2025年02月03日

再審 証拠開示義務化 刑訴法改正案

 再審制度の見直しを検討している超党派の国会議員連盟は28日、東京・永田町の国会議員会館で実務者会合を開き、刑事訴訟法の改正案を公表した。再審請求審での証拠開示を義務づけることなどが柱で、通常国会に改正案を提出し、成立を目指す方針だ。と1月29日の読売が伝えている。

 この日示された改正案では、検察が保管する証拠に開示請求が出た場合、裁判所が原則として検察に開示を命じるよう義務化することを規定。手続きの迅速化のため、裁判所が再審開始を決定した場合、検察側による不服申し立てを禁止することも盛り込んだ。

 再審での公平性を確保するため、確定審に関わった裁判官は、再審公判や請求審の担当から除外。再審の請求を受けた裁判所が、期日を指定できることも明文化する。

 1966年の静岡県一家4人殺害事件では、死刑判決を受けた袴田巌さん(88)が再審無罪となるまで逮捕から58年かかった。現行の刑訴法では再審請求での証拠開示に関する明文規定がなく、証拠開示の遅れなどによる審理の長期化が課題となっている。

 議連には、与野党から365人の国会議員が名を連ねている。会長を務める自民党の柴山昌彦・元文部科学相はこの日の会合終了後、「スピード感と実効性という側面から、議員立法を準備する必要がある。今国会で実現できるよう、第1弾の法改正をすることが重要だ」と述べた。


 名張の毒ぶどう酒事件で冤罪を訴え、再審請求を繰り返しつつも、八王子の医療刑務所で死亡した死刑囚奥西勝さんの再審請求を継承した妹の岡美代子さん(94)にスポットをあてた『いもうとの時間』を先日、観てきたばかりである。
 奥西勝さんが真犯人でないことを物語る証拠があるにもかかわらず、奥西勝さんを犯人と決めつけたい検察は、自分たちに不利益となる奥西勝さん有罪に疑念を生じる証拠を開示せず、素知らぬ顔をしていることを映画では教えてくれた。
 弁護団でも若い弁護士が検察の証拠を調べていくと、開示されていない証拠があることがわかったのである。
 番号が付けられている証拠で、番号が飛んでいることをみつけてしまったのだ。

 被害者となった女性たちが毒ぶどう酒を飲んだ懇親会が開かれた名張の葛尾地区の公民館。
 当日、ぶどう酒を酒屋から買い求めたのは農協の職員であるが、届けた先は会長宅で当人のメモに14時の時間が記録してあるにもかかわらず、驚くことに、会長宅から公民館へと奥西勝さんが届けることになる17時に限りなく近い時間に証言が変わっていることだった。
 このことを問われた当人は不快そうな態度で覚えていないと弁解していたが、明らかにおかしなことである。
 奥西勝さんがぶどう酒に農薬を入れたことにしたい検察は、会長宅に預けてあった時間を奥西勝さんが届けた時間に合わせようとしたのであろうか。
 会長宅でぶどう酒に農薬を入れる時間があると検察の筋書きが崩れてしまうからだ。

 再審開始請求が認められ、2024年にやり直し裁判で無罪となった袴田事件の袴田巌さんのニュースが流れたばかりである。
 厚労省の村木厚子さん、大河原化工機事件、そして、大阪地検特捜部の不動産会社社長横領事件と冤罪事件が続く。
 証拠を平気で捏造するのだから、検察には誰も敵わない。

 だから、せめて再審に関しては証拠を開示することを義務付け、冤罪事件の被疑者を救済できるようにしなければならない。

 冤罪である可能性が極めて高い名張毒ぶどう酒事件では、再審開始請求を継承する人が妹の岡美代子さんだけだということで、検察は94歳の岡美代子さんが亡くなってしまえば、再審することはなくなると考えているとしたら、検察と裁判所への信頼は地に堕ちる。