NHKETV特集「続 薬禍の歳月 薬害サリドマイド事件60年」を視聴することができたので書いておく。
「安全とされる薬を飲んだ母親から手足に重い障害のある子どもが生まれた「薬害サリドマイド事件」。被害者約300人の平均年齢は60歳を超えた。幼年期より足や口など体を酷使した結果、多くが深刻な痛みや機能低下など二次障害に苦しむ。増山ゆかりさんは絶望する仲間を支えようと、国から新たな補償を勝ち取った先進地ドイツを訪ね、当事者たちと語り合った。10年前の「薬禍の歳月」(芸術祭大賞)の続編となる長期取材番組。」と㏋にある。
アメリカ合衆国内におけるサリドマイド薬害を最小限に食い止めたことで知られる薬理学者 、医師フランシス・ケリー博士。アメリカ食品医薬品局(FDA)で、米国内でのサリドマイドの発売を阻止したことで知られる。
サリドマイド渦で苦しめられた当時の日本で、厚生省の役人がこの事実を知らなかったはずがない。
対応が遅れたのではなかったか。
薬害ではなく、公害で世界的に知られている水俣病で、母親が有機水銀を有する魚を食したことで、胎児性水俣病の患者が生まれている。
水俣病は1956年5月1日に公式確認されたことになっているが、実はもっと早くに被害が出ていた。
公式確認された時点で、厚生省がもっと患者のことを考えた対応を取っていればと考えてしまう。
国と熊本県、そして、水俣市と原因者の企業チッソ寄りだったから、患者への対応が遅れてしまったのだ。
薬害サリドマイドの被害者増山ゆかりさんがサリドマイド薬禍の原因製薬会社があるドイツに行き、ドイツ政府から新たな補償を勝ち取ったドイツの被害者と連帯するため、ハンディのある体で訪れた様子を視聴して、日本政府の患者に対する冷たい対応は何故なのか考えさせられた。
「水俣病はまだ終わっていない」と胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんが折々訴えてきたが、政府の対応がいつも後手に回る理由がわかった気がする出来事があった。
先般、差別発言を繰り返し人種差別主義(レイシズム)だと批判され、しかも自民党安部派で1564万円もの高額の裏金議員だった女を自民党が次の参議院議員選挙に公認すると発表した。ここで明らかになったのは、自民党は弱いもの虐め、少数者を虐める政党だと認めたということである。
自分の立ち位置は戦没者、犯罪被害者、公害病患者、薬害被害者の側にある。同性カップルなど少数者を差別することもしないし、アイヌ、琉球、朝鮮半島、中国大陸と民族で差別することもしない。日本人も一緒だが威張っている奴とか嫌いな人間はいる。
サリドマイドのことは松山善三監督『典子は、今』を観て勉強させてもらった。
この映画で薬害被害者だけでなく、障がい者に対する見方にも多大な影響を受けている。
1980年代仕事で知り合った当時小学2年生だった女児、現在アラフィフくらいになっているはずだが、彼女がサリドマイド薬禍の症状だったことに衝撃を受けた。
後期高齢者になって、彼女は今どうしているだろうか。と考えることがある。
受容するという言葉がある。
自分も炎症性腸疾患クローン病であるから、当初は何故、自分がなどと思ったが、時間の経過とともに受容するよりなかった。
彼女は小学2年生で、そのことが分かっていたというか、受容していたみたいで元気で活発な女児だった。
不自由なく今日に至る自分が加齢で、目、耳、歯、腰、膝と悪いところを挙げればきりがないほどだから、体で使えないところがあれば、別な部分で補うから、手の代わりに口や足を使えば、酷使された体に変調を来たすのは当然で、痛みも半端でないだろう。
ドイツ政府に倣って、政府も薬害サリドマイドの被害者救済で新たな補償をすべきである。
被害者は何も悪くないからだ。