2023年04月13日

社会保障の「申請主義」に挑む

 読売がコラムの紙面で、社会の課題にそれぞれの立場から取り組んでいる人物を紹介する「顔Sunday」の4月9日は、社会保障の「申請主義」に挑む横山北斗さん(38)のことを取り上げている。

 社会福祉の大学を卒業し、社会福祉士として病院で働いていた2013年頃、ネットカフェ暮らしや、派遣労働などを経て、30〜50歳代の男性が体調を崩し、救急搬送される事案が多いことに気づく。
 彼らが生活保護の制度を知っていれば、健康を悪化させずにすんだはず」との問題意識が高まった。

 「制度利用の前に立ちはだかる¨壁¨は『申請主義』だという。」

 自らも小児がんを患った際に、医療費助成制度を利用して健康を回復した経験を持つが、医療関係者の助言がなければ制度を知らず、申請していなかったかもしれないとのこと。

 必要な人に制度を伝えて利用につなげ、申請主義を超えたい」との思いから病院を退職し、仲間と15年にNPO法人を設立した。


 若い人は凄い。
 生活保護制度を筆頭にお役所の仕事、福祉関係はどうしてこうも申請主義なのかと考えたことがあるが、御用聞きみたいなことはお上は嫌いだし、根底にあるのは数が増えてほしくないという気持ちがお上にあるからではないかと気づいた。

 その大きな壁は、ベルリンの壁を壊す契機となったゴルバチョフさんのペレストロイカとグラスノスチによる政治改革のような困難を伴うものだが、30代の横山さんはその壁を乗り越えたいと退職し、NPO法人を設立し、社会保障制度を知らせるための検索データベースをIT企業と作っているというではないか。

 壁が簡単に乗り越えられるほど甘くはないと思うが、自分が知る限り、申請主義の壁を乗り越えようと思った人はいても、実践した人のことは知らない。

 関係者から耳にしたことであるが、団地などで、孤独死というのか亡くなっている人が生活保護を受けていれば、所謂ケースワーカーと呼ばれている人がやってきて、親族への連絡をしたり、遺体の火葬から部屋の清掃まで関わってくれたりするらしい。
 ところが、生活保護を受けていなければ、孤独死してもお上とのつながりがないから、直ちに福祉が何かするということにはならないみたいだ。
 ただし、親族等への連絡など、最終的には福祉の方でできることはやってくれるようだが、生活保護を受けている場合と異なり、親族への連絡先などお上が把握していなければ時間がかかる。

 上記のようなことを耳にした結果、一人暮らしの高齢者は、生活保護を受けていなければ、連絡先などを部屋の壁に貼っておくとか、後始末を福祉にお願いするよりない。

 さらに、所謂稼働年齢層とされている世代でも、生活を再建する意思があれば、生活保護は受けられるはずだから、1人ではお役所の敷居が高ければ、横山さんみたいな人に同行してもらえばいい。

 今のところ、お上が御用聞きをすることは考えられないので、自ら出向かなければならないが、それでも、支援者などと一緒なら心強いだろう。

 横山さんのやろうとしていることは価値のあることで、少しでも、実現すると明らかに世の中は変わるはずだ。
posted by 遥か at 08:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 貧困問題
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