2025年08月25日

人の心があるなら、埋もれている遺骨を掘り出して

 「編集委員鵜飼哲夫のああ言えばこう聞く」8月22日の読売が夕刊で伝えていたのは「沖縄に眠る『戦場』掘る」をテーマに沖縄で遺骨収集のボランティアを続けるジャーナリスト、浜田哲二さん(62)と律子さん(60)夫婦が見つめる戦争とは―。
 「世界の紛争見たが、自国のこと知らず」だったという哲二さん。「ちっちゃいお骨出てくると泣きながら」という律子さん。
 転機は2002年戦没者の遺骨収集グループに同行したことで、取材の最終日、お礼を言おうとすると、「マスコミの人たちは戦後何年とか終戦の日とか、そんなときしか島に来ない。もし君たちに人の心があるなら、足元に埋もれているかもしれないお骨を一つでも掘り出してあげたらどうかな」という胸に刺さる言葉だった。
 すぐに弟子入りした。
 早期退職制度を利用して新聞社を退職し、浜田夫妻は世界遺産・白神山地がある青森県深浦町へ移住。毎年12月から5月の連休の頃まで、遺骨収集のために沖縄に滞在している。


 沖縄で遺骨を掘る人といえば、映画にもなったガマフヤーの具志堅隆松さんだが、糸満市のガマで旧制・私立開南中の生徒が帽子につける校章を見つけたことで遺骨収集ボランティアとしての浜田さん夫妻も注目を集めた。

 ガマフヤーの具志堅隆松さんが無私の人だとして、ジャーナリストだった浜田さんは遺骨収集を本にしたりということで仕事と大いに関係がある点が大きく異なる。

 それでも、具志堅隆松さんとお目にかかり、一度は自分も遺骨を掘る作業に同行したいとお願いしたことがコロナ渦で実現せずに、後期高齢者になって心身共に急激に衰えてしまった自分と較べ、還暦くらいの世代である浜田さん夫妻の行動力には頭が下がる。

 遺骨を掘ることができなかった自分と較べ、とにかく遺骨を掘っている浜田夫妻にはエールをおくりたい。
 人にはそれぞれ立ち位置がある。
 衰えてしまった自分ではあるが、戦争を語り継ぐことはできるので、学習したことを伝えていく。