11月21日のNHKマイあさラジオで「農業・食産業と外国人労働者」というテーマで外国人技能実習生という制度の問題点と改善策についてとりあげていた。
外国人技能実習生とは名ばかりで、主に東南アジア、ベトナムが半数くらいを占める人たちは、日本の労働力が不足している農業や建設現場などで低賃金で働く労働力として使用者に都合よく使われてきたことに対し、失踪者が多数出て、技能実習生の過酷な労働実態が海外でも知られるようになったことから制度を見直す動きが出ていることを伝えていた。
11月19日の読売でも「広角 多角」(石浜友理記者)というタイトルで「日本はいい国か夢と現実の隔たり」という見出しで、記者がベトナムを旅行した時、至る所で「日本いい国だ」という誉め言葉を耳にした。
その後、外国人技能実習生としてベトナムから日本にやってくる人たちに目が向く。
日本にいる外国人技能実習生は35万人。
しかし、技能実習生として来日すると、低賃金と劣悪な環境で労働力として使用されるということで、1年間の失踪者が実習生全体で約9000人に上る。
憧れの国・日本で彼らが受けた数々の「仕打ち」を聞きながら、ベトナムで日本が礼賛されていたことにいい気分になっていた自分が情けなくなったという記者。
母国の送り出し機関所謂ブローカーに多額の手数料を取られることから、借金を背負って日本にやってくる労働者は、日本で働いたカネを母国で暮らす家族への仕送りにすると、低賃金のために自らの生活費がほとんどなくなってしまうというのだ。
ベトナムからの労働者は不法滞在や外国人犯罪に絡む人が多く、評判が落ちる一方である。
しかし、悪い人ばかりでなく、日本で地道に生きる人たちにじかに接すると、彼らは優しい。
「日本人は優しい」とベトナムで耳にした言葉は誤りで優しいのはあなたたちですよ、と言いたくなるそうな。
10月に政府の有識者会議が示した最終報告書案には、今の仕組みに代わる新しい制度の創設や「転籍制限の緩和」「監理団体の機能強化」といった方策。要するに外国人が働きやすい日本にするために大胆な法整備をすべきだという提案がなされている。
外国人技能実習生とは聞こえが佳いが、実態は日本人でも働きたくない職場、敬遠されがちな職場に賃金が安い外国人労働者を雇うという経営側の実に身勝手な制度である。
外国人技能実習生の働く場所の一つに農業がある。
農家が恒常的に人手不足になっていて、しかも、若い人たちがやりたがらない職業だからだ。
現実は食料危機がそこまでやってきていることから、外国人技能実習生で人手不足を補うというような安易なやり方ではダメだが、展望がないままその場しのぎで対応してきたからこうなってしまった。
外国人技能実習生とは名ばかりの制度を改め、日本人労働者と同じ労働環境を整備し、気持ちよく働けるようにする必要がある。
言葉のハンディがある外国人技能実習生には言葉を勉強する機会を用意するのが国の責務ではないか。
日本人の労働者が集まらない以上、彼らがいなくては社会が成り立たないことは明白である。
よくよく考えてみれば、日本人労働者が集まらない職場はどれも劣悪な職場環境でなおかつ待遇がよくない。
日本人でも、ブラック企業然りで、待遇が良くない職場は常に求人を募集しているように労働者が集まらない。
待遇の改善は何も外国人技能実習生だけのことではないのである。
2023年11月22日
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