「しあわせ小箱」スピーチを考えます2 という4月15日の読売の夕刊の囲み記事の見出しが「『共感』呼ぶ改良NPO助ける」だった。
スピーチライターの蔭山洋介さん(44)が駆け出しの頃、当時カンボジアで人身売買の問題に取り組んでいたNPO法人「かものはしプロジェクト」の共同創業者村田沙也加さん(43)のスピーチを聞く機会があった。
「思いは強いのに、何を言いたいのかわからない。もったいない」
2006年夏のことだった。
スピーチを聞いた後に声をかけた。
カンボジアでは、6歳の女の子がボロボロになって働かされていたこと。懐いてくれた女の子から宝物の手織り布「クロマー」を手渡され「忘れないでね」と言われたこと。女の子が売られた金額がこの前買ったワンピースと同じだったこと―。「だから私は救いたい」なぜ、日本人が異国で活動をしたいのかを丁寧に訴えた改良スピーチに涙を流す聴衆もいた。
爾来、現在の支援者は約1万8000人に上る。
「蔭山さんがいなければ、私たちのNPOがここまで発展することはなかった」と村田さんは感謝する。
毎日、発信しているのは「自由のため」である。
その原動力は、人身売買に反対、性暴力を許さないという立場からである。
人身売買に反対だから、管理売春にも断固反対の立場である。
東南アジアでの人身売買に関しては、梁石日原作、坂本順治監督『闇の子供たち』を観て、そのあまりの酷さに貧困問題の深刻さを学んだ。
人身売買は東南アジアだけの問題ではなく、わが国でも1956(昭和31)年に売春防止法ができるまで行われていただけでなく、近年も、ホストクラブなどで借金を背負わされた女性たちが風俗に沈められる形で存続している。
「かものはしプロジェクト」はインターネットに寄付を求める要請があったので知っていた。
郵便局で都合の良いときにカネを送ることはできず、ネットでクレジットカードで定期的に引き落とすという寄付の形態だったから、ネットの個人情報が漏れることを警戒している自分は寄付はしていない。
寄付をする意思はあるので、一考してもらえるといいのだが。
さて、スピーチである。
聞く人を感動させたり、心を動かすということは難しいことだが、自分の体験を書いておく。
35年くらいは前のことである。
地域のリーダーに親しくしてもらい、大変お世話になっていたことがあった。
もう亡くなられてから相当経つので、時効だと解釈して書いておく。
ある時、その人物が結婚式に招かれ、「スピーチを頼まれたから、何か気の利いたことでも考えておいてくれ」とスピーチライターを頼まれた。
知人の娘さんということで、娘さんのことはよく知らないということだった。
結婚式だから、誉めるしかないが、肝心な花嫁のことを何も知らない自分が何を誉めればいいのか考えてみた。
頭に浮かんだのは、普遍的なことで「笑う門に福来る」ということだった。
そうだ、娘さんは笑顔がとても素敵だということにすればいいということである。
後日談であるが、普段お世話になっている人が、結婚式のスピーチが佳かったと感謝されたと上機嫌だった。
さらに、信頼されるようになった出来事である。
人の心を動かすことは難しいことだが、言葉の力、文章の力、映画の力などを改めて見直すできごとを思い出させてくれた。
2025年04月18日
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