戦争で心が傷ついた心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ人々。戦争の後遺症を引きずっている人々が少なくない現実に目を向ける必要がある。と論説委員緒方賢一が発信する「とれんど」と題する囲み記事が5月10日の読売夕刊にある。
1995年の阪神・淡路大震災を機に広く知られるようになったPTSD。近年は先の大戦に動員された人たちの心の傷とPTSDの関係を検証する動きが広がっている。
厚生労働省は2024年度、精神疾患と認定された旧日本軍兵士のカルテなど関連資料を調査した。
東京都武蔵村山市の黒井秋夫さん(76)は復員兵だった父親が「心を閉ざして家族とは口もきかず、定職にも就かなかった」と講演で語っている。
診断記録はないものの、「過酷な戦場で心が壊れ自分の殻に閉じこもった」と10年前に気づいた。
ベトナム戦争からの帰還兵がPTSDに苦しんでいる様子を記録した映像を見てからだ。
「帰還兵と父親の姿が重なった」
心の傷は見えにくく、身近な人々も十分に理解できず思い悩んだ。
と身近でPTSDに苦しんでいる家族の様子を紹介しながら、戦争の後遺症を引きずって生きている人に目を向ける必要があると訴える。
NHK「映像の世紀バタフライエフェクト」で放送された「戦争のトラウマ 兵士たちの消えない悪夢」を視聴した時に書いたと思うが、戦場から無事に帰還はしても、心が傷ついてしまった人たちのことを知ったのはベトナム戦争の帰還兵の映像を観てからである。
ベトナム戦争では、米軍にとっても厳しい戦いで、70年代の前半、米兵が大麻などの薬物に手を出していることを伝えるニュースが流れたことを覚えている。
『ディア・ハンター』を観て、ロシアンルーレットのシーンで恐怖が最高潮に達したことを思い出した。
アジア太平洋戦争では、旧日本軍は自殺した兵士や心が壊れた兵士のことはひたすら隠していたから、映画などでも描かれることは少ないが、新兵を教育する内務班などでは古年兵からのリンチまがいの暴力で脱走する兵士や精神を病んでしまう兵士がいたと伝えられている。
戦場では互いに武器を持っているから、酷いいじめはなかったようで、虐めれば、後ろから撃たれてしまうからであろう。
敵と遭遇し、爆弾、銃撃の恐怖から逃れるために弱い人間は本能的に心が壊れてしまうのではないかと思慮する。
ロシアがウクライナに侵略し、国を守るために立ち上がったウクライナの人々、兵士として戦う人たちは突然、ロシア軍が攻撃してきたので、心の準備もないままに戦場に駆り出されている。
ここでも、恐怖のあまり、心が壊れてしまった兵士がいるはずだ。
性暴力犯罪被害者のPTSDも簡単には治らないとされているが、戦場の恐怖となれば、心が壊れて当然と言ってもいいくらい、平静でいられるわけがない。
プーチンにしろネタニヤフにしろ自分は危険な戦場に行かずに安全地帯で勝手なことをほざいているだけだから傷つく兵士の気持ちが理解できるわけがない。
2025年05月14日
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