2021年12月17日

「もうかる農業」へ農産物輸出額1兆円

 2021年の農林水産物・食品の輸出額が、初めて年間1兆円を突破することが確定した。米国や中国の経済活動の回復を背景に、人気の高い牛肉やウイスキーが大きく伸びた。
 政府がかつて、13年の実現を目指していた「年間1兆円」を達成した。とメデイアが伝えている。

 12月16日の読売によれば、財務省が16日発表した11月の貿易統計(速報)で、果物や野菜などの食料品は、前年同月比18・5%増の899億円だった。農林水産省が集計している1〜10月の農林水産物・食品の輸出額と合わせると、少なくとも1兆633億円を超えた。

 政府はこれまで、販路拡大や輸出品目の育成など官民一体で取り組んできた。20年は9860億円と8年連続で過去最高を更新したが、1兆円には届かなかった。

 12月2日の読売が「地域力」というタイトルで「最小の村『儲かる農業』」「ハートかぼちゃ 手応え」という見出しで富山県舟橋村での農業について伝えていた。

 全国で最も小さな自治体である舟橋村で農業の新たな魅力をい創造する「ブランド化」に挑んでいる。村で栽培されている「九重栗かぼちゃ」に「ハートカボチャ」とネーミングしたところメデイアで話題になり売れ筋になった。
 半分にした切り口の断面がハート形だったから。

 仕掛け人は地方の情報をネット発信するウェブメデイア業の岡山史興さん(36)で、自然の豊かさに惹かれて18年に東京から移住した。

 農業を「儲かる農業」にするため、国がビジネス化を後押ししている。農林水産省は「ローカルフードプロジェクト」を推進する。
 社会的課題の解決と経済的利益の両立が狙いだ。
 農業の担い手不足の解消や地元農産物の消費拡大を見込む。


 昼食のとき、わが家ではほぼ決まってテレ東「昼めし旅」が流れている。
 
 昨日だったか、ウェブ関係で働いていた女性が柚子生産農家である実家に戻って、柚子を使った料理を披露していたし、その前は、TVディレクターを退職し、実家の酪農を継いでいる女性が、生き生きと働いていてとても魅力的だった。所謂佳い女っぷりで、とてもチャーミングだった。
 
 このように田舎から都会に出て雇用されている人たちが、故郷に戻って実家の農業を継いでいる例が少なくない。 
 会社だけが儲かり、労働者にはその配分が少ない労働関係を断ち切り、実家の農業を継いでいる人が近年目立つ。
 さらに、都会で働いでいる人の多くがネットが使えるから、実家の農業を継ぐと、ネットを使って農産物を売ったり、加工、販売までの六次産業化をすることで収益も上がることで、農業の継続も可能になっている。

 日本大好き人間の一人として、以前から農業、林業、水産業の振興について書いてきたし、これらの産業と結びつく地域振興の問題についても取り上げてきた。

 トヨタを筆頭に自動車産業で食べている人は少なくないが、大企業は内部留保ばかり増やし、その利益を肝心な労働者の給料に反映することはない。

 一方で、農林水産業で安定した収入を上げるのは自然相手だけに至難であるが、頭を使えば先行きは明るい。
 何故なら、農業や漁業は食に直結する産業であり、林業といえば、衣食住の住という事で、誰にでも影響があるからだ。

 これからの農業は、生産から加工、販売までの六次産業化しなければやっていけないし、それにはネットを使った宣伝、販売が重要である。

 因みに、わが家ではミカンを愛媛県宇和島市の吉田町のみかん農家兵頭さんから取り寄せている。
 理由は美味いからである。
 JAがやっている「旬鮮倶楽部」という通販も利用している。
 こちらも食品が選べて、かつ品物が佳いからだ。
posted by 遥か at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年12月16日

トーマスさんに教えられた自然農法 

 昨晩、「ワタシが日本に住む理由」という好きな番組を視聴することができた。
 「アメリカ出身のトーマス・マイケル・コレプファーさんは日本在住10年。瀬戸内海・向島で動物に囲まれながら年間800種類の野菜や果物を栽培する農家に!」というのが内容である。

 有機無農薬で野菜作りをするようになってからなんといっても土づくりに興味がわいてきた。

 トーマスさんが1fの土地に羊を飼い、子豚を飼っていて、草を食べさせ、その糞を蒔いて土壌づくりをしてきたと知り、俄然興味を惹かれた。
 
 彼は自分の一番の関心事である砂漠の緑化について、農学者で自然農法家福岡正信さんがを実践していたことを教えてくれた。

 12月7日の読売が夕刊で「リンゴの木 再利用の薪」「長野 農家の廃材 人気に火」という見出しでリンゴやモモなど果樹栽培が盛んな長野、福島両市で不要な枝を切る剪定作業で生じる廃材を薪に再利用する取り組みが活発になっている。と伝えている。

 トーマスさんの自然農法と長野のリンゴ、福島のモモの剪定作業で生じた廃材を薪として再利用する試みは、一見無関係のように思う向きもあるかもしれない。

 ところが、、大いに関係ある。
 というのは、これこそ循環型農業のモデルみたいなものだからだ。

 有機無農薬での野菜作りにチャレンジしているからには、化学肥料と呼ばれているような類のものは一切使わず、わが家でも家庭から出る生ごみ、むしった草、落ち葉、そして買い求めた豚糞を主たる肥料にしている。さらに、2021年になって、米ぬか,油かす、魚粉を混ぜたぼかし肥料を手作りして使うようになった。
 植木職人が剪定した庭の樹木の枝や葉は庭の隅で堆肥化すべくそこに捨てている。

 トーマスさんに教えてもらった福岡正信さんのことはすぐに調べて、実に偉大な人物だったことを知ることができた。
 
 仙人を思わせる風貌で、愛媛県出身の農学者、自然農法の提唱者、粘土団子での砂漠緑化運動実践と尊敬に値することがネットに書いてあった。
 
 種子を田んぼに直接撒くと鳥の餌にされてしまうから、粘土に種子を入れて団子を作り、それを田圃に蒔くという方法を考案し、このことを応用して、砂漠の緑化にチャレンジされたそうな。
 粘土団子は、粘土と水になるべく多くの種類の種を混ぜて練り、空気を抜いて、小さくまるめて3-4日乾燥させると出来上がりだという事で、他人のやらないことをやったという点が素晴らしい。
 
 日本人の自分が知らないことを教えてくれたトーマスさんも偉い。

 剪定した枝は陶芸の釉薬をつくるときにも役立つが、量が多いので、薪にするというのは昔はやっていたはずのことである。

 灯油が滅茶苦茶に高価になっている2021年の冬は薪ストーブが当然見直されるはずだ。
 森林の枝打ちをきちんとやれば、国土の面積が7割だという日本であれば、薪ストーブの燃料に困ることなどありえない。
posted by 遥か at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年11月22日

ブルーベリー、ジャムやジュースで収入増へ

 日曜日の夜は「ポツンと一軒家」を視聴している。
 視聴率が14から15%くらいで、NHKの大河ドラマを凌ぐことが多い。視聴している人はたぶん、60代以降で、団塊の世代が多いのではないか。

 先週の放送では岩手県だったか、80代の夫婦が住むポツンと一軒家を訪ねるとその面倒を看るため、通っている50代の娘がやってくる。
 いつもの調子で視聴していたら、シングルだというその娘は東日本大震災の津波で一人息子を失くしていたのだ。
 あんまり、気の毒でもらい泣きしてしまった。
 
 昨晩は、愛媛県の山奥に暮らす60代の夫婦と20代の息子が住むポツンと一軒家を訪ねると、周囲見渡す限り自分の所有する山で、重機を使って林業に励む息子。
 林業に加えて収入アップを考え、植えたブルーベリーを収穫し、ジャムやジュースに加工するという一次産業の六次産業化を企図した仲の良い夫婦。3人が取材に応じる。

 別に暮らす長男とは異なり、親の後を継ぐことにしたという次男に対し、相好を崩すというか、後継者ができた喜びが伝わってきた。


 6代目だという主は元自衛官で、連れ合いも同じく元自衛官だった。
 その後、サプリをつくる会社での経験を生かし、ブルーベリーの栽培に乗り出し、林業の傍ら生産されたブルーベリーを加工し、ジュースやジャムにするという付加価値を付けて販売している。

 一次産業を加工販売まで手掛けて、六次産業化することを提唱していたのは確か、経済学者で慶応大学名誉教授の金子勝さんだった。

 町おこし、村おこしにも日本大好き人間の一人としては大いに関心がある。

 この点、「ポツンと一軒家」では、偶々ご先祖がこの地に住みついたことが今日もそのまま住んでいることにつながっているのであろうが、働く場がないという例が少なくない田舎暮らしにあって、一次産業の六次産業化こそ、生き残る道だと言ってもいい。

 山奥のぽつんと一軒家では、一般的に林業、炭焼き、シイタケ栽培、果樹園芸、養鶏、ヤマメやアマゴなどの養殖などを生活の糧としてきた例が少なくない。

 基本は一次産業だとみているが、ここで、加工販売まで頑張れば、収入増が見込める。

 大いにエールをおくりたい。

 ぽつんと一軒家に住み続けるのは大変だ。
 それでも、狭いようで広い日本だから、何とか住み続け、人間らしい暮らしを伝えてくれたらいい。
posted by 遥か at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年11月20日

タイで焼き芋がブーム 「べにはるか」は美味い

 「農産物輸出 東南アで攻勢」「コロナ禍 日本産渇望」「オンライン商談 販路拡大」という見出しで11月6日の読売が日本からアジア圏への農産物や食品の輸出が好調だ。と伝えている。

 コロナ禍で訪日旅行ができないことで人気の日本産食品への需要が一段と高まり、2021年の輸出額は過去最高ペースを上回るペースで増えている。

 オンライン商談会で海外に販路を広げやすくなったことも追い風になっている。

 書きたかったことの本題はここからである。

 タイではここ数年日本式の焼き芋がブームだ。 
 日本のさつまいもの甘さやねっとりした食感が、タイの人たちの心を捉えた。
 バンコクにあるショッピングモールでは何と「べにはるか」や「シルクスイート」などの品種が並び、日本のスーパーなどと同じ焼き芋器が置かれている店も多い。

 農林水産物・食品の輸出先(輸出額ベース、2020年)は香港、中国、米国、台湾の順となっている。
 農林水産省によれば、20年の農林水産物や食品の輸出額は過去最高の9217億円に達した。
 この数字は、訪日客と連動していて、訪日して、日本の佳さ、食べ物の美味さを知った人たちの需要が多くなるということにつながっている。


 訪日客が日本で食事することで、日本の食のレベルの高さを知れば知るほど、経済力が飛躍的に向上した中華圏、アジア圏の人たちは自国においても日本の食べ物が食べたくなるということらしい。

 焼き芋といえば、いつも買い物をしている国道沿いの大手スーパーでは焼き芋を売っていて、初めて食べた時、その美味さに圧倒された。

 実は子どもの頃、ご先祖が残してくれたわずかばかりの農地で休日に父親が野菜を作っていたのを無理やり手伝わされた。
 団塊の世代で、食糧が豊かでない時代だったから、おやつにサツマイモをふかして食べたりしていたので、大人になったら、もう二度と食べたくないと思っていた。

 ところが、スーパーで売っていた焼き芋、たぶんべにはるかだと思うが、ねっとりして、甘くてまるで和菓子やケーキなどを食べているようで、その甘さにすっかりはまってしまう。
 
 しかし、買うだけだとカネがかかるので、自分でサツマイモを生産することにしたら実際収穫できた。
 連れ合いが知人からもらった焼き芋器があることはあるのだが、、作っている品種がべにあずまという品種だから、売っている焼き芋のようなわけにいかず、今では、仕方ないので、普通に調理している。
 時々は、カネがかかっても、べにはるかの焼き芋が食べたくなってしまう。

 日本人だってタイの人だって、べにはるかの焼き芋は美味いのだ。
 
 せっかく、農産物や食品の輸出が好調だということを書いたから最後に書いておきたい。

 農林水産業という一次産業の振興にもっと政府は力を入れろと言いたい。
 できるものなら、焼き芋みたいに六次産業化すれば、輸出も見込めるではないか。
 そして、食料自給率を何とか当面50%くらいにはもっていきたい。
posted by 遥か at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年10月30日

フレイル予防に農作業、「運動」「栄養」「交流」に

 コロナ禍で気になったのが「クラスター」「パンデミック」などとカタカナ言葉が世の中を駆け巡ったことである。
 「人流 じんりゅう」などと日本語の表現としてほとんど耳にしたことがない言い回しが使われたこともびっくりだ。

 最近では、フレイルっていうから何のことかと思っていたら、「健康」と「要介護」の間にある心身の調子が崩れた状態だと読売の解説に書いてあった。

 その読売の10月26日の社会保障の紙面に「安心の設計」と題し、「人 フレイル講座」として、「働き盛りから始める予防」という見出しで、要介護にならないように予防することを薦めている。

 同じ紙面には、「農作業は『運動』『栄養』『交流』の三拍子」という見出しで、人生100年時代の退職後を健康で、介護の世話にならずとも有意義に過ごすために何をすればいいかと考えている向きにお誂えのことが書いてあった。

 
 介護がこれだけ大きな社会問題となっているのだから、アルツハイマーのような病気の場合は仕方ないがそうでないなら、多少は個々人がそれなりに努力することと、政府が予防策を講じる必要がある。

 高齢になれば、誰でも心身ともに衰えるが、ボケない人たちがいることもまた事実である。
 この人たちが何をしているかといえば、機織り、手編み、笊や篭づくりなど指先を使って仕事をしてきた人たちである。

 つまり、国家が取り組むボケ防止は働き盛りのうちから、指先を使うことをやれる環境をつくることだ。
 
 農作業もボケ防止フレイルに役立つことは間違いない。

 農作業では連作障害ということが起きるので、毎年、同じ場所に同じ作付けをしないという常識がある。
 ために、農作業は頭を使うのだ。
 つまり、新しい年になって、昨年、その場所に何が植え付けられたか覚えているか、メモしておく必要があるのだ。

 しかし、農作業をやってみたくとも、農地は簡単に手に入らないという向きには、田舎暮らしの薦めみたいな番組をTVが放送していたりする。
 自宅から農地まで遠い向きにはプランター栽培も効果はあるはずだ。

 農作業のよいところは、収穫の喜びが味わえることだ。

 何もしなければ、ボケることは間違いないし、座して死を待つだけでは生きている意味が問われる。
 少なくとも、ボランテイアとか誰かのために役立つことをやった方がいい。
posted by 遥か at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年10月19日

種子を守れ、農業を守れ、命を守れ

 「TPP交渉廃止・違憲訴訟の会」から会報「TPP新聞 守ろう! 命と暮らしと未来」VOL.15が届いている。

 環太平洋パートナーシップ協定、略してTPPはわかりやすくいえば、自由貿易協定のことだが、ことは物品の貿易だけでなく幅広い分野に及ぶ協定で、米国主導で始まったはずだが、トランプ大統領が米国の加盟に反対して、抜けたら、中国が加盟を申請し、黙ってみていられないと台湾も続いて加盟申請していることで再び注目されるようになった。

 TPP交渉及び協定が生存権などを侵害するとして、3年間・二次にわたる裁判闘争をしてきたのが「TPP交渉・違憲訴訟の会」で、自分も一次訴訟の訴訟団の一員に名前を連ねていた。
 しかし、親玉の米国が抜けたので、熱が入らなくなり、一次訴訟敗訴で訴訟団のメンバーからは外れたが、今も、会のサポーターとしてささやかながら会を応援している。

 二次訴訟でも敗れた会は、現在はTPPに関連するということで、政府が打ち出した種子法廃止は憲法違反ということで第三次の違憲確認訴訟をを展開し、第5回口頭弁論が開かれたところである。

 
 自由貿易というと耳触りはいいが、市場原理に任せろという新自由主義が台頭し、その結果、米国を筆頭に、日本も含め、貧富の格差が大きく広がった。
 中間層が大幅に減り、1%の富める者だけがさらに富むという社会である。

 同時に規制改革だと言い出し、郵政民営化を筆頭にあらゆる分野で規制緩和が唱えられた結果、保育園を例にとるなら、株式会社が経営に乗り出し、きちんとした保育理念も持たずに保育行政がカネ儲けの対象にされたことから、人で不足で送迎時ほかで事故が目立つようになった。

 政党でも何とかの一つ覚えのように規制改革を唱えているところがあるが、ある程度の規制が必要なことは誰が考えて同じで、既得権益を打破することはよいとしても、既成が撤廃されては命が守れないことなどいくらでもあるではないか。

 TPP新聞では「種子を守ることは命を守ること」と題し、種子法憲法違反訴訟団の原告である栃木県の有機稲作農家「舘野かえる農場」舘野廣幸さんが「農家の声を聞かずに「廃止」国は農業を見捨てたのか」「米の原種価格が3倍以上に国民の食糧を守るのは国の責任」という見出しで、種子法廃止で不安に慄く農家と農民のことを少しも考えてはくれない国に対する怒りと将来への不安な気持ちを訴えている。

 何しろ、この裁判に関してはメデイアが全くと言っていいほど取り上げようとはしないのはどうしたことか。

 食料がなくなってから、騒いでも手遅れであることを肝に銘じたい。
posted by 遥か at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年09月16日

森林資源が国土の7割、活かそう林業

 昨夜のNHKクローズアップ現代+で、食糧自給とともに一番の関心事である林業振興に関することを放送していたので書いておきたい。
 「宝の山をどう生かす 森林大国・日本 飛躍のカギは」ということで日本が世界に誇る資源である森林の恵みをどう活かすかにスポットを当てていろいろ教えてくれた。
 残念ながら、最後まで視聴できなかった。
 
 ㏋によれば、「オリンピック・パラリンピックで使用された国立競技場や木造高層ビルなど木をふんだんに使った建造物が増えている。
 背景にあるのは林業再生を目指す国の政策。法を改正し補助金の仕組みを整えて林業を強力に後押しし、日本の木材自給率を20年間で、かつての約2倍、40%近くまで上昇させた。
 
 しかしその裏で問題が起きている。大規模伐採ではげ山が広がったり、山の所有者に無断で伐採する「盗伐」が発生したり。大規模伐採の一部が、土砂災害などの要因の一つになっているという指摘もされている。
 国土の7割を森林に覆われた日本で持続可能な林業とは?「自伐型林業」という“小さな林業”の取り組みなども例に、林業の未来を考える。」と内容が紹介されている。


 林業、すなわち木材といえば、ウッドショックということで騒がれている。
 世界的な木材の高騰、外材価格の高騰、木材の不足ということらしいが、日本の林業には追い風となるところだが、どうもことはそう簡単ではないみたいだ。

 恒常的な人手不足で林業も手が回らず、山林の管理がおろそかになって、盗伐が横行しているというではないか。
 「浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ」と言ったのは石川五右衛門だとか。だから、山林の管理がおろそかになれば、盗伐が横行するのは当然のことだろう。

 身内の話で恐縮だが、妙高出身の家内の両親が亡くなって、相続が発生した時、首都圏の田舎町に生まれ育ち、家も畑もご先祖から受け継いだ自分と結婚してくれた連れ合いと較べ、田舎のことだから、家はなくなっても多少の土地はあり、プラスして山林もいくらかなりともあったらしい。
 結果として、連れ合いの弟が相続したとのことだが、東京で暮らしているから、山林の管理など全くできない不在地主である。

 山林の近くに住んでいても、管理する後継者がいなければ、森林組合で管理するようにしなければ、山林は荒れる一方で、盗伐の被害にも遭う。

 盗伐でよくないのは、伐採したら植林が必須であるが、盗人だから、これをやらないから、大雨が降ればたちまち崩れ土石流となって、民家を押し流してしまう。

 自宅の周辺では相続の発生した地主が屋敷や畑だった土地を売り出し、一斉に建売住宅が建築中である。
 散歩のとき近くを通ると、木材の需要が相当あるだろうことが理解できるのだ。

 「木造マンション強くて安い」「建材開発 耐火性高く」「中高層 建設相次ぐ」という見出しで、9月14日の読売が夕刊の1面トップ記事で木材の需要喚起に関しての紹介がなされている。

 地球温暖化の影響か、近年梅雨時から9月の台風シーズンまでに降る雨が半端ない集中豪雨のため、相次いで土石流が発生し、大きな被害を与えている。

 盗伐ではげ山になってしまえば、少しの雨でも雨水を涵養することができないため、すぐに土石流の発生となってしまう。

 林業振興は災害対策にも通じるわけで、国土の7割という資源の活用とともに災害予防という点においても重要になっている。

 木材の価値といえば、古民家建築の素晴らしさや神社仏閣における木造建築物の素晴らしさからもわかることではないか。
posted by 遥か at 11:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年06月13日

国内産材の活用へ、外国産材高騰で

 輸入木材の高騰「ウッドショック」が、国内の住宅産業を直撃している。 
住宅価格の上昇で受注を断念する事業者が出始め、急な値上げを迫られた消費者もあるなど多方面に影響が広がっている。とメデイアが伝えている。
 
 6月11日の産経新聞によれば、輸入材の高騰は米国や中国などでの住宅需要の高まりが背景にあるが、輸入への依存を強めていることも遠因との見方があり、国内の林業支援を求める声もあがる。

 6月7日の読売、「スキャナー」によれば、「木材価格4倍 ウッドショック」「国内住宅値上げや着工遅れ」「在宅増・低金利 米で戸建て需要」という見出しで伝えるものは国内産材を活用せず、輸入材にばかり頼ってきた関係者の愚かさである。


 国土の7割もの面積が森林だという森林資源に恵まれた日本。
 軍人たちがが愚かで国力に段違いの差がある米国に対し、戦争を仕掛け、二度の原爆、さらには空爆で、都市部のほとんどが焦土と化した。

 ために、木材需要を見越し、自然林を破壊しスギやヒノキばかりを植林したから、今日になって、花粉症の苦しめられ、廉価打からという理由で輸入材にばかり頼り。国内産材の需要を喚起しなかったため、山が荒れ、少しの雨で土砂崩れが起きるようになってしまった日本。

 2020年になって中国湖北省武漢発の新型コロナウイルスがやってきて、自前のワクチン開発が求められてきたにも拘わらず」、アベノマスクに200数十億円も使い、自前のワクチン開発が遅れたため、輸入に頼ったワクチンの接種が大幅に遅れている。

 食料でも輸入に頼る日本の自給率がカロリーベースで38%(2019年度)程度と低調である。

 輸入に頼っていれば、相手国の事情次第で、輸入量などあてにはならない。

 ピンチはチャンスという言葉があるくらいだから、輸入材が値上がりしたら、国際材にシフトする絶好の機会到来で喜ぶべきだ。

 日本のリーダーたちがよくないのは、反省をしないということに尽きる。
 よくなかったら、謝罪し、反省し、次につなげるのだ。

 木材の価格高騰は読売によれば、1970年代に原油の需要が逼迫して価格が高騰した「オイルショック」になぞらえてウッドショックと呼ばれる。
 今回は「第3次ウッドショック」と言われる。
 第一次は1990年代前半。第二次は2000年代半ばでいずれも国産材に切り替えることができなかった。
 木材の自給率は2002年に18・8%にまで落ち込み、19年に37・8%まで回復した。

 今こそ、国産材活用のチャンスである。
 国産材を活用すれば、山が荒れることも防げるし、災害も減らせるのではないか。
posted by 遥か at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年06月12日

「種子の権利」をもう一度考える

 TPP交渉差止・違憲訴訟の会から会報「TPP新聞 守ろう!命と暮らしと未来」14が送られてきた。

 環太平洋経済連携協定(TPP)は、日本国憲法に対し、違憲だから交渉差止るように違憲訴訟が提起された時、訴訟団の一員に加えてもらったが、米国のトランプ大統領ガTPPから離脱すると発表したことで、安心してしまい、一審敗訴で、2審の訴訟団には加わっていない。

 しかし、TPP交渉がその進め方などがオープンでないなど秘密主義で、関税の自由化ばかりで農民を守る姿勢がないことには変わりがないので、今でも反対の立場は変わらない。

 農民を守るといえば、最近では主要農産物種子法が廃止され、2020年12月2日には登録品種の自家増殖を許諾制にする種苗法改正案が成立したことで、これに反対する農民の声をTPP交渉差止・違憲訴訟の会が取り上げている。

 14では、参議院農林水産委員会で種苗法改正への反対陳述を行った農民の村上真平さんの意見を載せている。

 昔から「種子は農民のもの」だったが、自家増殖の許諾制でこれが崩された。
 
 有機無農薬で野菜を作っているからといって、自分のことを農業者などと思ったことはないが、それでも、畑で収穫した後、野らぼう菜の花を咲かせ、種を集め、来年の分の種まきに使っているし、サトイモなどは、来年の種イモとして、穴を掘って保管し、作付けに使っている。

 こんなことは誰でもやっていることではないだろうか。

 ところがである。

 村上さんによれば、農家は都道府県や農研機構が開発した登録品種を使うため、許諾料が必要になる。
 国が関わっているうちは、許諾料は高額にならないとされているが、育成者権が民間事業者に移行されると高額になる可能性がある。

 もともと、種苗は農民が作り育ててきたもので、空気や水と同じで、許諾料という考え方自体がおかしい。

 農民が守り育ててきた「人類の共有財産」を子孫に残したい。おいうのが村上さんの訴える要旨である。


 経済評論家三橋貴明さんは日本の没落を望む7人の反日主義者として、人材派遣のパソナの竹中平蔵経営者の名前を挙げている。

 竹中平蔵という経営者は小泉首相が郵政民営化を旗振りした時、実行部隊として、民営化を進めた張本人である。

 郵政民営化して、アフラックを積極的に販売しているのは郵政民営化が米国のためだったことの証明をしているようなものだが、その張本人が慶応大学の教授からもっとカネもうけできるパソナの経営者として、高額の年収を得て、派遣労働者を増やし、貧富の格差を拡大させてきた張本人である。

 種子の品種改良における許諾の民間事業者移行では、竹中平蔵経営者のように自分さえよければいいという身勝手な人間が乗り出し、許諾料をどんどんアップすることが明白となっている。

 農家、生産者でもない大部分の消費者には一見関係なさそうな種子法改正であるが、なんでもものごとには裏がある。

 国家権力が消費者のためになることをやるかどうか考えればわかるだろう。

 国家権力というものは常に、企業経営側に立ってきたではないか。

 水俣病、HIV、アスベストみな被害者救済は遅かった。
posted by 遥か at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年05月26日

有機農業 100万f目標 環境負荷低減 50年までに

 農林水産省は12日、環境への負荷が小さい農林水産業の推進に向け、2050年までに有機農業の面積を全農地の25%に当たる100万ヘクタールに増やす目標などを掲げた新戦略をまとめた。と5月12日のJIJI.COMが伝えている。

 目標値は18年度(2万3700ヘクタール)の40倍強に上る。病気に強い品種の開発などを進め、有機農業の普及拡大を急ぐ。

 有機農業は化学農薬や化学肥料を使わない栽培方法のこと。新戦略では、毒性の弱い農薬に切り替え、化学農薬の使用量を50年までに現状の半分に抑える。化学肥料の使用量も3割削減するとしている。

 このことは脱炭素化など農業の環境負荷低減に農林水産省が乗り出す。として5月24日の読売が夕刊の1面でも伝えている。
 環境に配慮した農業戦略は、米国やEUが先行している。
 課題としては、農水省によれば、有機農業で育てた農産物の販売価格は現在、通常より4〜5割以上高いことである。売れなければ生産は拡大しないことから、消費者の理解が進むことが欠かせない。


 新型コロナウイルスの感染拡大で、有効な対策を何一つ打てなかった政府は初めからワクチン頼みだったようだが、そのワクチンも自前ではなく、輸入に頼っているばかりで、自前では未だにできない。

 農業とワクチンなど全く無関係だと思ったら大間違いだ。

 食料安保と言われるくらい食料自給率を高め、輸出を止められても自国で何とかできるようにしなければいけないのと同様にワクチンだって米国頼みでは日本に来るのは米国の後になってしまう。

 さらに食の安全、環境負荷低減という地球温暖化阻止が叫ばれている時代ならではの有機農業推進は当然といえば当然のことで、農薬と化学肥料が環境汚染してきたことなどよく知られたことである。

 こんなことは『複合汚染』で有吉佐和子さんがとっくの昔から指摘していたことである。

 有吉さんはこれに中性洗剤を加えていたが、気づいたなら、早速、実行する必要があるが、現実は難しい。

 というのは、農業者の味方であるはずの農業協同組合が化学肥料と農薬を売ることを辞めようとはしないからだ。
 農協が農薬と化学肥料という同じ系統の会社がつくっているものを販売しているから、有機農業が増えない。

 化学肥料を使わず、農薬を使わないことで、スーパーなどで販売する野菜が虫食いになっても、それしか買えないとなれば、消費者は買わざるをえない。

 有機農業を推進するためには消費者の意識改革が欠かせない。

 わずかばかりの面積で有機無農薬での野菜作りをしているが、虫退治が欠かせない無農薬での野菜作りは思ったより大変である。

 有機無農薬での野菜づくりを広げることは難しいが、これも地球のためにはやらざるをえない。
posted by 遥か at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年05月18日

農業に新戦力障がい者、出所者

 毎日、食べるしかも一般的には朝、昼、夜と一日3回食べる。

 その食を賄う食材を提供しているのが広く農業であり、広くという意味は酪農なども含むということだ。
 その農業は担い手の高齢化や後継者難であったり、仕事がきついからということで担い手が減少している。

 そこで、担い手不足を解消するため、就労先が少ない障がい者を農業に誘う「農福連携」が広がっている。      
 5月10日の読売が夕刊に「農の未来へ新戦力」「障がい者の就労 広がる」「『農福連携』ウインウイン」という見出しで障がい者支援に取り組む埼玉県深谷市のNPO法人「ノーサイド」などについて現状を伝えている。

 農業の後継者難について、国も「農福連携」を推進し、19年には、障がい者が生産に携わった農産物を認証し、マークを付けて販売できるようにする「ノウフクJAS」制度を農水省が新設。売上が伸びているところもでてきた。

 農福連携についてはすでに何回となく書いているので、究極の犯罪被害者支援を訴えてき立場から、受刑者の更生を応援するものとして、受刑者に塀の中で農業指導をしてもらいたい。

 障がい者同様、就労先に悩む受刑者の受け皿として、ぜひとも、農業法人が彼らの受け皿になってもらいたい。

 農業法人で給料をもらう生活から、やがては自立し、農業で生活していけるように関係機関がバックアップするのだ。

 性暴力犯罪者のように更生が極めて難しい出所者は除き、更生が見込める人には農業はお薦めできる。
 塀の中で、農産物をインターネットで販売できるように導いてやれば、販路の心配もない。

 農業に定年制もないし、健康管理にもよい。
 儲かる仕事でないことだけは間違いないが、食料を生産するわけだから、食べるだけなら何とかなるはずだ。

 TVでよく視聴する「ぽつんと一軒家」では、大概自給自足に近い生活ができるように野菜などをつくっている。

 障がい者と出所者の仕事として相応しい仕事ではないか。農業は。
posted by 遥か at 11:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年01月31日

「森林は宝」学校で学ぶSDGs

 NHKが視聴者に届けてくれる質の高い番組「美の壷」。
 先般、再放送かもしれないが、選「薪(まき)ストーブ」ということで1年中で一番、寒さ厳しい時節にぴったりの内容だった。
 生憎、わが家に薪ストーブはないが、羨ましさもあって、番組を盛り立てている草刈正雄が、薪ストーブに使うための薪を斧で割っているとき、腰痛になってしまう様子に薪を用意する大変さを思い知らされ、見た目と現実ではかなり違うことを痛感させられたというわけ。

 ちょうど時あたかも世界の各地で2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成しようと、それぞれが仕事、活動、教育などを通して取り組みを進めている。ということで、1月6日の読売が「SDGs@スクール」というタイトルで北海道下川町xNPO法人「森の生活」が時代の担い手を育む森林環境教育に力を入れていることを伝えていた。

 北海道の内陸にあり、冬はマイナス30度にもなる下川町。人口は1960年代の1万5555人をピークに減少し、街には危機感があった。

 林業の再興へ。木を植え、60年かけて育て、資源として使いきる「循環型森林経営」を軌道に乗せたのは2014年。
 木材の残材を使った木質バイオマスボイラーによる電熱エネルギーの供給を広め、今では公共施設の7割の熱供給をまかなう。
 さらに、町の誇りとして、幼児から高校生までの15年間、一貫して行う森林環境教育が行われている。
 結果、「森林は宝」だという意識が子どもたちに根付く。


 「ぽつんと一軒家」をよく視聴しているが、林業が衰退した現在、森林の中にぽつんとある一軒家で生活するのは大変で、若い人がいなくなるのは理解できるが、頑張っている人は、炭焼き、シイタケ栽培、養鶏、果樹園などで何とか生計を立てている。

 森林が宝であることは間違いないが、宝を生かすのはこれまた大変なことで、先般放送された備長炭づくりくらいで、薪ストーブがもっと増えれば、薪を作って売るという道を拓けるかもしれない。

 先日、近くの公園に行き、散策していたら、通路にウッドチップが撒かれていて、脚にとても気持ちがよいものだった。

 ウッドチップにして、燃料にすることはすでになされてきたであろうが、公園でのウッドチップの使用はまだまだ珍しく、これをもっと普及する必要があると思った。

 森林の活用は、需要を作ればいいわけで、ために、木材を筆頭に炭、薪ストーブの薪、バイオマスボイラーによる電熱利用に、公園でのウッドチップ、木工品と需要を喚起することは可能である。

 資源がないとされてきた日本には国土の7割にも及ぶ面積の森林という宝があるのだ。
 活用しない手はない、
posted by 遥か at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年01月24日

「木」が持つ価値 見直す

 企業の存在価値を考えさせてくれる記事が1月16日の読売で紹介されていた。

 紙面に広告を出す謂わばスポンサーのしかも内容が広告だから歓迎しない人だっているかもしれないが、どうしても紹介せずにはいられない。

 紙面の1頁全部使って女優でピアニストの松下奈緒さんが、木造建築物や住宅メーカーとして知られる住友林業の代表取締役社長市川晃さんと対談形式で、木の持つ価値について話しているのだ。

 要約された見出しは「人にも地球にも音楽にも。『木』が持つ素晴らしい力」「森を守りながら使えば、木は豊かな資源に」「知ることからはじまる。人と木と環境のつながり」で、木の持つ効用について語る。

 日本の森林率は国土の約68%で、資源がないと言われている日本にとっては「木」は豊かな資源である。
 しかも、その用途は広く、価値は計り知れない。

 木造建築物でみれば、その歴史を誇る奈良の法隆寺に代表される神社仏閣の建築物は、軸組工法とでも呼べばいいのか、釘を使わないため、長持ちする。

 素人が考えると、一見コンクリートが丈夫で長持ちするように思いがちだが、大きな間違いだ。

 木造建築物といえば、日本全国各地に残る古民家も築100年くらいのものはいくらでも残っている。
 
 しかし、近年の住宅は住友林業も含め、昔からの日本の在来建築というか、古民家建築で培った軸組工法で、なるべく釘を使わない建築とは正反対で、柱は限りなく細く、釘など金属を使う分長持ちしない情けない住宅ばかりになってしまった。

 さて、地球環境を考えたとき、二酸化炭素(CO2)の排出の問題があるが、木は成長時に二酸化炭素を吸収して酸素を排出するが、吸収した二酸化炭素は、木材として建物などに使われている間も固定し続ける。
 その後、建物として役割を終えた木材はバイオマス発電の燃料にも再利用できる。そこで排出される二酸化炭素は成長時に吸収した二酸化炭素だからカーボンニュートラルだという。

 戦争で米軍の空爆で焦土と化されてしまい、戦後、スギやヒノキの人工林ばかり増やしてしまい、木材の値段が廉価だからと外材ばかり使い、需要がなくなった森の手入れを怠ったため、台風や豪雨で各地で土砂崩れが起き、大きな社会問題となってしまった。
 花粉症も人工林で増やしたスギやヒノキが原因だとされている。
 人工林の手入れを怠らせないため、木材としての需要を喚起する必要がある。

 木材ばかりでなく、文化面では、ピアノやバイオリンや箏などの楽器は本体が木でできていて、しかも、響板に使われている木が素晴らしい音色を響かせている。

 ホールの内装も木が見直され、使用されているところが増えている。


 80年代半ばに昭和の初めに建てられたわが家を建て替えたことがあるが、この時、数ある住宅メーカーから選んだのは森を持つ住宅メーカーという宣伝と営業マンの熱意に負け、住友林業を選んだ。

 しかし、過酷な労働を強いられた営業マンが病死してしまったと風の便りに聞いてからは労働環境とアフターサービスの悪さに住友林業での建築を誰にも勧めたことはない。

 だから、松下奈緒さんと住友林業の社長の対談を紹介するからといって、住友林業にヨイショすることなど考えられない。
 はっきり言って、住友林業は嫌いである。

 しかし、会社が嫌いなことと木の効用は別で、木の価値は高くなることはあっても、下がることなど考えられない。

 TVでよく視聴する「ぽつんと一軒家」は緑深い山道、しかも、車1台がやっとという狭い道、場所によっては、路肩の下は崖で落ちたらお陀仏という道を走り抜け、ようやくスタッフが辿り着く。

 訪ねたぽつんと一軒家は古民家建築のような頑丈な家だったりするだけで嬉しくなってしまう。
 先祖が山の木を伐り、柱にして、立てた家は頑丈であるが、何しろ不便だから、自給自足生活が苦手だと住めない。
 
 地球環境、温暖化問題を考えるとき、木の果たす役割は大きい。

 ところが、今、身近で起きていることは全く逆行することばかりである。

 首都圏の田舎町に生まれ育った自分は、ご先祖のお陰で、住みやすい環境で生活してきたが、近年、広い敷地を所有してきた地主が亡くなり、相続が発生すると、ほとんどの農地などが不動産業者の手に渡り、1区画30坪か40坪程度の敷地に分割され、建売住宅が立ち、駐車スペースが2台用意されるため、木が1本もない家がほとんどになってしまう。
 わが家の近所だけでその数100軒を優に超えるのだ。

 街からどんどん緑がなくなってしまう。
 その上で、役所の指示だろうが、街路樹が伐られてしまい、怒っていたら、また、そこに樹木を植えるという税金の無駄遣いをしていたのだから、嫌になる。

 渋谷の松濤とか田園調布とか高級住宅街といえば、緑豊かなことで知られる地域だが、木の効用を考えれば、一軒に1本くらいは木がほしい。

 とにかく、木の有難みを考えるとき、需要と供給の関係から、木の需要が増えることを考えていく必要があるのではないか。
posted by 遥か at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2021年01月04日

森林保護活動にもっと目を向けよう

 「ぽつんと一軒家」2021年・新春3時間スペシャルで紹介された埼玉県の深い森の中にある「くるみ小屋」。

 埼玉森林サポータークラブの皆さんの憩いの場として、山林の地主浅見和夫さんが土地を提供し、埼玉森林サポータークラブのメンバーが力を合わせて作った掘立小屋だという。

 掘立小屋とは大工が建てたわけではなく、素人が作ったもので、基礎の作り方のことを指しているということで、地主の呼び方とは異なり、結構、居心地は良さそうな建物である。』
 なぜ、「くるみ小屋」かといえば、近くに胡桃の木が植わっていたからだ。

 代々続く山林の地主である浅見さんが山林の保護を呼びかけ、これに応えて、集まったボランティアに山仕事のノウハウを一から教え、集まったボランティアの人たちが浅見さんの指導を得て、森林保護に持てる力を尽くしていることに感銘を受けたので、浅見さんと森林サポータークラブのメンバーにエールをおくりたい。

 農業と林業という一次産業こそ、人が生きていくときに、一番大事な産業だというのが自分の認識である。
 これまでも、その視点で書いてきたが、今回スポットを当てるのは林業である。

 2020年、コロナで始まり、コロナで終わったのは菅内閣が経済優先で、コロナを全国に感染拡大させ、対策は何もしないということで、感染し、重症化した人は、毎日、死んでいく一方である。

 その2020年は戦後75年の節目で、戦後、米軍の空襲、空爆で焦土と化したからとスギやヒノキという木材需要を見越して、広葉樹の自然林を人工林に代えたことが抑々過ちの始まりだった。

 人工林だから、手入れが欠かせないにも関わらず、外材が安く輸入されたことから、木材需要が低迷し、林業が不振となり、人工林に手が入らなくなった。

 間伐、下草刈りをしない森には陽が入らず、人工林はダメになる一方で、大雨が降ると、地崩れが頻発するようになっていく。

 浅見さんのところに集う埼玉森林サポータークラブのメンバーは、そのほとんどの人が森の価値を知る人達で、しかも、森林保護で自分のできることをやろうとする人たちばかりだから頭が下がる。

 林業振興はボランティアの力でどうこうなるものではないが、森林の保護にはボランティアの力が不可欠にちがいない。

 浅見さんの非凡なところは、山に見ず知らずの人間を入れることを危ぶむ周囲の人たちの反対を押し切って、山仕事には素人の人たちに一から仕事のノウハウを教え、集える場所、すなわち、くるみ小屋をみんなで作ったことで、森林への深い愛情が伝わってくる。

 この際、全国の森林のある町では、埼玉の浅見さんを見習い、森林サポータークラブを組織化し、森林の保護に乗り出してほしいと切に願う。
posted by 遥か at 10:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年10月29日

小さな農業が明日の日本を救う

 世の中の事象に鋭く切り込むNHKクローズアップ現代,昨夜は、「コロナ後の豊かな暮らしとは?
見直される“小さな農業”」というタイトルで、「食」という誰にとっても、一番大事な問題について興味深い問題を取り上げていた。

 都合で、全部視聴していないので、正確さを期すために例によって、番組の㏋から転載させていただく。

 「いま、大規模集約型ではなく、家族規模で営む中小規模の“小さな農業”が注目されている。コロナ禍で食への関心が高まった消費者と、SNSやインターネットなどを介して双方向のつながりを築き、環境や健康への配慮から農薬や化学肥料を使わず育てた野菜を届けたり、野菜のおいしい食べ方など“農家の知恵”を教えたりして、利益を得る農家が支持されているのだ。
 こうした農家に共通するのは、必要以上に儲けを追求しない持続的でワークライフバランスのとれた暮らしを求めていること。価値観の変化が後押ししているのだ。
 こうした動きは、世界でも起きている。国連は、家族によって経営される農業をあらためて見直し、2019年から10年間を「家族農業の10年」とし、その保護と支援の推進を呼びかけた。
“小さな農業”は、日本農業の未来を切り開くのか、考える」


 昔でいうところの3反、現在でいえば、約3000平米という農家にとっては決して広いとは言えない面積の農地で多品種の野菜を有機無農薬で作り、ネットで消費者の注文に応える産直、所謂小さな農業を応援する。

 中国武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大で若い人が就職できないとか、非正規雇用者が解雇されたり、職を失ったりするニュースが流れるたび、一次産業の農業にもっと目を向けるべきだと発信してきた。

 大学で農業を学ぶといえば、東京農業大学があるが、首都圏なら東京大学や千葉大学、私学では明治大学などに農学部というか農業を学ぶことができる学部があるはずだ。

 これからの時代は、間違いなく農業の時代である。
 農業こそは食という誰しもこれがなければ生きていかれない大事なものを生産する産業である。

 しかし、農業のイメージはよろしくない。

 その悪しきイメージを払拭するのが小さな農業である。
 農地法という法律があって、農地の売買は容易ではないが、貸借であれば問題ないし、生産するためなら、借りれば十分で、3反や5反程度の農地を借りることなど難しいことではない。

 農業に転職希望があれば、自治体などで研修制度があり、一から教えてもらえる。
 農業はやる気と工夫さえあれば、誰にでもできることなれど、大自然が相手だから甘くはない。

 ただし、非正規労働者に未来はなく、解雇されれば、住むところにも困るし、食べてもいかれないことと比べれば、農業は、住むところは古民家などを借りればいいし、食べるものはいざというときのために保存食を用意しておけば、飢餓になっても困らないし、無論定年などないから、死ぬまでやれる。

 ただし、食べていくだけで精一杯だから、物質に恵まれた生活はできないが、精神的にはストレスがない。

 小さな農業で最後に書いておきたいのは、菅政権に目の敵にされている農協の体たらくである。

 農協が化学肥料と農薬を売ることばかり考え、組合員の要望に耳を貸さない姿勢は、ゆくゆくTPPで農協はつぶされてしまうだろうということだ。

 乳酸菌入りの飼料を食べさせた牛の糞から作った商品名「みな土」の取り扱いをやらないが、大規模農家はともかく、小規模農家、小さな農業を営む場合は、有機無農薬でなければならないので、「みな土」のような有機肥料が欠かせない。

 農協を真に改革しなければ、農協に将来はない。
 TPPに反対する集まりに、同じ協同組合でも生協は多数出ているにもかかわらず、農協はいなかった。
 農協が自民党を支持している限り、明るい展望は開けない。
posted by 遥か at 08:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年05月09日

新型コロナ休業従業員 人手不足農家に

 中国は湖北省武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限で外国人技能実習生を受け入れられずにいる農家で、休業状態となっている宿泊施設や飲食店の従業員を雇う動きが相次いでいる。と5月2日の読売が夕刊で伝えている。

 地元の旅館組合や農業団体が仲介役を担っており、双方から「助かった」との声が上がる。

 読売によれば、高原野菜の一大産地、軽井沢を含む佐久浅間地域の佐久浅間農協は中国人の実習生94人を受け入れる予定だったが、来日できなくなったことから、軽井沢旅館組合と提携し、休業中の従業員の一時雇用を始めた。

 群馬県嬬恋村のキャベツ振興事業協同組合も臨時休業となったホテルや飲食店などの従業員を一時雇用してもらう取り組みを始めた。

 農林水産省によると、2019年の日本の農業就業人口は約168万人で、10年で4割ほど減った。


 明治維新以降、工業化の道をひたすら歩み続けてきた日本は、はっきり言って農業を切り捨ててきた。
 語り継ぐ戦争だから、政府が国策として騙した満蒙開拓団を例にしてみるとわかりやすい。

 15年戦争が始まった1930年当時の日本は、人口が多いわりに、森林ばかり多い国土で耕すところがないことから、中国侵略を思いついた陸軍その先兵関東軍幹部は拓務省を介して、植民地政策を推し進め、中国人が耕した土地をただ同然で武力で買い取り(奪ったも同然)、満蒙開拓団の入植政策かつ、ソ連軍侵攻の防波堤とした。

 歴史を勉強すると実に面白い。
 その中国が米国と覇権争いをするほどの強国になるとは当時思いもよらないことであったろう。

 景気がよくなった中国に対し、無能な政治家がデフレ経済から長いこと脱却できず、労働者の収入が上がらず、物価が安い日本。
 そこに、賃金が上がり、収入が増えた中国人観光客がやって来てカネを使うからということでインバウンドだなどと訳の分からないことを言いながら中国人をウエルカムしてきた。
 一方で、中国も、景気はよくなったのは事実だが、実は農村部は相変わらず貧しいから、日本へ研修生という名の事実上の出稼ぎに来ている人もいる。

 そこに武漢発の新型コロナウイルスが上陸しようというとき、経済のことばかり考えていた安倍内閣は武漢から、あるいは中国全域からの中国人の入国阻止をせず、ウイルス上陸阻止水際作戦に失敗した。
 
 話を戻す。

 TVでよく視聴しているのが「ポツンと一軒家」と「昼めし旅」であるが、両者に共通しているのは、農家がよく取り上げられること。

 農家で生活をするというのは大変なことであるが、先祖や親がいくら頑張っても、一昔前までは息子たちが後を継がず後継者難だったが、今は、安定した雇用を期待できなくなったから、息子たちが家業を手伝っている農家が結構多くなった。

 農家が外国人を研修生として安い賃金で働かせることに反対の立場である。

 食料自給率をアップさせるため、農家と消費者を結びつける役割を果たせるのは農協だから、ここに賢い職員がいれば、農家とスーパーや飲食店などが提携し、ふだんから、人手が足りないとき、スーパーや飲食店などが当番制みたいにして、人手不足を補えるように組織すればいいのだ。

 新型コロナウイルスの次は小麦など食料の輸出が止められるはずだから、今から、食料自給率を高める努力を惜しんではいけない。
posted by 遥か at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年04月28日

農業食料自給と新型コロナウイルス

 中国湖北省武漢発の新型コロナウイルスが圧倒的な勢いで世界中に蔓延してしまった。

 日本は、安倍政権が検査をさせない体制を作り、軽症者は自宅待機だなどと馬鹿な政策を打ち出し、家族に感染させることはもとより、突発的に重症化し、死ぬ人が出て、対策が間違いであったことを実証している。

 東京都では小池知事が緊急事態宣言で閑古鳥のビジネスホテルを借り上げ、医療スタッフをつけ、軽症者を隔離するようにするなど対策が的を得ていて、もっと徹底されるとさらによい。

 しかし、戦争と同じように新型コロナウイルスでも弱者、特に非正規で働く人たちにしわ寄せがいく。
 アルバイトで働く学生を含め、いくら頑張ろうとしても、働く場がないのだからどうにもならない。

 よくよく考えてみれば、新型コロナウイルス蔓延でも働く場はある。
 その場とは農業、農地だ。

 新型コロナウイルスの感染症を広がらせないために3密を防ぐことが求められているが、農業では恒常的な人手不足かつ、社会の中で唯一3密と無縁な場だからである。

 問題は人手不足の農家と仕事がない、働く場がない人を結びつけるコーデイネーターの役割をどうするかだけである。


 新型コロナウイルスによる感染症がいつの日にか収束することはまちがいない。
 歴史に学べば、特効薬やワクチンが必ずできるからだが、収束後のことも考えておいた方がいい。

 次の危機は食料だとみている。

 わが国の食料自給率が30%程度のものだから、小麦や大豆、飼料用のとうもろこしなどほとんどを輸入に頼っているが、米国や中国などで輸出制限がなされれば、入ってこなくなるからだ。

 パンは小麦粉をやめ、米粉に切り替えるとか、今から準備しておかないと間に合わない。

 明治以降、とりわけ、戦後の日本では車などを売り、農業切り捨て政策がとられてきたが、新型コロナウイルス感染症が教えてくれたのは、新自由主義経済で切り捨てられてきた分野が実は大事だったことが分かったからである。

 医療分野でもふだんから特効薬づくりの専門家に予算を回しておくべきだったが、こうした分野にカネを回してこなかったことは次の出来事で明らかになった。
 安倍内閣で補佐官と厚労省の官僚の女が税金で出張しておきながらよろしくやっていたことがばれたとき、実は、ノーベル賞の山中先生のところにカネを回さない云々という権力を笠に嫌がらせをしていたとメデイアに報じられたことがある。

 研究者というのは新自由主義のカネ儲け、効率主義とは相いれないものだが、非常事態がやってくると必ず、役立つ人たちである。
 目先の利益で判断してはいけない分野で頑張る人たちである。

 このことが食料を供給する農業にスポットを当てるとよく理解できる。

 新型コロナウイルスがどんなに蔓延しようと、人間食べて行かなければならない。
 食料品を売る店はどんなことがあっても、休業させないのはこのためだということは説明を要しない。

 小売り店舗に食料品を提供する農家がダメになれば、それこそ暴動が起きる。
 それほど、農業が大事な産業だということ。

 これを過去の政権は無視してきた結果、米国や中国などからの輸入に頼っていたら、輸出をストップされれば、立ち往生ということになってしまう。

 新型コロナウイルスは、食料自給率を高めるための根本的な対策、意識を変えていくよい機会である。
posted by 遥か at 08:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年04月20日

新型コロナで食料保護主義台頭

 新型コロナウイルスによる対策で国際協調が求められる中、食料を巡り、13か国が輸出規制することが明らかになった。
 政府が他国による食料品の輸出規制拡大を懸念するのは、食料自給率の低い日本では国内価格の高騰につながる恐れがあるためだ。と4月17日の読売が経済の紙面で伝えている。

 読売によれば、日本は穀物の多くを海外に依存していて、小麦が88%、大豆が94%、トウモロコシほぼ100%、主な輸入国はいずれも、米国で、その他カナダ、ブラジル、豪州、ロシアだという。

 輸出規制が明らかになった13か国から日本が輸入する食料は少なく、農水省幹部によれば、今のところ影響は「ほとんどない」らしい。
 
 しかしである。日本の食料の命運を握っている米国では新型ウイルスの感染拡大が広がり、農業の労働力を確保できなくなっているから、これからどうなることやら。

 食料自給率は2018年度でわずか37%、3月に決めた30年度目標ですら45%と半分以下である。


 毎週日曜日、食後に「ポツンと一軒家」を視聴している。
 衛星放送で調べたという森の中の「ポツンと一軒家」にスタッフがたどりつくと、決まって、そこには自分と同世代もしくは上の世代が住んでいて、そこに住む理由は先祖代々とか、転居してきたとか理由は人それぞれだが、ほとんどが自給自足というか、それに近い生活をしている。

 彼らには、車がなければ食品、日用品を手に入れることさえままならず、子どもの頃通った学校は遠く、医療機関となれば簡単には通院できない。
 まさに、この地で生きるというのは命がけであるが、意外や淡々と日々の生活をしのいでいるように見受ける。
 手先が器用ということもあるだろうが、生きるために家の修理、草刈り、コメや野菜づくりと何でも自分でやらなければならない。

 4月19日、昨晩の放送では先祖が開拓した土地で、親が棚田でコメ作りをしていたので、大工をやめて、後を受け継いだが、イノシシやシカにやられてしまうので、今では休耕田を借り、里でコメ作りをしているということだった。
 コメの価格が安いので、生活が苦しいと主は言いつつ。家族と一緒に暮らせる喜びを語ってもいた。

 新型コロナウイルスの経済対策で一人10万円を政府が支給することになったと伝えられているから、プラスしてお米券を配れば、コメ作りをしている農家が助かるのではないか、この人たちの助けになるかとも思った。

 食料自給率が37%と低いので、米国が小麦、大豆、トウモロコシの輸出を制限したら、日本はたちまちパニックになること必定である。

 「日本人がさる化し、将来展望など考えず今ののことしか考えなくなってしまった」とネットで嘆いていたのは内田樹さんだが、新型コロナウイルスが蔓延すると流言飛語に惑わされ、トイレットペーパーの買い占め、外出禁止になりそうだとなったら、食料品の買い占めが始まった。
 トイレットペーパーなんぞ、シャワートイレが普及しているから大騒ぎすることではないし、そもそも、昔あった騒動のような品不足などありえないにもかかわらずである。

 マスクがないからとドラックストアで店員に言いがかりをつけているクレーマーに至っては人間としてどうかしているとしか思えない。

 そんなわけで、農業の後継者不足に仕事がきついとかなんだかんだで、休耕田が増えたといっている場合ではない。政府は小麦と大豆を作る農家に奨励金を払ってでも、自給率を高めていかなければならない。

 東日本大震災の大津波による東京電力福島第一原発の事故しかり、新型コロナウイルスだって、SARSを他人事と考えず、他山の石としていれば、人工呼吸器や集中治療室の整備に力を入れたはずである。

 アベノマスクで466億円を首相に進言したおバカは学校の勉強はできただろうが、新型コロナウイルスの蔓延という非常時の対応としては、あまりもお粗末で、マスクもそうだが、まず、医療関係者が必要としているものを渡すことが一番大事なことだということくらいわからないでどうするのだ。

 新型コロナウイルスの次は、小麦、大豆などの輸出を米国がストップした時パニックが起こるだろう。

 先の大戦で米国のことをよく調べもせず、戦争を始めた軍人たちの時代からちっとも進歩がない。
posted by 遥か at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年04月07日

水産(水福)・林業(林福)連携

 水産業や林業の分野で、障がい者の就労を促す動きが出ている。障がい者の自立を支援するだけでなく、人手不足が深刻な水産業や林業の担い手としての期待もある。と4月1日の読売が社会保障の紙面に「安心の設計」と題し、伝えている。

 紙面で紹介されていたのは、鳥取県米子市のNPO法人「ライヴ」が運営する障がい者就労支援施設「リヴよどえ」。精神障がい者らが地元の漁師がとったワカメの加工などに取り組んでいる。  

 三重県の志摩市社会福祉協議会では障がい者がカキ殻の付着物を取り除く作業をしている。

 林業では長野市浅川地区で障がい者が薪の原材料の運搬などに携わっている。

 厚生労働省では20年度、水産業と林業で、障がい者就労のモデル事業を実施する。


 農業分野では農業と福祉の連携、所謂農福連携が先行していて、すでにこのことを書いてきたが、農業分野での就労が障がい者の自立や健康につながるなど、一定の効果がみられることから、政府は水産業や林業でも福祉との連携を進めることにしているという。

 社会には一定の人数で障がい者がいて、働く場を求めている。
 一方で、第一次産業の農業、水産業、林業では恒常的な人手不足だから連携を進めるのは遅いくらいで、もっと積極的に連携を進めるべきだ。

 さらに、人手不足、担い手不足で介護保険制度が持たないだろうとされている介護の分野にも障がい者の働く場は十分にあるはずだ。

 働く場を求めている人が一定数いるのは、何も障がい者に限らない。
 刑務所の受刑者が出所すれば、仕事先があるかないかで彼らの再犯防止ができ、社会復帰が上手くいくことにつながることから、彼らにもまた、農業、水産業、林業や介護の分野で働く場が求められる。

 フードロス問題のときにも書いたが、食べられるものを捨ててしまう一方で、格差社会が広がり、貧困家庭の子どもが食べられないことに手を差し伸べた子ども食堂の運営者たち。

 さらに食料の生産者はといえば、農家が規格外の野菜を畑で捨ててしまう事実がある。
 スーパーやコンビニでは賞味期限が過ぎれば、惜しげもなく捨ててしまうというアホなことをやっている。

 コーディネートする人がいて、両者をう上手く結びつければいいのだ。

 水産業、林業は一次産業であるが、今、一次産業の六次産業化が進められているので、働く担い手はいくらで必要なはずだから、こちらも、両者を結びつける人材なり、機関が重要になってくる。

 障がい者だって、生きていかなければならないし、為に、働く場が欲しいし、賃金も少しでも多い方がいいに決まっている。

 水産業、林業がいくら国にとって重要な仕事だとしても、人手不足ではどうにもならない。

 農業と合わせて、障がい者の働く場としての重要性を訴える。
posted by 遥か at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興

2020年03月18日

「伝統野菜のタネ」未来へ

 語り継ぐ戦争で自分なりにいろいろ調べて書いてきたが、思えば、先の大戦のことに関心を持ち始めたのは中学生のときで、古希を過ぎ、お迎えを意識するようになって終活に取り組もうとするようになった今、再び、先の大戦に向き合っている。

 先の大戦に向き合うということは、日本について考えることでもあり、様々な分野で日本のことを考えてきた。

 「多種多様な作物 未来へ残す」という見出しで、3月7日の読売夕刊が「ジュニアプレス」の紙面で「『伝統野菜のタネ』を扱う会社を作った高校生って?」というタイトルでジュニア記者が取材した結果を伝えている。

 読売によれば、かつて日本の各地で育てられながら、急激に減少している伝統野菜。東京都内の高校2年生小林宙さん(17)は伝統野菜のタネを全国に流通させることで途絶えるのを防ごうと考え起業したという。
 
 小林さんは、15歳のときに伝統野菜のタネの販売などを行う「鶴頸種苗流通プロモーション」を設立した。
 「鶴頸」とつけたのは活動拠点の一つ、群馬県の畑が地図で見ると鶴の頸にあたる部分にあるからだそうな。

小林さんは各地の種苗店を回って買い集めた伝統野菜のタネをオリジナルの袋に詰め、1袋200円で販売する。インターネット販売が主であるが、地元の本屋やカフェ、病院などでも売っている。
 これまで約30種類のタネを扱い、販売総数は1000袋を超える。
 自室の冷蔵庫には伝統野菜400〜500種類のタネが保管されているとも。

 小さい頃、買った野菜の苗を育てることに熱中し、より多くの種類があるタネからの栽培をし、伝統野菜に行き着く。

 中学生になり、地方にタネを買い付けに行くようになって、伝統野菜のタネの存続に危機感を覚え、「誰かがタネを移動させて、つくる人を増やす必要がある。全国規模で流通させる仕組みがないなら僕が作ろう」と家族などの協力をえて開業に至る。


 見上げた高校生がいたものである。
 小林さんにエールをおくると同時に、若い人から生きるエネルギーを頂戴したことを感謝したい。

 小林さんは将来、タネの販売を本業にするわけではなく、あくまでも副業だという。
 大学受験のために時間の使い方を工夫し、仕事の多くは学校の休み時間に行い、勉強時間を確保しているというし、「タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ」(家の光協会)を出版しているというからいよいよ本物だ。

 先祖から受け継いだわずかばかりの農地で有機無農薬で野菜を作っていて、聖護院かぶなどの伝統野菜もつくっているが、伝統野菜のタネを手に入れたくとも近くの農協やホームセンターでは売っていないので、サカタのタネやタキイ種苗などでは扱っているのかいずれ調べてみようとは思っていた。

 凡人の自分は、伝統野菜の栽培に関心は高くとも、タネが手に入らないということで次の行動にはうつれないが、小林さんには恐れ入る、

 何故、小林さんのことを取り上げたかといえば、小林さんがやったことは、ただ単に伝統野菜のタネの販売などということにとどまらず、起業のあり方、大袈裟にいえば、日本の国の未来、日本の農業の進む道、消費者の野菜への向き合い方など多くの分野で様々なことを教えてくれたからだ。

 たかが伝統野菜のタネということではないのである。

 田舎に人が住める日本列島にしていかなければならない。
 そのためのヒントが伝統野菜のタネの販売にはある
posted by 遥か at 10:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興