2025年01月30日

公益通報者処分で刑事罰

 政府が、24日に開会した通常国会に提出を目指す公益通報者保護法改正案の概要が判明した。企業などの不正を告発した通報者を解雇や懲戒処分とした場合、組織と個人双方に刑事罰を科す。兵庫県で昨年、内部告発を行った元県幹部が懲戒処分された事案もあり、罰則規定を導入することで公益通報者保護制度の実効性を高める。と1月26日の読売が1面で伝えている。

 改正案では、通報者への解雇や懲戒処分について、1年以内であれば通報を理由にされたと推定すると定義。通報者を解雇や懲戒とした事業者は、3000万円以下の罰金、意思決定に関与するなどした個人には、6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金を科す。

 また、通報に対処する従事者の指定義務を怠った事業者に対し、国が立ち入り検査を行う規定を新設する。是正命令でも改善されない場合や虚偽報告、検査拒否には30万円以下の罰金を科す刑事罰の導入も盛り込む。

 通報者を特定する行為は、罰則規定は設けられなかったものの、調査で必要な場合を除いて原則禁止する。
 
 2020年に改正された現行法では、300人超の企業などに対し、内部通報窓口の設置や、通報に対処する従事者の指定など体制の整備を義務付けた。通報者への不利益な取り扱いも禁じているが、違反に罰則規定はなかった。


 パワハラなどの疑惑を内部告発した元県幹部が兵庫県知事に特定された後に懲戒解雇を受け、自殺に追いやられた。結果的に、兵庫県知事に殺されたも同然だと親族は考えているのではないか。

 その知事が選挙で再び当選したからということで、元県幹部を死に追いやったことが許されたような雰囲気があるのは間違っている。
 選挙で当選したことと、公益通報者を特定し、懲戒解雇した罪が許されることとは次元が異なるからだ。

 しかも、選挙屋のような男が跋扈し、SNSで県知事に有利になるように選挙運動をし、なおかつ、県議会の100条委員会で県知事の公益通報者への扱いを審議している県議をターゲットに虚偽の情報を流したため県議が自死に追いやられたと報道されている。
 このことに関しては、兵庫県警がこの男の情報は虚偽であることを認め、捜査に乗り出したと伝えられている。

 正しいことをした人間が権力の力で自死に追いやられるようなことがまかり通っては日本はよくならない。
 公益通報者を保護し、守ることでその組織が健全なものになることは広く世のためになるはずだ。
 
 県議を虚偽の情報で死に追いやった男を県警が捕まえるかどうか注視していかなければならない。

 報道されていることを冷静に考えれば、県知事はパワハラなどがなかったと考えるなら、第三者委員会のような形で調査してその結果を明らかにすればいいだけのことである。
 内部通報を勝手に虚偽だと決めつける傲慢な知事の姿勢が不信を招いているわけで、この知事には人としての徳というものが全くない。
 あるのは権力者の傲慢さだけのようにみえてしまう。

 公益通報制度が何のためにあるのか。通報者を守らないとどういう世の中になるのか。普通に考えればわかるはずだ。
 コンプライアンスなどとカタカナ表記で使われているが、要は法律や道徳というか道義に反することをしないようにすることが難しいからではないか。