2025年06月13日

弁護士預り金着服 対策

 弁護士が依頼者からの預かり金を着服する不正が相次いでいることを受け、日本弁護士連合会は、被害拡大を防ぐための対策を強化する方針を決めた。不正の情報がある弁護士の調査を迅速に行うほか、調査を拒んだ場合には氏名を公表できる内容となる見通し。6月13日の定期総会でこれらの対策を盛り込んだ議案の可決を経て実施する。と6月8日の読売が伝えている。

 預かり金を巡っては、読売新聞の調査で、2018年以降の5年間で少なくとも50人の弁護士が横領するなどして起訴されたり、懲戒処分を受けたりしており、被害額が計約20億円に上ったことが判明。20年には預かり金約25億円を不正流用した弁護士法人が破産する事態も起き、対策を求める声が上がっていた。

 こうした中、日弁連は、弁護士会による不正調査を迅速に進めるため、調査のルールを定めた規定を見直すことを決めた。調査の要件の一つとされている「苦情が3か月間に3回以上」との規定を、1回でも苦情が寄せられれば調査できるように改める。不正を早期に把握し、懲戒手続きに移行できるようにすることで被害の拡大防止につなげる狙いがある。

 また、弁護士会の調査に弁護士が応じず、その間に顧客が不正の被害に遭ってしまう事態を避けるため、調査を拒んだ弁護士は弁明の機会を与えた上で氏名を公表できるような規定を新設する方針だ。

 日弁連ではこれまでも、預かり金の横領を防ぐ対策を行っており、13年に預かり金を専用口座で管理することを弁護士に義務付けたほか、17年からは専用口座の番号などを所属弁護士会に届け出るよう求めている。横領の被害者に最大500万円の見舞金を支給する制度も設け、2025年3月末までに計約2億円が被害者に支給された。


 『鬼平犯科帳』などの作品で知られる作家池波正太郎が「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ。 善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。 悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。 これが人間だわさ」と鬼平こと火付盗賊改方長官長谷川平蔵に語らせる。

 人生は紙一重、かつ自分の思いどおりになることなどほとんどない。
 一生のうち一度くらいは佳いことがあったりするが、長続きはしない。

 先般、亡くなったミスタープロ野球こと長嶋茂雄さんは、子どもの頃、大ファンだった。この人だけは死ぬまで太陽のように日本に陽を当て続けてくれると思っていたが、晩年、病に倒れ、懸命のリハビリで表舞台に戻ってきてはくれたものの子どもの頃からのファンとしては気の毒でみていられなかった。
 家族のことも合わせて、あの長嶋さんだって、一生佳いことばかり続かなかった。

 大阪地検のトップが部下の女性検事に性的暴行をし、「これでお前は俺の女だ」と言った云々と伝えられているが、その筋の人間ではない、検察のトップだって人間だから、性暴力をするだろう。

 弁護士が預かり金を着服する例などよくある話で、全く驚かないことに怖さを抱く。
 一番難しいとされている司法試験に合格していても、カネに困れば使い込みするのは人間の性である。
 弁護士会がやらなければいけないのは、預かり金を弁護士が勝手に使えないようにシステム化することである。

 職場でお世話になっただけでなく、尊敬していた上司が忠告してくれたことを思い出した。
 職場のカネを使い込んだ人の話で、「自分は職場のカネなんか使い込まない」と自信満々に応えたら、「あなたはおカネに困っていないからだ」人間というものは「金に困れば万引き、横領なんだってやるものだ」
 横領を防ぐためには、横領できないようにシステム化しなければダメだ」と忠告されたのである。
 「あなただって気をつけなければいけないことがあるでしょ」と言外に女性に注意しろと念を押された。

 預り金を弁護士が勝手に引き出せる以上、使い込みなどなくなるわけがない。
 とはいうものの、預かり金を使い込みしない弁護士だっているわけで、見分け方が難しい。

 弁護士、検事、警察官とて信用できる人、信頼できる人もいれば、そうではない人だっているということを常に頭に入れておき、信頼できる人を探すことである。