第二次世界大戦中に海外で亡くなった身元不明の戦没者を慰霊する、国の拝礼式が26日、千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)で開かれた。硫黄島やロシア、南太平洋のビスマーク諸島などから持ち帰った身元が分からず遺族に引き渡せない遺骨368柱が新たに納められ、これまでに納骨された戦没者は37万1008柱となった。とメディアが伝えている。
5月26日の毎日新聞やNHKなどによれば、主催する厚生労働省によると、戦没者の遺骨は推計で約112万柱が収容できていない。
式には、秋篠宮ご夫妻や石破茂首相、遺族ら約400人が出席。福岡資麿厚労相は式辞で「一柱でも多くのご遺骨が一日も早くふるさとに戻られるよう、全力を尽くしてまいります」と述べた。
語り継ぐ戦争、戦没者慰霊のための行脚で全国の慰霊碑を周り始めたのは2008年8月のことだが、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑でお参りしたのは2009年12月のことだった。
戦没者を慰霊する施設としては、よく知られているのが靖国神社と国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑である。
戦前は陸軍省、海軍省、内務省が管理していた国家機関だった靖国神社が敗戦で軍部が解体され、民間の宗教法人が管理運営することになり、日本国憲法20条の政教分離の原則が適用されたから、内閣総理大臣が公費でお参りすることは違憲だということになる。
問題は、300万人超もの犠牲者を出したアジア太平洋戦争を企図し、指導したその責任を東京裁判で問われたA級戦犯が合祀されたことにある。
語り継ぐ戦争、戦没者慰霊の立場からみれば、A級戦犯と日本軍の幹部に戦争責任があることは絶対譲れない。
A級戦犯の戦争責任を有耶無耶に靖国神社に合祀するというのは、再び、戦争をしようとする勢力が考えることだということで、どうしても、A級戦犯を赦す気持ちにならないのだ。
合祀したければどうぞ。でも、戦没者のことを考えればお参りはできないということになる。
そこで、国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑の出番となる。
アジア太平洋戦争で戦没された人々を慰霊する施設だからこそ、一人でも多くの日本人がお参りしなければならない施設である。
ところが、自民党などの保守派の勢力を占める人たちはA級戦犯が合祀されている靖国神社にばかりお参りしたがり、千鳥ヶ淵の戦没者墓苑にはお参りする様子がみられない。
現に、拝礼式に何人の国会議員が参列しているのか。
メディアはここのところをきちんと伝えるべきである。
アジア太平洋戦争では、敗戦から80年も経っているにもかかわらず、いまだに約112万柱の遺骨が収集されていない。皆、国のために戦い、斃れたのだぞ。
保守派とされている勢力こそ、遺骨収集にもっと力を入れろと何回も発信している。
A級戦犯のせいで彼らは召集され、戦地で斃れたからには合祀より遺骨収集が先だろう。
拝礼式のニュースはなるたけ、発信するようにしてきたが、見逃してしまったこともあることを納骨される無縁の遺骨にお詫びしたいくらいだ。