2025年03月03日

玉砕の現実

 先般、亡くなられた渡邉恒雄主筆が反戦という考え方だったからか、語り継ぐ戦争に力を入れている読売が「戦後80年 昭和百年」戦火 上・中・下というタイトルで2月27日〜3月1日まで、玉砕、特攻隊、空襲空爆についてスポットを当てているので書いておく。

 まず、「こけた頬 玉砕の現実」という見出しで、27日の1面では硫黄島の戦いで運よく生き残った人の声を、特別面で「島々を巡る戦い4つのケース」として全滅を玉砕と呼んで美化した1943年5月のアッツ島、本土空襲の基地としたい米軍と絶対国防圏としての攻防の44年6〜7月のサイパン島、洞窟での持久戦で知られる44年9月〜11月のペリリュー島、そして。鉄の暴風と呼ばれる艦砲射撃で日本上陸への足掛かりとされた45年6月の沖縄。
 その他の島として、占守島、タラワ島、ガダルカナル島、グアム島、ルソン島、レイテ島などでの戦いがあった。
 各地で戦った元日本軍人の生存者が1401人。平均年齢も約100歳になった。
 硫黄島での日本軍は2万1900人が戦死し、生還したのは1033人。米軍の戦死傷者2万8686人。2024年末、見つかった遺骨は1万710柱。
 日本軍の死者はアッツ島が2638人死亡率99%、ペリリュー島1万22人死亡率96%、サイパン4万1244人死亡率95%、沖縄9万4136人死亡率92%で民間人の犠牲者を加えれば、死者はもっと増える。

 41年1月東条英機陸軍大臣が出した「戦陣訓」は「生きて虜囚の辱めを受けず」として捕虜になることを禁じた。男性は米軍に捕まれば殺され、女性は性的暴行されると洗脳されたため、追い詰められると自決を選んだことが玉砕という名の集団自決である。


 戦争というものは戦国時代、織田信長の頃から勝者は敗者を皆殺しにしたり、女性を性奴隷にしたりということをやってきた。
 中国大陸の東北部に侵略し、傀儡政権の満州国をつくった日本軍には現地や朝鮮半島、東南アジアにおいて女性たちを性的暴行した兵士たちがいる。
 戦争の形勢が不利になった1945年8月9日未明、満州や朝鮮半島、樺太に侵攻してきたソ連軍は関東軍に見捨てられた満蒙開拓団などの日本人女性を滅茶苦茶に性的暴行したし、ベルリンに侵攻した際、ドイツ人女性を子どもから中高年まで性的暴行したことで知られる。
 米兵だって、沖縄や占領後の日本で女性を性的暴行している。
 ウクライナに侵略したロシアの兵士がウクライナ女性に性的暴行したり、男性にも性的暴行したことも伝えられている。
 勝てば官軍という言葉があるくらい、勝者が敗者に対し虐待する事件が後を絶たない。

 しかしである。
 性的暴行されるからということで、樺太の電話交換手たちが集団自決したようにあるいは満州やサイパン、沖縄などで集団自決に追い込まれたのは日本だけのことではないか。

 虐待されるかもしれないとわかっていても、ウクライナの兵士が集団自決したことは耳にしたことがないし、まして、米軍となれば集団自決なんてありえないことである。

 やはり、戦陣訓という洗脳教育のせいだとみるのが的を得ているのではないか。

 アッツ島で上陸してきた米軍との戦いで、日本兵300人が軍刀を手に突撃して全滅したことを玉砕と美化したことが玉砕の始まりとは知られたことである。退却を転進、敗戦を終戦などと呼び変えた日本。

 よくよく考えてみれば、死んでしまえばお仕舞だから、死んではダメだと教育しなければいけなったはずだ。

 軍民あわせて310万人が犠牲となった日本。