2025年01月14日

先住民を排除して土地を奪い領土にするシオニズム

 イスラエル軍がパレスチナ自治政府ガザ地区を攻撃してから15か月が過ぎた。ガザに暮らすパレスチナ人の人道状況は悪化の一途を辿っている。
 国際人権団体などは「ジェノサイド」「民族浄化」などとイスラエルのネタニヤフ政権を批判している。
 20世紀半ばにイスラエルが誕生して以来、パレスチナ問題は中東の火種であり続ける。この問題を研究してきたオックスフォード大学名誉教授で歴史家のアヴィ・シュライムさん(79)に1月12日の読売がその優れた連載「あすへの考」で見解を聞いている。

 シュライムさんはイラクに生まれたユダヤ人だというのが出自だそうな。 
 パレスチナにおけるイスラエルの暴力性の遠因はシオニズム運動という本質が入植植民地主義にあるのだと指摘する。シオニストは貧者に恩恵をを与えるために開墾すると釈明するが、現実は先住民を排除して土地を奪い、領土にする運動だ。
 1948年のイスラエル建国に伴うパレスチナ人の「ナクバ(破局)」に遡る。
 
 ユダヤ人がパレスチナ人を支配する体制は20世紀の南アフリカ共和国で白人が黒人を支配した「アパルトヘイトと同様である。
 パレスチナ問題の解決には2国間解決策があったが、英米の指導者は表面的に支持するだけで、実現させようとする姿勢はみられず、空疎な紋切り型で、英米は無策を隠してきた。
 実現可能性のある2国間解決など存在せず、「民族・宗教の違いを超えた、全ての国民の平等を保証する1国家解決」を私は提唱する。
 以上が要旨である。


 団塊の世代の一員であるから、学生時代全共闘運動が全盛期だった。
 新左翼だとかノンポリだとか内ゲバなど政治をめぐる思想的な考えや立場も様々であった。

 16歳になったばかりの夏に父親が病死し、現在のように母子家庭だとかシングルマザーなどとは言わなかったが主婦だった母親が働きに出て養ってくれたので、学生運動などやっている場合ではなかった。しかし、結果的に警察に捕まることがなかったのでよしとしている。

 しかし、学生らしく、学生運動にはそれなりの関心を持っていたので、東京大学の安田講堂の攻防から、成田空港建設反対運動、連合赤軍のあさま山荘事件で判明した総括という名の仲間殺しで学生運動がほぼ終焉を迎えてしまうまで、自分なりの意見は持っていた。

 当時、赤軍派と呼ばれていた人たちがパレスチナへの連帯を表明し、中東に渡り、イスラエルのテルアビブ空港で乱射事件を起こしたことは覚えている。
 世界に散っていたユダヤ人が1948年イスラエル建国と称して、米英などの後押しで中東のパレスチナ人を追い払って建国したことで、自分の立場は明確に反イスラエルだった。

 今回、歴史家のアヴィ・シュライムさんのパレスチナ問題への見解を聞いて大いに勉強になった。
 イラク生まれのユダヤ人であるシュライムさんは、イスラエル建国前は、アラブ人と仲良く暮らしていたが、イスラエル建国で迫害されるようになり、イスラエルに移住した。

 ユダヤ人でありながら、イスラエルのネタニヤフ政権の暴力支配に批判的なシュライムさんのその姿勢に共感するのは行き過ぎた暴力と民族浄化という自分にとって嫌いない言葉で批判していたからだ。

 それにつけても、米国人がやってきた彼らがインディアンと呼んだ原住民を迫害し、居留地に追いやったこととユダヤ人の国であるイスラエルがパレスチナの人にやってきたことがこうまで重なってしまうのは流れている血が同じだからだろうか。
 「インディアン嘘つかない。白人二枚舌」
 この言葉は西部劇で迫害されたインディアンが折々使った名言である。

 ご都合主義で、自分たちさえ反映すればいいという考え方で米国は移民を阻止している。しかし、移民を阻止するためには彼らの国への援助が欠かせない。

 パレスチナのガザ地区でジェノサイドし続けるユダヤ人たちにヒトラーに弾圧されていたことを思い出し、一日も早く停戦がなされるように祈っている。
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