NHKが放送している「美の壺」という日本の伝統工芸を愛する者にとっては、大いにエールを送りたい番組がある。
視聴しているわけではないが、先般、日本の屋根のことをとりあげていたらしい。
番組のHPによれば、「ある時は雨や風をしのぐ役割として、またある時は建物の「顔」として存在感を放つ「屋根」。
京都・東寺の屋根に使われるヒノキの皮むきや、ふき替え作業の匠の技。1400年前に作られた現役の瓦とは?建築家・隈研吾さん、彫刻家・名和晃平さんが生み出す、伝統と現代が融合した現代の屋根とは?!さまざまな屋根の魅力に迫る。」と内容が要約されていた。
5月近くになると、子どもの頃、「こいのぼり」♪甍の波と 雲の波♪作詞:不詳/作曲:弘田龍太郎を歌ったものだが、このとき、甍の意味など考えたこともなかった。
その後、『方丈記』の大好きな一節、「無常のことわり」の部分で、「玉敷の都のうちに、棟を並べ、甍を争える」というところの甍とは屋根を意味していることを知った次第である。
その後、甍のことを何となく、瓦屋根と思い込んでいたが、方丈記の書かれた時代に目をやれば、瓦屋根だと様相が異なると解説に書いてあった。
実はわが家にある古い家は、昭和の初めに建築された平屋の日本家屋で、当時は、屋根が重くなるからとスレート瓦と銅を使っていたらしいのだが、父親が亡くなってから、屋根が壊れ、ふつうの瓦と金属の屋根に替えた。あれから、もう40年は経つだろうか。
このままだと、東日本大震災クラスの地震があれば、建物が倒壊する恐れがあるため、今、葺き替えの資金を何とかしたいと思案している。
そんなわけで、屋根には大いに関心があるというわけ。
語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で全国を周っているから、神社仏閣にもよく立ち寄る。
そんな時、建物の屋根に目が向く。
小林茂監督のドキュメンタリー映画『風の波紋』では、越後の妻有の山村で、茅葺き屋根の葺き替えを住民が総出で協力して成し遂げていた。
神社、仏閣では、瓦を使ったり、金属を使ったり、それぞれであるが、同じ金属でも銅を使っているから、年数が経つと、緑青が湧き、錆びないので、塗装の必要がない。
東寺で使っているという、ヒノキの皮を使った屋根は一般的には茶室にも使われているが、これは、もう滅多に見かけないだけに、職人の技は、貴重である。
屋根の材質に美的なものを感じていたのが、これからは、太陽光を活用するためにソーラーパネルを敷き詰めることになっていくだろうから、様相も変わっていく。
『方丈記』によれば、ゆく河の流れは絶えずして、もとの水にあらずで、住宅も元のままにあるというのは非常に少ないそうな。
たかが屋根ではないのである。
路上生活者になってしまえば、雨露をしのげる、という有難味を日々感じさせてくれることになるからだ。
2018年04月12日
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