2025年04月05日

東京で赤ちゃんポスト運用開始、熊本に次いで2例目

 育てられない子どもを匿名で預かるいわゆる「赤ちゃんポスト」の設置に向けて準備を進めてきた東京・墨田区の社会福祉法人が会見を開き、「賛育会病院」できょう(31日)午後から運用を始めた。
また、妊婦が医療機関以外に身元を明かさずに出産する「内密出産」も同時に開始し、いずれも、熊本市の慈恵病院に続いて全国で2例目となる。と31日のNHKが伝えている。

 「ベビーバスケット」というネーミング。生後4週間以内の新生児が対象で、病院は赤ちゃんを保護したあと一定期間預かり、その後は、児童相談所が中心となって乳児院や里親につなぐ。

 4月1日の読売によれば「いのちのバスケット」となっているが、どちらにしても赤ちゃんポストよりは佳い。
 赤ちゃんポストは2007年に運用を始め、24年3月末で179人が預けられた。
 内密出産では21年12月からの3年間で約40人が生まれた。


 性暴力被害者の救援拠点「ワンストップ支援センター」の運営が苦しいということを書いたとき、犯罪被害者支援を訴える自分の立ち位置や、なぜ、性暴力を憎み、人身売買である管理売春に反対するのかについても詳しく書いた。
 育てられない子どもを匿名で預かる所謂「赤ちゃんポスト」のことも何回となく取り上げてきたのは、上述の考え方の延長線上にあるのが保護される乳児たちではないかとみているからだ。

 亭主がありながら、たった一度の過ちで妊娠してしまい、離婚され、母子で生きている女性とおつきあいがあったことがある。
 賢いとは言い難いが、それでも、子殺し、子捨てをしないで父親の知れない子どもを育てているのだから、まあいいじゃないか。と応援していた。
 そもそも子どもに罪があるでなし、親が育てられなければ社会が育てればいいだけのことである。

 中学生の妊娠を取り上げたのは『3年B組金八先生』だったと記憶するが、現実は中高生や女子大生、未婚女性で妊娠してしまい、父親である男が逃亡し、出産しても育てられないからと子どもを手にかけてしまうことが後を絶たない。
 そんな女性の駆け込み寺否赤ちゃんポストが熊本にしかなかったことが問題だと考えていた。
 カネがない女性たちがそもそも熊本までの交通費が用意できるわけがない。

 というわけで、東京墨田区に赤ちゃんポストができるかもしれないということを耳にした時、早く開設してもらいたいと強く願っていた。

 犯罪被害者支援を訴えてきた立場であるから、妊娠して男に捨てられた、あるいは男が逃亡したという女性たちが子捨て、子殺しをしたからと言って誰が責められようか。
 悪いのは原因者の男たちである。この男たちを捕まえないで、母親だけに法的な責任を押し付けることはできない。
 ということで、人口が最も多い大都会東京に赤ちゃんポスト「いのちのバスケット」が開設されたことを喜んでいる。
 ㏚をしっかりして、子殺し、遺棄などの犯罪が少しでも減るようにしていくことが求められる。
 
 妊婦が病院の担当者にのみ身元を明かして出産する「内密出産」の受け入れも始めたというから、事を内密に済ませたい女性には福音であろう。

 母子の絆の強さから、将来、親子の名乗りを上げられる可能性があるとなれば、頼る女性も少なくないのではないか。

 人は皆、それぞれ人には言えない事情を抱えて生きている。
 仕方のないことで、犯罪者にさせないことの方がよほど、世のため、人のためである。