2024年10月17日

被爆者張本勲さんと美輪明宏さん証言 被団協ノーベル賞

 被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会」(被団協)にノーベル平和賞という2024年のトップニュースが流れ、すでに書いているが、どうしても書いておかなければならないことがあった。

 「核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきた」というのが授賞の理由の一つになっていたからか、「歴史の証言 被団協 平和賞」というタイトルに上下で10月13、14日の読売が伝えている。
 その見出しが「傷痕見せ 語った先人」「平和は自ら切り開く」、「被爆者の志 私がつなぐ」「核廃絶へ若者動く」と読売も充実した紙面でノーベル平和賞の受賞、被爆者の証言とその証言を語り継ぐ人たちの活動を紹介している。
 
 13日の社会面では著名な被爆者のコメントとして、元プロ野球選手として活躍した広島市出身の張本勲さん(84)と長崎市出身の歌手・俳優の美輪明宏さん(89)の証言を伝えている。

 誰でもが知っているような著名な二人のことだから、影響力があるので語り継ぐ戦争の立場から紹介しておきたい。
 まず、張本さんは5歳の時被爆し、原爆で姉を1人亡くしている。
 「この賞で、ようやく世界に向けて被爆の現実を発信してもらえると思う。ニュースを聞いて万歳した。ノーベル賞委員会には感謝したい。今、外国では戦争が起きている。私は個人として最後のメッセンジャーとして、これからも戦争の悲惨さを伝えていきたい」
 次いで、美輪さんは10歳の時に被爆した。「爆心地から約4`離れた家の奥にいて助かった。街は燃え、外は死にゆく人の阿鼻叫喚だった。あの光景を忘れることはない。最近はロシアがウクライナに侵略し、イスラエルの問題もあり、戦争が絶えない。そういうときに平和を称える賞ノーベル平和賞が贈られることは大変有意義だと思う」

 張本さんはよく知られていることだが、ご先祖は朝鮮半島出身である。
 日本ではプロレスの力道山さんや同じくプロ野球で活躍した金田正一さんというその分野のトップ選手が半島出身者をご先祖に持つ。
 ところが、自民党の裏金議員でアイヌや在日、LGBTを差別する発言を繰り返し、性暴力の被害者を侮辱し、今回の衆議院選挙の比例で公認されず、立候補できなかった女性のような人たちから、差別されて育ったきたのであろうと推察する。
 美輪明宏さんも、若い頃の美少年、美青年から現在に至る過程で同じく差別を受けてきたことだろうと思い、差別を受けてきた点で、共通していることに気づいた。
 張本さんと美輪さんはプロ野球と歌手・俳優の世界で活躍されたことは言を俟たない。
 しかも、差別を受けながらも、差別に打ち克ち今日に至る。
 その二人がヒロシマとナガサキで被爆者として共通していることに気づいた時、証言の重みを痛感させられた。
 被爆した時、5歳と10歳との違いはあるが、被爆者の悲惨な様子を知っているわけで説得力が違うわけである。

 戦後79年、A級戦犯が合祀されている靖国神社に8月15日に行くんだと血気盛んな自民党の総裁候補などどんどん右傾化する人たちが増えてしまった印象があるが、何としても、戦争に巻き込まれないように発信を続けてもらいたい。
 無論、核兵器が二度と使われないようにでもある。
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