読売の連載「教育ルネサンス」{先生} 第1部 向き合う F、1月19日に教育評論家尾木ママこと尾木直樹さん(76)が登場していたので書いておく。
優等生だったのかと思いきや高校で進学校への受験に失敗し、入学した学校でも留年を経験、1浪して、早稲田大学教育学部に合格はしたものの教師になるつもりはなかったが。母校での教育実習をして考えが変わった。
自作のプリントで詩を教えたら、勉強が苦手の子が気持ちを生き生きと表現し、子どもに教えるって楽しいと実感。
小学校教員だった母親に「直樹はつらい経験をしているから、そんな子の味方になるいい先生に慣れるわよ」と背中を押され教師になることを決めた。
教師になって3年目に初めてクラス担任になって、学級通信の発行をした。
5年目に移った学校で初めて女子を担当するので、彼女たちのことを知ろうと始めたのが「交換ノート」で、「書きたいときだけ提出」「内容は秘密」「書いてくれたのと同じ文亮の返事を先生が書く」ことをルールにして自腹で買い求めたノートを全員に配った。
周囲に反発ばかりしていた茶髪の女子生徒が不満やわだかまりを14ページも書いてきたときのことが忘れられないという。
「自宅に持ち帰り、朝4時までかかって14ページの返事を書いた。
すると女子生徒の目つきや態度が一変して、表情が明るくなった。
教師が本気で向き合って信頼関係を築けば、子どもはあっという間に問題行動から自分で脱出するんですね」と語る尾木ママ。
「先生は一人で頑張って抱え込まないで、仲間はたくさんいます、先生同士でつながり合って一緒に困難を乗り越えていきましょうね」と悩める教師にエールもおくる。
子どもたちの心の代弁者として学校と社会との懸け橋になりたいという思いを一人でで設立した臨床教育研究所「虹」に込めているとも。
ご存知尾木ママ、流石に長く教育の世界で活躍されただけのことはある。
こんな先生と自分は出会えなかったが、生徒との交換ノートで、14ページ分の生徒の思いに朝4時までかかって14ページ分書き綴って応えてくれたことだけで、自分が生徒だとしても先生を信用したことであろう。
思い起こせば、中学で担任ではなかったが尾木ママみたいに学級通信を出し、教育の世界でその名を少しは知られていた教師もいるにはいた。
身近でいじめを苦に休みがちになり、身を守るためもあって学校が遠くなった様子を見てきたが、頼りになる先生は学校にはいなかった。
力になってくれたのは、塾の先生で、子どもと向き合い、勉強だけでなく話し相手をしてくれたお陰で、塾が居場所になり、何とか、勉強嫌いになることもなく、その後、大学にも進学することができた。
こんな経験から学校と教師を信頼していないし、いじめ問題など解決できるわけがないと考えている。
TVドラマ『相棒』の不朽の名作「ボーダーライン」で生活保護のケースワーカーが生活困窮する青年の力にちっともなろうとしていない様子が描かれていた。
教師、ケースワーカーともに学校を優秀な成績で順調に卒業してきた人では、悩める子どもや生活困窮者の気持ちがわからないのではないか。
尾木ママが学校で苦労してきた分、佳い先生になれたのではないか。
自分が病気をすると病人の気持ちがよくわかるように、或いは犯罪被害者に自分の家族がなって初めて、犯罪被害者の気持ちが理解できたりもするのが人間なんだろう。
本来は、本や映画で想像力を磨く訓練を重ねていれば、体験しなくとも、相手に寄り添うことができるはずである。
とにかく、教師は忙しすぎて、生徒がきちんと向き合えていないような気がしてならない。
2023年01月20日
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