戦後80年の夏だったから、語り継ぐ戦争に関してメディアも熱心に取り組み、語り継ぐ戦争の立場から積極的に取り上げてきた。
アジア太平洋戦争に関しては書きたいことはまだまだあるが、追々書いていくこととして、吹く風に秋を感じる9月初旬が終わる頃だから、「人は変われる」話を書いておきたい。
初めに断っておきたいのは、基本的に人間がやることはいつの時代になっても変わらない。
戦争になれば、兵士は女性に性的暴行するし、普段だって、性暴力がなかなかなくならない。
しかし、本人が気持ちを改め、変わろうとすれば、初めて人は変われるということは興味深いことなので書かないわけにはいかない。
元暴力団員の男性が更生支援の一般社団法人を設立し、出身地の栃木県栃木市で自立準備ホームを運営している。と8月23日の読売(脇上怜大記者)が夕刊で伝えている。
非行に走り、行き場をなくした人を受け入れ、二人三脚で再犯防止に取り組む。
「人は変われることを自分の背中で伝えたい」というのは一般社団法人「希望への道」代表理事の遊佐学さん(50)だ。元暴力団員で服役経験を持つ。薬物依存に苦しんできた。
自立準備ホームは民家を活用し「俺ん家」と名付けた。入居者と寝食を共にし、早朝、仕事に向かう10歳代の少年1人を見送った後、掃除や夕飯作りをこなす。
自立準備ホームは4月1日現在、全国562の事業者が登録されている。
遊佐さんは暴走族から暴力団員となった。24歳のときだった。
覚せい剤を乱用して、30歳の時、自宅マンションの5階から飛んだ。右足に後遺症が残ったが組織は破門になった。
栃木に帰り、定職に就こうとはしたが、就けず、覚せい剤の売人になり、摘発され服役している。
開設資金は約530万円。貯金やクラウドファンディングで集めた。2024年12月に準備ホームをオープンさせた。
今秋、新たに2人を迎える。
先の参議院議員選挙でれいわ新選組の東京選挙区から立候補した元衆議院議員の山本ジョージさんが自身の服役体験から、刑務所に収容されている障がい者や高齢者など社会的弱者のために活動されているということで、更生支援こそ、最大の犯罪被害者支援だという日頃の自分の考えから、山本ジョージさんを応援したが、残念ながら当選はできなかった。
世の中のほとんどの人がわかっていないことがある。
それは、強者、弱者、普通の人それぞれ紙一重の位置にいるということ。
今回の選挙で落選した自民党裏金議員かつ、差別発言で物議を醸していた女性だって、負傷したり、病気になったりすれば、己の態度を改めるに違いない。
他人に対する思いやりがないのは想像力がないことが一番の理由である。
聞いた話で、恐縮であるが、生活保護のケースワーカーを指導していたことがある男性は、ワーカーと相談者は紙一重だということを口癖のように話していたそうな。
持病を抱えながら、後期高齢者になるまで生きられるとは信じられないことだが、この年齢まで生きられたのは生かされたからだと自覚している。
しかし、長い人生で一つも他人から後ろ指をさされることがなかったかといえば、そんなことはありえない。
確かに、刑務所に収容されたことはないが、恥ずべきことの一つや二つがないわけがない。
運が佳かったことと、自分には他者より想像力が豊かであるという長所があったからだ。
だから、山本ジョージさん、遊佐学さんにエールをおくりたくなるのだ。
人は変わろうとする意志があれば、変わることができるのだ。