2025年04月09日

実質賃金が上がらないのは大企業が利益を貯め込んだから

 4月6日のNHKまいあさラジオ「著者からの手紙」で『日本経済の死角 収奪的システムを解き明かす』(ちくま新書)の著者河野龍太郎さんの話、実質賃金が上がらないのは大企業が利益を独り占めというか、本来、労働者に分配すべきところを貯め込んだからだという自分の考えと全く同じことを指摘していたので、書いておかなければならない。

 実質賃金といえば、すぐに労働生産性との関係が問題とされるが、米国ほどではないにしても、欧州よりは生産性が明らかに改善され、1998年からこの四半世紀で3割は上がっているが、実質賃金は横ばいとなっている。
 実質賃金が上がらないのは、労働生産性とは全く関係なく、収益を上げた大企業が貯め込んだからだと厳しくも、当然のことを指摘する経済評論家がいたことを知り嬉しくなってしまった。

 大企業が利益剰余金として内部留保を120兆円から600兆円もため込んできた。
 現在、賃上げがされるようにはなってきたが、物価が高騰しているため賃上げが追いついていない収奪的システム下という状況にある。

 銀行の不良債権問題が世間を騒がせたことがあったが、企業は経営上、自己資本を高めるため、コストカットとして、人件費の削減、定期昇給の凍結、正社員の非正規雇用化に取り組んだ。
 自己資本が積みあがって体力がついた後も、人件費の抑制が続いたからである。

 インバウンドブームを喜んではならない。賃金が上がらない私たちの労働力を切り売りしているだけのことだからだ。
 イノベーションは問題解決という見方は誤りである。
 イノベーションの悪影響を受ける人を救済する政策が求められている。
 一部の人に経済的恩恵が集中する収奪的制度の下では経済は成長できず、一国は衰退する。包摂的社会でなければ、繁栄できない。とアセモグルと共にノーベル賞を受賞したジェームズ・ロビンソンは警鐘を鳴らしている。


 今、世界で問われているのは、イデオロギーなどではなく、貧富の格差問題である。
 米国でトランプに投票した人たちは白人の貧しい人たちなどで、社会を変えてほしいとの願いからだとされている。
 愚かなのは見当違いだということがわかっていないことだ。
 トランプ関税でモノの値段が上がっても影響を受けないのは富裕層であり、貿易収支が黒字になったり、製造業が元気なっても、貧富の格差が天文学的に開いてしまった米国では大勢に影響がない。

 トランプ関税でおたおたしている日本政府は情けない。
 今こそ、内需拡大のため、一人10万円ずつ配るときだ。
 米国に行けば、安部、岸田という時の総理が米国からトウモロコシや役に立たないミサイルトマホークやすぐ墜落するオスプレイを買わされたようにまた脅されるだけだ。

 れいわ新選組の山本太郎代表は、米国に行くな。欧州などトランプ関税の被害者連盟を作って、一緒に対処すべきだと党首討論で発言している。

 やるべきは、非正規雇用を減らし、正規雇用を増やすこと。
 実質賃金を増やし、購買意欲を喚起し、景気低迷を打破することである。
 
 富の独り占めをすることはよくない。
posted by 遥か at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 雇用
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