わった製品を買い求めて支援してきたので、ふだん、持ち歩いている布製の手提げなどは受刑者の作品であることも付言しておきたい。

 人にはそれぞれ立ち位置があり、己の立ち位置でできることをやるというのが自分のスタイルというか流儀である。

 闇バイトの仕業かなどと報道されているが、東京国分寺などで住宅に押し入り、家人に暴力を加え、金品を強奪する所謂急ぎ働き犯が横行し、一部は捕まっている。捕まえたら、みせしめのために死刑、それも、鬼平の時代のように貼り付け、獄門にすべきだという意見もあるだろう。

 実行犯は悪いが、彼らを操っている人間こそワルだから、このワルを捕まえて厳しく処罰しなければ犯罪は減らせない。

 少年は、犯した罪によって、更生は十分にできるはずだから、何としても更生させたい。
 
 ブドウを育てることは、出院者にとっての仕事として十分に考えられることだ。
 農業に従事することは更生に役立つはずである。
 是非とも、ブドウを育てた何人かは農業の道に進んでほしいと願う。

2024年09月27日

袴田事件再審無罪で真犯人はどこに

 1966(昭和41)年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は26日、無罪判決を言い渡した。地裁は証拠について「捜査機関による3件の捏造がある」と認めた。とメディアが伝えている。

 静岡県一家4人殺害事件の再審判決で、袴田巌さん(88)に26日、無罪(求刑・死刑)が言い渡された。
1963(昭和38)年に狭山市で女子高校生(当時16歳)が殺害された「狭山事件」で無期懲役となり、現在は仮釈放中で再審請求をしている石川一雄さん(85)も、喜びをかみしめた。と9月27日の読売(宮川徹也記者)が伝えている。

 石川さんは1審・浦和地裁で死刑判決を受け、控訴審で無期懲役が確定したが、今も無罪を訴え続けている。袴田さんとは東京拘置所で約6年間一緒に過ごし、「イワちゃん」「カズちゃん」と呼び合って互いを励ました仲だった。


 再審請求といえば、無実を訴えながら、再審請求中に八王子の医療刑務所で亡くなった奥西勝さんの名張の毒ブドウ酒事件に関わりがある。
 妹の岡さんが再審請求裁判を引き継いでいて、今も、再審請求中であるが、支援する会のサポーターになっているからだ。

 袴田さんは再審請求が認められ、再審で無罪が言い渡され、検察が控訴しなければ無罪が確定する。
 それにつけても、本人が無罪となったことさえわからない状態ではいくら何でも遅すぎる。
 さらに、検察、国家権力が冤罪を認めなかったことで、真犯人を捕まえることができなかったことはもっと悔やまれる。
 袴田事件の真犯人は不特定多数の人間の中で、じっと身を潜めているが、仮に名張事件で再審無罪となれば、狭い村内のことだけに、真犯人を探すことになるわけで、疑心暗鬼ということになってしまう。

 冤罪事件と北朝鮮による拉致事件の二つの事件は、直接関係はないが、国家というものを考えさせられる。
 無実の人間を死刑囚として、長期間拘束し、その人の持ち時間のほとんどを国家が奪ってしまう冤罪事件。
 日本にいて、北朝鮮の工作員に拉致され、その人の持ち時間を不本意にも北朝鮮で暮らすことを強制されるか、不都合になれば殺害されてしまうかもしれない拉致被害者。

 日本人だから、本来、国家に守ってもらえるはずが、守ってもらえるどころか、拘禁され、あるいは拉致されたまま、帰国の願いが叶わない。

 親を選べず、当然、生家も、住む土地も、生きている時代さえも選べないし、生まれた国も選べないが、北朝鮮に生まれず、自分が日本で生まれ育ったことは佳かったと思う反面、その日本から拉致され、北朝鮮に連れていかれた拉致被害者たち。
 
 無実の罪で死刑囚にされることとは比較にならないが、どこか変だと思わないか。

 国家権力って、信用できないなというのが袴田事件の正直な感想である。

2024年09月15日

日本版DBSスタートの前に

「日本版DBS課題は」をテーマに9月5日の読売が解説の紙面で「論点スペシャル」として3者に聞いている。

 子ども家庭庁初代担当大臣小倉将信さん、全国学習塾協会会長安藤大作さん、そして、英国DBS最高責任者エリック・ロビンソンさんで、「性被害防止 ミスなく運用」「塾の対策限界 制度に期待」「必要な仕組み 国民が認識」という見出しでそれぞれの立場からの経緯や課題、英国の先行事例などが論点となっていて、興味深かった。

 子どもを性暴力から守るため、過去に性犯罪を起こした人を子どもと接する職場から遠ざける制度DBS(前歴開示・前歴者就業制限機構)を2012年に創設している英国の実情について、書いておきたい。

 DBSは年間約750万件の証明書を発行している。チェック対象の職種は拡大し、教師のほか、子どもと接する医師や警備員、タクシー運転手、スポーツのコーチなども含まれるようになった。
 ここまで対策が進んだのは子どもへの犯罪を防ぐためには必要な仕組みだという認識が国民の間で広く共有されているからだ。
 制度に大きな影響を与えた事件がある。
 02年に2人の少女が学校用務員の男に殺害された「ゾーハム事件」だ。
 男には有罪歴はなかったが、警察や以前の雇用主は、男の行動にリスクがあることを把握していた。
 このことが大きな社会問題化した。
 DBSには犯罪への関与が疑われる機微情報も警察から提供される仕組みになっている。
 性犯罪以外にも殺人や誘拐など重大な犯罪歴が含まれ、社会的弱者も保護の対象となる。
 個人情報を共有されたくないという人権擁護意識よりも、子どもや社会的弱者の安全を優先すべきだという意識が国民に根強いのだろう。
 国民を守るために必要な制度だという認識を持つことが欠かせない。
 中西梓記者が伝えてくれたものの以上が概要である。


 仙台女児連続性的暴行事件で捕まった男が、無期懲役で刑務所に入っているが、詐病、精神がおかしくなったように看守に見せかけ、看守がいないとき、何とか刑務所から出て、また小学生の女児に性的暴行をしたいとひとりごとをしゃっべていた。と同房の男性が出所して証言しているのを読んだことがある。(詳しいことは失念したので、ツールがネットだったか覚えていない)

 子どもと接する職業に就くどころか、出所させたら絶対性犯罪を繰り返すことが明白な事例である。
 人間は道を踏み外すことはある。
 犯罪に手を染めてしまうことだってないとは言い切れない。
 しかし、性犯罪、それも、子どもを狙った犯罪は、道を踏み外すというような次元のことではなく、持って生まれた犯罪気質で、治るものではないから、子どもと接する職業から遠ざけるのは当然のことだ。

 英国のDBSのことを教えてくれたことを読売の記者に感謝である。

 流石、英国だけあって、先進的であり、真似して日本版DBSをさらによいものにしていく必要がある。

 子どもを性犯罪から守るためだけでなく、社会的弱者も守っていくという点が進んでいる。
 性犯罪者にGPSをつけるのと同じようにDBSは効果が期待できそうだ。

 どうも、子どもを狙う犯罪は許せない。
 何としても、子どもと接する仕事には就かせたくない。

2024年09月10日

罪と赦し 協力雇用主が支える出所者の暮し

 NHK ETV特集 「罪と赦し 〜出所者たちの記録〜」を視聴することができたので、犯罪被害者支援の立場から書いておく。
 
 「栃木県にある建設会社。従業員の8割が刑務所を出所した人や元暴力団員だ。現場でのトラブル、仲間とのケンカ、逃亡…「よその会社じゃクビだぞ!」社長の廣瀬伸恵さんは、それでも人生のやり直しを支え続ける。
 刑法犯の再犯者率が、50%近い日本。再犯を防ぐために国は、民間の雇用主を頼る。廣瀬さん自身も、かつて服役した元暴走族総長だった。罪と向き合い、新たな一歩を踏み出すために必要なこと。1年の記録から見つめる。」と㏋にあった。


 栃木県で建設人材サポート会社大伸ワークサポートを経営する廣瀬伸恵さん。
 「わたしは決して見捨てたり、見放したりしません。私自身もやり直すことができたのだから、人は誰かの支えで必ずやり直すことができる」と取材に応える。

 龍谷大学浜井浩一教授は「再犯させないために出所者を孤立させてはいけない。」出所者を支える人の存在が重要であると語っている。

 幸いにも、自分は刑務所に入所したことはないが、病気治療を理由に連れ合いに頼み込んで、50代半ばを目前に退職したことで自由を手に入れることができた。
 学生時代、全共闘世代だったことから、卒論も書かず、ロックアウトというのか、大学に行ったと大きな声で言えないことを恥じていたので、通教ではあるが、入学し、卒論も書いて一応、学卒の真似事をし、犯罪被害者支援を訴え発信することにした。

 卒論で口頭試問を担当していただいた教授がその道の専門家だったことから、究極の犯罪被害者支援は出所者の更生だと気づき、出所者の更生にも力を入れ、受刑者の製品の販売会では積極的に買い求め、使うようにしてきた。

 協力雇用主である廣瀬伸恵さんは自身が出所者で、立ち直ったことをきっかけに出所者を支える側に立ち、会社を設立し、出所者を積極的に雇用してきた。

 協力雇用主とは異なる立場であるが、元山口組の幹部だった竹垣悟さんが堅気になって、組を抜ける人や出所者の更生の仕事をしているとのことで、YOUTUBEチャンネルを開設している。
 元その筋の人間でも、現在堅気で、しかも更生の仕事をしているということで、竹垣悟さんを応援しているが、視聴していると顔が怖いので、こういう人でないと更生の仕事は難しそうだ。

 しかし、出所者の立場から見れば、自分を支えてくれる人だから、普通の人間なら支えてくれる人を裏切るなんてことはできないはずだが、何しろ、出所者のことだから、裏切りもやらないとは言い切れない。

 更生させるには、孤立させないことが一番で、できれば、一緒になって、支え合えるパートナーが見つかれば、更生その確率はさらに高くなる。
 
 社会としては、更生してもらうことが一番で、きちんと働き、税金も納められるようになればいうことなしだ。

2024年08月12日

プレサンス事件 取り調べ検事 刑事裁判へ

 大阪地検特捜部が手がけた業務上横領事件で違法な取り調べをしたとして、大阪高裁は8日、担当だった田渕大輔検事(52)を特別公務員暴行陵虐罪に問う刑事裁判を開く決定をした。不動産開発会社「プレサンスコーポレーション」元社長(無罪確定)が刑事裁判にかけるよう付審判請求していた。村越一浩裁判長は「威圧的、侮辱的な言動を続け、不法だ」と指摘した。と8月9日の読売が伝えている。

 検察官が付審判決定を受け、裁判で被告になるのは初めて。今後、裁判所が検察官役の弁護士を指定し、大阪地裁で公判が開かれる。

 田渕検事は2019年12月8日、山岸忍・元社長(61)の部下だった元部長の取り調べで机をたたいて「検察なめんなよ」と述べ、翌9日にも「あなたはプレサンスの評判をおとしめた大罪人」などと発言。元部長は山岸氏の関与を認めた。特捜部は山岸氏を逮捕したが、21年10月の地裁判決は元部長供述の信用性を否定し、山岸氏を無罪とした。


 ヒロシマ、ナガサキで原爆犠牲者の慰霊をするニュースに関連した語り継ぐ戦争を本日はお休みし、生きている人間にとって、尊厳を尊重せず、人格攻撃をしたという国家権力の代理人である検察の取り調べを担当した検事を特別公務員暴行陵虐罪で裁くと大阪高裁が決定したというニュースについて取り上げておく。

 まもなくあの8月15日がやってくる。
 あれから79年、日本が戦争に敗れて心の底から喜んでいる自分としては、あの日、8月15日で、それまで奪われてしまっていた「自由」を取り戻すことができたから、今度こそ、自由を奪われるようなことがないようにと強く願ってきた。

 「自由」を奪われる筆頭が戦争であり、犯罪である。
 ただし、犯罪の場合、被害者になればと考えがちであるが、実は加害者になったらなったで自由を奪われる。
 加害者なれば、仕方のないことである。
 ところが、警察、検察から嫌疑を受け、捕まると、自由を奪われるだけでなく、人としての尊厳を奪われ、屈辱的な取り調べをされることがあるという例が大阪地検特捜部の取り調べ担当検事によって起きた。

 検事は勘違いする人が多いが、国家権力の担い手、代理人にしか過ぎないにもかかわらず、偉そうに自分が正義だなどと思い込む。

 ストーリーを作り、取り調べで、その線に沿って誘導するなんてことを平気でやる。
 佳くないのは、検察で取り調べ問題を深刻に受け止めていないことである。
 取り調べの可視化が取り入れられてきたし、威圧的、不法な取り調べは許されないことを肝に命じ、検事は容疑者と対峙する必要がある。

 検察は高裁の今回の決定を警鐘を鳴らされたと判断し、事件を看過してはならないと(読売林信登記者)言う指摘を全く無視してきた結果が冤罪事件の多発となっている。

 自民党裏金議員に対しては、政治資金規正法に反する行為であるが、全く捕まえようとはしない。
 弱い者いじめばかりし、権力に対して、同じ権力を持っているにもかかわらず、その権力を行使しようとはしない。」
 検察は腐りきっている。
 悪い奴を捕まえるのが検察の仕事ではないか。
 組織として、検察を改革しなければ、日本はダメになってしまう。

2024年08月04日

公設秘書の給与を国から詐取した弁護士の議員

 広瀬めぐみ参院議員(58)=自民党離党=の秘書給与を巡る詐欺事件で、広瀬氏の公設第1秘書が東京地検特捜部の任意の調べに対し、第2秘書の給与を「広瀬氏の指示を受けて上納していた」などとする趣旨の供述をしていることが2日、関係者への取材で分かった。特捜部は、秘書給与の詐取を広瀬氏が主導していた可能性があるとみているもようだ。とメディアが伝えている。

 産経などによれば、関係者によると、広瀬氏は第1秘書の妻を第2秘書として国に申請。令和4年末〜5年夏、第2秘書の口座に月数十万円が国から支給された。その大半は、第1秘書が現金で広瀬氏に渡していたといい、賞与を含め、総額は約400万円に上るとみられる。


 広瀬議員は弁護士資格を持っているそうだが、法令遵守、倫理感などは全く持ち合わせていないようだ。
 赤いベンツで外国人男性とホテルで不倫していることを文春砲だったかがさく裂したことがあった。
 家庭がありながら、赤いベンツで不倫ということで、その裏側では公設第2秘書の給与を国から詐取していたというのだから、弁護士資格はともかく、議員の資質に欠けるとしか思えない。
 岩手県選出だということで、東日本大震災のときは、少なからず被災地の皆さんには応援してきた証拠に福島の酒を購入したりしてきた。
 こんな議員を選出するなら、岩手に何かあっても応援しようという気持ちにならない。

 ただし、家宅捜索をした東京地検特捜部のやり方については、納得がいかない。
 自民党安倍派を主とした裏金議員については政治資金規正法に反するにもかかわらず、お咎めなしということで、日本国憲法の法の下の平等ということが守られていない。

 謂わば、検察は弱い者いじめが得意で、国家権力側にメスを入れることなんてはなからやる気がないことが証明された。

 秘書給与を詐取し、赤いベンツで不倫している自民党女議員なんて味方してやることは全く考えられないが、自民党裏金議員と一緒に早く捕まえるべきではないのか。

 許せない犯罪である。