女性従業員6人に性的暴行などのわいせつ行為を繰り返したとして、準強制性交罪などに問われた福岡県糸島市の元ペットショップ経営の被告(66)の裁判員裁判の判決で、福岡地裁は25日、求刑通り有期刑の上限である懲役30年を言い渡した。今泉裕登裁判長は「会社を私物化して恐怖で服従させ、過去に類を見ないほどの特異な悪質性がある」と述べた。と2月26日の読売が伝えている。
判決によると、被告は2017〜22年、自宅などで女性従業員6人(当時20〜30歳代)に自身が暴力団関係者であるとうそを繰り返し告げて誤信させたうえで、日本刀を首に当てて「裏切ったら殺す」などと迫り、性的暴行やわいせつ行為をして、うち1人にけがを負わせるなどした。
弁護側は「拒絶できない状態ではなかった」と無罪を主張していたが、今泉裁判長は「日本刀を当てられるなど、強度の恐怖心から拒絶することができなかった」などとして退けた。
その上で「経営者という優越的地位を背景に、夢や目標に向けて希望を持った被害者らに対し、長期間にわたり継続的に性的行為を繰り返す中で犯行に及んでおり、卑劣極まりない」と結論付けた。
被害者女性の一人が性被害の相談しづらさを挙げていた。女性が意見陳述で「性被害は友人やパートナー、家族に話すのはハードルが高い。性犯罪に遭った時に相談できる環境がもっとあったらいいと思う」と訴えた。
性暴力被害者に対する社会の偏見がまだ残っていると改めて考えさせられる事件である。
女性の自由と尊厳を奪い、PTSÐで一生苦しめられる被害者もいる性暴力犯罪。
「自由」のためにをスローガンに語り継ぐ戦争と犯罪被害者支援を訴えてきた立場であるから、悪質な性暴力犯罪者を死刑あるいは終身刑にすべきであるという被害者。この声を代弁して発信してきた。
極めて悪質な加害者が裁判員裁判で有期刑の上限である懲役30年の判決が言い渡されたことを是とし、裁判員の市民感覚が被告を断罪したものと高く評価している。
相談できる環境がもっとあったらと被害者が裁判で意見陳述しているということで書いておきたいことがある。
犯罪被害者支援を訴えてきた立場から、性暴力被害者の相談機関である東京・強姦救援センターのサポート会員になっている。相談時間が毎週土曜日13時から16時と限定的なところはあるが、電話で相談できる。
もっと言えば、現在ワンストップ支援センターが自治体に設けられているはずだから、昔と較べれば相談できる場所は増えていることは確かだ。
ただし、宣伝が行き届いていないかして、自分が当事者にならないと知らない人が少なくないかもしれない。
さらに、弁護士という職業にある人間、とりわけ、加害者の弁護をする人が全く信用できないということ。
自らを暴力団員だと被害者に思い込ませ、かつ日本刀を突き付けた加害者を擁護し、逃げなかった被害者が悪かったように言っているのは言語道断で、職業の社会的評価を低下させることこの上ない。
仮に被告が控訴した時、高裁の裁判官が地裁の裁判員裁判の判決を覆してしまったことがあったが、もう一度、同じようなことがあったなら、裁判員裁判はもうやめた方がいい。