2024年10月23日

危険運転適用外 納得できない遺族 広がる署名

 飲酒運転や大幅な速度超過による死亡事故に対し、危険運転致死傷罪を適用する厳罰を求め、各地で署名運動が展開されている。と10月19日の読売(日野響子、古賀章太郎記者)が夕刊で伝えている。
 2024年5月、群馬県伊勢崎市で飲酒運転のトラックに追突され、夫や2歳の息子ら3人を失った遺族が「過失では済まされない」と署名活動に立ち上がった。

 危険運転の適用はハードルが高く、飲酒の影響で正常な運転が困難な状態だったか、慎重に判断されるため、明らかに事故を起こす予見性が高く、「過失で済まされることか」と納得できない遺族が署名活動を展開しているというわけ。

 2021年、大分県で発生した時速194キロの車による死亡事故。
 過失運転から危険運転へと検察の判断が変更されたこの事故などをきっかけに全国の遺族などによる被害者の会が立ち上がっている。

 伊勢崎の事故で、その後、地検は危険運転を適用する方針を決め、15日に前橋地裁も訴因変更を認めている。

 危険運転については、適用要件を見直すための議論が有識者検討会で行われている。
 危険運転致死傷の法定刑の上限は懲役20年。運転ミスに適用される過失運転致死傷は7年だから差がありすぎるということで「中間的な法定刑が必要だという識者の意見もある。


 犯罪をわかりやすく説明すると、殺人、強盗、不同意性交などは刑法が適用され裁かれる。
 対して、自動車の運転中に事故を起こせば原則的に過失ということで、道路交通法などが適用され、刑事事件における犯罪とは別の扱いとなる。
 大きく分けて、故意か過失かが問われることになる。
 同じ交通事故でも、あおり運転や飲酒、大幅な制限速度超過などの場合は、事故が予見できることから、単なる過失とは認められないというのが遺族の言い分である。

 検察の裁判所への訴因についても、現在、道路交通法のひき逃げから刑法の殺人罪への見直しが遺族から求められている事件がある。 
 2022年6月29日、大分の別府で起きた自動車によるバイクひき逃げ事件で逃亡中の加害者は、故意、殺意があって自動車でバイクに衝突させ、被害者を殺害しているにもかかわらず、道路交通法によるひき逃げとして指名手配されているが、懸賞金がつけられているほどの加害者はワルで再び殺人事件を起こす恐れがあることから、遺族は検察に対し、訴因を殺人罪とし、時効で逃げ得にならないように求めている。

 訴因の変更は当然できるはずだが、過失が対象である道路交通法と悪質な危険運転致死傷罪が対象で、刑罰が大きく異なるため、中間的な法定刑を設け、適用をもっと広く認めるようにするかになりそうだ。

 東名高速道路であおり運転を繰り返し、挙句走行車線上に停止させ、明らかに事故を誘因する原因を使った男のときも、危険運転とは運転中のことを指すので、停止中は危険運転ではないなどと言葉遊びみたいなことを言っていた識者がいたが、危険運転の構成要件として、事故を予見させる制限速度超過、飲酒、あおり運転は一様に危険運転であるという統一見解を出せば済むことではないか。

 車に乗ったら運転者は交通事故を起こさないということが大前提であるはずだ。
 法律の解釈も含め、被害者に寄り添ったものしていく必要があるはずだ。
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