文化財の保存・修復に多大な貢献をした個人や団体を顕彰する「第12回読売あをによし賞」本賞に菅笠をはじめとする伝統的な菅細工の製作技術を継承してきた「深江菅細工保存会」が選ばれたと5月2日の読売が伝えていた。
読売によれば、大阪市東成区深江地区で、16人の会員がカヤツリグサ科の植物カサスゲを使って菅笠や円座、釜敷きなどの菅細工を作り、小学生らに技法を教えているという。
会長の島谷真由美さん(53)は、「地域ぐるみでコツコツ続けてきた活動が評価され、大変光栄。伝統文化を継承する使命感、責任感が増しました」と喜んでいるそうな。
深江の菅笠づくりは第11代垂仁天皇の頃、大和の国で菅加工を職能とした笠縫氏が湿地帯で菅が豊富だった深江に移住したのが起源だと伝わる。
竹の骨組みに約150本の菅を1本づつ縫い込んでいく。直径50aの笠を作るのに約5000針、30時間はかかるという。
熟練した技術が求められ、1人前になるのに5年は必要だというから、農閑期の女性が担ってきた仕事としては、たいへんな労力だったのであろう。
こうもり傘の普及などで需要が減少するや、50年代には菅田が姿を消し、80年代には菅細工を作るのは島谷さんの母親幸田正子さん(80)だけになってしまった。
「技術が途絶えてしまうと危機感を募らせた幸田さんは88年に保存会を結成。07年には地元の公園に菅田を復元、その後、大阪市の指定文化財、大阪府の伝統工芸品になっている。
菅笠といえば、越中福岡の菅笠が有名で、国の重要無形民俗文化財に指定されているくらいで、そのシェアも90%だというから、知名度では劣るかもしれないが、深江の菅笠づくりの方も伝統があり、伝承されていってほしい。
面積は狭くとも、畑で有機無農薬の野菜作りをしているから、農作業で、菅笠を被ってみたいとも思っているが、風が強いと顎のところで縛らないと飛ばされてしまうのが煩わしい。
菅笠はじめ、被り物は昔からいろいろあった。
尺八を吹くから、虚無僧が被った天蓋と呼ばれる深編笠にも関心がないわけではないが、托鉢などしないから、買い求めるところまでいかない。
ということで、需要が少ないというのは仕方ないことだが、菅細工は笠だけではないので、技術を伝承させることには大いにエールをおくる。
統計を確認したわけではないが、手仕事、細工物に関わってきた人が認知症になったということを耳にしたことがない。
これからは、認知症対策として、若い頃から、伝統工芸に携わる人を増やしていくことも行政は考えた方がいいのではないか。
連れ合いの母親は、先年旅立ったが、生前、手工芸というのか、弁当を入れる袋など皆、手製でつくっていて、だからか、躰は衰えても、頭ははっきりしていた。
ここに、認知症対策のポイントがあるとみているが、さて、どうだろうか。
2018年05月19日
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