2025年01月23日

「ジンゴイズム」の米国にどう抗するか

 1月9日、ワシントンの大聖堂で行われたカーター元大統領の国葬。厳かな式の後半、ギターが静かに奏で始めたのがジョン・レノンとオノ・ヨーコの「イマジン」だった。
 「人権外交」に力を入れたカーター氏は、この曲を愛していたという。2007年のインタビューではこう語った。
 「歌詞をよく聞けば、宗教、国境、ナショナリズム、ジンゴイズムに反対していることがわかる。人々に与える影響は深大だ」と警鐘をならしていたジンゴイズムをテーマに1月19日の読売(飯塚恵子編集委員)が「広角 多角」というタイトルでジンゴイズムの権化ともいうべきトランプ次期大統領への懸念について伝えている。

 飯塚さんが調べたところによれば、ジンゴイズムとは、極端な排外主義、特に、好戦的な対外政策を特徴とするナショナリズム」とある。自国の安全保障や経済利益を最優先し、他国との対立を正当化し、高圧的な態度を取るのが特徴だという。
 誰のことかすぐにわかるだろう。まさに、トランプ次期米国大統領の政治姿勢に重なるのではないか。

 民主主義を実現するには、夢見て努力していかなければ社会は自己中心的な欲に支配されてしまう。
 夢想をやめてはいけない。でなければ、米国は偉大な国から遠のき、世界も衰退する。
 以上が概要である。


 いつの頃からか、気がついたら世界中で貧富の格差が拡大し、その筆頭国である米国ではもはや革命が起きなければ是正不可能なくらい格差が拡大してしまった。
 米国ではバイデン民主党政権が貧富の格差を縮小しようと努力して道半ばに終わったが、飽き足りない貧しき人々は変革を求めてトランプ大統領を支持したとされている。
 しかし、米国の貧富の格差を少しでも是正できるのは正確に言うなら、かつて、民主党の大統領候補だったバーニー・サンダースさんで、仮に彼が大統領に選ばれていれば、もっと、貧富の格差は縮小したはずである。
 トランプ大統領に貧富の格差を是正するようなことをするつもりがないことは明白である。

 トランプ大統領はジンゴイズムをまとった功利主義者で、地球温暖化を防止するため、二酸化炭素(CO₂)の排出を抑制することに懐疑的で、化石燃料をどんどん使えなどと言っている。
 地球温暖化を防止するためなら、快適さを少しばかり我慢するというようなことに反対なのだ。

 日米安保で米国の保護領みたいな立場の日本も米国の影響を受け、貧富の格差が大きな社会問題となっている。
 貧富の格差は財界のため、富裕層のための政治をやってきた自民党政権が公明、維新、国民などの補完勢力の協力がなければ、何も決められなくなっていくことを予測させる。
 つまり、日本でも選挙に行かなかった有権者で、政治に不満を抱く人たちが、自分たちの味方であるれいわ新選組のような政党を応援して伸ばしていけば、日本の政治も変わることを意味する。

 ジンゴイズムに抗することと貧富の格差の是正こそが政治のキーワードとなっていくのではないか。
 「今だけ、金だけ、自分だけ」というのはあまりにも有名だが、ジンゴイズムというのは市場原理に委ねるという一見耳障りの良い言葉で貧富の格差を拡大してきた新自由主義に通じる。

 「人間一人では生きていかれない」。米国だけよければいいという考えではたくさんの人が幸せになることはできない。