6月27日、最高裁判所第3小法廷(宇賀克也裁判長)は、第2次安倍政権下で行われた2013年からの過去最大の生活保護基準引き下げについて、厚生労働相の減額決定を生活保護法違反と認定し、処分の取り消しを命じる原告勝訴判決を言い渡した。とメディアが伝えている。
7月8日の毎日新聞、稲葉剛・立教大学大学院社会デザイン研究科客員教授によれば、判決は国が引き下げの主たる根拠として示した「デフレ調整」について、「専門的知見との整合性を欠き、厚生労働相の判断の過程及び手続きに過誤、欠落があり違法」と認定した。国が定めた生活保護の基準について最高裁が違法と認定したのは史上初めてだ。
生活保護は憲法第25条が定める生存権保障の岩盤となっている制度であり、その基準は「ナショナルミニマム」(健康で文化的な最低限度の生活)を示すラインとして、就学援助など47の低所得者支援制度の要件を定める際にも参照されている。生活保護基準の引き下げは、この制度の利用者に月々、支給される保護費が減額されるだけでなく、他制度がカバーしていた低所得者層も縮小し、日本の貧困対策全体が後退することにつながる。このことから、一連の訴訟は「いのちのとりで裁判」と呼ばれてきた。
時あたかも参議院議員選挙で、議員には飛行機はファーストクラス、新幹線などはグリーン車などのフリーパスが使える特権が与えられている。
その特権階級からは、生活保護の減額に反対する態度を表明していたのはれいわ新選組の山本太郎代表くらいなもので、生活保護制度に理解がある人は少ないのではないか。
かつて、年越し派遣村の村長、現在、子ども食堂の支援をしている社会活動家の湯浅誠さんは、生活保護の不正受給を指摘する人たちに対し、受給者全体からみれば、一握りにしか過ぎない不正受給を問題視して、真に困っている人のセイフティーネットである生活保護を受給できないようでは日本国憲法、生活保護法の精神に反すると訴えていた。
国民主権から天皇主権国家に戻すという参政党の支持者が増えているとメディアが伝えているが、個人の権利よりも国家が優先するという考え方でアジア太平洋戦争を始めた反省が全くないことに戦後80年、何も学ばなかった人たちが増えてしまったことに危機感さえ覚える。
財界の要求に応え、派遣労働を認め、労働者の非正規雇用化で低賃金のまま働かせることで、30年にも及ぶ不況で生活困窮者を増やしてきた自民党、公明党政権。
低賃金で労働者が集まらない介護などの仕事に外国人労働者を入国させ、低賃金で働く外国人を増やしてきたのは自民党と公明党政権である。このことを批判せず、移民反対だと発言しているのが参政党である。
一方で、洗脳されて高額な献金を続けさせられ家庭が崩壊した旧統一教会の信者が、結びつきの深かった権力者を倒したことから、旧統一教会の実態が明らかにされ、メディアでも再三取り上げられ、解散命令が出されるまでに対策が進化した。
自民党が旧統一教会と結びつきが深かったことはよく知られているが、参政党は旧統一教会を批判するような動きが見られないのは、深い関係があるからではないかと疑われている。
自民党、公明党、参政党のような個人より、国家優先という考え方は日本国憲法の精神に反する考え方であり、「一人ひとりが生きていてよかった」と思える社会にするというれいわ新選組の山本太郎代表の考えは、生活保護法が貧困層の最後の砦として、国の勝手な裁量で保護費を減額させることに反対する立場であることから、選挙ではどの政党を選択しなければならないかが明らかとなっている。
生活保護法は、今は何とか生活できても、明日のことはわからないという人たちにとっては、安心のセイフティーネットであり、他人事ではない。
国家が大事にされ、個人が大事にされない時代、戦争で300万人以上の人たちが死んでいるではないか。
参政党を選択すると、戦前、戦中に逆戻りし、個人の生きる自由が束縛され、明らかに中国みたいになることだけは間違いない。