千葉商科大学と千葉商科大学付属高校では、販路の確保に悩む農作物の生産者やお菓子、海産物の小売店などとチームを組み、様々な商品を開発するほか、販売イベントも企画・運営し、地域活性化に貢献している。と2月5日の読売(服部真記者)がSDGs@スクールというタイトルの紙面で伝えている。
農家から大学に届いた「規格外のニンニクを大量に廃棄している。何とかできないか」という相談から生まれたのがドレッシングで販売した道の駅でのクリスマスイベントではほぼ完売という売れ行きだった。
地元の菓子店で梨パイを製造する際に廃棄されるパイ生地の端材に地元特産のピーナツペーストを絡めて新商品を考え出したのは高校生たちだ。2種類の菓子は全国商業高校フードグランプリで、23、24年と「来場者賞」を受賞している。
道の駅でのクリスマスイベントも同大学生と同高生徒が企画・運営した。
商品開発を通じて、地域課題とその解決策を考える取り組みは、大学では「ソーシャルワークの視点による地域活性化」の一環として16年に始めた。
これまでドレッシングやジャム、ソーセージのほか、販路がなく困っていた福祉施設の農産物を使ったクラフトビールなど少なくとも30品目以上を商品化した。
付属高校では「企業の困りごと」を解決するプロジェクトとして19年にスタートしている。
産官学という協力体制がある。
一方で、東京にある集積の利益を求めて東京1極集中はこれからも続くだろうし、地方はどこの自治体でも地域活性化に努めているはずで、そこに、SDGsという持続可能な開発目標の考え方が加わることで相乗効果が生まれることが期待されるわけだ。
我が国は都道府県に一つは国立大学が設置されており、そこに私立大学も設置されているところが少なくないことを考えれば、産官学の協力体制を構築することはさほど難しいことではない。
2024年の正月元日から襲来した能登半島地震で、政府自民党と公明党が復旧への対応の遅れをれいわ新選組の山本太郎代表に質問されたときに分かったのは、政府は能登半島を見捨てた。切り捨てたということだった。
語り継ぐ戦争における満蒙開拓団棄民と同じ考え方である。
我が国では、限界集落と呼ばれる地域、TVで「ポツンと一軒家」として取り上げられるような地域があることは知られているが、田舎であっても人が住めるようにしていくには地域を活性化させるよりないわけである。
上述の千葉県といえば、首都圏で東京も近いし、気候は温暖で移住者にとっても環境は恵まれている。
そこにある大学がSDGsの考えに立ち、地域を活性化させようと、2019年10月の「食品ロス削減推進法」成立も後押しとなって廃棄食品の有効活用が図られてきたのは実に喜ばしい。
大学、高校の関係者にエールをおくりたい。
生産者食料となる農産物であれば、六次産業化を目指さないと、ただ農作物を生産しているだけでは農家を維持していくのは難しい。
販路というか、消費者の手に渡るというか、換金されないと農家の収入にならないからだ。
いろいろ御託を並べて、農産物が廃棄されるような罰当たりなことを許してはならない。
助っ人となっている学生諸君よ。地域活性化に立ち上がったのは立派だ。