2023年03月15日

震災から12年“被災地からの声”を掘ったNHK

 NHKETV特集「震災から12年 5400人の“被災地からの声”を掘る」を視聴することができた。

 「東日本大震災の9日後に放送を始め、東北地方で今も続く番組『被災地からの声』。出会った人に「いま一番訴えたいことは何か?」を聞き、思いの丈を語ってもらう。こだわってきたのは、作為や演出を極力排し、「生の声=ホンネ」をそのまま伝えることだ。
 今回はこの12年の「復興」の歩みを、被災者がこれまでに残した『声』の記録映像や国の復興計画に携わった識者のインタビューなどを軸に再構成。「復興とは何か」を検証する。」と㏋にコンセプトが紹介してあった。


 東日本大震災から12年、「自由」が一番大事だという価値観のもと、語り継ぐ戦争をメインに発信している立場として、災害という戦争同様に自分の力の及ばないところで起きた惨事に対し、他人事ではない東京電力福島第一原子力発電所の事故という結果を踏まえ、原発再稼働に反対する人々の声に呼応して再稼働反対を支持することを明らかにした。

 次いで、東日本大震災で多くの犠牲者が出て一番の原因である大津波による犠牲者を海辺にあった病院の入院患者とスタッフに追悼の気持ちを込めつつ、命の重さと一人でも多くの人が助かる道について考えたことを書いてきた。

 東日本大震災から12年ということで、復興のことを書かないわけにはいかない。
 小森はるか監督『息の跡』を観て、陸前高田で、佐藤種苗店を自力で再建した佐藤貞一さんのことを知った。
 種を蒔かなけりゃ芽が出ないことを考えると、復興の第一歩だなと妙なことで感心した。

 「ポツンと一軒家」では南三陸町に復興ボランティアとして行き、結果的に大学を中退し、羊飼いとなった金井さんがリーダーの金藤さんと立ち上げた「さとうみファーム」で育てたブランド羊「わかめ羊」のことを知ることができた。

 さて、被災地からの声を掘り起こした結果、一番強く心に響いたのは芥川賞作家で福島の三春町の臨済宗の寺の住職でもある玄侑宗久さんが東日本大震災復興構想会議の委員であることを踏まえて、震災12年で復興への道を歩んできたことに対し、コメントした内容である。
 人の心は変わるもので、震災当初、家や家族を失ったときと、復興が進み、ハード面というか、防潮堤ができたり、道路が整備されてくると、生活をどうするかとかコミュニティということに関心が向かう。
 復興構想では創造的復興という言葉で、税金を投入して、震災前より街をよくしてやるとい上から目線の発想が前面に出ているが、住民にしてみれば、そんなことより震災前の状態をとり戻したいというささやかな願いを抱く人から見れば、違和感があるかもしれない。

 玄侑宗久さんの『中陰の花』(文春文庫)を読み、あの世と、この世と間に中陰があると教えてもらった。
 黒白の間に灰色、つまりグレーゾーンをつくったのは人間が生きていくときの処世術みたいなものかなと勝手に解釈している。

 大堀相馬焼の窯元が過去と決別するということで、せっかくの焼き物を壊していたシーンが映し出されたとき、復興と新しい門出という言葉が頭に浮かんだが、同時に勿体ないと制止したくなった。
posted by 遥か at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 災害対策
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