2025年09月02日

開発者家族と原爆、人間爆弾「桜花」

 戦後80年 昭和百年 被爆を語るということで8月31日の読売(山下佳穂記者)が原子爆弾の開発を主導し、原爆の父とされる物理学者ロバート・オッペンハイマーの孫チャールズ・オッペンハイマーさん(50)が2024年6月、被爆地ヒロシマを訪れ、被爆者小倉桂子さんと面会したことなど原爆の開発者の家族だからこその思いや非核運動などについて聞いている。

 宇佐海軍航空隊の特攻と宇佐市塾における語り継ぐ戦争を大分出身の俳優財前直見さんが紹介するドキュメンタリーについて書いたが、人間爆弾「桜花」のことを書かなかったので、書いておきたい。

 人間爆弾「桜花」の開発設計者三木忠直さんのご家族が人間の命を大事にしない兵器を開発設計して非難されていることに関し、戦後、三木さんが鉄道技術研究所に移り、飛行機の技術を鉄道の開発に生かし、東海道新幹線の流線形のデザインに応用された。
 さらには、新宿から箱根に行くとき乗る小田急線ロマンスカーの開発にも関わっていたことが明らかにされた。


 オッペンハイマーさんのことが映画化されたとき、原爆の開発者に批判的な立場だった自分は映画を観る気もしなかった。
 しかし、今となってはまたしても後悔している。
 またしてもと書いたのは、人間魚雷『回天』を映画化した『出口のない海』も主演の俳優が世間をお騒がせしていたことなどで、見逃してしまったからだ。
 こちらは語り継ぐ戦争の立場から、リバイバル上映があれば、なんとしても観ておきたいと願っている。

 記憶に間違いがなければ、陸軍登戸研究所の研究から電子レンジが生まれたと耳にしたことがある。
 陸軍登戸研究所(現明治大学平和教育登戸研究所資料館)を訪れたのは2013年10月25日の雨が降っているときだった。
 731部隊展を開催していたから語り継ぐ戦争の参考にするためである。
 戦争のために兵器その他の研究に力が入るか、カネが使われるかであろうが、どっちにしても電子レンジはどこの家庭にもある優れモノであり、生活必需品の筆頭格だと言っても過言ではない。

 優秀な研究者はオウム真理教の教祖に洗脳されたとは言いながら、サリンをつくってしまった。
 彼が道を踏み外さなければ、絶対人類に役立つ研究ができたであろうと確信するだけにもったいないことをした。

 原爆を作ることに携わっていた人物の家族が自らの祖父のこととはいえ、ヒロシマを訪れたのは佳いことだが、原爆を作り、投下された被爆者からみれば訪れただけでは納得はできないのではいか。

 三木さんはその有能さから桜花の開発から転じ、世のため人のために新幹線の開発に尽力されたことは素晴らしい。

 名誉挽回というか汚名返上というか、人間反省することは大事なことである。
 それでも、原爆投下、桜花という特攻兵器を使おうとしたことは人間の命を大事に思わない所業であり、非難に値する。