2024年08月24日

731石井四郎部隊長から京都帝大で講義 日野原さん

 2017年に105歳で亡くなるまで“生涯現役”を貫いた医師の日野原重明さんが、自身の戦争体験を語った未公開映像が、この秋初めて世に出される。京都帝国大医学部に在学中、旧日本軍731部隊が中国人捕虜に人体実験を行う記録映画を授業で見させられたことなどを証言しており、撮影した映像プロデューサーの早乙女愛さん(52)は「日野原先生が体験した戦争を多くの人に知ってもらいたい」と語る。と8月16日の読売(大前勇記者)が夕刊で伝える。

 「戦争はどこの国の人も鬼にするんですよ」『忘れてはいけないことだ』と強調する日野原さん。

 戦時中の満州(現中国東北部)を拠点に、細菌兵器の研究・開発に従事した731部隊。映像で日野原さんは、京都帝大出身の細菌学者で、部隊長だった石井四郎の講義を受け、旧日本軍が中国で行った残虐行為や捕虜をコレラやチフスなどの細菌に感染させる実験の映像フィルムを視聴させられたと明かし、「ひどかった」と振り返った。同大の学生の中には、後に部隊の研究に協力した者が大勢いたとも語っている。


 細菌兵器の研究・開発に従事し、中国人捕虜をマルタと呼んで人体実験した石井四郎部隊長率いる731部隊。
 敗戦で戦犯として当然のことながら裁かれなければいけない立場でありながら、米軍と司法取引し、人体実験のデータと引き換えに免責されたしたたかさである。

 人体実験などいつの時代でも許されるものではないが、戦争であれば、そのくらいのことはやりかねないのが人間というものではないか。

 「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」というまさに池波正太郎ワールドの名言の世界だ。

 医者だからと言って、石井部隊長に勧誘されたからといって、人体実験を平気でやる、罪悪感もないというのは信じたくないが、ありそうな話である。

 驚愕するのは戦争犯罪を問わなければならない勝者米軍が実験データ欲しさに石井部隊長を免責したことで、こんなことは絶対許されない。

 米軍は、ヒロシマに原爆を落としたときもそうだった。
 投下後、医療チームを送り込みながら、治療ではなく、被爆者のデータを集めたのが米軍だ。

 反米の自分の立場からみれば、京都帝大医学部を卒業しながらも、石井部隊長に誘われるままに自らの手を汚した医師は、戦争が終わってから、己のやったことをきちんと振りかえるべきだ。

 まあ、医師として命を救うのが第一の仕事ではあるが、人体実験もそのための一つの修練の場だと言われれば最早言うことはない。
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