2025年04月23日

コメ高騰 対策後手 事実上の「減反」続く

 日本人の主食であるコメの価格が下がらない。スーパーの店頭価格は5`・c当たり4000円を超え、前年の2倍以上の水準で推移している。政府は流通の安定化に向けた政府備蓄米の放出を実施しているが、コメの価格下落による農家の所得への打撃を警戒し、抜本的な対策を打ち出せていないとの見方も出ている。と4月19日の読売(岡田実優、佐藤寛之、福島春菜記者)が伝えている。

 農業と食の問題に詳しいキャノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、2023年産米の不足が尾を引き、現在のコメ価格の高騰につながっていると分析している。
 事実上の減反(生産調整)や猛暑による不作で「コメ不足の状態だった」とし、生産量を拡大すべきだと訴える。ただ、農水省は農家の所得への影響や打撃を考慮して「コメの値段を下げる気がない」とし、備蓄米放出の判断も遅かったと指摘する。

 減反政策は、コメの値崩れを防ぐため、政府が生産量を調整する制度だ。毎年生産量の目標を決めて都道府県に配分するもので1970年代に始まった。
 2018年度産からは政府による生産目標の配分は廃止されたものの、今も政府は需給見通しを示しており、それに沿って生産者が生産しているため、事実上の減反が続く。
 コメの生産量が減りすぎたことが価格高騰の一因となっている。
 コメは食料管理法に基づき、農家が政府に売り渡すことを義務づけられ、生産から流通まで厳格に規制されてきた。
 減反政策に協力した農家には補助金が交付されてきた。
 冷夏に見舞われた93年にコメ不足が起き、政府は95年に食管法を廃止し、農家に作る自由・売る自由を認めた。
 ただ、その後も「需要と価格の安定のため」との理由で減反政策は維持され、補助金を主な収入源とする多数の零細農家が生産を続ける結果となった。
 生産量を絞りすぎたため、猛暑など天候要因による不作などに対応できなくなりつつある。


 語り継ぐ戦争では、戦後80年の2025年になると、敗戦後の食糧難、飢餓の時代を知る人の多くが退場し、子どもの頃、食べるものに不自由だった団塊の世代くらいしか食料の有難みを知る世代は少なくなってしまったと思っていた。
 ところが、米国追随型の新自由主義経済で貧富の経済格差が拡大し、シングルマザーなど貧困家庭の子どもたちが満足に食べられないことが大きな社会問題になり、子ども食堂が各地で心ある人たちによって設置されるようになった。

 偶々、我が家には畑があり、半ドンだった土曜日の午後や日曜日に飢餓を知っている世代の父親の指示で野菜作りをしていたので、おやつに、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなどを食していたから、空腹で困ることはなかった。

 コメの価格高騰で困っているのは、一般家庭のみならず、子ども食堂だって困っているはずだ。
 コメの価格高騰は消費税と同様、収入の少ない、平たく言えば、貧しい人たちほど困ることになる。
 
 「令和の百姓一揆」が2025年3月30日に起きたが、冷静に考えてみれば、コメ価格が高騰しても生産者である農家の所得が増えるというならまだしも、生産者と消費者とは別のところで価格が高騰しているように思えてならない。

 食料自給率がカロリーベースで38%という低さであることから、令和の米騒動を教訓にしないと、いずれ、小麦などの輸入ができなくなり、食糧難に見舞われたとき、もっと大きな社会問題になってしまう。

 農家を生産者を守る政策が必要なことが明らかになったはずである。
posted by 遥か at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) |
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