NHK映像の世紀 バタフライエフェクト 「ふたつの敗戦国 日本 660万人の孤独」を視聴することができたので、制作してくれたNHKのスタッフに敬意を表し、書いておきたい。
「敗戦後、海外にいた660万の日本人は、一斉に日本への帰還を目指した。彼らはその時どこにいたかで命運が分かれた。満州にいた人々は、侵攻してきたソ連軍の暴力に無防備でさらされた。その後も中国に取り残された人々は、国交がないため、長い間帰還への道が閉ざされた。日本に帰還できても故郷に居場所がなく、辺境の地での開拓に乗り出す人々もいた。「ふたつの敗戦国」後編は、流転の運命を背負った日本人の記録である。」とは㏋に内容の説明がある。
語り継ぐ戦争ではあるが、15年戦争、大東亜戦争、アジア太平洋戦争と呼び名もそれぞれの立場で異なる先の大戦。
フィリピンのマニラ市街戦で市民など民間人を虐殺した日本兵のことを取り上げたときにも書いたが、語り継ぐ戦争という立場に最も大きな影響を受けたのは五味川純平『人間の條件』(三一書房)をTVドラマ化し、主人公の梶を加藤剛が演じたのを中学生だったと思うが視聴したことである。
主人公の梶が満州に行けば徴兵が免除されるという言葉に騙され、満州の鉱山で働くも、徴兵され、敗戦でシベリアに抑留され、愛する連れ合いに逢うことも帰国も叶わなかったという物語。
だから、満州に関することが一番詳しいということになるし、放送は大変勉強になったので、制作したスタッフの心意気にエールをおくりたい。
放送する時間的な制約があるから、深く掘り下げることは難しいにしても、自分の知っていることは概ね描かれていたが、勉強が足りず、教えてもらったこともあったことは有り難い。
満蒙開拓団として、国に騙されて中国に渡った人たちが侵略者の手先として満洲で土地を取り上げられた住民から恨まれていた。日本が敗色濃厚になると侵略した張本人たち関東軍は南下し、開拓団を守ってくれる軍隊はなく、1945年8月9日未明、侵攻してきたソ連軍に女性は性的暴行され、略奪、挙句、年寄りと女、子どもたちは戦車に轢き殺された。
広い満州を彷徨した末、ソ連兵ばかりでなく満人と呼ばれていた中国人や朝鮮人からも性的暴行された女性たち。葫蘆島から引き揚げ船に乗れた人が博多や佐世保の港に着いた時、ソ連兵などに性的暴行され、生憎妊娠させられ、あるいは梅毒に罹患させられた女性たちの中絶手術や治療が行われたことも映像で紹介されていた。
自分が詳しく知らなかったこととして、満州からの引き揚げ後の彼らの居場所、暮らし向きのことがあった。
開拓民として、国を捨て、海を渡って行った彼らに戻る場所などあるはずがなかった。
再び、開拓民として日本の各地に散って行った人々の行き先として紹介されていたのが、青森の東通原発、六ケ所村の核燃料再処理施設、福島の東京電力第一原発の浪江町津島、そして、成田国際空港の天浪・木の根・東三里塚などが挙げられていた。
引き揚げ者や沖縄戦を戦った沖縄の人々が入植した土地に目をつけた人が原発や空港といった迷惑施設を作ったと言っても過言ではないだろう。
満州からの引き揚げといえば、満蒙開拓団など満洲に居留していた人ばかりでなく、ソ連軍によって、シベリアに強制的に移送され、酷寒の収容所で鉄道建設などをさせられた抑留者のことも取り上げられていた。
シベリア抑留を企図指示したソ連のスターリンは日露戦争の復讐だと言っていたことが耳に残っている。
日本だって、いつになるかわからないが、シベリア抑留の復讐をソ連、ロシアにやる時代が来るかもしれない。
先般、二つの敗戦国の一つドイツのことを書いたが、ドイツと日本はソ連、ロシアが共通の敵国であることがこれからいつの時代になっても続くのではないか。
映像の世紀というくらいだから、映像であれば、物事が分かりやすくなっていい。
2024年11月20日
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