取り調べの録音・録画(可視化)を巡り、最高検は、法律で義務付けられていない任意の取り調べについても、全過程の可視化を試行する方針を固めた。検事による不適正な取り調べが問題視される中、全面可視化の対象を拡大することで、適正な実施を徹底する狙い。2月19〜20日に開かれる検察幹部の会議で対象事件などを議論した上で、試行を開始する見通しだ。と2月6日の読売が1面で伝えている。
検察の取り調べを巡っては、2010年に発覚した大阪地検特捜部による証拠品改ざん事件を機に改革が進み、19年施行の改正刑事訴訟法で、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で逮捕・勾留された容疑者について全面可視化が法制化された。
また、検察は義務付け対象外の事件でも逮捕・勾留した場合は運用で全過程の可視化を行い、現在は9割超で実施している。一方、容疑者を在宅のまま捜査する任意の取り調べでは、検事が自らの裁量で場面を選んで可視化し、全過程ではほとんど行われていないとされる。
最高検は試行の対象について、検察の独自捜査事件などを想定している。取り調べの一部始終を記録することで、検事が自らに都合の良い場面のみ可視化したり、不適正な言動をとったりすることを防ぐほか、取り調べに問題があると指摘された場合にも検証できるという。
検察の取り調べで「検事から暴言を浴びせられた」「罪を認めないと強制捜査をすると脅された」と訴えるケースについて、NHKクローズアップ現代でも取り上げていた。
嫌疑がかかって逮捕されたり、任意で取り調べということになるわけだが、警視庁の公安がその嫌疑そのものを作り出したのが大河原化工機の中国への不正輸出事件で、しかも、取り調べで、体調が悪化しても医師に診断させるのが遅かったと伝えられているとおりだとすれば言語道断である。
取り調べでは、一筋縄ではいかない容疑者の取り調べがあることは認めるとしても、証拠を捏造するとか、暴言を浴びせるなどと言うのは検察の取り調べでやることではない。
黒白をつけるのはあくまでも事件の証拠だという意識を高める必要がある。
証拠がすべてということになれば、取り調べは当然のことながら、可視化しても何ら不都合はないはずだ。
19年参院選の大規模買収事件で、東京地検特捜部の検事が任意の取り調べで地元政治家の供述を誘導した疑惑が発覚。録画していない場面で、不起訴を期待させる発言をするなどした一方、容疑を認める場面のみ録画していたのはご都合主義で不公平、かつ不誠実な対応であり、何のために可視化したのか意味をなさなくなってしまう。
冤罪事件が多発している印象があるのは、再審開始請求が認められ、再審で無罪が確定した袴田事件で、証拠が開示されなかったことから検察の信頼が揺らいでしまったことにある。
未だ、再審開始請求が認められない名張毒ぶどう酒事件でも、証拠が隠され、開示されていないことも検察が信頼されない大きな要因となっている。
検察はやはり、真実の追求に全力を挙げ、事件の解決を急ぐあまり冤罪事件を起こしてきたが、一つでも冤罪事件を起こさないようにすべきだ。
2025年02月11日
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