3月になったので、月に一度の贅沢である映画館に行ってきた。
観たのは沢木耕太郎原作のノンフィクションを脚色し、東京芸大生が映画化した『人の砂漠』である。
残念なことにプログラムというかパンフレットがなくて、買い求めることができなかった。
原作は、人が生きるとはどういうことかをそれぞれの話から読み取れる優れものである。
クズを集めて生活する曳き子とクズを買い入れる屑屋のオヤジの話である『屑の世界』、女詐欺師と騙される人々を描く『鏡の調書』、生活保護を拒み餓死寸前に救急車で運ばれる老婆の物語『おばあさんが死んだ』、元売春婦たちのコロニーでの生活を垣間見る『棄てられた女たちのユートピア』の4篇を原作の中から映画化した。
原作を読んだときも、かなりのインパクトがあったが、脚色はされていても、そこは映像の持つ強みで実に見応えがあったと言っていい。
自分も年齢相応にそれなりの体験をしてきたから驚くということではないが、一般にあまり知られていないようなので簡単に説明する。
生活保護というのは、申請主義なので、結果的に『おばあさんが死んだ』のようなことはあることだし、生活保護についても別の機会にとりあげることになるだろう。
『棄てられた女たちのユートピア』というのは、千葉の館山にあるコロニー「かにた村」のことで、この施設については、別の機会に詳しく紹介するつもりだ。
NHKTVで『無縁社会』ということで家族との絆が切れてしまった人の生活とその死というものを放送し、大きな反響があったことを先般書いている。
4篇の中で、この無縁社会という現代的な課題からみると『棄てられた女たちのユートピア』にどうしても目が向いてしまう。
コロニー、ここに一つの答えがあるように思えたからでもある。
2010年03月02日
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