2024年11月08日

新米出ても高値続く

 スーパーの棚が空になり「令和の米騒動」と称されたこの夏のコメ不足。新米が出回り、品薄は解消した後も価格は高止まりし、消費者の負担感は増している。国は「食料安全保障の確保」をうたうが、高齢化やコスト高に直面する農家からは「耐えられない」との声も。持続可能なコメ政策とはどうあるべきか。と10月30日の東京新聞(西田直晃、山田祐一郎記者)が伝えている。

 コメの生産量、作付面積はともに減少の一途をたどる。元農水官僚でキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹によると、今秋の新米は需要を先食いしており、来夏の端境期もコメ不足が深刻化し、高騰する可能性があるという。「生産量を減らすことで米価を調整する、今の生産者保護の政策では、需要に対し供給が不足しても手の打ちようがない。供給量が減れば、そのまま価格に転嫁される」

 国による生産調整(減反)は2018年に廃止されたが、政府はコメ需要を毎年10万トン減と見通し、水田を畑に転換した農家への補助金制度などを維持してきた。山下氏は事実上の減反政策として、「予想された以上の高騰が続く。今こそ減反をやめて、米価を下げることが重要では。国民の負担は減り、価格が下がれば輸出増も実現できる」と提案する。

 コメを生産する農家の状況も厳しい。農林水産省のデータでは、水稲の作付けを行う農業経営体のうち、個人経営は2005年に140万戸だったのが、2020年は70万戸弱と半減した。個人経営は経営体の大半を占め、年齢構成をみても50歳以下が11.3%と高齢化が顕著となっている。

 10月26日の読売も「衆院選 課題の現場」というタイトルで、食料をいかに安定的に確保するかが世界的課題となっている。2024年5月、「農政の憲法」とされる「食料・農業・農村基本法」が改正され、「食料安全保障の確保」が新たに基本理念に加えられたが、日本の23年度の食料自給率(カロリーベース)は38%と、主要先進国で最低水準だ。小麦18%、大豆26%と食に欠かせない穀物は輸入依存度が高い。と伝えている。


 「令和の米騒動」とカロリーベース38%の食料自給率は他人事だとはとても考えられない。
 語り継ぐ戦争だから、戦前、戦中、戦後、特に、敗戦後の食料難の時代は、食べられればまだいい方で、戦災孤児などは生きていくことだけでも大変な時代だった。

 戦後続いてきた、自民党、途中から公明党との連立政権では、2018年まで減反政策が続き、米価をコントロールしてきたが、今回の米騒動で、減反政策とは異なる農家を保護する施策、具体的には補助金を出すなりして、食料自給率をアップすることと連動して食料供給の安定化をはかるべきではないか。

 コロナ禍では、飲食店や観光業者にばかり、補助金が使われたが、食料を安定供給するためなら、農家を補助して行くことは必要なことだと断言できる。

 米の需要が減っているからと言って、国の食料の根幹をなす米作りを粗末にしていていいわけがない。
 米は食さず、パンや麺類を食べるから、という向きがあるかもしれないが、小麦粉の自給率の低さを考えれば、その考え方は危険である。

 米さえあれば、自給できれば、何とか食べていけるはずだから、米作りが重要なのだ。

 飢餓ということがどれほど怖ろしいことか、食べられる今、考えておいた方がいい。 
posted by 遥か at 10:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 農業、林業振興
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