2023年11月18日

作業員や震災関連死の健康調査に取り組む医師

 地震と津波、原子力発電所事故に襲われた福島県の海沿いで、消化器外科医として患者に向き合いながら、健康調査などで被災の実像解明に挑む医師。
 「顔 Sunday」というタイトルで 誰かのためにがんばる人物を紹介する読売。その11月5日の紙面に登場しているのはいわき市常盤病院に勤務する澤野豊明医師(33)だ。

 「大災害時、命を守る答え探る」という見出しで、原発事故後、きめ細やかな健康チェックを受ける県民とは対照的に、作業員の健康に関心が薄いことを実感し。カルテを分析し、作業員の約7割に持病があり、約6割が高血圧であるとの現状を報告したことを伝えている。

 さらに、原発事故直後の患者らの過酷な避難や避難後の生活と、震災関連死との関係性の解明だ。県内での関連死はこれまで2337人に上るが、医学的な見地で検証は乏しい。
 「万が一の際に弱者をどうしたら守れるのか。福島で起きたことは貴重な教訓になるはずだ」と患者や作業員一人ひとりのデータを丁寧に調べ上げる。
 その先に命を守る答えが見えてくると信じているからだそうな。


 澤野豊明医師を紹介する記事に注目したのは、作業員の健康調査や震災関連死の分析ということで、原発事故の現場で働く作業員という弱者に目を向けていたからだ。

 東京電力福島第一原発における事故現場で懸命に働く作業員の健康について、家族以外で心配している人間がほとんどいないのはどうしたことか。

 放射性物質を取り除く除染作業に携わる作業員はコンビニ弁当で朝食、昼食をすまし、明らかに肥満の人も少なくなかった。と澤野医師も証言しているが、作業員は働かなければ生きていかれない。家族への仕送りのために四の五の言ってられない切羽詰まった状況にあって、賃金が比較的良い働く場所として己を犠牲にして働いている。

 日本の建設現場によくあるように元受け、下請けの関係で現場で働く労働者は、嫌でも働かなければならないという選択肢しかないのだ。

 これが米国からやってきた新自由主義というもので、カネ儲けをするために自分さえよければいいという考え方のいきつくところである。
 
 作業員だって人間ぞ。

 作業員がいるから除染も進んだのだ。
 大災害のとき、後片付けするボランティアなどで頑張ってくれる人がいるが、この人たちの健康だって考えていくのは当然のことである。

 澤野医師のような若い人が命を守る答えを出そうとしてくれているというのが嬉しい限りではないか。
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