季節の移ろいは早く、4月も早や中旬になり、連れ合いの誕生日がやってくる。
水俣病公式確認の年に生まれた彼女とは一緒になって40年、自分にとっては太陽と同じでなくてはならないというよりも生命線というほど重要な存在である。
プレゼントを用意するようなことは考えていないが、毎日、ご先祖様に元気で自分より絶対長生きしてもらいたいと手を合わせている。
その連れ合いがこの季節に採れるタケノコが大好きで、竹林のないわが家ではご近所や連れ合いの友達から毎年タケノコを頂戴し、連れ合いは大好きなビールのつまみに美味そうに食している。
そのタケノコが採れる竹林が土地を荒らす。伐採して従来の竹工芸品とは異なる日用品などとして資源として活用することに注目が集まっていると4月8日の読売(上原三和記者)が暮らしの紙面で「関心アリ!」というタイトルで伝えている。
竹林といえば、若い頃手にしてからもう40年以上経つ尺八が竹林の産物だから、竹林には大いに関心がある。
ただし、竹にもいろいろな種類があって、因みに尺八は真竹という比較的細めの竹を根から掘りだして作られている。
語り継ぐ戦争では、鬼畜米兵に見立てた藁人形めがけて竹やりで向かう訓練がまことしやかに行われていたが、鉄砲に竹やりという発想が常識では考えられない。
国土の7割が森林だとされているわが国では、林野庁によれば、竹林は1986年には全国で14・7万fだったが、2022年は17・5万fと微増しているという。
竹は先人の知恵で、弓などの武器、釣り竿など日用品などで沢山使われてきただけでなく、工芸品としても作られている。
身の回りをみれば、住まいでは漆喰の壁の下地、茅葺の屋根、そして、竹垣と呼ばれた垣根という具合である。
身につけるものでは、笠というか被り物に使われ、荷物を入れる手提げ、背負う籠など。
食器としては箸や串、ざるなど。
日用品では、扇子や団扇、箒や箕など思いつくまま挙げただけでも実にいろいろ使ってきた。
アジア太平洋戦争に敗れた結果、米国からプラスチックという便利なものが竹製品に代わって登場するや市場は席巻されてしまった。
しかし、プラスチックは便利な分、処分するとき燃やせば空気を汚すし、地中の微生物にも嫌われているから、腐らないということで、環境のためにはよろしくないことも目立つようになっている。
紙面では、歯ブラシやヘアブラシ、チップ状に砕いて土壌改良材にしたりという形で紹介されていた。
プラスチックから木材へ、プラスチックから竹材へとある意味での回帰が求められているのは国連が達成をめざすSDGsという時代の要求と一致している。