2024年07月04日

住宅建築ピンチ 大工職劣悪待遇で成り手減少

 NHKクローズアップ現代で「大工不足で家が建たない!?修理できない!?相次ぐ住宅トラブル」を視聴した。日頃から、大工など職人の労働環境について思うことがあったので書いておく

 「木造住宅の建築や修理などを担う大工は、この20年で半分以下に減少。人手不足や技術不足によるトラブルは相次ぎ、建築物の調査会社の統計では、診断した住宅の7割以上で不具合が見つかっている。専門家は、大工不足を引き起こす原因には、時代遅れの労働環境や住宅産業構造の変化などがあると指摘する。そうした中、勤務制度や技術継承の方法を改善し、人手不足を解消する取り組みも。住まいも大工も守るために必要なものとは?」と番組の㏋にある。


 首都圏の田舎町に生まれ育ち、別の街に住んだことはないので、比較もならないが、住めば都で住環境に不満はなかった。ところが、近年の住宅開発というか、宅造でできあがった建売住宅にはほとんど樹木がないことが不満である。
 毎日、健康のために30分から40分程度散歩しているとき、この新築住宅の建築現場を通るのだが、大工などの職人の労働環境が劣悪である。
 日曜日だけは休みだが、平日は7時ころまで、そして土曜日も働いているのは工期が限られているからだそうな。
 だからか、古家を解体するときは、パキスタンやスリランカなど東南アジア系の労働者が担っている。
 解体されて、整地された土地で住宅建築の基礎工事を担っているのも上記の外国人が目立つ。
 上棟、新築の木造建築を担う大工は日本人しか見たことはない。

 日本は最古だとされている法隆寺が建築された時代から、木造建築が住宅などでは一般的である。
 その担い手になり手がいないのは彼らの労働環境が劣悪だからだ。

 番組では大手の住宅メーカーが自前で大工職人を育てるべく養成しているところを紹介していた。
 NHKの「サラメシ」でも、会社の名前は思い出せないが、自前で職人を養成しているところの職人の卵の昼飯を紹介していた。

 大工のなり手がいない理由の第一は、職人としての彼らのおかれている立場にある。
 一人親方みたいな形で雇用形態は請負ということになっているはずで、これだと、会社に雇用されていれば、厚生年金、社会保険と会社負担分も含め、将来、年金が支給される。
 ところが、請負だと、国民年金、国民健康保険(国保)だから、将来、受け取れる年金額が少ない。

 話変わるが、プロレスのジャイアント馬場さんが率いていた会社では、プロレスラーは社員として働けなくなってから厚生年金がもらえるようにしていたそうな。
 キラーカーンが証言しているから、事実だと思う。
 ところが、馬場さんのライバルだとされていたアントニオ猪木さんが率いていた会社では厚生年金がなかったから、プロレスができなくなってから、生活が大変だというのだ。

 大工職は、職業としては非常に立派な手に職ということで、尊敬に値するものだが、若いうちはともかく、無理して働き、体を壊してしまえば、何の保障もないから、これでは、若い人が希望するわけがない。

 住宅メーカーは、これから、大手などは、自前の職人を養成するだろうが、神社仏閣などの建築、修理を担う宮大工は養成する機関で技術を身につけることを国がやっていく必要がある。

 とにかく、7月の猛暑でも働く職人に対し、もっと温かい目を向け、彼らが安心して働ける労働環境を作っていく必要がある。

 岡林信康「山谷ブルース」ではないが、大工がいなければ、新築も修理もできはしない。
posted by 遥か at 09:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 雇用
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