自分の立ち位置でできることに取り組んできた人物を紹介する読売(布施勇如記者)の「顔 Sunday」の9月21日は「冤罪巡り『正義』『報道のあり方』問う」という見出しで、ドキュメンタリー映画を撮った「弁護士記者」上田大輔さん(46)。
児童虐待と冤罪を8年間取材したドキュメンタリー『揺さぶられる正義』で映画監督を務めた上田さんは無実の人を救う刑事弁護人志望で、2007年司法試験合格。2009年関西テレビに企業内弁護士として入り、法務全般を担当した。
報道局への異動の希望が叶い、記者として2年目の2017年、乳幼児の体を激しく揺さぶって死傷させたとして親族が逮捕された「虐待」事件で医学的根拠が揺らぎ、冤罪が次々に生まれていることを知った。
難解な海外の文献を読み、鑑定医らを訪ねた。
当事者として報じらた人はメディアへの強い不信感を募らせていたが、記者に転じた経緯を話すと徐々に口を開いてくれた。
「虐待」を理由とする親子の分離、雪冤に挑む弁護士らの労苦を含め、取材の結果はテレビ番組3部作となって成就。映画では「正義」の意味と事件報道のあり方を問い直す。
人が予断、偏見から逃れることがいかに難しいか、自身の葛藤を含め映画で描いた。
月に一度の映画館行きを自分に課してきた。9月は『雪風』を観る予定だったが、8月23日に自分の命より大事な連れ合いが庭で転倒し、入院して膝の手術、その後、リハビリという突発的な事故に遭い、映画館に行くどころではなかった。
今、どうしても観たいのは中国での人身売買を描いた『盲山』であるが、普段行く映画館ではどこも上映してくれないし、ネットで調べるとどうも無理そうである。
『揺さぶられる正義』は予想通り東中野で観られそうだが、足が不自由で杖が必要な連れ合いと一緒に電車に乗るのは心配だが、できれば観たい作品の一つであることは間違いない。
冤罪といえば、『約束〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』を手がけてくれたのは東海テレビのスタッフである。
冤罪を訴え再審請求を繰り返していた奥西勝さんが八王子の医療刑務所で獄死してから、裁判を引き継いだ妹の岡美代子さんのことを描いた『いもうとの時間』も観ているが、これも東海テレビのスタッフの制作だから、実に佳い仕事をしてきたものである。」
やはりテレビの影響力は大したものだ。
児童虐待と冤罪の問題を8年間取材し、テレビで放送し、やがて映画化したという点では、名張事件の東海テレビのスタッフ同様見事であるが、関西テレビの上田大輔さんは自らが弁護士だから、司法の専門家であり、かつ記者ということで、裁判では当事者の気持ちもよく理解できたのではないか。
雪冤という言葉は難しいが、雪の白さではないが、無実、身の潔白を明らかにすることだから、冤罪は再審請求が認められ、裁判で身の潔白が明らかになるまでは被告になってしまうと時間がかかってしまう。
再審請求制度を早急に見直し、再審法を改正する必要がある。