2012年01月29日

「児童福祉の父」石井十次

 「よみうり寸評」で日本で最初の孤児院を創設し、生涯を孤児救済に捧げたことで知られる石井十次のことをとりあげていた。

 昨年、4月に山田火砂子監督、村上弘明主演の映画「大地の詩ー留岡幸助物語」を観たとき書いてきたが、石井十次は、留岡幸助、アリス・べティ・アダムス、山室軍平と共に「岡山四聖人」と呼ばれる日本の社会福祉の先駆者の一人だ。

 留岡は少年院、アリスは、学校や病院、保育園、山室は救世軍で廓清(廃娼)運動でそれぞれ知られる人物である。

 世の中を少しでもよくしたいと願い、それぞれの立ち位置で頑張ってきた、頑張っている人物にスポットを当て、取り上げてきた。

 たまたま、読売で石井十次の名前を見つけたから、どうしても書いておかなければ気がすまぬ。

 留岡幸助の映画にも登場していたが、石井十次のことは知っていた。

 新聞によれば、20代初めのころ、幼い男の子と女の子を連れた貧しい巡礼の母親に出会う。「二人を抱えて生きていけない」と訴えられ、男の子を預かったのが、救済事業を始めたきっかけだった。明治末期の東北大凶作では800人を超す子どもを引き取ったという。

 若い頃、人が生きていくとき、一番大事なものは何か追求したとき、それは「自由」であることに気づいてから廃娼運動に関心を持つ。

 そこから、関係の書籍を買い求めていくうちに救世軍に行きつき、山室軍平の名前を知った。

 金曜日のNHKFMで「邦楽ジョッキー」という歌舞伎役者が司会をする番組のゲストに市川亀次郎、次の市川猿之助になる歌舞伎役者が出演していたので、聴いていたら実にいいことをしゃべっていたのである。

 彼は本が好きで、読書量は相当なものらしい。

 亀次郎曰く、「読書は頭が疲れているときにするもので、頭が冴えているときは思索するのだ」という。さらに役者の先輩から教えられたといいながら「どんなに長生きしてもせいぜい100年、だとすると人の一生で味わえることなど知れている。読書をすれば、いろいろな人生を生きられる」と語っていた。

 ということで、自分は読書量は少ないが、社会をよくしようと努めてきた人物のことを少しは知っている。

 さて、福祉関係では石井十次はそれと知られた人物で石井十次賞が創設され、石井十次の精神を継承し福祉活動に尽力している団体に賞がおくられているくらいだ。

 児童虐待のとき、すでに何回となく書いてきたことだが、役所の窓口の児童相談所のお役所的対応がよろしくないことを再三指摘してきた。

 子どもを守りたくないなら、児相をやめて、別の職業についてほしいとまで書いている。彼らが石井十次のことを知っているかどうかそんなことは不明であるが、これだけ、虐待されてきた子どもが亡くなくなっている以上彼らにやる気があるとは思えない。

 身内のことであるが、嫁ぎ先の舅が地域ではそれと知られた篤志家で、彼は、戦後、懸命に孤児を救済してきたということを書いたことがある。

 阪神大震災の年に、天寿を全うしたが、彼の妻もまた偉かった。彼が連れてきた乳飲み子に自分の乳を含ませたというではないか。

 世の中にはこうやって支えてくれている立派な人物がいる。自慢話をしているのではない。

 給料もらっている人間が見合った働きをしないで、孤児を黙って助けてきた人がいるということ。

 誰でもが石井十次や留岡幸助になれるわけではないが、生まれてきた以上、自分のできることで、少しは誰かのためになることができるのではないか。

 そういう支え合いで世の中は成り立っているはず。

 山室軍平のことはいずれ書くことになるだろう。 
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