五百旗頭幸男監督『能登デモクラシー』とパレスチナ人バーセル・アドラー、イスラエル人ユヴァル・アブラハーム監督『ノー・アザーランド 故郷は他にない』の2作品を観て自らの仕事について考えた。と文化部次長田中誠と文責を明らかにしたコラムを5月25日の読売が広角/多角でみつけた。
過疎化の進む石川県穴水町を舞台に、地元メディアの存在意義を重ねながら、忖度がはびこる役場と町議会のいびつな関係を浮き彫りにした『能登デモクラシー』。
撮影中に起きた能登半島地震からの復興と民主主義の再生への希望を抱かせると紹介していた。
手書きの新聞「紡ぐ」を発行し続けている元中学校教師の滝井元之さんを主人公に「言い続けることの方が意味がある」「何もしなければ何も変わらない」と取材、編集から配布まで全部ひとりで行い、町政に警鐘を鳴らしている。
イスラエルが占領を進めるヨルダン川西岸地区でパレスチナ人のベドウィン(遊牧民)集落がイスラエル軍によって襲撃され、住めなくされている様子をパレスチナの青年がカメラで撮り、友人のイスラエルの青年と力を合わせ、国際社会に発信する『ノーアザーランド 故郷は他にない』。
「入植者襲撃 消える集落」「住民『ここはもう限界』 ヨルダン川西岸」「入植者が侵入 嫌がらせ」「ガザ食料トラック15台略奪」という見出しで、5月25日の読売もパレスチナ住民の苦境を伝えている。
能登半島でデモクラシーのために現状を変えたいと願い新聞を発行している。ヨルダン川西岸で身の危険を顧みず、イスラエル軍と入植者がパレスチナの人々を苦しめる暴力をカメラで撮って国際社会を動かそうとしているパレスチナとイスラエルの青年の友情と較べ、コラムを書いている筆者は地に足がついていないと反省し、せめて、何かを変えたいと、それぞれの場所で闘っている人たちの思いを届けたい。と結ぶ。
『能登デモクラシー』はポレポレ東中野で上映中であることは知っていたが、久しぶりのフランス映画だった『秋が来るとき』を観てしまったので、月に一度の映画館行きと決めていることから見逃してしまった。
『ノーアザーランド 故郷は他にない』は3月に観ているが、語り継ぐ戦争の立場から、満蒙開拓団とイスラエルの入植者が重なって、ユダヤ人国家イスラエルの後ろ盾米国とユダヤ人のただならぬ関係がパレスチナの人々を苦しめることにつながっていることから、米国はつくづく嫌な国だなと思った。
「『変えたい』と願い 書き、撮り、闘う人」と見出しにあったが、「遥かな道」として、語り継ぐ戦争、犯罪被害者支援などを訴えている自分もその一人には違いない。
まあ、世の中に対する影響力はないに等しいが、それでも、一人でも多くの人に戦争は二度とごめんだということで、わかってもらいたいとは願っている。
一人の力ではどうにもならないことでも、数が増えれば影響力がでてくるというものではないか。