2019年09月29日

『幽玄』

 月に一度の映画館行き、9月は、坂東玉三郎演出、主演、鼓動共演のシネマ歌舞伎『幽玄』を観てきた。

 月に一度とはいいながら、無農薬での野菜づくり、草むしり、虫取りで忙しく、映画館に行ける日時が限られている関係で、観たい映画が必ずしも観られるわけではないが、シネマ歌舞伎は、普段なかなか観られない芝居が映画館という身近な場所で2100円で観られるのでありがたい。

 『幽玄』は歌舞伎界の女形というより、歌舞伎界のトップランナーで追随するものがいない坂東玉三郎という稀有な役者が佐渡島を本拠地にする太鼓集団鼓動の指導をして17年、過去、公演された作品とは視点を変え、能の世界から、羽衣、娘道成寺、石橋の三作品を玉三郎が鼓動の太鼓で演じると、2000円で買い求めた資料に書いてある。

 能については恥ずかしながら勉強不足であるが、羽衣は、三保の松原で天から舞い降りた天女が木にかけていた羽衣を漁師に取られてしまい、舞姿を見せるから、返してほしいと頼むというような筋書きだ。

 娘道成寺は、恋の妄執の話で、鐘を見せてほしいと女人禁制の寺にやってきた白拍子が舞姿を見せることで許可を得て、舞を披露するうちに鐘の中に入ってしまい、出てきたときは男女だったというような情炎の物語である。

 石橋は、中国の清涼山にある石橋を渡ろうとする法師の前に、童子が現れ、神仏の加護なしには渡れないからしばらく待てというと、やがて、獅子が現れて…。という話だった。

 石橋(しゃっきょうと読む)は筝曲にあるので、知っていたが、そういえば、太鼓集団の鼓動のメンバー3人のうち、2人は女性に見えたが、箏を演奏したし、笛を吹く人もいたくらい、皆芸達者だということを知った。

 鼓動の本拠地佐渡島といえば、語り継ぐ戦争と遊女、女郎と呼ばれし女性たちへの供養で2017年の8月に訪れているが、鼓動の本拠地には行かれなかった。
 しかし、過去、佐渡島で活動した鬼太鼓座のことを紹介した映画を観ているので、佐渡の風土と和太鼓が妙に似合っていることは知っている。

その昔、佐渡金山で働く鉱山労働者の稼いだカネをまきあげるべく、つくられた佐渡の水金遊廓。

 廓で働く女郎と金山で働く無宿人の恋を描いた津村節子『海鳴』(文春文庫)を読んで、とうとう、佐渡島に渡ってしまったが、せっかく佐渡に行ったにもかかわらず、鼓動の見学まではできなかったのが残念である。

 シネマ歌舞伎『幽玄』というタイトル通り、玉三郎が日本の美を教えてくれたが、この人には早く文化勲章をあげるべきではないか。
posted by 遥か at 08:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝統芸能、伝統工芸
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