2025年08月07日

『木の上の軍隊』

 月に一度の映画館行き、8月は平一紘監督、堤真一、山田裕貴ダブル主演『木の上の軍隊』を観てきた。

 1945年4月16日、米軍が上陸した沖縄慶良間諸島伊江島を舞台に日本軍守備隊32軍との6日間の攻防の末、伊江島は米軍の占領下に置かれた。
 米軍上陸を前に、島では滑走路を建設する突貫工事が行われていたが、米軍上陸で米軍に滑走路を使われまいと滑走路が爆破された。
 圧倒的な戦力差で上陸してきた米軍は守備隊などものともせず、蹴散らして六日間で島を占領してしまう。

 殺される寸前で、ガジュマルの大樹の上に身を隠した沖縄出身の新兵安慶名セイジュンと上官の将校山下は木の上を根城に2年間も生き延びるのだった。

 佐次田秀順さんと山口静雄さん二人がモデルとなった実話を基に劇作家井上ひさしの原案の舞台劇を映画化した作品である。

 沖縄戦は圧倒的な戦力差の戦いで、「生きて虜囚の辱めを受けず」と捕虜になることを禁じられた兵士ではなく、捕虜になると米兵に酷いことをされると洗脳されていた住民たちの中に集団自決をした人たちがいた。

 集団自決といえば、語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で2016年8月に慶良間諸島渡嘉敷島を訪れ、集団自決の場所でお参りしている。
 座間味島、渡嘉敷島そして伊江島とどこに行くか迷ったが渡嘉敷島にした。
 集団自決といえば、読谷村のチビチリガマにも行き、犠牲者のご冥福を祈っている。

 戦後、グアム島から横井正一さんが、ルバング島から小野田寛郎さんが帰国を果たし、戦後80年の今となっては、よく死なないで生きていたものだと感心しきりである。
 東南アジアなどでは残留日本兵を欧州の植民地からの独立運動に引き入れようとしたという話を耳にしたことがある。

 伊江島でガジュマルの樹上で生き延びた二人が飢餓にさぞや苦しめられたことだろうと思ったら、進駐してきた米軍の捨てた食料、缶詰などを食していたことを知り、サバイバルとは、敵の食料を頂戴することも有りかと感嘆した。

 『父と暮らせば』の井上ひさしさんだから、安慶名が天に召された母親と親友与那嶺とが親しく会話するシーンで、劇作家はこの世とあの世の行き来が自由自在であることの素晴らしを教えてくれた。

 戦争では何としても生き残らなければダメで、ために、大いに参考になる話だった。