2022年03月19日

『襤褸』

 木野工『襤褸』(新潮社)を読んだので書いておく。
 書名はぼろではなく、らんるとルビがふられている。
 1972年に発売されたときの定価が600円で、アマゾンで手に入れてもらった経費も含め、5000円で手に入れたことはすでに書いている。

 1932(昭和7)年の5・15事件後、軍部が台頭する時代を背景に、北海道は旭川の石狩川の改修、旭橋の建設現場と近くに駐屯する第七師団の兵隊たちの欲望のはけ口とカネを巻き上げることを目的にできた旭川中島遊廓を舞台に貧困のため、雄冬の貧しいい漁村から17歳で女郎屋に売られてきた娘花が18歳になってほどなく性奴隷として酷使され、結核で死ぬまでが描かれている。

 花の母親も性奴隷だったが、足抜きというか逃げ出し、男と3人で雄冬の浜辺の掘っ建て小屋に隠れ住んでいたが、貧しさから娘の花を女衒に売り、そのカネを亭主に残し、自らも再び苦界に身を沈める。

 女衒に売られた花が旭川中島遊廓でも女郎いじめで悪名高き楼主夫妻に買われたことで、運命が決まったと言っても過言ではない。
 
 売春は男と女の歴史程大昔からあったが、公娼制度は江戸時代にはすでに日本全国にあったようで、明治以降、官憲に守られた遊廓の楼主の非人道的、鬼畜の所業は売春防止法ができるまで続く。

 語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で日本全国を周る折、遊女、女郎と呼ばれし女たちの供養もしてきた立場としては、人身売買に反対するため、関係の書物を買い求め、読んできたので、性奴隷として楼主から搾取され、徹底的に苛め抜かれて、死ねば、寺に投げ捨てられた女たちの墓があれば、手を合わせないではいられない。

 本書は小説であり、著者は特定のモデルはいないとしているが、それでも、ヒロインの花は苦界と呼ばれた性奴隷、女郎の世界では普遍的な存在として、多かれ少なかれ、ほとんどの女たちが花とさほど変わらない人生を生きてきたと、彼女たちへの鎮魂の気持ちを抱いていだのではなかろうか。

 本書は女郎の気の毒な人生を描いているばかりではなく、ヒロインが生まれた時代、性奴隷として売られた旭川中島遊廓が設置された地域を背景にしているだけに、旭川の街の歴史を勉強するときに大いに参考になるだろう。

 というのは、著者が旭川に生まれ育ち、北海道タイムスの記者だったから、旭川中島遊廓で性奴隷として酷使され、梅毒や肺結核で死んで逝った女たちがいたことを忘れないために、旭川の街の歴史の汚点として書き残そうとしたのではないか。

 佐渡金山の水替え人足からカネを巻き上げるためにつくられた水金遊廓で性奴隷として、酷使された女郎が水替え人足と心中する話、津村節子『海鳴』(講談社文庫)を若い頃読んで、とうとう、2017年8月に水金遊廓跡地を訪れ、小説とは異なるが、実際に心中した女郎の墓に行き手を合わせてきたことがある。

 旭川はいじめで女子中学生が集団で性的暴行をされたり、ベンチで凍死させられるなど、旭川中島遊廓の楼主の末裔がやっているのかと思えるような非道がまかり通っている。

 街のイメージとしては、自分にとってよろしくないが、18歳になってほどなく殺されたも同然の死に方をしたヒロイン花が普遍的な存在だとするなら、もう一度訪ね、墓など見つかれば、お参りしてやりたい。
posted by 遥か at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年02月09日

NPO法人「Learning for All(LFA)」貧困の子どもに学習支援

 「SDGs@スクール」と題し、読売が特別面で連載する優れた連載、その2月2日、NPO法人「Learning for All(LFA)」が貧困の子どもに学習支援をしている取り組みが貧困対策としてあまりにも素晴らしいので書いておく。

 格差社会が取り返しがつかなくなってしまうほど進みつつある日本、今や日本で暮らす7人に1人の子どもたちが「貧困」?状態に置かれている。
 SDGs(持続可能な開発目標)でも17目標の1番目に貧困の撲滅を掲げるが、解決は難しい。
 この難題に4番目の目標「質の高い教育」という視点から取り組む法人の活動内容が政府や企業から注目され、ボランティアで教師を務める大学生たちの研鑽の場になっている。

  代表理事李炯植(31)さんが兵庫県尼崎市の貧困地区で育ち、後に東京大学で学んだ時、周囲の学生の家庭の経済的な豊かさ、恵まれた出自との差が絶望的なほどだったことが2014年に設立されたNPO法人の原点にあるという。

 学者を目指していたが、大学3年の時に関わった学習支援NPOでの軽々がLFA設立への転機になったという。「子どもたちの人生が変わる教室をつくりたい」と。

 LFAの調査によれば、関りのある小中学生211人の半数以上がひとり親世帯で、半数近くが生活保護世帯だった。

 現在の拠点数は居場所支援も含めて29か所。職員は38人、運営に携わる大学生インターン40人、延べ9500人以上の子どもたちを支援してきた。(2021年3月時点で)

 
 教育といえば、小泉元首相は越後長岡藩のコメは百俵の故事を広めてくれたことでも知られる。
 明治初期、戊辰戦争後、厳しい窮乏の中にあった長岡藩に、救援のための米百俵が届けられたが、当時同藩の小林虎三郎は、コメを売って学校を建てた。
 つまり、人材育成こそが明日の国をつくるということを実践したということ。
 ことほどさように教育が大事だということである。

 郵政民営化に反対する立場だった自分とは相いれない小泉元首相であるが、首相のとき、上川陽子衆議院議員などを動かし、犯罪被害者等基本法を成立させた功労者である点を犯罪被害者支援の立場から高く評価している。
 
 貧しい家庭で育った人間で勉強ができた優秀な人は、世の中の中枢で活躍する人と、同じく勉強ができても、生活困窮者のために頑張る人がいるが、後者である李さんが東京大学で学び、貧困層の教育で子どもたちの人生を変えるという願いを持ったことに敬意を表する。

 自分の明治生まれの父親も貧しい家庭、多子世帯の末子で育ち、学校はすべて夜学だったらしい。
 召集され、南方に赴任し、何とか無事に宇品港に引き揚げて 帰国を果たした。
 貧しい家庭から教育者になった父親は祖父に見込まれ、わが家の養子となっているが、在職中病死している。
 子どもが3人いたが、父親は誰か一人くらい教育の世界で働くことを期待していたように思われるが、3人とも教育関係に就職することにはならなかった。
 亡くなる前に、輸血したが、当時はその血液を返すことが要請されたという事で、教え子が奔走して血液を返却してくれたり、亡くなって10数年経っても、教え子が墓参りに来てくれたことからして、教え子からは慕われていたようだ。

 貧困家庭、東京大学で学ぶ。という出自の李さんが同じ立場の子どもたちの人生が変わる教室をつくるという希望に燃えていることを知り、日本もまだまだ大丈夫かなと針路にほのかな灯りが見えるような気がしてきた。

 LFAがひとり親家庭、生活保護世帯のほかに不登校の子どもの学習支援をしてくれていることも忘れてはならない。

 いじめが主な理由で不登校になった子どもの場合、経済力があれば、身近で実践してきたように塾に通えば、大学にも合格できる。
 その時、学校に行かなくとも、授業料と塾代とかなりの経済的負担になる。
 そうなると、普通の家庭でも経済的に苦しくなるので、不登校の子どもの支援も有り難いだろう。親にとっては。
 李さんとスタッフの頑張りで負の連鎖が断ち切られ、子どもたちの可能性が限りなく開かれる。
 嬉しいニュースではないか。
posted by 遥か at 11:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年02月08日

若者の貧困、非正規雇用から農業へ

  NHKETV特集「若者たちの“貧困パンデミック”」を視聴することができた。メデイアの中でも、新聞からの情報を主に書くときの契機とすることが多いが、映像だと迫力と切迫感があって心を揺さぶられたので書いておく。

 番組の㏋によれば、「『所持金が1円。頼れる人がいません』『家もお金もない。死ぬことばかり考えています』。コロナ禍のこの2年、貧困問題に取り組む支援団体には連日、悲痛なSOSが届いている。その半数が20代、30代。なかなか支援につながれず、たとえつながっても次の展望が見えないまま不安と孤独の中で追い詰められる人も少なくない。コロナ禍が長期化する中、街で、支援の現場で、若者たちの“生の声”を拾い続けた2年間の記録。


 まずはじめに、悲痛なSOSが届くとすぐさま救急車よろしく救援に駆け付ける貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長を筆頭にスタッフがいるということに声を掛けた貧困に苦しむクライアントばかりでなく視聴していた自分も思わず「よかった」と胸をなでおろした。

 語り継ぐ戦争ではあるが、何故、貧困問題に関心があるかといえば、戦争と貧困問題が大いに関わっているからだ。
 アジア太平洋戦争の要因の一つとして考えられる中国への関東軍の侵略、満州国という傀儡国家、先兵とされたとも知らず、満蒙開拓団として海を渡った人々。
 従軍慰安婦として身を売らされた女たち、いずれも貧困問題が大きくかかわっている。

 米中対立といっても、両者ともに貧富の格差拡大で一握りの富裕層が国を支配していることに変わりがないばかりか、肝心な日本だって、富裕層のための政治が行われている証拠に非正規雇用が増加し、地方から大都会東京に出てきた人にとって、雇止めに遭えば、即路上生活者に転落してしまう。

 少し前の流行歌に池田充男作詞、伊藤雪彦作曲、「白い海峡」があった。
 []「憧れた東京は女の谷間、落ちたら深く沈むばかりよ」と歌っていたのは大月みやこだった。

 首都圏に生まれても頼る親がいなけりゃ、大差なく、「アッ!」という間に路上生活に転落してしまう。
 
 首都圏の田舎町に生まれ育った自分としては、田舎から上京してきた人が故郷に住む母親に連絡できないと言っていたことが鋭く胸に刺さった。
 どこかで耳にしたことがある言葉だと思ったら、年の瀬に河川敷にブルーシートを葦で囲った住居で灯油のストーブで暖を取っていた住人がしゃべってくれたことと同じだった。

 田舎から出てくると、せめて、土産の一つも持ってなけりゃ、故郷には帰れないと心情を打ち明けてくれたことを思い出した。

 若い人が上京したくなる気持ちは理解できるが、非正規雇用では先が知れているから、せっかく助けられたら、生活保護で何とか自立できるようにし、田舎で農業をやれば、路上生活者になることは防げるはずだと何回も書いてきたが、農業のことを理解する教育は受けてないから、これから勉強しても就農への道は20代、30代ならまだまだ十分間に合うはずだ。
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2022年01月29日

目玉焼き

 語り継ぐ戦争ではあるが、アジア太平洋戦争と大いに関りのある食と貧困問題についてもしばしば取り上げてきた。

 食といえば、読売がくらしの紙面に「思い出の味」というタイトルで著名人の食にまつわるエピソードを紹介しているが、1月24日は、俳優、タレントのサヘル・ローズさんの「トマト入り目玉焼き」だった。

 サヘル・ローズさんはNHKの「旅ラン」で視聴したばかりだが、その時は大地震から復興した熊本城の近くを走っていた。
 
 幼少期に実の親を亡くし、イランの児童養護施設で過ごし、7歳のとき、施設でボランティアをしていた大学院生に引き取られ、8歳の時、養母のパートナーを頼って来日するも、やがて、家を追い出され、2人で公園に寝泊まりしたこともあったという。
 トイレ掃除などで身を粉にして働いてくれた母。いじめに遭ったときも支えてくれた。
 高校時代から芸能活動を始めたのも、母親に「ちゃんとしたご飯を食べさせたいためだった」そうな。

 トマト入り目玉焼きは養母に引き取られてから、初めて作ってもらい、施設では食べたことのない濃い味付けは極上の味だった。
 働きづめだった母親には料理をする余力はなかったが、小学5年生のとき、仕事を失って家にいたとき、久しぶりにトマト入り目玉焼きを作ってくれた。小さな一つの目玉焼きを2人で分けたが、「黄身は栄養があるから」と全部くれた。「おなかも心も満たされた」とあのときのことを思い出す。


 この話を翌25日の読売が「編集手帳」で取り上げていた。

 母親の愛情がしっかり伝わってきたことで、お陰で自分も先年亡くなった母親のことを思い出した。
 38歳のとき、連れ合い(自分の父親)を亡くした母親は、結婚前に少しばかり銀行で働いたことがあったらしいが、それ以来となる、パート勤めをして、生活を支えてくれた。
 連れ合いが遺してくれた退職金を学費に当ててくれたお陰で今の生活があると思えば有難いと感謝の言葉しかない。
 料理が得意ではなかったが、料理学校に通い、教えてもらったメニューを家で実践したのは立派だった。
 目玉焼きといえば、母親がいないとき、自分で作って食べたくらいで思い出なんてないが、おふくろの味といえば、正月に毎年、作ってくれた羊羹ときんとんだ。
 作り方を受け継いだのは自分の連れ合いではないので、今年も食べられなかった。
 羊羹といえば、虎屋が有名だが、素人の母親が作るのは全く異なった柔らかなもので、わが家独特のものだろうと思っている。
 母親は自分の父親が亡くなってから50年後、父の命日の翌日旅立った。

 サヘル・ローズさんのお陰で、とても良い供養ができたような気がする。

 母と娘。血のつながりよりも愛情だという事で、貧しさにも負けなかった二人。
 愛情が美味しさを引き立ててくれたトマト入り目玉焼き、ご馳走さまとお礼を言いたい。
posted by 遥か at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年01月27日

職住確保の必需品 スマホ貸与

 生活困窮者の自立を後押しするため、支援団体や事業者によるスマートフォンの貸し出し、無料Wi-Fi設置といった取り組みが広がっている。
 就職や住居の確保などに欠かせなくなっているためだと1月12日の読売が夕刊で伝えている。
 
 紙面で紹介されているデジタル支援の一例
 つくろい東京ファンド(東京中野区) 「発信は数件のみ」という特殊アプリのスマホを無料貸し出し
 リスタート(豊島区)        月額4980円、電話かけ放題などの条件でスマホ貸し出し
 イオンリテール(千葉市)      他者携帯で利用料滞納し、利用停止でも、条件次第で契約可能     
                  
 世田谷区社会福祉協議会       リスタートと連携し、月4980円の利用料を3か月負担
 東京都               生活保護受給世帯にプリペイド携帯の費用を2万円まで負担
                   
自立生活サポートセンター・もやい  土曜日の食品配布時に無料Wi-Fiや充電器を提供

 スマホのレンタルをしているリスタートは2019年から、これまで自治体や支援団体から紹介があった計約5700人にスマホを貸し出している、


 語り継ぐ戦争をテーマに書いているのに、貧困問題を取り上げることが多いのは、戦争と貧困問題が大きく結びついているからだ。
 日本には資源がなく、人口が多くて貧しい人たちは食べられず、娘の身売りが絶えなかった。
 戦争に突入する契機となった2・26事件をみれば、クーデターを起こした青年将校が率いた部隊の兵士が農村出身者の場合、貧しさから娘の身売りという事に対し、不条理というか怒りを覚えていたことなども戦争と貧困問題が関わっているからある。

 書物などの影響で遊女、女郎、娼妓の解放という事に目覚めた自分は、やがて、遊女、女郎と呼ばれし女性たちの慰霊碑や墓を周って供養のための祈りを捧げるようになっていく。
 
 貧しき女性たちは、明治以降、九州などではからゆきと称され、異国に売られて行き、戦前は遊廓に売られ、戦争に突入すると従軍慰安婦として買われていくのだ。

 女性たちばかりでなく、貧しい農民たちは満蒙開拓団として海を渡っていき、敗戦で酷い目に遭うのだ。

 さて、貧困問題であるが、この問題のテキストみたいなのが、TVの刑事ドラマ『相棒』シリーズの傑作「ボーダーライン」である。

 非正規雇用者が雇止めなどで職を失うと、アパートの家賃が支払えず、忽ち路上生活を余儀なくされる。
 カネがないからスマホの代金を支払えなくなるのも時間の問題だ。もうこうなると、職探ししても職にもありつけようはずがない。
 会社の経営者にしてみれば、住所が不定の人間を雇うことはしないし、昔なら固定電話がない人間はそれだけで信用されていなかったし、現代であれば、スマホがなければ連絡もとれないという事で、採用はしないだろう。

 食の問題を書いた時にも取り上げたが、貧しいと食べられないから炊き出しや食料支援が命綱になる。

 そこから抜け出るためには働かなければならないが、その働き口を見つけるときのツールとして、断トツナンバーワンなのがスマホだから、スマホの貸与には行政も力を入れていく必要がある。
posted by 遥か at 10:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年01月13日

社員や地域へ利益還元、「公益資本主義」

 岸田首相が新しい資本主義の構築を掲げている。しかし、新しい資本主義がどういうものか説明がきちんと伝わっているとは言い難い今日、貧富の格差や低成長など試練に向き合う資本主義は今後どうあるべきか。1月7日の読売が解説の紙面で米国、中国、そして日本の3人の識者に訊いている。
 
 米国からは経済学者ブランコ・ミラノヴィッチさん、中国は清華大学国情研究院院長胡鞍鋼さん、日本はアライアンス・フォーラム財団会長原丈人さんで、それぞれ「米中 対立より共存を」、「中国 格差も原動力」、「社員や地域へ利益還元」という見出しで提言がなされていた。

 同じ資本主義でも、民主主義国米国と共産党独裁政権の国家統制の中での資本主義の性格は異なっていても、貧富の格差という事に関しては共通の課題となっている。

 日本でも、貧富の格差、貧困問題は大きな社会問題となっているので、ここでは、日本型の資本主義はどうすればいいのかについて原丈人さんの考えにしぼって書いておきたい。

 2000年代の小泉政権時代から続く構造改革の結果、配当など株主への還元は6倍以上に増えたが、約280万社の従業員の平均年収は約370万円で変化がない。規制緩和などの構造改革は、外国人が多数を占める株主に恩恵をもたらしたが、国民を豊かにするものではなかった。
 行き過ぎた「株主資本主義」は市場原理を重視した新自由主義がもたらした。
 このことが世界的に所得や資産の格差拡大につながっている。

 として、原さんは新しい資本主義のあるべき姿として「公益資本主義」の実現を提唱する。
 企業が生み出した付加価値を中長期にわたって、社員、顧客、取引先、地域社会、そして株主で構成される「社中=会社を成功に導く仲間」に適正に分配する考え方である。
 賃金が増えれば、社員のやる気が出て、業績の一段の向上が期待でき、株価も上がる。所得税など国の税収増にもつながる。

 日本には長期的な視点に立った経営が残っていて、東レの炭素繊維は開発してから40年間赤字事業だったが世界が注目する主力事業になっている例がある。
 すぐに成果を求める株主資本主義のもとでは不可能だ。


 語り継ぐ戦争だから、日本に原爆を落とした米国が嫌いかつ、許せないまま今日に至る。特に、日米安保を支える日米地位協定の不平等さを改定しようとしない自民党歴代内閣を厳しく批判してきた。

 小泉首相が郵政民営化を訴えた時も、米国のための民営化に絶対反対だった。
 特に、総務大臣をまかされた竹中平蔵という人は、今日、維新の大阪などに人材派遣している会社パソナの経営者で、格差社会を作り出した戦犯で、万死に値すると考えている。

 アライアンスフォーラム財団など全く知らなかったが、原さんが唱える新しい資本主義「公益資本主義」の実現には大いにエールをおくりたい。

 企業経営は単にカネ儲けすればいいというものではなく、地域のため、社員のためでなければならないと考えるからだ。
 企業だから儲けを追求するのは当然のことだが、株主にだけ還元されるようなことは間違っていて、原さん曰くの社中に適正に分配されるものでなければならないと考えてきたからである。

 経済学を勉強したわけではないが、この程度のことは普通に考えればわかることではないか。

 多くの労働者の所得が増えれば、消費が伸び、経済が良くなる。経済がよくなれば、税収も増える。
 一握りの株主や経営者だけが所得が増えても世の中の景気はよくなることなどありえない。

 新しい資本主義の要は、貧富の格差拡大をストップし、貧富の格差を是正することである。

 歴史に学べば、ロシア革命が起きたのも清国で毛沢東の共産党が革命を成就させることができたのも、それまでの民衆の生活があまりにも貧しかったからだという事を忘れてはならない。
posted by 遥か at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年01月07日

富裕層への課税強化で 富の再分配を

 「岐路の資本主義」というタイトルで見開き2ページ全紙面を使って1月4日の読売が貧富の格差問題について取り上げている。

 「貧富 人間を翻弄」「たまる不満 社会分断」」「日本でも 『貧困』 深刻」という見出しで伝えているのは「世界の超富裕層2153人の資産が、世界の総人口の6割に当たる46億人の資産を上回る」という人類が初めて経験するタイプの格差に直面しているということだ。

 「非常に富裕な人々は傲慢な者や大がかりな悪者になるのが多い。非常に貧乏な人々は無頼の徒や、ちっぽけな犯罪を犯す者となるのが多い。中間的な人々から組織された国に最も善き政治が行われる。」という古代ギリシャの哲学者アリストテレスの著書『政治学』から引用し、アリストテレスは中間層が主体になる国家が理想だと訴えたことを記者は紹介し、一握りの超富裕層が富を独占していることが社会の分断を招いていると警鐘を鳴らす。

 貧富の格差が滅茶苦茶に拡大した米国では、近年、格差是正を前面に掲げ、大企業や富裕層への課税強化を主張する「急進左派」、大統領選でのサンダース候補が支持を集める。格差が社会の分断をもたらした所以である。
 
 共産主義革命が成就した中国でも貧富の格差が拡大していることから、共産党独裁の中国でも、政府が統制に乗り出している。

 日本でも貧困問題が深刻になっている。
 富裕層を支持母体とする自民党に対し、富裕層を支持母体としていない公明党が連立を組み、補完勢力である維新が取り巻いている。
 労働者側に立つはずの立憲と国民民主は未だに腰が定まらず、支持は全く増えない。

 労働者や貧困層が支持母体であるはずの共産党は党名を変えろという自分の提言を受け入れず、「アカ」という右派勢力からの根拠のない宣伝が社会の隅々にまで生き渡り党勢が伸び悩む。

 すでに何回となく書いてきたことだから、詳しくは書かないが、国鉄民営化などで労働組合がつぶされてストライキが打てなくなり、日本労働組合総評議会(総評)は、日本労働組合総連合会(連合)になったら、もはや労働者のための団体とは呼び難い堕落ぶりで、なぜか、共産党を目の敵にする体たらくで、経営側の回し者と言っても過言ではない。
 これでは貧富の差を拡大させた元凶である派遣労働、非正規雇用が簡単に導入されてしまうわけだ。
 首切りが簡単にはできないように労働三法があったが、非正規雇用では雇止めという言葉で簡単に労働者は首を切られてしまう。

 経営側に労働者の賃上げをお願いしていたのは、安倍首相のときだったし、現在の岸田首相も経営側に賃上げをお願いしている。

 賃上げを労働者の団体が経営側と交渉するのではなく、いかに景気浮揚のためとはいいながら、首相が経営者にお願いすることに疑問を感じる労働者はいないのか。

 衆議院議員選挙で耳にした話。
 東京の某選挙区では、自民、公明の候補と野党統一候補が争い、自民、公明候補が勝った。
 この選挙区では野党候補が過去の選挙で集めた票をトータルすると自公候補の票を上回る結果となっていたから、自公の候補は所謂どぶ板選挙というのか、自分の知人の連れ合いにまで、決起大会に来てくれと要請があったほどである。
 対する、野党統一候補はもともと自民党の候補者公募で現在の候補に負けたという事で、もともと自民党の人だったから、過去共産党に投票した人は投票せず、結果的に自民党の候補が票を伸ばして当選した。

 この結果から、立憲が共産党と組んだから選挙で結果が出なかったとアンチ共産党の人間が騒いでいるが、真実は自公の候補の方が玉が上だったという事で、立憲が共産党と組んだこととは全く無関係だという事が証明されている。

 貧富の格差拡大を食い止めるには日本共産党とれいわ新選組を伸ばし、一握りの富裕層への課税を強化することから始まるという事は誰が考えてもわかることだ。
posted by 遥か at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題

2022年01月04日

年越し大人食堂に長い列 支える人々

 「行く年 越せぬ困窮」「『大人食堂』 長い列」という見出しで12月31日の読売が年の瀬に支援団体の人々が用意してくれた「大人食堂」に生活困窮者が長い列を作っている。とその窮状を伝えていた。

 新年が明けたからといって、生活困窮者にとっては生活が変わるわけではない。政治の光が射さないことには変わりがないからだ。

 政治家が自分たちだけはお手盛りで給与のほかに領収書が要らないカネを毎月100万円も税金からもらっている。一方で、政治家が生活困窮者のために何もしてくれないからという事で、立ち上がった市民がいたという事を記録し、彼らにエールを送るために、年の瀬から年始にかけ、生活困窮者向けに行った支援について書いておきたい。

 年越し支援・コロナ被害相談村  12月31日と1月1日、東京新宿の大久保公園で食料品を配布、相談会も

 NPO法人「TENOHASI」 31日と1月2日、東京東池袋公園で弁当を配布。宿泊場所の手配も

 NPO法人「自立サポートセンター・もやい」 1月1日、東京新宿の都庁近くで食料品を配布。相談会も
 
 寿越冬闘争実行委員会  1月3日まで横浜市の寿公園で各種相談会と炊き出しも

 NPO法人仙台夜まわりグループ  1月4日まで仙台市のみやぎNPOプラザの門前で食品を提供。1月6日には   
                大人食堂を

 東京都  1月5日朝までコロナ禍で職を失った人を対象に宿泊施設を提供

 よりそいホットライン  0120・279・338で24時間相談を受け付ける

 ChanKanプロジェクト  ホームページからメールで相談に対応

 聖イグナチオ教会  30日に東京千代田区麹町の教会で「年越し大人食堂」を主催したのは一般社団法人「つくろい東京ファンドなど


 生活困窮者のために立ち上がった人達にエールを送るとなれば、キリスト教社会運動家賀川豊彦という名前が頭に浮かぶ。

 キリスト教徒というわけではないが、若い頃、教会の日曜礼拝に行ったことがある。
 切支丹弾圧にも負けなかった信仰心、キリスト教徒で世のため他人のために頑張っている人がたくさんいることからして尊敬に値する人が信者には少なくない。

 アフガンで志半ばで殺されてしまった中村哲さんを筆頭に、日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師奥田知志さん、和歌山白浜バプテスト基督教会藤藪洋一さんなどは過去に取り上げたことがある。

 新興宗教とされているものには政治の世界に進出している団体もあるみたいだが、この団体が生活困窮者のために炊き出しをしたなどという事は耳にしない。

 同じ宗教でも考え方の違いなのだろうか。賀川豊彦の時代からマザーテレサを経て、中村哲さんの時代まで、世の中を佳くしようと努力されている人がキリスト教(広い意味で)関係者に目立つ。

 ところが、上述した中では、聖イグナチオ教会はともかく、キリスト教徒かどうか不明ながら、生活困窮者のために頑張る社会活動家たちが少なくないことに感心し、嬉しくなってしまった。

 過去にも書いたことだが、人にはそれぞれ立ち位置があり、それぞれがその立ち位置でできることをやればいいのだ。

 とはいうものの、誰かのために頑張れるというのは実に立派で見上げたものである。
 年の瀬に限らないが、生活困窮者のために頑張っている人にエールを送りたい。 
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2021年12月10日

「生理の貧困」コロナ禍家計困窮を背景に

 経済的な理由で生理用品を十分に購入できない女性を支える動きが広がっている。
 新型コロナウイルスの感染拡大による家計の困窮を背景に、「生理の貧困」問題として目が向くようになった。支援する団体は、理解の促進や、継続的な取り組みの必要性を訴えている。と11月26日の読売が伝えている。

 こうした状況から、自治体が公立学校や公共施設のトイレで生理用品を無料で配る動きが広がる。
 内閣府が全国の自治体を対象に行った調査では、2021年7月時点で支援を実施または検討しているのは581自治体で、全体の32%だった。東京都の杉並区や墨田区など、防災備蓄を活用した自治体が多いが、調布市やさいたま市などは予算措置をして、生理用品を用意していた。

 東京都教育委員会は2021年9月から、都立高など約250校の都立学校の女子トイレに生理用ナプキンを置いている。5月に先行実施した7校では、月に70〜300枚ほどが使用されたという。

 ただ、こうした支援が一過性に終わるのではないかと危惧する声もある。内閣府の調査に支援を実施していると答えた自治体でも、すでに終えた所もある。窓口に直接来てもらって手渡すなど、利用者がちゅうちょしがちなケースもあるという。


 世界の富裕層が宇宙旅行に行く時代となって、日本でも金持ちの道楽と揶揄する向きもある中、実業家が宇宙旅行を楽しんでいる。

 一方で、国を維持する次世代の子どもを産み育てる女性が生理用品も買えず、これを名付けて「生理の貧困」と呼ぶ。

 このニュースを聞いても、件の実業家や富裕層は何も感じないだろうが、政治家たちもやはり、報酬と呼ばれる給与以外に毎月100万円もの活動費、それも領収書もいらないカネをもらっているから、何も感じないだろう。
 政府はといえば、内閣官房機密費という領収書が要らないカネを湯水の如く使っている。
 岸田首相が参与に任命した落選した自民党の派閥領袖はコロナ禍で雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金を約60万円、受給していた問題が発覚、厳しく批判されている。

 TVではNHKが中間層の凋落という事を取り上げていた。
 残業代を当てにマイホーム購入代金のローンを組んできた人が、残業代がコロナ禍で減ったため、ローンが支払えずせっかく手に入れたマイホームを手放す破目になったと伝えていた。

 生理用品の件は一つには公共トイレにはトイレットペーパーと一緒にセットしておけばかなりの女性が助かるだろう。

 しかし、根本的なことは、子どもを産むためには生理がなければ困るわけで、女性たちは産めよ増やせよの掛け声で子どもを産まされ、兵隊を増やして戦死させられた時代とは別にして、国を維持するために子どもを産み育ててくれることからも、もっと国から丁重に大切に扱われてしかるべきである。

 生理用品など買わなくても、手に入れるくらいのことはやろうと思えばできるだろう。
 政府も、政治家も、自分たちばかりお手盛りで勝手なことをして、富裕層は応分の税金を負担していないだけではないのか。
 ここにメスを入れる政治家を増やすことだ。
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2021年10月03日

非正規雇用が路上生活者を増やす

 昨日、NHK「首都圏情報ネタドリ!」で、コロナ禍で仕事がなくなり、住処を追われて路上生活になってしまった若者と、彼に救いの手を差し伸べ、寄り添う福祉の活動家のことを取り上げていた。
 内容は番組の㏋によれば、「“底が抜けた社会”の片隅で〜コロナ禍 若者からのSOS〜」というテーマで。

「所持金が残り数十円」「もう死ぬしかありません」コロナが長期化する中、仕事も住まいも失い、路上から助けを求める人が後を絶たない。
 反貧困ネットワークの瀬戸大作さんは、去年春からSOSを寄せた人のもとに駆け付ける支援に奔走してきた。いま相談者のほとんどが若者で相談内容も深刻化しているという。
「弱い立場の人が追い詰められ社会の底が抜けてしまった」という瀬戸さん。東京の路上から見える現実を追った。」というもの。


 貧困問題は、運の良さと運の悪さで論じるような問題ではないが、団塊の世代の一人である自分はどちらかといえば、運がよかった部類に間違いなく入る。

 父親が召集され、戦地から無事に帰国してくれたから、この世に生まれてくることができた。
 戦前に生まれていて、青年になっていれば、召集され、戦場に送られた。
 団塊の世代だから、同世代の人口は多いに決まっているが、就職するときは、ほとんど正規雇用だった。

 その団塊の世代とその前の世代が主となって全共闘運動や労働運動をやっていた頃までは現在ほど貧困問題が世間を賑わしてはいなかった。

 学生運動が過激化し、内ゲバという自壊作用で一気に下火となり、民営化による労働組合つぶしで、そこで台頭してきたのが経営側で、労働三法と労働組合に守られている労働者を正規雇用から非正規雇用化し、簡単に首が切れるように運んだ。
 非正規雇用化された労働者は、年金も健康保険も会社が掛け金を負担せずにすませる代わりに、国民年金と国民健康保険に加入することを余儀なくされた。

 こうなると、団塊の世代の子どもたちが非正規雇用化され、親の経済力がある子どもはまだいいが、家庭に恵まれに子どもは、大変である。
 雇用が安定しないからコロナ禍で職を失うと、住処を追われ、路上生活に簡単に堕ちてしまう。

 戦前の農村の貧困問題は、娘たちの身売りという形で忘八者と呼ばれた女衒と廓の楼主だけがいい思いをした。

 さて、、職を失い、住処を追われた若者には、親も兄弟もなく、助けてくれる人は誰もいないからと死を決意しても簡単には死ねない。
 そこで、彼に手を差し伸べたのが反貧困ネットワークの瀬戸大作さんだ。
 「これからは一人じゃないから」と彼らに寄り添い、伴走してくれている。
 
 年越し派遣村や路上生活者を炊き出しなどで支援している人は立派で、頭が下がる。
 貧富の格差を少しでも減らすには、少なくとも選挙で政治を変えていかなければならないが、あきらめムードが漂う世の中の貧困階層にはそんな余裕すらなく、その日の食事の心配で終わってしまう。

 どうしてこんな世の中になってしまったのか、実は戦争前の時とよく似ているのだ。
 労働者は団結しなければならないが、その組合はつぶされ、御用組合化してしまった。

 学生時代からもっと世の中のことをしっかり考える習慣を身につけ、生き方を真剣に考えることが必要だった。

 瀬戸さんたちに助けられたら、今度は自分が助ける番だ。
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2021年09月24日

高校中退 後悔させないために

 NHKクローズアップ現代+で、「さらば!高校ドロップアウト ルポ・中退防止最前線」を放送していたが、少ししか視聴できなかった。

 番組の㏋によれば、「毎年全国で4万人を超える高校中退者。その防止に懸命に取り組む都立高校がある。
 自傷行為を繰り返し、人との関係を築けない生徒や家庭に居場所をなくし、意欲を失う生徒たち。
 校長は教師たちと個々の生徒の背景や事情に合わせて、従来の規定にとらわれない中退防止の方法を模索す
る。目指すは「さらば!社会からのドロップアウト」。
 中退が将来の非正規雇用や無職につながりやすく、若者の貧困を生みだすきっかけになるためだ。
 中退防止最前線からの報告。」と記されているので、おおよその内容はわかるだろう。


 今、将棋界で一つの時代をつくるだろうとその強さを称えられている藤井聡太三冠がもう少しで卒業というところで高校を中退したことがニュースになったくらいで、周囲の人も含め高校だけは卒業してほしいというのが普通の考え方であろう。

 ただし、朝から寝るまで将棋のことしか考えないという藤井さんにとっては、時間との戦いで、今、将棋に取り組まないと強くなれないのだとか。
 もう、十分強いと思うが、もっと強くなるためには高校に行っている場合ではないらしい。
 
 藤井さんのようにその世界で語り継がれるような存在となれば、高校中退であっても何ら不都合はないだろうが、市井に生きる普通の人が暮らしていくためには、高校中退となると就ける仕事が限られてくる。

 就けるのは学歴など全く問われない仕事、思いつくのは一次産業や職人などの世界くらいだ。
 先日、NHKTVドキュメント72時間で放送された気仙沼漁港のコンビニで買い物をしていた漁船で働く魚を捕るのが仕事の男性は学歴は関係ないからと笑顔で言いながら、稼ぎの良さに比例するかのような命がけの仕事に就いている感想を語っていた。

 小田急線車内10人刺傷事件の被疑者は大学を中退し、職を転々とし、30代の若さで生活保護を受給し、自分だけが不幸だと大学で単位が取れなかったのは自分の努力が足りなかったからであるにもかかわらず、他者を羨みその怒りを刃物を持って、か弱い女性にぶつけた卑怯者だった。

 大学中退者でも正規の仕事にはつけないくらいだから、まして、高校中退では就ける職業が狭くなってしまう。

 格差社会で生きにくくなることがわかっているから、年長者は高校中退をするなと止めるのだが、若い人は、想像力を磨いてこなかったから、先のことが考えられない。

 女子高生であれば、若いうちは学歴など問われない風俗や水商売で稼げるかもしれない。
 やる気があればの話だが、農業や林業などの一次産業や職人の世界に進路を選択する道もあるが。高校さえも卒業できないようでは厳しい職業には就いても果たしてやっていけるのか。

 TVで紹介していたのは東京都立拓真高校で、八王子市にあるそうだ。

 甘い考えで高校中退するなら、人生は茨の道を歩くことが決定したものだと思った方がいい。
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2021年09月23日

たどり着いたバス停で殺された路上生活の女性

 2021年5月21日に放送されたNHK「ストーリーズ事件の涙」たどりついたバス停で ある女性ホームレスの死 」を毎日見ているYouTubeで偶々見つけた。

 この事件のニュースが流れた時、必ず書くと決めていたが、NHKで放送されたことを知らなくて詳しい事情がわからなかったことから、先延ばしになっていたのである。

 番組の㏋によれば、「2020年、東京・渋谷のバス停で男に殴られて死亡したホームレスの女性に大勢の女性たちが自身を重ね、声を上げている。事件が社会に問いかけるものとは何か、明らかにする。

 去年11月、東京・渋谷区内のバス停で休んでいたホームレスの女性が男に殴られて命を落とした。当時、所持していた現金はわずか8円。
 生活苦の末に行き場を失い、事件に巻き込まれた。「彼女は私だ」、「彼女は社会に殺された」。いま大勢の女性たちが被害者にみずからを重ね、SNSなどを通して声を上げ始めている。
 事件が社会に問いかけるものとは何か。女性のたどった人生と女性たちへの取材から明らかにする。」と概要が記されていた。

 広島出身で、若い頃、声優やアナウンサーを夢見て、劇団で芝居をやっていた。
 27歳で結婚、東京に移り住むも、亭主のDVでわずか1年で離婚。数年で転職を繰り返し、非正規の職を転々としながらなんとか暮らしていた。

 事件の前はスーパーなどでの試食販売の仕事にありつくも、コロナの感染拡大で職を失い、アパートの家賃が払えず、住処を追われてしまい、路上生活を余儀なくされる。

 今、路上生活と言っても、東京都の知事が新宿の駅から都庁へと続く地下道に路上生活の人がいられないような構築物を作り、路上生活者追い出しをやってきたため、簡単には居場所がみつからない。
 まして、64歳といっても女性である。

 やっとたどり着いたのが殺され事件現場となった渋谷のバス停だった。
 
 彼女を殺害した被疑者の男は袋に石を入れて殴ったというのだから、明らかに殺意があったが、刑罰を軽くするため、殺意がなかったと自己弁護しているらしい。
 

 被疑者の男はボランテイアでゴミを拾っていて、邪魔だったと勝手な理屈を言っているらしいが、どんな弁解も通用しないほど酷い話である。
 道路はお前の所有ではないだろう。死ぬまで刑務所に入っていろと被害者に代わって恨みの言葉を言ってやりたい。

 若い頃、学生時代の友人で営業マンの男から誘われ、銀座と言っても多分場末だと思うが、彼の行きつけの酒場に行ったことがある。 
 その店で、アルバイトホステスとして働いていた女性が芝居をやっているというので、花束を買い求め、池袋まで観に行った。
 その時の演目はヘレンケラーで、彼女は端役だったが、まさか、店の客が、それも初めて来た客が芝居を観に来てくれるとは思わなかったようだが、その女性とその後、どうにかなったというようなドラマのようなことはなかった。

 要は俳優を夢見ている人は殺された女性同様少なくないということが言いたかった。

 先般、小田急線車内で10人刺傷事件の被疑者が自暴自棄になって事件を起こしたことについて、厳しく糾弾することを書いた。
 その時、転落していく人生について、TVの『相棒』で放送した「ボーダーライン」や映画の『東京難民』の主人公の例を参考に紙一重なんだと綴った。

 企業経営者からの要請を企業寄りの自民党が受け入れたのが、派遣労働制度で、非正規雇用がほとんどである。

 路上生活者が増えていく一因となっているのが非正規雇用で、なぜかといえば、非正規雇用であれば、労働三法に守られず、簡単に首が切られるからだ。
 さらに、経営側が掛け金の一部を負担してくれる社会保険や厚生年金ではなく、保険は国保、年金は国民年金ということで国民年金の保険料を納めることなく過ごしてしまえば、年金受給年齢がやってきても無年金となってしまう。

 日本国憲法の下で、生活保護法があり、小田急の切り付け事件の被疑者は生活保護を受給していたというが、路上生活者の多くが生活保護を受けたくない、あるいは受ける術がわからないということで、公共的セイフティネットも功を奏していない。

 想像力を磨いてほしいとは、自分の口癖となっていることだが、他人事ではないのである。

 田舎から上京してきて、アパート暮らしで非正雇用となれば、路上生活の予備群と言っても過言ではないからだ。
 アパート暮らしも路上生活も生活保護も紙一重だから、非正規雇用を減らす必要がある。

 秋の彼岸だから、死んだ人、殺された人のことを少しは考えてやりたい。
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2021年09月18日

貧困、格差が直撃する母子家庭

 「広がる貧困 母子家庭の危機に」「実質的に失業92万人 働いても報われず」「生理用品買えず 無料配布の動き 高校や大学」という見出しで8月30日の読売が社会保障の紙面に「安心の設計 支え合い あしたへ第6部 困難に寄り添う 上」というタイトルで母子家庭の窮状を紹介し支援を求めていることを取り上げている。

 母子家庭といえば、8月22日の読売が「顔 Sunday」で母子家庭の住まいを支援する建築士 秋山怜史さん(40)の提案「シェアハウスを全国に」という母子家庭支援の動きを伝えていた。

 新型コロナウイルス禍の長期化で、女性たちが困窮の瀬戸際に立たされている。
 時短営業や休業が求められてきた飲食店や販売などの仕事は女性の割合が高いためで、子育てで時間的な制約もあるシングルマザーの状況は特に厳しい。
 女性たちを支援する取り組みを取材し、紹介するというもの。

 「深夜の託児所先輩ママがオープン」という小見出しで託児所を運営する「一般社団法人シングルマザーの幸せな生活研究所」 代表理事柿木有紀さん(52)のことが紹介されている。

 自身シングルマザーで子育てをしてきたから、シングルマザーの苦境というものが身に染みて理解しているため、子どもが成長し、子育てにある程度目途が立った今、今度は支える側に回っている。

 福井で経営するバーでシングルマザーを雇い入れ、託児所を経営している。
 さらにシングルマザーのキャリアアップ支援に取り組み、特産の「越前和紙」の加工業者と組み、アートフラワーやコサージュを作る内職もあっせんしている。

 寄付で集まった子供服やおもちゃ、食料品、日用雑貨などを、必要な家庭に配る取り組みも始めた。
 運営スタッフは無論シングルマザーが活躍している。

 生活困窮の広がりは、国が2020年3月に始めた「特例貸付制度」(上限200万円)の申し込みが2021年7月上旬時点で全国で250万件を超えたことからも明らかとなっている。


 安倍、菅内閣の失政でコロナ禍が長引き、社会的弱者である女性、とりわけシングルマザーが苦境に立たされている。
 PCR検査を徹底し、陽性者を見つけ出し、隔離して治療するという感染を抑止するためにどうしてもやらなければならないことをやらず、感染が拡大し、中国がやったように野戦病院のような臨時的な医療施設を作らなかったため、感染しても入院できず、自宅待機ということで死者が増えた。
 明らかに医療崩壊が起きてしまった。
 
 対策でやったことは緊急事態宣言と蔓延防止の呼びかけだけだから、感染を減らすことはできず、役にも立たないあべのマスクを配り、しかも、経済優先のGoToトラベル、GoToイート政策で感染が地方都市にまで拡大してしまった。
 1人10万円配ったのだけが評価できることだが、感染防止にはならない。 
 こうなると、感染拡大の標的とされた飲食業で働く女性たちが生活困窮のどん底に突き落とされたも同然である。

 有効な手を打てなかった首相が二人とも交代するのだから、今度こそ、これまでの政権と関係ない人、有効な対策を打てる人、シングルマザーや貧困問題に理解ある人に首相になってもらいたい。

 さて、シングルマザーの生活を支えてくれている人がシングルマザーの先輩だったということで、やはり、同じ苦しみを経験してきた人がその苦境を一番理解してくれていることがよくわかる。

 誰も言わないことを一つだけ書いておきたい。

 シングルマザーが困っていれば、国や自治体が救済するということが必要である。プラスして、マザーというからには男がいなければ母親になれないのだから、男たちの責任をもっと厳しく糾弾していく必要があるということ。

 女性を妊娠させた男たちの責任、これが問われないことがおかしい。
 このことを強調しておきたい。
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2021年09月15日

支払いを減免 無料低額診療

 「病気と困窮 悪循環止めたい」「無料低額診療 支払いを減免」という見出しで、9月1日の読売が社会保障の紙面に「安心の設計」「支え合い あしたへ 第6部 困難に寄り添う 下」というタイトルの下、カネがないから病院に行かれないという人々を救う一部の病院や診療所での取り組みを紹介している。

 紙面で取り上げていたのは大阪市の西淀病院。
 73歳の女性。
 市内のラーメン店でパートで働き、月15万円稼いでいた。コロナ禍で仕事を失い、介護施設の賄いの仕事を見つけたが週3日、月収7万円に減ってしまった。
 夫の年金10万円、しかし、自身は保険料を納めていなかったので無年金。
 
 夫は糖尿病で介護サービスを受けているのでたちまち生活が苦しくなった。
 持病の喘息で通院したくとも収入が減っているので、通院を控えていた時、店の客だった病院職員の男性から「無料低額診療」の制度を教えてもらい医療費の減免を受けられるようになり、助かっているという例。

 日本国憲法の下、生活保護法があり、生活困窮者は生活保護を申請すれば、医療扶助を受けられる。
 しかし、生活保護を受けるには収入の基準があり、年金を含め、基準を上回れば生活保護は受けられない。
 無料低額診療制度は生活保護受給とのボーダーラインの人には大いに助かる制度だ。
 生活保護を受けられる人はまだいい。
 しかし、年金収入が少なかったり、高齢でも元気に働き、生活保護基準を上回る収入があれば、生活は何とかやり繰りしても、医療費の支払いがあれば、生活が困窮してしまう。

 西淀病院によれば、70歳のパート女性。収入は国民年金のみ。ベッドメイクの仕事が減った。
 62歳のジャズピアニスト女性、ホテルやジャズバーの仕事がなくなり、収入がゼロに。
 というように無料低額診療は生活困窮者に救いの手をさしのべている。

 紙面では、東京山谷地区の公園で、月に一度ボランテイア医師が生活困窮者向けの「無料医療相談会」を開いていることも紹介されていた。
 相談会は、路上生活者の支援に取り組む一般社団法人「あじいる」(代表 医師今川篤子さん)が約20年前から開始。


 自分もそうだが、高齢者と呼ばれる年代になれば、誰しも、体のどこか具合がよくないので、病院や医師が身近になってしまう。

 世の中、運がいい人と運がよくないひとがいる。
 その運も心がけに左右される場合も少なくないが、運がよくない人は運がよかった立場の人が発する言葉など聞きたくないかもしれない。

 今日は、これから胃カメラの検査に行くが、身内が胃がんで死んでいることと、昨秋からの腹痛のこともあって、不安もないではない。

 それでも、分類すればまちがいなく運がよかった方に入るであろう自分からみれば、安心して医者にも行かれない人達は気の毒だ。無料低額診療の制度をもっと広げて欲しいと願う。

 生きるということをよく考えるが、世の中支え合いだなとつくづく思う。
 それにつけても、医療スタッフ、医師の先生は有り難い存在である。

 病気になると医師の先生が頼りで、コロナ禍だから、医療スタッフにねぎらいの言葉と感謝の気持ちを込めて、お礼を言いたい。
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2021年07月18日

米国の光と影 ロスの路上ひしめくテント

 米国メジャーリーグで大活躍する大谷翔平選手のことが気になって仕方ない。
 
 子どもの頃、プロ野球で活躍する長嶋、王の二人、人気の長嶋、実力の王ということで、どちらかといえば長嶋選手の活躍が気になったものだった。

 あれから60年くらいたった今日、大谷翔平選手の投打にわたる大活躍で、大谷選手のことを大谷速報で調べるのが日課になっている。

 その大谷選手が大活躍する米国で、「ロスの路上 ひしめくテント」「ホームレス増加 恩恵遠く」「雇用回復『低賃金』置き去り」という見出しで、貧富の格差が拡大してしまった自由主義の砦米国の影の部分について7月8日の読売が伝えている。
 
 2020年1月時点の調査では、全米で約58万人。カリフォルニア州で家を失った「ホームレス」は全米最多の約16万人。約5万人は救護施設などに入ったが、11万人は路上などで暮らす。

 全米で21年中に27万6000人、22年に51万3000人・23年に60万3000人が新たにホームレスに陥ると推計するNPO法人もある。

 紙面ではロスのスキッド・ロウ地区、英語で「ドヤ街」を意味するこの地区に全米のホームレスの約1%弱、4600人が住む。


 米国のことだ。などとみているととんでもないことだ。
 日本でも全く米国と変わらないはずだ。

 55年体制後の日本では、労働三法が守っていた労働者を非正規雇用という就労形態を経団連など雇用側が導入し、その非正規雇用者を企業に派遣するという形で、昔はその筋、暴力団が支配していた手配師の仕事を人材派遣会社が握り、労働者の収入の上前をピンハネするという構図が作られてしまった日本。

 その人材派遣会社の頭目にパソナの経営トップ竹中平蔵というある時は慶応大学名誉教授などとも名乗っている人物が君臨する。
 米国型新自由主義、市場原理優先、貧富の格差拡大推進派として知られ、経済評論家三橋貴明さんやれいわ新選組の山本太郎さんに売国奴などと厳しく批判されている。

 例の郵政民営化を進め、簡保がアフラック、つまり米国の保険を売るように画策したことでも知られる。

 バブル経済崩壊後の失われた30年に日本で起きたのは国鉄などの民営化と労働者の非正規雇用化で、収入が少ないまま働かざるを得ない労働者は、雇止めでいつ、路上生活者に陥らないとも限らない不安定な暮らしを余儀なくされてきた。
 当然、消費が活発にならないところに消費者に罰を与えるかのような消費税が導入され、デフレが続く。     ここでも金持ちが優遇され、ますます貧富の格差が拡大し、結婚できない非正規雇用者ば増えて、少子化はとどまることがなくなった。
 会社に行けば、、正規雇用と差を付けられている給与を尻目にやる気が低下し、生産性が著しく低下してしまい、新製品を創造する力、米国や中国などの企業との競争に勝てないことになり、もはや輸出大国でもない。

、唯一、明るい話題といえば、メジャーリーグで大活躍する大谷翔平選手だけだ。

 しかし、ポジティブになれる話もある。

 バイデン大統領など世界のリーダーたちが法人税の課税額を引き下げることが間違っていたとして、法人税を適切に納付させるように動きだしたことである。

 カネがないなら、カネがあるところ、高額所得者や大企業の法人税をアップして、納税してもらうよりない。
 このことは日本共産党やれいわ新選組の山本太郎さんが訴えてきたことと奇しくも一致するから不思議だ。

 一握りの大金持ちがいて、同じ人間でありながら、路上生活を余儀なくされる人々が多数いるのは誰が考えてもおかしくないか。

 これを正すのが政治である。
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2021年06月14日

富裕層と所得税

 米政府が最富裕層や大企業の課税逃れ対策を検討する中、複数の米大富豪が所得税をゼロに抑えていた年があることが8日、明らかになった。とメデイアが伝えている。

 6月9日のAFPによれば、ニューヨークの非営利報道組織プロパブリカ(ProPublica)の調査報道によると、小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)を創業したジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏は2007年と2011年に、電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は2018年に、所得税をゼロに抑えた。

 プロパブリカは、「(米大富豪の一部は)膨大な富を持っているにもかかわらず、所得税をほとんど納めていない。まったく納めないこともある」と指摘した。プロパブリカは、非公開の納税記録の入手経緯は明らかにしていない。

 他にも、マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)前ニューヨーク市長、「物言う株主」として知られる著名投資家カール・アイカーン(Carl Icahn)氏、投資家で慈善活動家のジョージ・ソロス(George Soros)氏らも所得税がゼロだった年がある。

 株式や土地などの資産について、価値の増加を考慮せず売却益のみを課税対象としている米国の税制も、大富豪に有利に働いている。


 経済アナリストで獨協大学教授の森永卓郎さんは公の場で富裕層への課税の強化を訴えているので、数多くいる経済評論家の中でその見識を高く評価してきた内橋克人さんと並んで評価してきた。

 金持ちは消費税の導入、消費税の税率アップに寛容であるが、所得税の累進課税に敏感で、猛烈に反対する。

 自由のために毎日、発信しているので、自由と富裕層が所得税を節税していることとどう結びつくのかという疑問を感じる向きもあるかもしれない。

 人間は一人で生きているわけではない。
 社会の中で生きているわけで、一部の人間だけが富裕層で、残りの大多数は豊かでないという社会はおかしい。
 富裕層は何も自由主義の国だけでなく、独裁国家であれば、独裁者側が国の富を独り占めしている。このこともまたおかしい。

 断っておくが、みな平等になどと言っているのではない。才覚があって金儲けして悪いと言っているのではない。

 ただし、所得が多いのは才覚だけが理由ではなく、社会があって、大多数の人間のカネが才覚があった人間に集中するからで、応分に見合った税金を負担するのが当然のことだと言っているだけだ。

 株式や土地などの資産について、価値の増加を考慮せず売却益のみを課税対象とする米国の課税がおかしい、富裕層と大企業への課税を強化しろというのが、米国大統領選挙を戦ったサンダースさんの主張だった。

 自身所得税をきちんと納めていた証拠を示さなかったトランプ大統領も所得税をきちんと納付してこなかった富裕層の一人である。

 そのトランプさんに勝ったバイデンさんは、さすがに、1%の富裕層だけが富を独占することへの国民、市民の怒りを理解し、大企業と富裕層への課税を強化しようと目論む。

 結構なことだ。

 米国型新自由主義の考え方が跋扈する日本でも一部の富裕層と大企業への課税の強化を訴える森永卓郎さんやれいわ新選組の山本太郎さんのような人が現れた。
 
 もともとわが国では日本共産党が大企業と富裕層への課税の強化を訴えてきたが、日本共産党が長年のアカ云々という反対勢力の宣伝に負けて、イマイチ人気がないため、訴えは広がりを欠いてきた。

 しかし、日本でも貧富の格差を広がり、貧困層の女性は生理用品が買えないというみじめこの上ない生活を余儀なくされている。

 貧困層はコロナで追い打ちをかけられるようにますます生活が苦しいと訴えている声をメデイアが伝えている。

 病気になって、長くお医者の先生にお世話になって初めて、健康が一番でカネはあった方がいいが、一番大事なのは健康な体だとつくづく考えさせられた。

 コロナでワクチン接種で気持ちが急がれるのは、とりあえず、コロナで死にたくないからだろう。

 だとするなら、富裕層と大企業へに課税で貧困層を少しでも救済することは当たり前のことではないか。
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2021年05月31日

立川駅でビッグイシュー販売15年

 政府が有効な対策を打たないから、感染拡大が広がり、ウイルスがより感染力の強い英国型変異株にとって代わり、今や、さらに強力な感染力を持つインド株に代わろうとしている昨今、大阪では入院できず、自宅待機中に死亡するという行政の担い手維新の医療に対する取り組みの失敗が大きくクローズアップされることになっている。

 感染対策で有効な対策を打たない政府は緊急事態宣言や蔓延防止措置などでステイホームを呼びかけるだけで、すべてはワクチン頼みである。

 いつの世も、こうなると弱者にしわ寄せがいく。

 東京の市部、三多摩と呼ばれている地域随一の都市立川。そのJRの立川駅北口の歩行者デッキで約15年間ビッグイシュー日本版を販売してきた男性74歳に5月22日の読売がスポットを当て、「『おじさん』は負けないぞ」という見出しでその活動を紹介していた。

 自分が書いているテーマである「自由のために」と「生きる」を体現しているので書いておく。

 紙面の解説によれば、ビッグイシュー日本版とは、雑誌を通じてホームレスの人々の自立を支援する活動として1990年代に英国で始まり、2003年に日本でも創刊。
 毎月2回の発行で、様々な社会問題が特集されている。
 全国のホームレスや生活困窮者約110人が1冊450円で販売、うち230円が売り手の収入となる。
 発行部数は約2万5000部。

 コロナ禍で外出をしないように呼び掛けられているため、人通りが減っても駅の歩行者デッキに立つ男性。
 その人生はまた生きるそのものだ。

 建築業の親方をしていた時代をピークに、約20年前、脳梗塞で倒れて体にマヒが残り、仕事を続けられなくなった。

 知人の誘いで立川にやってきたが、知人は訪ね先にいなくて、行く当てを失くし路上生活を余儀なくされることになった。

 今、生活保護を受けてアパートで暮らす。
 保護を受けていても、仕事をするのは「人と交わりたい。少しでも社会の役に立ちたい。この仕事だけがそんな思いをかなえてくれるから」だそうな。

 人の一生、いいことは少ないし、長続きしない。それでも生きていれば、誰かのためになることもある。

 支え、支えられ、そんなことを教えてくれる話ではないか。
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2021年04月23日

1000億ルーブルの宮殿を所有する独裁者

 何度でも書くが、毎日書いているのは自由のためである。
 人間生きていくためには食べなければならないが、刑務所や収容所でただ食べるためにだけ生きているなら、自分は死んだ方がいい。
 ただし、刑務所や収容所から出て、再び自由を手に入れられるなら生き抜く道を選択する。

 語り継ぐ戦争で、満州や樺太にいた日本人や欧州でのドイツ人などが敗戦後、シベリアにある収容所で酷寒の地で、栄養失調の体で強制労働させられたことを忘れてはならない。

 収容所といえば、ロシアの野党勢力指導者で、矯正労働収容所での懲役2年半の刑に服しているアレクセイ・ナワリヌイ氏が強制労働収容所での扱いに抗議して、ハンストを続け、容体が悪化し、米国などはナワリヌイ氏が治療を受けられず、事実上プーチン大統領に殺されたも同然のことが起きたら、ロシアにはそれなりの報いを受けてもらうと警告しているとメデイアが伝えている。

 このニュースが流れたタイミングでNHKがクローズアップ現代+でロシアにスポットを当てて、情勢を伝えてくれた。

 野党指導者ナワリヌイ氏の殺害を企図した殺人鬼のようなプーチン大統領は、証拠はなくても自分に批判的な人物をKGBなどを使って暗殺してきた。
 プーチン大統領に批判的な人々が、暗殺者としてプーチン大統領を非難するプラカードを持ってデモ行進したら、1700人がプーチン大統領の手下に捕まってしまった。

 若い人が貧しい生活をしているにもかかわらず、独裁者プーチン大統領は1000億ルーブルの宮殿を作り、豪勢な暮らしを楽しんでいるとTVで公然と批判していた。
 1ルーブルは1円程度だとネットに書いてあったから、単純に1000億円の国民の財産を独り占めしたことになる。

 若い人から地獄に堕ちろとののしられて当然の私腹を肥やしたことになるほどやりたい放題だ。


 権力者が長くその座に居座るとろくなことがない。
 特に、ロシアという国は特異な国で、帝政ロシアの皇帝が革命で倒されソビエト共和国ができたら、スターリンが皇帝に代わった独裁者となり、自分に批判的な人間を皆殺しした。
 
 そのスターリンの次に自分に批判的な人々を暗殺しているのがプーチン大統領である。

 スターリンとプーチンの間にたった一人まともな指導者ゴルバチョフ大統領がいて、ペレストロイカでソ連を崩壊させ、西側との冷戦を終わらせ、ベルリンの壁を壊して、ドイツに春を届け、東ドイツが解放された。
 日本に対しては、シベリアでの抑留は、強制労働を人道に反する行為であったと認めたのは1993年に来日したエリツィン大統領だったが、謝罪と言えるのか疑問だ。

 権力者といえば、高額の給与を隠し、日産のカネを使いこんだことがばれ、捕まった後、レバノンに逃亡したカルロス・ゴーンも日産で労働者の首を切ったカネを独り占めし、最後は海外逃亡ということで、哀れな末路である。

 ロシアはクリミアを軍事力で奪い取り、日本から奪い取った北方領土も返還するつもりはないにもかかわらず、平和条約締結できそうだと日本の馬鹿なリーダーが騙されそうになったことがある。

 番組で、若い人はプーチン大統領に批判的な人が増えているが、年配者は、洗脳されているのか、批判者は少ないようなことを伝えていた。

 天然ガスのパイプラインを欧州向けに整備し、儲けたカネは独裁者が独り占めし、国民は天然ガスが使えていないと怒っていた若い人の声に耳を傾けないでどうする。

 1000億円も国民の財産を奪い取った人間に中高年代世代が批判的でないのはこの世代のロシア人の多くがよほどおめでたい人間ばかりなのだろう。
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2021年04月13日

富裕層さらに豊かに 世界の長者番付と貧困問題

 米経済誌フォーブスが6日発表した2021年版の世界長者番付で、米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が4年連続で首位になった。
 資産額10億ドル以上の億万長者は過去最多の2755人に上った。米国では、富裕層と低中所得者層の格差が一段と拡大している。と4月8日の読売が伝えている。

 ベゾス氏の資産額は1770億ドル(約19・5兆円)に上り、前年から640億ドル(約7兆円)増やした。アマゾンはコロナ禍の巣ごもり需要で業績を伸ばし、直近の四半期決算で過去最高の売り上げを記録した。好業績で保有する株が値上がりし、ベゾス氏の資産額が大幅に増えたという。

 フォーブスは、株価上昇などで8割超の億万長者が1年前より裕福になったとし、「コロナ禍にもかかわらず、世界の富裕層にとって記録的な年になった」としている。

 アマゾンでは、現場で働く従業員に賃金や労働条件への不満が高まっている。

 「3月の米議会上院の公聴会。米アラバマ州にあるアマゾンの物流施設で働くジェニファー・ベイツさんによると、物流施設での作業ペースは「超高速」で、従業員は常に監視され、仕事が遅すぎると、処分を受けたり、解雇されたりするという。従業員の時給は15ドル(約1600円)ほどで、年収は3万ドル(約330万円)を超える程度とみられる。


 人類の一番大きな問題である経済について語るとき、資本主義と社会主義(共産主義)について論じなければならない。
 歴史の勉強をするとよくわかるが、ロシアや中国を例にするなら皇帝が支配する社会はあまりにも貧富の格差が拡大し、必然的に革命が起きた。

 ところが、その革命において、ソビエト共産主義を唱えたスターリンは粛清という名で一体どれ程多くの人々を殺戮したかわからないほど自分に異を唱える人間を殺しまくった。

 共産主義革命といっても、皇帝にとって代わって独裁者となったスターリンとその一派、共産党員だけが豊かな生活をするということであったが、貧しい人の暮らし向きも長い年月をかけて、少しずつ向上したから、多くの国民から支持されてはきた。

 一方、中国はといえば、清朝の時代に貧富の格差があまりにも大きかったから、日中戦争を経て、蒋介石の国民党軍との覇権争いを制した毛沢東の中国共産党が国民から支持され、ケ小平が市場経済をうまく取り入れ、貧しい国から一躍米国と覇権を争うまでに急成長したが、共産主義でありながら、貧富の格差がこれでもかというほど開き、もう一度革命が起きるのではないかと恐れる中国共産党政府の国民への締め付けが厳しさを増している。

 貧富の格差が解消されるはずの社会主義、共産主義でありながら、中国からも世界の長者番付に名前を連ねる人が出てきて、結局資本主義、自由主義の米国と共産主義の中国、どちらも貧富の格差が大きいということで、貧しき者から見れば、どちらの体制でも一握りの金持ちだけに富が集中する非常に不愉快なことと相成った。

 経済については、どちらの体制であっても、国民の義務である納税面で貧富の格差をいくらかなりとも減らすためには高額所得者への課税の強化が必要であるが、一握りの金持ちに支配される米国では一向に高額所得者への課税強化が実現しない。

 高額所得者のトップであるアマゾン・ドット・コムの経営トップに対し、労働者がその過酷な労働現場の様子を議会で訴えている。

 2020年1月に観たケン・ローチ監督『家族を想うとき』で家族のためと日本の赤帽みたいな宅配請負事業に職替えをした男性がその宅配ビジネスのあまりにも酷い労働環境を明らかにしていた。

 宅急便では途中トイレに行く暇がないというか、場所がないというか、尿瓶を持ち歩いていて驚愕した。

 宅急便だからアマゾン・ドット・コムや楽天の品物を扱うクロネコヤマトの宅急便をよく利用する立場としては運転手の大変さを思わないわけにはいかない。

 とにかく、一握りの富裕層だけがますます太っていくのは誰がどう考えてもおかしい。
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2021年04月08日

子の養育費請求権民法に明記へ シングル家庭の貧困対策

 コロナ禍でひとり親家庭の貧困が深刻化していることから、上川法務大臣が養育費の不払い解消など子どもの養育に関する制度の見直しを要請し、法制審議会で養育費の請求権を子どもの権利として民法に明記することなど検討が始まった。と4月5日の読売が時の問題を詳しく解説するスキャナーの紙面で取り上げている。

 議論されるのは上記に加えて、
〇離婚時の養育費の取り決めを制度化。
〇取り決めがなくとも養育費を法定額として請求できるようにする。
〇離婚後の子との面会が進むように取り決める。
〇離婚時に夫婦の財産を折半するように民法に明記する。


 古来稀なる年まで生きられ、いつお迎えが来ても今更悔やむこととてないが、人生を振り返って、予期しなかった出来事は、40代早々に病気になったことで、それも、治らないということで、未だに通院、服薬している。
 それでも有り難いことに日常生活に不自由することがないことが救いだ。

 人というものは、この世に生まれてきたとき、頼んで生まれてきたわけではなく、当然、親や生まれ育った地域を自ら選べるわけでもない。
 死ぬときも、自ら選べず(自殺は別)、寿命ということに相成っている。

 しかし、自分で選ぶ(試験があるが)ことができるのは学校があり、次いで、職業(試験がある場合が少なくない)がある。そして、結婚だけは自らの意思でできる唯一のものだといっても過言ではない。

 そうやってわが身を振り返ってみると、何と運に恵まれた人生だったのだろう。と思わず、ご先祖に手を合わせてしまった。

 病気は大変だったが、その分伴侶には恵まれた。自分には出来すぎた伴侶で、運がよかったとしか言いようがない。

 病気で都合6回も入院しているが、入院中、親切にしてくれた看護師に病気はなりたくてなったわけではないが、自分はその分、連れ合いに恵まれたと話したら、「結婚相手に恵まれるのは人生一番の幸せではないですか。いいですね」と笑顔で言われたことを思い出した。

 養育費の問題を語るとき、どうしても、書かなければならないのは、一番嫌いな自己責任ということである。
 世の中に離婚する夫婦などそれこそ星の数ほどあるだろうが、DVなどろくでもない男と結婚し、養育料をもらう以前に身の安全を確保するため、シェルターに逃れるようなひどい例もあれば、円満に協議離婚というような例もあるだろう。

 別れる理由など探っても意味がないが、養育料がもらえないから生活保護というのでは、あまりにも身勝手だという厳しい見方をする人がいるのも事実である。

 円満な家庭だと書いている自分からみれば、シングルになった親は無論、子どもには何ら罪はなく、ただ、運が悪かったという見方で、女性と子どもは国の宝だという立場だから、養育料がもらえなければ社会が援助してやるしかないと考えている。

 その一方で、養育料を支払わない男には江戸時代無宿人が佐渡に流され、金山で働かされたように役所が仲介してでも、厳しく取り立てる必要があるとも思っている。

 だから、養育料に関する制度の見直しをすることに大いに期待している。

 養育料を行政、つまり自治体が立て替えてもらいたいということを耳にしたことがあるが、犯罪被害者が加害者からの損害賠償金が未払いで生活に困窮しているということで、やはり、自治体なりに立て替えを願っているということも耳にする。

 何とか、子どもたちが困らないようにしてやりたいと願うばかりだ。
posted by 遥か at 10:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題