青空に白い雲、どこまでも広がる緑の牧草地。岩手県雫石町の「中屋敷ファーム」で牛がのんびりと草を食む写真が紙面の半分近くを占める。
6月26日の読売が夕刊に(富田大介記者)「ズームアップ」と題し、写真に文章を添えて食肉牛の飼料の国産化問題にスポットを当てている。
ファーム代表の中屋敷敏晃さん(45)が農研機構と共同で無農薬栽培した大豆、自ら育てたトウモロコシにおからを混ぜた配合飼料が作られている中屋敷ファーム。
飼料の大部分を輸入している日本の畜産現場に、ロシアのウクライナ侵略や急激な円安で大打撃を与えた。
「廃業する」という農家の悲鳴も聞こえる中、中屋敷ファームでは2022年から飼料用にトウモロコシを育て始め、2023年は地元のおからや酒かすも利用し始めた。
農研機構東北農業研究センターと協力して栄養価などを分析し、飼料の自給と地産を加速させている。
牛の糞は堆肥として活用する。目指すのは「地域で循環する畜産」だ。
中屋敷ファームでは肥育牛60頭のうち、15頭を100%国産飼料で育てている。
「個人から地元、そして全国に地産、国産飼料の『循環』を広げる。そこに食の安全と確かな畜産の未来があると信じている」という中屋敷さん。
岐阜県の飛騨高山で牛の飼料に乳酸菌を混ぜたら、糞が臭わなくなり、牛舎から悪臭が消えたことをTVで伝えているのを視聴したことがある。
その糞でつくった肥料を「みな土」というブランドで販売しているので、手に入れて使ったことがあり、有機肥料として佳いものだったので、組合員となっている地元の農協に肥料として取り扱ってくれと何回となく頼んだが拒否された。
この一件で、日本の農協に未来がないことを悟った。
農協なのに組合員が求めていることに耳を貸そうともしない姿勢を断固糾弾しておく。
さて、衣食住とはいうものの、一番大事な食の問題だから、畜産業における飼料の自給率がわずか25%であるというのは知っていたことだとしても落胆せざるをえない。
日本の牛は、松坂、神戸、米沢などブランドで競っているが、飼料が国産でないにも拘らず、ブランドだけ国産では意味がない。そんなの真の国産とはいえない。
一般的な牛の飼料といえば、大豆やトウモロコシなど国産でやろうと思えばできないことなどあるわけがない。
さらに、米を作る日本では酒造りが盛んであり、精進料理も伝承されてきたから豆腐もよく作られていることから、酒かすやおからなど捨てるほどあるではないか。
米を精米してできる米糠はぬかみそにするくらいだから、食べられるはずで、これらを牛など家畜の飼料にすればいいことくらい、誰にでもわかることではないか。
循環型農業を推進するために、有機無農薬での野菜作りを実践しているが、有機肥料として、家庭から出る残菜、豚糞、毟った草を堆肥にしていたが、現在は米ぬかに油かす、魚粉末を混ぜた所謂ぼかし肥料も手作りして使っている。
食料自給率、飼料自給率ともに50%にも遠く及ばないが、外国から輸入できなくなれば、忽ち、困ってしまうことは目に見えているだけに、国産化、地産化せざるをえない。
雫石といえば、全日空機と自衛隊機が空中衝突した事故があった街ということくらいしか知らないが、
中屋敷さんによれば、畜産には最適な街だそうな。
食の安全のため、飼料の自給に取り組む畜産家、酪農家には中屋敷さんを筆頭にエールをおくりたい。
2023年07月01日
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