2023年12月25日

「ブックサンタ」が恩返しの本 困窮家庭に

 寄る年波のせいか、1年があっというまに過ぎてしまう。
 2023年も師走になったと思っていたら、もうクリスマス。 
 年末恒例となっている読売夕刊の連載「木枯らし2023」で「困窮家庭に本 恩返し」「サンタが手渡し 『善意次世代へ』」という見出しで、貧しい家庭の子どもに本を贈る「ブックサンタ」のことを12月20日(スタップ・シンシア由美子記者)の紙面で伝えている。

 清輔夏輝さん(39)には、子どもの頃、母親に読み聞かせをしてもらいながら眠りに就く至福の時間があった。 
 高専3年だった2003年以降ヒッチハイクで各地を巡ったとき、数多くの善意、心ある人にお世話になった。「どうやって恩返しすればいいだろう」と考え始めた07年、京都の寺の住職に「受けた恩は次の人に返せばいい。特定の人がいないなら、社会に還元すればいい」と教示を受けた。
 初めは、途上国に文房具を贈ったり、学校を建設したりする活動を始めた。活動を資金を寄付してくれた家庭の子どもには親に代わってクリスマスにサンタクロース姿でプレゼントを届けた。
 アンケートを取って、寄付してくれたのは経済的に恵まれた家庭の子どもたちだったことから、日本の困窮世帯の子どもを支援しようと思い直した。
 「高価ではなく、思いも伝えられ、喜ばれるにはどうすればいいだろう」と悩んだ。
 旅先で知り合った女性から「本は人生に潤いを与えると」と聞かされた。
 母親とのあの時間を思い浮かべ、活動に賛同してくれる人に本を買ってもらい、本をクリスマスにサンタの格好をして届けることに思い至る。
 17年に賛同者から集まった本は848册だった。2023年は9万冊を超えた。クリスマスイブの24日、約2000人のボランティアが全国の家庭を一斉に訪れる。
 「本を届けることで、善意のバトンを次の世代につなげたい」と清輔さん。


 善意のバトンといえば、「子ども食堂が全国で9131か所、公立中学並みに開設されていることがわかった。と12月18日の読売が伝えている。

 エンゲル係数を勉強したのは中学生のときだったか。生計費中に占める飲食費の割合を示す係数。貧しい家庭程高くなる。
 収入が少なければ食べるだけで精一杯で、後は家賃と携帯電話料金を払うくらいで終わってしまう。
 本など買えないし、読みたければ図書館を利用するしかない。

 振り返って我が身に当てはめると、ご先祖のお陰で住む家があり、野菜などは季節にもよるが、自給自足に近い生活なので、食べる方も困らない。
 衣類は季節ごとに恥ずかしくないものを着られるようにはしているが、ほとんど買い求めていないので、洗濯はしているけれど、いつも同じような恰好をしている。
 持病があるから酒は全く飲まないし、ギャンブルは全く興味がない。コロナ禍では外食もしていない。
 贅沢と言われるかもしれないが、文化的なことにはカネを使う。
 例えば、本は買い求めて読むのが自分の流儀であるし、月に一度は映画館に行くことを自分に課しているという具合である。
 語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で、全国の慰霊碑などを周ってきたので、こちらはかなり経費がかかっている。
 さて、ブックサンタの清輔さんの活動には子ども食堂のスタッフたち同様エールをおくりたい。
 お世話になった善意をつなぐというか、善意は次の人に返せばいいという考えには大いに賛同する。特定な人がいなければ、社会に還元するということも価値のあることだ。

 日本人が世界に誇れることに、財布などの落とし物を拾った人が警察に届けるということがある。
 外国ではありえないことだというから、これからも日本人はぜひ、こういう善意を次世代に伝えていきたい。
 本を買い求めるカネがない世帯では、プレゼントされた本は子どもにとって宝物の一つになる可能性がある。
 本を買い求めて読み、影響を受けてきた読者の一人として、本の価値を知る人間として、清輔さんと仲間のスタッフのサンタから本のプレゼントが届いたら、きっと街のイルミネーションなどよりもっと輝く価値のあるクリスマスイブになるだろう。 
posted by 遥か at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題
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