2025年04月03日

ワンストップ支援センター 苦しい運営で自治体が支援

 31日にフジテレビの第三者委員会の調査結果が公表され、タレントの女子アナに対する性暴力が業務の延長線上にあったことだと認定された。結果的に組織ぐるみの性暴力事件であり、性暴力事件を起こしたタレントに対し、刑事事件で告発されていないことが間違った対応だったことを認める内容となっていた。

 被害者の女子アナをはじめ性暴力被害者の救援ということで、俄かに注目されているのが「ワンストップ支援センター」であり、しかも、センターの運営が苦しいことがわかった。
 
 全国にある性暴力被害者の救援拠点「ワンストップ支援センター」の先駆けとなった大阪の拠点に対し、大阪府が新年度から支援強化に乗り出す。人手や資金の確保が困難になり、存続の危機に直面したためだ。公的な援助はあるが、各地の拠点も苦しい運営を強いられており、どこでも等しく支援が受けられる体制を整えるには国などの更なる後押しが求められている。と3月29日の読売(岡田優香、島香奈恵記者)が解説の紙面で伝えている。

 性暴力被害者の心身の負担を抑えるため、包括的な支援を1か所で提供する救援拠点が「ワンストップ支援センター」である。医師が診察し、警察や弁護士、カウンセラーらにもつなぐ。
 大阪の拠点「性暴力救援センター大阪SACHICO(サチコ)」は2010年4月、府内の民間病院を拠点に創設された。
 13年にNPO法人化され、年間4000件近い相談に応じ、診察や性感染症検査、裁判を見据えた証拠採取などを担ってきた。
 医療スタッフの人件費などの財政負担などで苦しい運営を続けてきたが。府は2025年2月、支援強化を決定。
 公的事業に位置付けられたことで一歩前進ということになった。

 国はサチコをモデルに10年12月からワンストップ支援センターの設置を促し、18年までに全都道府県に設けられた。運営主体は自治体や民間団体など地域で異なり、現在は52か所。全国の相談件数は23年度6万9100件に上る。


 心身を深く傷つける性暴力は「魂の殺人」と言われている。

 70年代から80年代の頃、多田さよ子『小菊の悲願』(聖燈社)を買い求めて読んだことで影響を受けたのは人身売買に反対することだった。
 著者は廓の楼主の娘として生まれ育ち、基督教の影響からか、父親に人身売買である廓の経営を辞めてほしいと頼み、怒った父親から勘当されたということだった。

 爾来、売春に関する本を買い求めて読むうちに、上坪隆『水子の譜 引き揚げ孤児と犯された女たちの記録』(現代史出版会発行、徳間書店)を買い求めて読み、戦時中の満州でのソ連兵などからの性暴力で妊娠してしまった女性が引き揚げ後、中絶手術を余儀なくされたことを知り、衝撃を受け、性暴力をなくすように社会を変革することを考えるようになった。

 ということで、犯罪被害者支援を訴えることを立ち位置にし、犯罪被害のうちでも特に性暴力に関して発信することに力が入るようになった。

 性暴力といえば、刑法では、強姦罪が強制性交罪を経て、不同意性交罪になったように世の中の意識が明らかに変わった。

 2022年、米国で『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』が上映され、日本でも上映されたので観ているが、性暴力被害者がついに立ち上がり、強大な権力を持つ映画プロデューサーは失脚した。

 日本でも、プロダクションの創業者による少年たちへの性加害が英国BBCによって明らかにされ、プロダクションは世間からバッシングされたが、当事者は死んでいたので、責任追及することはできなかった。
 その性加害のプロダクションに在籍していた男によって、女子アナへの性暴力が明らかになると、この男の余罪が注目されることになった。

 人間のやることは変わらないが、時代は明らかに変わった。
 性暴力犯罪は明らかに許されない時代になったことで、泣き寝入りしていた人たちが勇気を振り絞って立ち上がれば、加害者を刑務所に送ったり、失脚させることができるのだ。

 性暴力被害者支援は犯罪被害者等基本法ができたからこそで、一つの法律が世の中を変えていく実例で、人身売買をなくすための売春防止法もその意味で制定されてよかった。

2025年04月02日

フジTV第三者委員会女子アナへの性暴力を認定

 元タレントの中居正広氏の元女性アナとのトラブルを巡る一連の問題について調査していたフジ・メディア・ホールディングス(HD)とフジテレビの第三者委員会が31日に公表し、両者の関係性については、両者の権力格差、フジテレビにおけるタレントと社員の会食を巡る業務実態などから、本事案はフジテレビの「業務の延長線上」における性暴力であったと認められる、としている。とメディアが伝えている。

 テレビ朝日などが伝えるところによれば、編成局長B氏やフジテレビ社員が関与した事実は認められなかったとしたうえで、2日前に行われたバーベキューの会を踏まえてAさんが「同種の会合」と認識したことに影響があると指摘している。

 また、トラブル発覚後のB氏らの対応について、B氏らは中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって見舞金名目で現金100万円をAさんの入院先に届けたことがAさんに対する口封じ、二次加害行為と評価した。

 また、B氏が中居氏にAさんの退社を伝えると、中居氏からショートメールで「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな」「色々たすかったよ」と返信があり、B氏が「ひき続き、何かお役に立てることがあれば、動きます」と返信していたことが分かった。

 第三者委員会の報告書では、BSフジの報道番組のキャスターで3月27日にフジテレビの取締役を退任した幹部によるハラスメントの事案も認定されている。


 いつの時代も変わらないのは人間である。
 弱いものが虐められ、女性の場合は性暴力、セクシャルハラスメントを受けても泣き寝入りするというのがお定まりのことだった。
 本多勝一『殺される側の論理』(朝日新聞社)の単行本を買い求めて読んだことがある。
 人間を殺す側と殺される側に視たてる。つまり、される側に立ってみるとフジの女子アナの気持ちが理解できるのではないか。
 売れっ子だったタレントとTV局に雇用されている女子アナとの権力差は天と地ほどの開きがあり、しかも、タレントには職場の上司がついて、ご機嫌取りをしているのだ。
 
 ところが、時代は明らかに変わっていることに売れっ子だから傲慢になっていたタレントは気づかず、女子アナは自分の思いどおりになるものだと考えていたのであろうよ。(鬼平の口調になってしまった)

 ジャニーズ事務所の創業者の性加害を知っていながら、日本のマスメディアは報道することがなかった。
 この事務所に所属していたタレントは創業者の性加害を見て、権力者は何をしても許されると誤解していたのではないか。
 ここに登場したのがいつものことながら、悪いことは悪いという異国の放送局である。
 英国BBCが少年たちに対する性加害を告発したことから、日本のマスメディアがようやく重い腰を上げたのである。

 するとどうだろう。
 加害当事者はすでに死人に口なしであったが、事務所は世間からバッシングを受けた。ところが、このタレントはうまく逃れ、一人TVに出演してカネを稼いでいた。

 フジテレビが局アナで性接待ということで報じられたが、結果は業務の延長戦上の性暴力だと認定されたのだから、事実上の性接待と指摘されてもあながち間違いではあるまい。

 世の中、そんなに甘くない。
 
 当初、うやむやで逃げられると踏んだ当時のトップは外国の株主からの申し入れで思い通りにはならなかった。
 陰で天皇などと呼ばれていた権力者、大学の理事長が脱税で捕まったし、少年に性加害をし続けてきたプロダクションの創業者は逮捕されることはなかったが、その恥ずかしい犯罪で汚名は語り継がれていく。
 フジテレビの最高権力者として長く君臨していた人も退任した。
 報道番組でキャスターの態度が大きくて、陰でパワハラやセクハラをしているだろうと見ていたら、処分されることになったと伝えられている。
 タレントの評価は地に堕ちた。

 自民党の裏金議員が石破首相のことを批判していたら、「裏金議員こそ辞めろ!」「恥を知れ!」という趣旨のことを日曜討論会でれいわ新選組の長谷川うい子さんに言われたと伝えられている。

 阿漕なことをやっていると、いつかわが身に返ってくるということか。

2025年03月29日

旧統一教会に解散命令 救済実現へさらなる対策

 旧統一教会を巡る裁判で、東京地裁が25日、宗教法人法に基づき、教団に解散命令の決定を出した。
 決定の評価や今後の展開などについて、3月26日の読売が「論点スペシャル」で3氏に聞いている。

 「全国統一教会被害対策弁護団」事務局次長の阿部克臣弁護士は「救済実現へさらなる対策」を求め、宗教法学会理事長の棚村政行早稲田大学名誉教授は「資料多数精査、ち密な決定」、宗教学、死生学の島薗進東京大学教授は「省庁超え活動チェックを」とそれぞれの立場から論じていた。

「旧統一教会が多くの被害者を生みながら長く存続できたのは、正体を隠して勧誘し、人の心の弱みにつけ込んできたからだ。それは『信じない自由を脅かす』という意味で、信教の自由を侵害している。宗教界は、信教の自由の過剰な尊重が、宗教の社会的信用を失う方向に作用していないか。問い直すべきだ。宗教には社会からの信頼が大切だと、宗教界が自覚するきっかけにすれば、解散命令は宗教界に良い影響を及ぼすだろう。」とは島薗さんの指摘である。


 宗教を隠れ蓑にして社会的信用を失う犯罪を繰り返し、信教の自由だと主張しても説得力がない。「自由」の大切さを訴えてきた立場からすれば、「信じない自由」を脅かすのが洗脳であり、信教の自由を侵害していることにほかならないというのが自分の考え方である。

 1995年3月20日、宗教法人オウム真理教教祖による地下鉄サリン事件が起きてから30年。
 80年代から旧統一教会による霊感商法、高額物品の購入、洗脳による高額献金、集団結婚で日本人女性が朝鮮半島に渡り、その後帰国できない問題など多くの問題が起きている。
 オウム真理教と旧統一教会という二つのカルト教団によって犯罪と公序良俗に反する行為が繰り返された。
 地下鉄サリン事件は犯罪だから、首謀者以下裁判で死刑判決が確定し、死刑が執行されているが、問題は被害者への賠償を後継団体がしてこなかったことである。

 旧統一教会は勝共連合などと言う名前で保守的立場、特に自民党議員の選挙で協力し、そのリーダー格を後ろ盾にしていたから、警察もメディアも手が出せなかった。

 しかし、母親が洗脳され高額献金で家庭が崩壊してしまった青年の怒りの矛先にされたそのリーダー格が倒され、ついに、メディアや国会でも追及されることになり、文科省から裁判所に教団の解散命令が請求され、裁判所が不法行為を認め、解散命令を出した。

 たった一人の人間が倒されただけで、世の中がこんなにも変わるとは信じがたいことであるが、一番驚いているのは教団ではないか。

 教団と関係者は自分たちがやってきたことは棚に上げ、信教の自由を持ち出し、宗教弾圧などと世迷言を言っている。
 犯罪を繰り返し、洗脳した日本人の家庭から献金という形で204億円もの高額を奪い、家庭を崩壊させたことの罪は絶対許されるはずがない。
 この宗教の教祖が朝鮮半島出身者だということで、日本の民族派が沈黙していることに怒りを覚えているのは自分だけだろうか。
 自分は民族差別はしない主義だから、朝鮮半島出身だとて差別などする気は全くないが、教祖が反日主義で献金された金額のほとんどが朝鮮半島に渡っていたとなれば、黙っているわけにはいかない。
 しかも、洗脳されて集団結婚で朝鮮半島に渡っていった日本人女性のことをメディアや国会が取り上げないことに疑問を抱いてきた。

 被害者への救済もきちんとやってこなかった教団が信教の自由だとか宗教弾圧だと主張するのは笑止千万である。
 さんざん悪事を働いておきながら、まだ懲りずに悪事を働こうとしてのは醜いばかりだ。
 やるべきことは、被害救済である。

2025年03月26日

旧統一教会の献金被害は204億円 東京地裁解散命令

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への文部科学省の解散命令請求で、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は25日、宗教法人法に基づいて解散を命じる決定をした。とメディアが伝えている。
 
 3月25日の東京新聞(小野沢健太、三宅千智、榎本哲也記者)のWEBによれば、法令違反に基づく解散命令は3例目で、民法の不法行為が根拠となったのは初めて。教団を巡っては、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、高額献金被害があらためて問題化。自民党との組織的な関係性が問題視された教団に、厳しい司法判断が下った。
 
 宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」があった場合、裁判所が解散命令を出せると規定。これまで命令が出たのは、地下鉄サリン事件などのオウム真理教と、霊感商法詐欺事件の明覚寺(和歌山県)で、いずれも幹部の刑事責任が認められた。要件の「法令違反」に、民法の不法行為が含まれるかが争点だった。

 鈴木裁判長は決定理由で、民法の不法行為は「他人の権利を侵害し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる事態を招く」として要件に含まれると判断した。教団を巡る民事裁判の判決や和解などの結果を踏まえ、献金勧誘の手法が全国的に共通し、被害は少なくとも1559人、計約204億4800万円に上ったと認定。「類例のない膨大な規模の被害が生じた」と指摘した。


 教祖が朝鮮半島出身者で反日、反社の旧統一教会が日本人を洗脳し、しかも、元総理を後ろ盾にしていたため、国家権力もメディアも手が出せない無法ぶりだった。
 朝鮮半島に渡った日本人女性の信者たちが教祖の指示のまま、集団結婚した朝鮮半島の男性はみな貧しく彼女たちはパスポートを取り上げられ、自由な帰国もままならない。
 連れ合いの職場にいた女性は旧統一教会に入信し、洗脳された結果、職場を退職した後のことはどうしているかわからない。
 仮に、集団結婚させられていれば、二度と帰国できないし、親の死に目にも会えない。
 この問題を追及する政治家メディアがないのは、日本の権力者を後ろ盾にしていた教団の作戦が機能していたからである。

 自由のために発信してきた立場であるから、他人の言動を暴力で封じるのはよろしくないというのが自分の立ち位置である。
 絶対的権力者は、加害者からみれば売国奴としかみなされないかもしれないが、母親の教団に対する多額の献金が原因で加害者の家庭が崩壊したことをみれば、その責任はこの教団の後ろ盾になっていた権力者にも及ぶはずだ。責任があると加害者が考え、復讐したとしても、自分には非難することはできない。

 結果、権力と結びついた教団の無法ぶりが報道されるようになり、国会でも追及されることになったことは健全な社会にとって好ましい。

 オウム真理教教祖による地下鉄サリン事件から30年。メディアでも事件の検証をしているが、教祖が自分の手を汚さず人を殺させる手口は独裁者の常套手段であり、犯罪事件簿でみれば、北九州監禁殺人事件の死刑囚の男の犯行手口と全く変わらない。

 旧統一教会関係者がいくら弁明しても、日本人から204億円献金させ、そのカネを朝鮮半島に送ったであろうと考えるだけで怒りで体が震える。
 保守とか右寄りだとされている人たちが黙って見過ごしてきたことだっておかしい。
 反日、反社の宗教団体が日本人を洗脳して204憶円もの高額を献金させたことを事実上自民党の議員が支援していたことになるではないか。

 地裁、高裁、最高裁で争われることになるだろうが、旧統一教会が高額な献金をさせるようなことを今後できないようもっていくべきだ。 

2025年03月19日

コツコツ働いて生活する 日々の積み重ねが豊かさに

 3月17日から彼岸の入りで20日のお中日を前に本日、ご先祖の墓参りに行く予定にしていたら生憎、朝から雪が降っているので、墓参りは延期することになりそうだ。
 嫁いでいる姉から、いつものように仏様にお供えするように菓子折りが届いている。家庭の事情で行かれないので、墓参りをするようにとのこと。頂戴した菓子折りは指示されたとおり仏壇に供えている。
 明日は姪から医家オケの演奏会のチケットが届いていて、連れ合いが姉妹で行くことになっているので、墓参りはあさイチで済ませるつもりだ。

 さて、春の彼岸といえば、1995年3月20日にオウム真理教の教祖の指示で地下鉄サリン事件が起きてから30年ということになる。
 当然、メディアもこの地下鉄サリン事件に関連したことを大きく取り上げている。
 購読している読売も大きく取り上げているので、犯罪被害者支援で発信してきた立場であるから、書いておかなければならない。

 まず、「広角 多角」というタイトル欄で田中誠文化部次長が「日本変えた1995年 考え伝え続ける」という見出しで、主な出来事を書いている。
「ウインドウズ95」が発売され、インターネット元年と呼ばれる年で、1月に阪神・淡路大震災が発生し、3月のお彼岸にカルト教団オウム真理教による地下鉄サリン事件という未曽有のテロ事件が起きた。

 1985年8月に起きた日航機123便墜落事件が自衛隊による撃墜事件で、事件をもみ消した政府が米国に借りができたことで、坂村健東京大学名誉教授が当時TRONプロジェクトで完成させた0Sを政府が使わず、米国マイクロソフトのウインドウズを使うことになったということを耳にしたことがある。
 日航機の墜落事故が自衛隊によるものだというのは亡くなった森卓さんこと森永卓郎さんの遺言であるが、話は妙に辻褄があっているから怖い。

 さて、地下鉄サリン事件では、科学者として日本を代表することになりそうな人物がサリンをつくってしまった。
 事件に関わったメンバーにはほかにも、医師であったり、学業成績が優秀な人たちが多かった。なぜ、彼らが教祖に騙されてしまい、事件を起こし、死刑囚として死刑を執行されてしまうことになったのかについて、あちこちで取り上げられている。
 読売の記事ではジャーナリストの江川紹子さんの「自分の頭で考えること」の大切さを説いていることを紹介しているし、今朝のNHKマイあさラジオ「ここに注目」で清永聡解説員も同様の意見だった。
 3月15日の読売が32,33ページ全紙面で地下鉄サリン事件について伝えている中で、作家・精神科医帚木蓬生さん(78)が「テロの脅威 増す現代」という見出しで、「大切なのは、幅広く、地に足の着いた常識を身につけることだ。自分が選択した情報に凝り固まるのではなく、色々な意見を耳に入れることが大事だ。
 信者たちは教祖の説く『解脱』という理想を妄信したが、現実の豊かさは、コツコツ働いて生活するという日々の積み重ねによって生まれることを忘れてはいけない」と説いている。


 人はこの世に生を受ける前「生んでくれ」と親とされる人に頼むことができない。
 生まれた以上、必ず死ぬことになっており、一握りの富裕層だって死なないわけにはいかない。
 生まれたとき、健常であっても事故や病気で障がい者になってしまうことがある。
 地震や津波などの災害、犯罪や事故に遭って殺されたり、障がい者になってしまうことだってある。
 水俣病やサリドマイド、原爆による被爆で母の胎内にいた時から、重き荷物を背負わされてしまう気の毒な人だって少なくない。
 ハンセン病で隔離されたり、難病に苦しめられることだって少なくない。
 性別だって、生まれたときの性別だけで人生が決まるわけでもない。
 
 親ガチャなんていう言葉が流行ったことがあったが、生まれた時代、国、地域などで人生が大きく左右されることもある。
 願わくば、貧乏よりも富裕層とまでは言わないまでも、中間層くらいの家庭であればと願ったりもする。
 少なくとも、アジア太平洋戦争が始まった1941年から1945年に生まれていれば、戦争と無関係ではいられなかったし、そもそも軍部独裁だから自由が全くなかった。
 生まれた国が日本でなければ、独裁国家だったら、国から逃げ出そうとするだけで殺されてしまう。

 上述のことは紙一重だということをもっと意識した方がいい。
 紙一重だという意識が乏しいとき、人は少数者や弱者のことを忘れて、多数者の側から上から目線で少数者や弱者のことを見てしまう。
 福祉の関係で働いていた知人から教えてもらったことに生活保護を担当する役所の窓口で、この紙一重のことがわかっていない職員が少なくないのではないかというのだ。

 いくら学業成績が優秀であっても、カルト教団の教祖に簡単に洗脳されてしまうのは自分で考えることをしてこなかったからだという指摘は的を得ている。

 語り継ぐ戦争だから、戦争を企図した大本営や軍令部などの軍人は学業成績が極めて優秀であったことはよく知られていることだが、その割に、米国の強大さを甘く見ていたとしか思えない。

 災害といえば、埼玉で県道が陥没した事故でトラックが転落し、運転手がまだみつからない。
 この県道を通行しているドライバーは転落したのはあなただったかもしれないではないか。

 犯罪でいえば、教員による児童、生徒たちへのわいせつ事件が後を絶たないことで、英国版DBSを参考に教員採用時点でチェックできるよう日本版DBSが整備されることになった。
 学業成績は優秀である教員が児童、生徒に手を出すということは勉強ばかりしていて、そちら方面での遊びというか大人の勉強をしてこなかったからだというのは自分の持論である。

 オウム真理教の教祖に洗脳された優秀な若者たちが進む道を間違ってしまったことが残念でならない。
 洗脳されないために、勉強だけでなく、読書、映画、芝居という文化的な面で想像力を磨くように訴えたい。
 当然、水商売とされている世界も垣間見て、この世界で働く女性から見聞を広めることも欠かせない。

 彼岸だから、ご先祖のことは無論、次世代のために少しは世の中が住みよくなってもらいたいと願う。

2025年03月15日

従業員に性暴力 懲役30年 ペットショップ経営者

 女性従業員6人に性的暴行などのわいせつ行為を繰り返したとして、準強制性交罪などに問われた福岡県糸島市の元ペットショップ経営の被告(66)の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は25日、求刑通り有期刑の上限である懲役30年を言い渡した。今泉裕登裁判長は「会社を私物化して恐怖で服従させ、過去に類を見ないほどの特異な悪質性がある」と述べた。と2月26日の読売が伝えている。

 判決によると、被告は2017〜22年、自宅などで女性従業員6人(当時20〜30歳代)に自身が暴力団関係者であるとうそを繰り返し告げて誤信させたうえで、日本刀を首に当てて「裏切ったら殺す」などと迫り、性的暴行やわいせつ行為をして、うち1人にけがを負わせるなどした。

 弁護側は「拒絶できない状態ではなかった」と無罪を主張していたが、今泉裁判長は「日本刀を当てられるなど、強度の恐怖心から拒絶することができなかった」などとして退けた。

 その上で「経営者という優越的地位を背景に、夢や目標に向けて希望を持った被害者らに対し、長期間にわたり継続的に性的行為を繰り返す中で犯行に及んでおり、卑劣極まりない」と結論付けた。


 被害者女性の一人が性被害の相談しづらさを挙げていた。女性が意見陳述で「性被害は友人やパートナー、家族に話すのはハードルが高い。性犯罪に遭った時に相談できる環境がもっとあったらいいと思う」と訴えた。
 性暴力被害者に対する社会の偏見がまだ残っていると改めて考えさせられる事件である。

 女性の自由と尊厳を奪い、PTSÐで一生苦しめられる被害者もいる性暴力犯罪。
 「自由」のためにをスローガンに語り継ぐ戦争と犯罪被害者支援を訴えてきた立場であるから、悪質な性暴力犯罪者を死刑あるいは終身刑にすべきであるという被害者。この声を代弁して発信してきた。

 極めて悪質な加害者が裁判員裁判で有期刑の上限である懲役30年の判決が言い渡されたことを是とし、裁判員の市民感覚が被告を断罪したものと高く評価している。

 相談できる環境がもっとあったらと被害者が裁判で意見陳述しているということで書いておきたいことがある。
 犯罪被害者支援を訴えてきた立場から、性暴力被害者の相談機関である東京・強姦救援センターのサポート会員になっている。相談時間が毎週土曜日13時から16時と限定的なところはあるが、電話で相談できる。
 もっと言えば、現在ワンストップ支援センターが自治体に設けられているはずだから、昔と較べれば相談できる場所は増えていることは確かだ。
 ただし、宣伝が行き届いていないかして、自分が当事者にならないと知らない人が少なくないかもしれない。

 さらに、弁護士という職業にある人間、とりわけ、加害者の弁護をする人が全く信用できないということ。
 自らを暴力団員だと被害者に思い込ませ、かつ日本刀を突き付けた加害者を擁護し、逃げなかった被害者が悪かったように言っているのは言語道断で、職業の社会的評価を低下させることこの上ない。

 仮に被告が控訴した時、高裁の裁判官が地裁の裁判員裁判の判決を覆してしまったことがあったが、もう一度、同じようなことがあったなら、裁判員裁判はもうやめた方がいい。

2025年03月09日

悪質ホスト厳罰案 閣議決定 店罰金上限3億円

 女性客へ高額な売掛金を負わせる悪質ホストクラブ問題を受け、政府は7日、運営法人などの罰則を大幅強化する風営法改正案を閣議決定した。
 恋愛感情に乗じた客への高額請求や、支払いのため売春を強いることを規制し、違反した場合は店の営業許可取り消しなど行政処分や刑事罰の対象とする。 無許可で営業した運営法人に科す罰金の上限は、200万円から3億円に引き上げる。とメディアが伝えている。
 3月7日の読売夕刊によれば、風俗営業法改正案のポイントは
 刑事罰を新設したのは、〇料金を支払わせるため、売春行為やAVへの出演などを要求する
 〇風俗店がホストやスカウトに女性の紹介料を支払う
 厳罰化したのは〇運営法人への罰金上限額を200万円から3億円に引き上げる
 禁止したのは〇料金の虚偽説明〇恋愛感情につけこんだ高額な飲食の要求

 警察庁によれば、ホストクラブは東京や大阪など全国に約1000店舗あり、女性に借金を抱えさせ、返済のために売春を強要するなどの悪質営業、卑劣な犯罪が大きな社会問題となっている。
 警察への相談は2024年、全国で2770件寄せられ、対策が急がれていた。


 女性に借金を抱えさせ風俗に沈めるという手口の悪質さは万死に値する重罪だから、死刑もしくは無期懲役にすべきであると被害者家族は考えているのではないか。
 少子化対策が国家の一番の政策だから、女性が結婚し、子どもを産み育てることをできなくする輩には厳罰という厳しい態度で臨むのは当たり前のことである。
 「自由」と「人権」を守るということが毎日書いている最大の理由だから、卑劣なホストと経営者、スカウトたちを死刑もしくは無期懲役にすることを支持する立場である。

 語り継ぐ戦争の立場からみれば、1936(昭和11)年2月26日、陸軍の青年将校たちが決起しクーデターを起こした。結果は失敗したが、以降、自分たちだけ武器を持っている軍人たちが台頭し、5年後の1941(昭和16)年12月には、米国との戦争を始めてしまった。

 高倉健が主演した『動乱』では、2・26事件の青年将校と兵士たちのことが描かれていたが、東北の貧農出身の兵士が妹が女郎屋に売られたことから、貧富の格差に怒り、武器を持って立ち上がったことが描かれていた。
 兵士は上官の命令に従うことが絶対であるが、上官の命令に従ったのは、世の中を変えたいという情熱があったこともまた事実だったはずである。

 明治以降、廓清というか廃娼運動が起きても、戦前、戦後となかなか廃止できなかった花街というか遊廓であるが、1956(昭和31)年に売春防止法がようやくでき、管理売春が禁止されたことから、永年の我が国の懸案だった人身売買が禁止されることになったのである。

 自由と人権を守るということが自分の立ち位置であるから、人身売買絶対反対で、これだけは何としても譲れないという立場である。
 ただし、きれいごとを言うつもりなど全くないので、女性が自らの意志で春を鬻ぐことに関しては否定もしないし、余計なことを言うつもりもない。

 女性を騙し、風俗に沈めた男たちが風俗店から得た収益が70億円だと報道されているが、こんなカネは国が没収しなければならない。

 風俗営業法改正を急ぎ、一日も早く、関係者を厳罰にし、自由と人権を守る社会にしたい。 

2025年02月20日

女児10人に性的暴行、被告に無期懲役判決

 昨2月19日、遅くなってしまったが2025年の初詣に県内でも知られた神社に行ってきた。
 コロナ渦が始まって以来だから4年くらいは初詣もブランクがあった。
 2月でも参拝客の数は思いのほか多かった。
 コロナ渦までは、小学校の遠足で行った鎌倉の鶴岡八幡宮に行っていた。源義経の伝記を子どもの頃読んだ影響か、唱歌で覚えた「鎌倉」が好きで口ずさんでいたからか、鎌倉が好きな街になったからである。
 因みに、修学旅行は日光で、中学校では修学旅行列車で京都、奈良に行った。

 さて、 小学生の時といえば、2016年3月〜22年5月、大阪で女児10人に性的暴行を加えたとして強制性交致傷罪などに問われた元病院職員の男(28)の裁判員裁判で、大阪地裁は18日日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡したニュースが流れている。伊藤寛樹裁判長は「社会で守るべき女児を狙い、人格の根幹を傷つけており、卑劣、悪質の極み」と述べた。と2月19日の読売が伝えている。

 判決は、男が被害女児の自宅を見張って行動を確認し、在宅状況をスマートフォンに記録して犯行機会を見定めていたと指摘。「最も安心できるはずの自宅やその近くで、突然被害に遭った恐怖や精神的苦痛は想像を絶する」と強調した。

 その上で「被告が事実関係を認めたことを考慮しても、性加害が長期間で数多く積み重なっており、無期懲役刑で臨まざるを得ない」と結論づけた。


 仙台連続女児性的暴行事件で被害者の数が100人を超えたとも伝えられた被告にも、無期懲役の判決が言い渡され服役している。

 仙台と大阪の二つの事件は女児への性的暴行に関する刑罰で、刑法に死刑の定めがないから無期懲役という判決になっているが、本来、死刑にすべき事犯である。

 子どもは日本の宝であり、まして、女児は将来母となる可能性があり、大事な日本の宝である子どもを育てることだって考えられる存在である。
 社会が守ってやらなければならない大事な女児を100人も襲った男が無期懲役だというのだから、刑法を改正する必要があるが、10人だって、少ない数字ではなく、塀の中で一生暮らしてもらわなければ危なくて社会は成立しない。
 性暴力を筆頭に、セクシャルハラスメントに対する社会の見方が明らかに変わった。
 被告は女児を恐怖に陥れ、PTSDで生涯苦しめられることになるかもしれない犯罪を繰り返しながら、矯正プログラムを受けたいと願っていると伝えられるが、幼児性愛が簡単に治療できるわけがない。

 現に、仙台で卑劣な犯罪を繰り返し、被害女児が100人以上だとされている受刑者は何とか出所し、また女児を襲おうと精神を病んだように演じていると伝えられている。

 女性に対する性暴力を厳罰にするのは人権意識が高まったことによるものであり、まして、児童や幼児に対する性暴力となれば、さらに刑罰を厳しくすることが求められていることが今回の判決につながったのではないか。

 さらなる人権意識の高まりで、弱者を守るという世の中になっていくように願う。

2025年02月11日

検察取り調べ 可視化拡大、任意も試行へ

 取り調べの録音・録画(可視化)を巡り、最高検は、法律で義務付けられていない任意の取り調べについても、全過程の可視化を試行する方針を固めた。検事による不適正な取り調べが問題視される中、全面可視化の対象を拡大することで、適正な実施を徹底する狙い。2月19〜20日に開かれる検察幹部の会議で対象事件などを議論した上で、試行を開始する見通しだ。と2月6日の読売が1面で伝えている。

 検察の取り調べを巡っては、2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠品改ざん事件を機に改革が進み、19年施行の改正刑事訴訟法で、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で逮捕・勾留された容疑者について全面可視化が法制化された。

 また、検察は義務付け対象外の事件でも逮捕・勾留した場合は運用で全過程の可視化を行い、現在は9割超で実施している。一方、容疑者を在宅のまま捜査する任意の取り調べでは、検事が自らの裁量で場面を選んで可視化し、全過程ではほとんど行われていないとされる。

 最高検は試行の対象について、検察の独自捜査事件などを想定している。取り調べの一部始終を記録することで、検事が自らに都合の良い場面のみ可視化したり、不適正な言動をとったりすることを防ぐほか、取り調べに問題があると指摘された場合にも検証できるという。


 検察の取り調べで「検事から暴言を浴びせられた」「罪を認めないと強制捜査をすると脅された」と訴えるケースについて、NHKクローズアップ現代でも取り上げていた。
 
 嫌疑がかかって逮捕されたり、任意で取り調べということになるわけだが、警視庁の公安がその嫌疑そのものを作り出したのが大河原化工機の中国への不正輸出事件で、しかも、取り調べで、体調が悪化しても医師に診断させるのが遅かったと伝えられているとおりだとすれば言語道断である。

 取り調べでは、一筋縄ではいかない容疑者の取り調べがあることは認めるとしても、証拠を捏造するとか、暴言を浴びせるなどと言うのは検察の取り調べでやることではない。
 黒白をつけるのはあくまでも事件の証拠だという意識を高める必要がある。
 証拠がすべてということになれば、取り調べは当然のことながら、可視化しても何ら不都合はないはずだ。

 19年参院選の大規模買収事件で、東京地検特捜部の検事が任意の取り調べで地元政治家の供述を誘導した疑惑が発覚。録画していない場面で、不起訴を期待させる発言をするなどした一方、容疑を認める場面のみ録画していたのはご都合主義で不公平、かつ不誠実な対応であり、何のために可視化したのか意味をなさなくなってしまう。

 冤罪事件が多発している印象があるのは、再審開始請求が認められ、再審で無罪が確定した袴田事件で、証拠が開示されなかったことから検察の信頼が揺らいでしまったことにある。
 未だ、再審開始請求が認められない名張毒ぶどう酒事件でも、証拠が隠され、開示されていないことも検察が信頼されない大きな要因となっている。

 検察はやはり、真実の追求に全力を挙げ、事件の解決を急ぐあまり冤罪事件を起こしてきたが、一つでも冤罪事件を起こさないようにすべきだ。

2025年02月03日

再審 証拠開示義務化 刑訴法改正案

 再審制度の見直しを検討している超党派の国会議員連盟は28日、東京・永田町の国会議員会館で実務者会合を開き、刑事訴訟法の改正案を公表した。再審請求審での証拠開示を義務づけることなどが柱で、通常国会に改正案を提出し、成立を目指す方針だ。と1月29日の読売が伝えている。

 この日示された改正案では、検察が保管する証拠に開示請求が出た場合、裁判所が原則として検察に開示を命じるよう義務化することを規定。手続きの迅速化のため、裁判所が再審開始を決定した場合、検察側による不服申し立てを禁止することも盛り込んだ。

 再審での公平性を確保するため、確定審に関わった裁判官は、再審公判や請求審の担当から除外。再審の請求を受けた裁判所が、期日を指定できることも明文化する。

 1966年の静岡県一家4人殺害事件では、死刑判決を受けた袴田巌さん(88)が再審無罪となるまで逮捕から58年かかった。現行の刑訴法では再審請求での証拠開示に関する明文規定がなく、証拠開示の遅れなどによる審理の長期化が課題となっている。

 議連には、与野党から365人の国会議員が名を連ねている。会長を務める自民党の柴山昌彦・元文部科学相はこの日の会合終了後、「スピード感と実効性という側面から、議員立法を準備する必要がある。今国会で実現できるよう、第1弾の法改正をすることが重要だ」と述べた。


 名張の毒ぶどう酒事件で冤罪を訴え、再審請求を繰り返しつつも、八王子の医療刑務所で死亡した死刑囚奥西勝さんの再審請求を継承した妹の岡美代子さん(94)にスポットをあてた『いもうとの時間』を先日、観てきたばかりである。
 奥西勝さんが真犯人でないことを物語る証拠があるにもかかわらず、奥西勝さんを犯人と決めつけたい検察は、自分たちに不利益となる奥西勝さん有罪に疑念を生じる証拠を開示せず、素知らぬ顔をしていることを映画では教えてくれた。
 弁護団でも若い弁護士が検察の証拠を調べていくと、開示されていない証拠があることがわかったのである。
 番号が付けられている証拠で、番号が飛んでいることをみつけてしまったのだ。

 被害者となった女性たちが毒ぶどう酒を飲んだ懇親会が開かれた名張の葛尾地区の公民館。
 当日、ぶどう酒を酒屋から買い求めたのは農協の職員であるが、届けた先は会長宅で当人のメモに14時の時間が記録してあるにもかかわらず、驚くことに、会長宅から公民館へと奥西勝さんが届けることになる17時に限りなく近い時間に証言が変わっていることだった。
 このことを問われた当人は不快そうな態度で覚えていないと弁解していたが、明らかにおかしなことである。
 奥西勝さんがぶどう酒に農薬を入れたことにしたい検察は、会長宅に預けてあった時間を奥西勝さんが届けた時間に合わせようとしたのであろうか。
 会長宅でぶどう酒に農薬を入れる時間があると検察の筋書きが崩れてしまうからだ。

 再審開始請求が認められ、2024年にやり直し裁判で無罪となった袴田事件の袴田巌さんのニュースが流れたばかりである。
 厚労省の村木厚子さん、大河原化工機事件、そして、大阪地検特捜部の不動産会社社長横領事件と冤罪事件が続く。
 証拠を平気で捏造するのだから、検察には誰も敵わない。

 だから、せめて再審に関しては証拠を開示することを義務付け、冤罪事件の被疑者を救済できるようにしなければならない。

 冤罪である可能性が極めて高い名張毒ぶどう酒事件では、再審開始請求を継承する人が妹の岡美代子さんだけだということで、検察は94歳の岡美代子さんが亡くなってしまえば、再審することはなくなると考えているとしたら、検察と裁判所への信頼は地に堕ちる。

2025年01月31日

『いもうとの時間』

 月に一度の映画館行き、2025年1月は冤罪を訴え、繰り返し再審請求をしつつも、八王子医療刑務所で病死した名張毒ぶどう酒事件死刑囚の奥西勝さんの再審請求を引き継いだいもうとの岡美代子さんにスポットを当てたドキュメンタリー『いもうとの時間』を観てきた。 
 唯一の再審請求人、岡美代子94歳。彼女がいなくなる時、「事件」は闇の彼方に消える― 生きている限り―真実を待つとちらしにある。

 「えん罪・名張毒ぶどう酒事件・東京の会」という奥西勝さんの無実を訴え、再審請求を支援している会のメンバーになっている関係で、年末カンパを呼びかけられ、送金したばかりだった。

 東海TVが制作した『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』を観て、奥西勝さんの無実を信じ、再審請求を支援することにした。東海TVは名張事件の奥西勝さんのえん罪を訴え、再審請求をする様子を伝える番組をTVで放送したものを映画化しているが、奥西勝さんが八王子の医療刑務所で病死した後、裁判を引き継いだ妹の岡美代子さんのことを柱に映像化した。
 94歳と高齢のため、国家権力は岡さんが亡くなるのを待っているとしか思えない対応をとってきた。

 今回の映画が最後だと東海TVの関係者は発信しているみたいだが、この映画を観れば、真実の追求を放棄してしまった国家権力の代行者検察に対し、弁護団の活動を紹介という形で異議を唱えているかのようだった。
 結果的に、えん罪名張事件は国家権力の犯罪ということがよく理解できるはずだ。

 やはり、法律で再審請求手続きに関する決め事をしなければ、えん罪の人が救われないことがわかった。
 決め事の一つは、検察が持っている証拠の開示をすることである。
 被告人に有利になる証拠を開示しないということは、被告人がえん罪であってもかまわないということでもある。
 
 自分があるいは自分の家族が、親族がえん罪で捕まったらと考えると誰が犯人でもよいと考え、真実を追求しないということでは恐ろしいことになってしまう。

 1審で無罪となった被告が2審で死刑判決が出され、そのまま確定してしまう。
 一度は認められた再審請求が上級審で覆ってしまう。
 国家って何のためにあるのか。

 自分が国家権力というものを全く信用していない理由がここにある。
 この映画を一人でも多くの方に観てもらいたい。

2025年01月30日

公益通報者処分で刑事罰

 政府が、24日に開会した通常国会に提出を目指す公益通報者保護法改正案の概要が判明した。企業などの不正を告発した通報者を解雇や懲戒処分とした場合、組織と個人双方に刑事罰を科す。兵庫県で昨年、内部告発を行った元県幹部が懲戒処分された事案もあり、罰則規定を導入することで公益通報者保護制度の実効性を高める。と1月26日の読売が1面で伝えている。

 改正案では、通報者への解雇や懲戒処分について、1年以内であれば通報を理由にされたと推定すると定義。通報者を解雇や懲戒とした事業者は、3000万円以下の罰金、意思決定に関与するなどした個人には、6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金を科す。

 また、通報に対処する従事者の指定義務を怠った事業者に対し、国が立ち入り検査を行う規定を新設する。是正命令でも改善されない場合や虚偽報告、検査拒否には30万円以下の罰金を科す刑事罰の導入も盛り込む。

 通報者を特定する行為は、罰則規定は設けられなかったものの、調査で必要な場合を除いて原則禁止する。
 
 2020年に改正された現行法では、300人超の企業などに対し、内部通報窓口の設置や、通報に対処する従事者の指定など体制の整備を義務付けた。通報者への不利益な取り扱いも禁じているが、違反に罰則規定はなかった。


 パワハラなどの疑惑を内部告発した元県幹部が兵庫県知事に特定された後に懲戒解雇を受け、自殺に追いやられた。結果的に、兵庫県知事に殺されたも同然だと親族は考えているのではないか。

 その知事が選挙で再び当選したからということで、元県幹部を死に追いやったことが許されたような雰囲気があるのは間違っている。
 選挙で当選したことと、公益通報者を特定し、懲戒解雇した罪が許されることとは次元が異なるからだ。

 しかも、選挙屋のような男が跋扈し、SNSで県知事に有利になるように選挙運動をし、なおかつ、県議会の100条委員会で県知事の公益通報者への扱いを審議している県議をターゲットに虚偽の情報を流したため県議が自死に追いやられたと報道されている。
 このことに関しては、兵庫県警がこの男の情報は虚偽であることを認め、捜査に乗り出したと伝えられている。

 正しいことをした人間が権力の力で自死に追いやられるようなことがまかり通っては日本はよくならない。
 公益通報者を保護し、守ることでその組織が健全なものになることは広く世のためになるはずだ。
 
 県議を虚偽の情報で死に追いやった男を県警が捕まえるかどうか注視していかなければならない。

 報道されていることを冷静に考えれば、県知事はパワハラなどがなかったと考えるなら、第三者委員会のような形で調査してその結果を明らかにすればいいだけのことである。
 内部通報を勝手に虚偽だと決めつける傲慢な知事の姿勢が不信を招いているわけで、この知事には人としての徳というものが全くない。
 あるのは権力者の傲慢さだけのようにみえてしまう。

 公益通報制度が何のためにあるのか。通報者を守らないとどういう世の中になるのか。普通に考えればわかるはずだ。
 コンプライアンスなどとカタカナ表記で使われているが、要は法律や道徳というか道義に反することをしないようにすることが難しいからではないか。

2025年01月28日

家庭菜園で周辺住民との交流で居場所を

 一般財団法人日本刑事政策研究会と読売新聞社は、住み良い社会を作り上げるために刑事政策思想の普及が特に重要であるとの観点から、刑事政策に関する懸賞論文を募集している。
 2024(令和6)年は、「社会復帰支援における地域の役割と在り方について」をテーマに入選作品が決まった。と1月25日の読売が伝えている。

 優秀賞は愛知教育大教育学部3年山下真由さん(21)の「犯罪をした者が地域で居場所を得られるようにするための支援策」が選ばれた。

 再犯を防ぐためには出所者や出院者が孤立しないよう、地域で居場所が得られるようにすることが重要だ。
 国が出所者らの雇用を支援する制度では、約70%の人が1年以内で仕事を辞めてしまっており、短期間での離職率の高さが課題となっている。
 地域に求められるのは、職場だけでなく、心地よい居場所である。
 そこで、「家庭菜園プログラム」を提案する。
 自治体が管理する土地で、出所者ら一人ひとりが小さな畑を借りて、地域住民と交流しながら、地域でコミュニティーを築くことを目的とする。
 地域社会に途中から入ることについて、出所者らが居心地の悪さを感じることがないように、住民側の配慮も求められる。
 以上が概要である。


 犯罪を学問的にみて、加害者側のことを研究する犯罪学、別名刑事政策と被害者の立場を研究する被害者学と分けられる。
 無論、両者を分けるというよりも、その立ち位置の話であってどちらも住みよい社会を作り上げるためには重要な学問である。
 「闇バイト」などと嫌な言葉で集められた強盗が首都圏で頻発し、体感治安が極めて悪化している。
 犯罪する側からみれば、カネがあるのは銀行とか一握りの富裕層だから、当然、狙う場所は決まってくるはずだが、そちらはガードが堅い。
 池波正太郎『鬼平犯科帳』の火付盗賊改方長官鬼平こと長谷川平蔵の言葉を借りれば、急ぎ働きということになる住宅への押し込み強盗で殺人もいとわない凶悪事件が頻発するのは企図するものが安全地帯にいて実行犯にやらせるという構図が背景にある。

 さて、犯罪もいろいろであるが、刑期を終え、出所者が再犯せずに社会でやり直せるには迎えてくれる家族など大事な人がいること。仕事があること。そして、居場所があることが専門家から指摘されている。

 先年亡くなったビッグネームの俳優高倉健さんは同級生に頼まれ、刑務所を訪れ、「大事な人のことを思い出し、二度と戻ってこない」ように受刑者に呼び掛けていたが、存命中は、絶対口外しないようにと口止めしていたという。
 大事な人を悲しませないことが犯罪の抑止になることを証明する話である。

 優秀賞の山下さんの家庭菜園に目を向けた地域での居場所づくりの発想は素晴らしい。
 有機無農薬での野菜作りを実践してきた自分は、家庭菜園での居場所づくりというよりも、後継者不足に悩む農業の担い手として、出所者は最適な存在であることを提言してきた。
 居場所というよりも、職業にするということで、実現性は山下さんの提案の方が高そうだが、職業が大事だという点では、やる気さえあれば、自治体やJAなどの支援で農業は一つのモデルになるはずだ。

 ここでも課題は人ということになる。
 農業は身近にアドバイスできる人が必要だからだ。
 家庭菜園から出発し、次第に農業へということも考えられなくはない。

 とにかく、居場所というのも大事なことである。

2025年01月24日

矯正展の製品 買い求めて!

 「東京春秋」 316という囲み記事を1月19日の読売の地域版でみつけた。
 書いていたのは石井恭平記者で「矯正展の製品 高い品質」という見出しで、自身が使っている刑務所受刑者の製品である靴を例に品質が良いので、多くの人に一度は手にとってもらいたいとお薦めしている。

 石井記者は足で稼ぐといわれる仕事柄、靴を何足も履きつぶしてきたが、愛用してきたのは疲れにくくて安価な受刑者の製品だという。

 初めて買い求めたのは5年前。受刑者が刑務作業で作った製品を展示販売する「矯正展」だった。
今、愛用しているのは徳島刑務所の受刑者が作った靴であるが、そろそろ新しい靴をと、都内で開かれた矯正展を訪れるも靴はなかったので、2歳の娘のために川越刑務所で作られた1200円の積み木を買って帰った。
 徳島刑務所の作業専門官池本輝勝さんが「偏見を持たずに良いものを良いと認めて使ってもらったら嬉しい。受刑者も社会とつながることで励みになる」とのこと。

 公益財団法人矯正協会によれば、販売している製品の種類は3000品以上。
 売り上げの一部は犯罪被害者支援団体への助成金に充てられている。受刑者の社会復帰を促すとともに、犯罪被害者の支援にも役立てられている刑務所の作業製品。多くの人に手に取ってほしいと願う。


 連れ合いと結婚すると決めたのは、父親が病死した時、38歳だった母親がそれから頑張ってくれたのに、一人にできないので、同居してほしいとお願いしたところ、嫌な顔せずに了解してくれたことである。
 世間では嫁姑の対立などが少なくないことを承知していたので、その対策も兼ねて、仕事はできるだけ続けてもらいたいことと、定年前に自分を退職させて自由にしてほしいことをお願いした。

 結果、50代半ばを前に退職し、貴重な自由を手に入れたのだが、新たに我が家の大黒柱になってくれた連れ合いに協力しなければならないので、近くのスーパーに食料品や日用品を買い出しに行くことを引き受けた。

 前置きが長くなったが、そのスーパーで定期的に矯正展というか、受刑者の手掛けた製品を販売しているのを見つけたのである。
 犯罪被害者支援を訴えていたので、究極の犯罪被害者支援である受刑者の更生のためにできることをしようと考えていたところだった。
 家具などの木工品は家具屋で販売している品物と甲乙つけがたいほど見事なものだったが、生憎、家具類は新しいものを買う予定はなかった。
 連れ合いが靴下を洗う石鹸を以前買い求めていたのを知っていたので、探したがいつもあるとは限らなかった。
 そこで、見つけたのが今でも愛用している布製の大きめのバッグで、これを買い物の時には必ず持参している。
 受刑者の更生だから、偏見など全く持っていない。自分の母親は昔気質の人間だから、一度でも悪いことをした人間には厳しかったが、連れ合いは自分と同じで製品が良ければ、偏見など全く持たずに使ってくれている。

 その買い物も、連れ合いが退職し、コロナ渦になってからは感染を恐れて行かなくなってしまったので、刑務所の製品展示販売会にもしばらく行っていない。

 更生といえば、農業の後継者、担い手不足を農福連携と農刑連携で補うことを提唱してきた。
 確かに、職人というように手に職ということが大事だということくらいわかっているが、農業、林業などの一次産業の担い手不足は深刻なことになっているからこそ、受刑者の就労の場としての農業について考えるときがやってきている。
 農業といっても、有機無農薬での農業である。
 受刑者の作った有機無農薬の野菜をスーパーに並べてもらうことで、受刑者の更生がさらに人々の身近になっていく。 

2025年01月13日

犯罪追徴金 未収1251億円 マネロン巧妙化 影響

 薬物の密売や詐欺などの刑事事件の判決で被告に科され、検察が徴収する「追徴金」の累積未収総額が2023年度末時点で、1251億円に上ったことが最高検への情報公開請求でわかった。07年度末の449億円から2・7倍に増加した。被告に十分な財産がないことに加え、犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)が巧妙化し、捜査当局の追跡が困難になっている。と1月6日の読売が伝えている。

 読売新聞の情報公開請求に対し、最高検が開示した資料によると、前年度までの未収分と23年度中に新たに確定した追徴金は計1326億円。このうち、23年度に検察が徴収できたのは61億6500万円(4・6%)にとどまった。

 また、被告に1円も納付させられないまま1年が経過し、刑法の規定で時効となる場合などに、検察は「徴収不能」と決定しており、23年度は13億6400万円が未収額から除外された。

 被告から徴収した追徴金については、その事件の被害者に分配する制度が設けられており、徴収が滞ると被害回復にも影響する。

 SNSで誘われて運転免許証の偽造を繰り返した被告に対し、東京地裁が2024年10月、組織犯罪処罰法に基づき、報酬として受け取った暗号資産を没収する判決を言い渡し、確定していたことがわかった。暗号資産を没収対象とした同法改正後、没収を命じる司法判断が明らかになるのは初めてとみられ、暗号資産の悪用防止が期待される。と1月8日の読売(糸魚川千尋記者)が伝えている。


 犯罪をなくすことなど不可能なことだが、減らすことは可能である。
 犯罪といえば、殺人、強盗、不同意性交などの凶悪犯罪がすぐに思い浮かび、首都圏で頻発している闇バイトを使った強盗事件が頻発し、体感治安が悪化の一途を辿っている。

 凶悪犯罪に対し、経済犯罪というか、詐欺など人命には影響が少ない犯罪に対しては市民の恐怖感は比較的軽くて、どちらかといえば、他人事みたいに考えている向きも少なくない。
 ところが、振り込め詐欺や薬物売買で得た収入や追徴金を被告人から徴収できできないということになると、そのカネが次の犯罪に使われる公算が大きくなるから、検察はもっと真剣に徴収するようにしてもらわないと困る。

 犯罪被害者支援を訴えてきたが、反社の団体などが得た収入をマネーロンダリングすることは言葉では知っていても、現実に自分の住む世界とは別のところで行われている印象で、取り上げる機会もほとんどなかったように記憶している。

 覚せい剤などの薬物は、梅毒と並んで亡国病の一つであるから、摘発に力を入れる必要があることは真剣に訴えてきた。
 近年、梅毒患者が増加の一途を辿っていることは何回となく発信してきた。
 覚せい剤も、多量に摘発されたときに取り上げるようにしてきた。
 しかし、売買する反社の人たちが得た収入がどうなったかまでは気が回らなかった。

 被疑者を捕まえ、裁判にかけることは当然のこととして、懲役刑を言い渡すだけでなく、追徴金を納めなければ刑務所から出られないようにすることで、追徴金を徴収できる可能性がでてくる。

 とにかく、善良な市民が納得できるような犯罪収益や追徴金徴収システムを構築してもらいたい。 

2025年01月06日

性的偽画像 法に限界 対策も追いつかず

 生成AI(人工知能)を悪用した性的な偽画像の被害は、国内でも深刻化しつつある。自身の偽画像を拡散された女性は「将来にも影響が出るのでは……」と不安を募らせる。現行法による規制の限界も指摘される中、規制の強化を求める声が強まっている。と12月29っ隊の読売(シンシア由美子、鈴木貴暁記者)が伝えている。

 2020年頃からSNSやネット掲示板をパトロールしている民間団体「ひいらぎネット」の永守すみれ代表では、被害に遭った人物が所属する学校や団体などが特定できれば、個別に通報したり、SNSやネット掲示板の運営事業者に削除を依頼したりしている。永守代表は「被害者側の負担はかなり大きく、支援体制を拡充させる必要がある」と訴える。

 海外では被害拡大を受け、性的な偽画像の作成や所持、共有を規制する動きが広がる。韓国は2024年9月、作成に加え、視聴、所持なども処罰対象とする法案が可決。米国の複数の州では今年、性的な偽画像の共有などを規制する州法が成立した。

 デジタル性被害に詳しい工藤洋治弁護士によると、名誉毀損罪の従来の解釈では「名誉=社会的な評価」と定義され、被s者の社会的評価が低下した場合に「名誉の毀損」があったと判断される。だが、投稿された画像などが明らかに偽物とわかる場合は「被害者の社会的な評価を低下させているとは言いにくい」との理由で、立件が見送られるケースもあるという。

 工藤弁護士は「刑法が制定された当初には想定されていなかった事態が起きており、立法の不備としか言いようがない。国は早急に法整備の検討を進めるべきだ」と話す。


 若い頃、SNSの時代なんて想像することすらできなかった。まして、AIともなればなおのことである。
 スマートフォンやAIを使えない時代遅れの自分は退場するよりない。
 ただし、負け惜しみではなく、性的偽画像を作るような下劣かつ卑怯な真似は絶対しない。

 学生時代、全共闘運動の全盛期で、ロックアウトで学校が休みだったことなどで学力が身についていないにもかかわらず、卒業はさせてもらったので、学卒ということが恥ずかしくてならなかった。
 50半ばを前に、自由になりたいと退職し、時間ができたので、大学の通教に入学し、還暦の頃には何とか卒業論文を書いて目出度く卒業と相成った。
 法律が専攻だったから論文を書いて合格すると試験を受けられる制度だった。
 ある時、インターネットで調べて書いたら、「何のために勉強しているのだ」と担当教官が激怒したことが忘れられない。
 コピペなんぞ教官はお見通しだった。
 以降、参考図書を基に自分で考えて論文を書いた。
 卒論の口頭試問で教授から自分で考えることの大事さを示唆してもらった。

 SNSは便利であるが、性的偽画像がよい例で自らの品性のなさ、馬鹿さ加減を世間にさらすだけではないか。
 愚か者が多すぎて嫌になる。
 恥を知れと言いたい。
 法律で罰するようにせよ。

2025年01月05日

最高検「適正取り調べを「地検に通知

 2023年の1月下旬から痛み出した歯茎の治療をしてくれる口腔外科がなかなか見つからず、近くのかかりつけの内科のクリニックで抗生剤を出してもらって凌いでいたが、不定期ではあるが時々痛んで困っていた。

 2024年夏、このことが原因で鬱状態になってしまい、師走になって、かかりつけの先生から口腔外科に行った方がいいとまで言われてしまった。仕方なく、年末の25日、予約なしで診てくれて歯茎の治療もしてくれるという歯科クリニックを見つけることができ、歯茎の腫れているところから膿を出してもらったことで、かなり楽になったのだが、前歯の痛みが取れず、正月早々、これから歯医者に行くので憂鬱でしかたない。

 さて、最高検「適正取り調べを」地検に通知、自白に固執せずというニュースがメディアで伝えられている。

 12月28日のNHKによれば、東京地検や大阪地検の特捜部などが捜査した事件で不適正な取り調べが相次いでいることを受け、最高検察庁が各地の検察庁に自白に固執せず、適正な取り調べを徹底するとともに、事案に応じて任意の聴取も録音・録画することなどを求める通知を出したことが関係者への取材でわかった。

 検事の取り調べをめぐっては5年前の2019年、大阪地検特捜部が捜査した横領事件の取り調べで検事が机をたたき、「検察なめんなよ」などと強い口調で迫っていたことや2021年、東京地検特捜部が捜査した詐欺事件でも担当検事が「検察庁を敵視するってことは、反社や、完全に」などと自白を迫り、大声を出すなど、不適正な取り調べが相次いで明らかになり、いずれも最高検察庁が不適正と認定している。


 国家権力の怖ろしさを証明しているかのような東京地検や大阪地検特捜部の不適正な取り調べにはぞっとする。
 警察の取り調べで自白に固執するかのようなことが冤罪事件の温床となってきたとされていることはよく知られたことだ。
 取り調べで机を叩き、「検察なめんなよ」などと脅しともとれるかのような態度は奢りそのものである。
 証拠に基づいて被疑者を訊問すればいいので、机を叩く必要はない。
 ただし、被疑者にはしたたかな者だっているから、高飛車に出たくなる気持ちも理解できなくはない。

 怖ろしいのは冤罪事件で、電車内の痴漢を疑われて、冤罪と戦っている人の身になれば、冤罪だと訴えても聴く耳を持たない検察の取り調べ程怖ろしいものはない。

 もう一度、取り調べの原点に立ち返り、真実を追求し、冤罪をなくしてもらいたい。

 事案に応じて任意の聴取も録音・録画することなど、録音・録画をもっと活用してほしい。

2024年12月23日

再審制度見直し本格化 法制審 来春にも諮問検討

 確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて、法務省が早ければ来春にも法制審議会(法相の諮問機関)への諮問を検討していることが判明した。とメディアが伝えている。

 毎日新聞(三上健太郎記者)や12月21日の読売によれば、現行の再審制度には請求後の具体的なルールが整備されておらず、「証拠隠し」や審理の長期化を招く要因となっているとの批判があった。法務省に設置された有識者協議会の議論を踏まえ、具体的な諮問内容を判断するとみられる。

 刑事手続きを定めた刑事訴訟法には500を超える条文があるが、再審に関する規定はわずか19条にとどまる。刑訴法が1948年に制定されてから、再審制度に関する規定は変わっていない。

 刑訴法には、再審を請求した後の証拠の開示方法や審理の進め方といったルールが定められておらず、裁判所によって運用が異なる「再審格差」が生じているとの指摘があった。

 日本弁護士連合会は23年、証拠開示のルール整備や再審開始決定に対する検察側の不服申し立ての禁止を盛り込んだ刑訴法改正案を公表し、見直しを求めてきた。法務省はこれまで法改正に慎重な姿勢を示してきたが、近年、再審開始決定が相次いでいることを踏まえ、見直しに向けた議論は避けられないとみている模様だ。

 法務省には現在、刑事手続きのあり方を検討する有識者協議会が設置されていて、11月に再審制度の議論に向けた論点を整理した。年明けにも次回会合を予定している。


 2024年12月17日発行、「えん罪・名張毒ぶどう酒事件・東京の会 ニュース」が手許に届いている。
 年末カンパの呼びかけがあったので、早速、今朝年末カンパとして3000円送金してきた。
 名張の毒ぶどう酒事件の再審開始請求を支援してきたから、こうして折々会報が送られてくるのだ。

 会報と一緒に同封されてきたのは『いもうとの時間』という映画のパンフレットで、一審無罪だった奥西勝さんが二審以降で死刑にされてしまい拘置所で処刑を待つ時間が過ぎてゆくままに、病気で八王子の医療刑務所で死亡したことに伴い、再審開始請求の訴訟を引き継いだのが妹の岡美代子さんだった。

 岡美代子さんは94歳。再審開始請求を引き継げるのは、配偶者、直系の親族、及び兄弟姉妹に限られているから、残された時間がないということで、岡美代子にスポットを当てた映画が1月4日から、東京は東中野のポレポレ東中野で上映されるから、ぜひ、鑑賞してほしいという要請だった。

 映画の詳しいことは観てから書くつもりである。
 「兄の無実を信じて64年―いつか真実が分かるその日まで『いもうと』は生きる。」「冤罪事件の理不尽さと、その苦悩を炙り出す東海TV『名張毒ぶどう酒事件』シリーズ”最終章”」というコピーに触発されて一人でも多くの人に観てもらいとの思いを込めて紹介した。

2024年12月22日

刑法犯19年ぶりに増加 「闇バイト」少年が加担

 法務省は20日、2024年の「犯罪白書」を公表した。2023年1年間の刑法犯の検挙件数は前年比7・7%増の26万9550件で、19年ぶりに増加に転じた。新型コロナウイルス禍が収束し、犯罪の機会が増えたことなどが影響したとみられる。白書は、SNSを通じた「闇バイト」問題に初めて言及し、少年が重大犯罪に加担していると警鐘を鳴らした。と12月20日の読売が伝えている。

 刑法犯の検挙件数は1985年の103万2879件をピークに、減少傾向に転じた。2005年からは18年連続で減り、コロナ禍の22年は25万350件で戦後最少となっていた。

 特殊詐欺も、前年比8・6%増の7212件となった。高額の報酬を示唆して犯罪の実行者を募集する「闇バイト」に触れ、少年が特殊詐欺や強盗などに加担し大きな社会問題になっていると指摘。こうした犯行には、SNSでつながって離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)が関与している場合があるとした。

 白書では、再犯状況も分析した。昨年の刑法犯の検挙者数18万3269人のうち、再犯者は8万6099人で、「再犯者率」は前年から0・9ポイント減の47・0%となった。過去最悪だった20年の49・1%からは低下したものの、高止まりの状態が続いている。


 白書だから数字は2023年の犯罪情況を伝えているわけで、2024年の体感治安は戦後最悪と言っても過言ではないくらい悪化している。
 理由は、SNSでつながって離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)が関与する首都圏で頻発している強盗事件の増加である。
 特殊詐欺ということで括られる振り込め詐欺などは身の危険は心配することはなかった。
 ところが、首謀者は安全地帯にいて、SNSで集めた「闇バイト」を使って強盗を実行させるという手口だから、凶悪で首謀者をなかなか捕まえられなくて、事件が繰り返されてしまっている。

 池波正太郎『鬼平犯科帳』の火盗改めの長官長谷川平蔵によれば、闇バイトの手口は「急ぎ働き」に分類され、極めて凶悪である。
 皆が寝静まった「丑三つ時」に雨戸や窓ガラスをぶち壊して侵入し、家人を緊縛し、暴力を加えるという。女性を拉致監禁した事件もあったくらいである。
 所謂おとり捜査を導入してでも、首謀者を捕まえなければ犯罪は繰り返される。

 体感治安というのは結構大事なもので、街の安全の目安となっているくらいだ。警視庁はメール警視庁で、首都圏に発信し、街の治安状況を伝えてくれている。

 犯罪白書は興味がない向きには必要ないかもしれないが、犯罪被害者支援を訴えてきた立場からは興味深い内容で、とても役に立っている。

2024年12月18日

就活セクハラと性被害二重・三重苦しみ

 「就活セクハラ深刻」「ホテル連れ込まれそうに」「大量に酒を飲まされた」「採用難 社員と学生の接触増」「性的関係強要 被害者の2割」という見出しで、繰り返される就活生へのセクハラに大学は学生に自衛を呼びかけ、企業も対策に力を入れていると12月7日の読売が夕刊で伝えている。

 性犯罪やセクハラの被害者が、所属する企業や団体に十分な対応を取ってもらえなかったり、周囲から嫌がらせを受けたりする「二次被害」に声を上げ始めている。と「性被害二重・三重苦しみ」「所属先 不適切な対応」「ネット上 やまぬ中傷」という見出しで11月25日の読売が性犯罪被害者の二次被害について伝えていた。


 2019年2月、大手ゼネコンの大林組の社員が就活生に対する強制わいせつで逮捕されたことで、注目されるようになった就活生に対するセクハラはその後、さらに深刻な状況となっている。

 就活時のセクハラに対し、就職してからも性犯罪やセクハラの被害を受ける女性たち。
 被害を受けた女性が所属する企業や団体に十分な対応、ケアを取ってもらえなかったり、周囲から嫌がらせを受けたりする「二次被害」を訴えたのは元自衛官の五ノ井里奈さんで、その勇気ある行動に感服する。

 さらに、本来正義の味方でなければならない検察のトップ、大阪地検のトップ検事正による部下の女性検事に対する性的暴行事件でも、被害者の女性が勇気を振り絞って、加害者を告発しただけでなく、周囲からの二次被害について記者会見でその苦しみを訴えている。

 犯罪被害者支援を訴える立場から、性暴力、セクハラを糾弾しているだけでなく、もともと「自由のために」発信している立場であるから、女性の自由と尊厳を奪う性暴力が許せず、書かないではいられない。

 女性に対するセクハラや性暴力、さらに、二次被害がここにきて急増しているわけではないだろう。
 世の中には、弱い者いじめ、女性に性暴力をするような卑怯者は一定数いるはずで、目立ってきたのは、五ノ井さんのような勇気ある女性が立ち上がったからで、「#MeToo」運動が世界に広まったことが大きい。

 『SHE SAID シー・セッド その名を暴け』を観て、勇気ある女性が立ち上がったことで「#MeToo」運動が広がりを見せ、多くの被害者女性に勇気を与えたに違いない。

 声を挙げることは大変である。
 リスクも少なくないだろう。
 それでも泣き寝入りしていては女性の社会進出は進まず、国はよくならない。
 住みよい社会は女性が安心して生きていける社会であり、普通の男なら女性に性暴力したり、セクハラなどしない。
 卑怯者が跋扈する社会は住みよい社会とはいえない。
 ハラスメント教育にもっと力を入れる必要がある。