2025年10月07日

乳児院 実親支援、里親探しと多機能化

 「乳児院『養育』の先へ」「実親支援 虐待と予防」「里親探し 児相と協働」「役割拡大で体制強化方針」という見出しで9月29日の読売(増田知基、田中大稀記者)が乳児院が多機能化していると伝えている。

 紙面の解説によれば、児童福祉法に基づき、新生児から小学校入学前までの子どもを一時保護したり、中長期的に養育したりする。入所理由は半分近くが虐待だが、家族の病気や経済的に困難などもある。
 退所後は3割が家庭に戻る一方、3割が里親らに引き取られ、残りは児童養護施設などに移る。
 こども家庭庁によると、2024年3月末現在、全国147施設に2316人が入所している。

 紙面で紹介されていたのは東京は町田市の「愛恵会乳児院」で、一見保育園のようだが、幼児一人に二人の職員がついていて、ゆったりした印象である。
 町田市といえば、自分と同世代の女性が自棄になった40代の男に襲われて殺害されたニュースが流れた街だ。
 仕事や冠婚葬祭、病気などで一時的に養育できなくなった子どもを預かる市の「ショートステイ」事業の様子が伝えらている。
 対象は生後3か月から2歳未満で原則有料だが、連続7泊まで利用できる。「育児疲れ」という理由で預けることも可能だ。
 乳児院は戦災孤児や栄養・衛生に問題がある子どもを養育するため、1947年の児童福祉法制定を機に全国に設置された。
 児童虐待の増加で乳児に対応できない児相が乳児院に一時保護を委託するケースが増えている。


 語り継ぐ戦争をメインに書いているので、満州(現中国東北部)で、1945年8月9日未明、ソ連軍が侵攻してきて、満蒙開拓団など日本人女性が性的暴行されたり、梅毒を罹患させられたりした。
 博多や佐世保を筆頭に引き揚げてきたとき、性暴力で妊娠してしまった女性の中絶手術をしたことを知り、性暴力と妊娠の問題に関心を持つようになっていく。
 戦災で親を亡くした孤児たちのことも、『火垂るの墓』などで関心を寄せるようになったばかりか、戦争が終わってからも、米兵による性暴力や、交際で生まれたGIベビーのことも気になるようになった。

 戦後70年の頃から、子どもを育てられない女性のための熊本の赤ちゃんポストのことも取り上げる回数が増えた。
 次いで、里親愛知方式など里親のことも取り上げるようになっていくが、児童養護施設のことは取り上げても、乳児院のことは取り上げた記憶が明瞭ではないので、取り上げたことがなかったかもしれない。

 保育園でトラブルを起こし、子どもを預かっている佐賀の乳児院に母親がやってきて、職員を殺意を持っていたと推察する切りつけ事件が起きて、職員が殺害されたことから乳児院のことも取り上げるつもりになっていた。

 子どもを引き離された虐待親が児相の職員とトラブルになるケースが多いので、警察との連携が課題となっている中で、乳児院には、防犯体制ができていなかったのだろうか。

 2010年のフランスと韓国の合作映画『冬の小鳥』は、韓国の孤児院にいた少女がフランスに養子縁組で渡ったことで、人生が切り開かれるという監督の自伝的な作品だった。

 2022年の是枝裕和監督『ベイビーブローカー』は韓国の赤ちゃんポストを描いた養子斡旋ブローカーの話だった。

 こうしてみると、親子を中心とした家族関係の難しさ、子育ての大変さが浮き彫りになってくる。
 さらに、近年はストーカー殺人のような、ろくでもない男と一度関係を持ったが最後、別れ話になると女性は必ず殺されてしまう。
 殺される前に、女性は勇気を振り絞って相手を始末するとしたら、正当防衛が成立する可能性があると以前書いたことがあるが、警察が守ってくれない以上、黙って殺されることはないはずだ。

 話を戻す。
 乳児院、所謂孤児院、児童養護施設の重要性が少子化で増している。
 養子縁組、里親の重要性も同様である。
 子育てできない女性の子どもは乳児院や児童養護施設で面倒を見ることを社会の価値観としていくことが求められている。 
posted by 遥か at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 子育て支援