英国で1970〜90年代に、汚染された血液製剤や輸血により約3万人がエイズウイルス(HIV)やC型肝炎に感染し、約3千人が死亡した英史上最大規模の薬害があり、調査委員会は20日、政府の責任を認める最終報告書を公表した。英メディアによると、政府は総額約100億ポンド(約1兆9800億円)規模の補償案を発表する見通し。とメディアが伝えている。
5月21日のWEBの産経によれば、スナク首相は謝罪を表明し、包括的な補償を約束した。血液製剤の危険性や輸血による肝炎発症のリスクは当時から指摘されており、調査委は「病院や政府が患者の安全を最優先にしなかった」と指摘。「被害の大部分は避けることができた」と断じた。
同様の薬害はフランスや日本でも社会問題となったが、英国では調査や補償の動きが遅れた。2017年に当時のメイ政権が調査開始を表明。当事者への聞き取りを進めたが、証拠隠滅などによって難航した。(共同)
日本では、足尾鉱山の鉱毒事件に始まり、水俣病、イタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜんそくそしてカネミ油症事件と公害病が発生してきた。
薬害は、サリドマイドは、スモン、クロロキン筋短縮症、薬害エイズ、陣痛促進剤、新三種混合ワクチン禍、薬害ヤコブ、薬害肝炎、薬害イレッサと次から次へと発生してきた。
公害と薬害、両者ともに原因者があって患者が出ているという因果関係が明らかになっているものがほとんどである。
当然のことながら、公害と薬害共に起こさないようにしなければならないことであるが、起きてしまった以上は、医療支援と補償ということが大事になってくる。
ところが、公式確認されたのが1956年5月1日とされている水俣病は実はもっと早くに異常が見つかっていたのである。
あれから幾星霜、未だに水俣病の未認定患者が認定を求めて裁判をしているくらいで、胎児性水俣病の坂本しのぶさんは、毎年、慰霊祭で「水俣病は終わっていない」と訴え続けてきた。
公害と薬害の範疇からは外れるが、被爆者も、黒い雨に打たれた云々と、政府が決めた被爆の範囲外にいた人たちから抗議の声があがっている。
政府は本来患者寄りでなければならないが、公害病、薬害共に企業寄りであることはその姿勢をみればあきらかである。
患者とせっかくの懇談会を開いた環境省の役人は、水俣病で苦しんで亡くなった連れ合いのことを話している患者に3分間の約束時間が過ぎたことを理由にマイクのスイッチを切ったそうな。
その対応をメディアに取り上げられた環境大臣は謝罪することになった。
患者寄りであったなら、こんな失礼な対応はとれないはずだ。
薬害での英国政府の対応は、調査や補償の動きが遅かったとはいうものの、政府の責任を認めて謝罪し、補償金も用意したというから、現政権は誠意の一端は認められる。
患者の苦しみを思えば、当然のことではあるとしてもだ。
2024年05月23日
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