2024年04月17日

欧米流への憧れ やめよう 和を重んじ、努力して成長

 有識者の見識に学ぶ、読売の優れた連載「あすへの考」4月7日(恒川良輔記者)は「大学の危機」をテーマに「欧米流への憧れ やめよう」「教職員と学生の目標共有 ランキングよりも大事」「和を重んじ、コツコツ努力して成長」これも成功モデル」という見出しで、日本の長所、価値観に基づいた社会・教育システムを作り上げることが、大学、ひいては日本の危機を脱する方策になると慶応義塾長伊藤公平さんが訴えていて大変勉強になった。  
 
 日本大好きという団塊の世代の一員としては、伊藤公平さんの専門が量子コンピューターだと聞いて、それだけで恐れ入ってしまったほど理系方面に疎いが、日本の長所とか文系の話になれば、自分の主張していることと変わらない。
 「大学の学問は、人間や社会を豊かに導くという目標を設定して、教職員や学生がそれを共有しなければならない。目標が個々人の安住や幸せ、勝ち負けという利己的なものにとどまってはならない」というのが結論である。

 わかりやすかったのは日本と米国との価値観が異なっていることをイソップ童話「ウサギとカメ」で説明してくれたこと。
 日本はカメが主役で米国ではウサギが主役だという。
 日本が追いつこうとする欧米の競争社会は優秀な「ウサギ」が主役で、伸びる子は徹底的に伸ばし、格差は気にしない。
 米国のこのような価値観が日本にはなじまない。日本のスタイルは「和をもって貴しとなす」の精神であり、コツコツ努力するカメ的な美学が日本の真骨頂ではないか。


 通訳のギャンブル依存症で大いに迷惑を被っているメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が米国と日本との野球の試合で日本選手に「憧れるのはやめよう」と訴えたのを覚えている人は少なくないだろう。

 とはいうものの、大谷選手は体も身体能力も、技術も、そして二刀流という全てでメジャーリーグの選手から尊敬されるほどのスーパースターだからこんなことが言えるのだとその時は思った。

 しかし、日本を代表する私学の雄である慶應義塾の長である伊藤公平さんが訴える日本のスタイル「和をもって貴しとなす」精神、コツコツ努力する「カメ」の姿勢を高く評価し、欧米との価値観の違いに、憧れるのはやめ、日本の独自性、自分たちの価値に基づき、競争と協調を組み合わせた社会・教育システムを新たに作る必要があるとする見識に頷くばかりであった。

 語り継ぐ戦争だから、明確に反米だ。食生活からして、日本型食事、野菜中心で肉は食さないし、競争が悪いとは言わないが、格差が開きすぎるのは好まないという立ち位置である。
 連れ合いは日本人女性の昭和世代に一番使われている「和」という字が名前に使われているほど、日本では「和」というものが大切にされてきた。

 競争原理ばかり重んじる新自由主義が行きつくところ、一握りの勝利者だけが大金持ちになる社会が出来上がるだけで、格差社会の底辺の人は革命を望むか自棄になってテロに走ったりする恐れがある。

 コツコツとカメのように努力し、中間層が厚く、底辺が少ない社会こそが日本の社会としての理想ではないのか。
 大金持ちと言っても、あの世にカネを持っているわけでなし、死んでしまえば土に還るだけのことだ。
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